プロ2年目に挑む新境地、「遠いところが見えての近いところ。ビルドアップは中高ではやってこなかったけど、嫌ではない」。
[いばらきサッカーフェス] 水戸 0-1 鹿島/2020年2月1日/ケーズデンキスタジアム水戸
プレシーズンマッチ「いばらきサッカーフェスティバル」の水戸ホーリーホック戦で、鹿島アントラーズのセンターバック関川郁万がフル出場を果たし、無失点勝利に貢献した。
町田浩樹と最終ラインのコンビを組み、右CBの関川が後方のスペースをケアしながらスピードのある相手と駆け引きしながら、ピンチの芽を摘んでいく。状況に応じてラインを押し上げるとともに、縦パスを放って、ボランチの永木亮太らとのつなぎの感触も90分の中で掴んでいった。
「1年通してこのサッカーができていけば良くなっていくかなと感じています」
頭と体をフル回転させた90分に「疲れましたね」と、充実の笑顔も漏らした流通経済大柏高から加入して2年目を迎えるDFは、今季就任したザーゴ監督のスタイルに新鮮さを持って取り組んでいた。
「ビルドアップは中学・高校ででやってこなかったけれど、嫌ではない。自分の中で新しいサッカー、新しい能力を得られるサッカーだと思ってやれています。最初は難しかったですけれど、やっていくうちに、どんどんできるようになっている実感を得られています」
その「実感」について、より具体的に語る。
「ビルドアップって、近いところだけのことではない。遠いところが見えたうえでの近いところでもある。そういった基礎的なところから、(ザーゴ監督のもとで)まず学ばせてもらってきました」
19歳はそのように自らの新境地を切り開いている感覚を今楽みつつ、同時に、J1昇格を明確な目標とする水戸相手に「無失点」「勝利」と結果を収められたことで、自信を深めた。
「ACL(アジアチャンピオンズリーグ・プレーオフ)で負けていたので、『アピールしよう』とはサッカー選手として思っていなければいけないことだと思っていましたし、そこを意識してはいました」
レギュラー獲得に向けて、もっと食い込んでいく。ある意味、ルーキーイヤー以上のギラギラした眼をしているように映った。
昌子源は鹿島に復帰しなかった――。それもまた、この男を奮い立たせる要因になる。関川が充実のプレシーズンを過ごし、2020年の戦いへと向かう。
[取材・文:塚越始]
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