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安倍晋三首相は27日、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、全国の小中高校に臨時休校を呼び掛ける異例の対応に踏み切ったが、Jリーグはそれより一足早く、26日から3月15日まで予定されていたルヴァン杯、J1、J2、J3リーグの公式戦計94試合を延期すると発表した。
無観客試合などの対応を決めたプロスポーツ興行はあったが、延期の決断をしたのは初。各種変更に伴う費用を考えると、Jリーグ全体で十数億円規模の損失。さらに、代替開催は五輪期間中などになることを考えると、平日開催やむなしで、入場料収入も減るだろう。かなりの痛手となるが、それでもJリーグが決断せざるを得なかったのには理由がある。クラブ関係者に訊いた。
「コロナウイルスは飛末感染しますから、例えばくしゃみで4~5メートル先の人にも感染する可能性があります。また、たとえ無観客試合にしてもテレビ中継は入りますし、開催にあたり、選手以外にも多くの関係者が動きます。彼らは選手と同じ動線も通るので、感染者が触ったものに選手が触れ、感染する可能性もある。特に試合後は体力が低下していますからね。もし選手が感染すれば、そのクラブ全体が濃厚接触者になって、2週間近く隔離される 。クラブの機能が長期間停止すれば、倒産してしまう。そういった意味でも、ワクチンがない中での試合開催はリスクが高すぎるんです」
このことをJリーグクラブ関係者たちは理解しており、今回の決定への不服の声は聞こえてこない。メディアからも、村井満チェアマンの素早い英断を支持する声が上がっている。
とはいえ、今回の試合延期は、各チームにどのような影響があるだろうか?
「間違いなく過密スケジュールになるので、主力選手がベテランのチームは失速するでしょう。今季好調のヴィッセル神戸ですが、イニエスタは35歳、ディフェンスの要のフェルマーレンも34歳。彼らのパフォーマンスが落ちるとチーム力も落ちるので、優勝はかなり厳しくなったといえます。また、高い位置からのプレッシングを志向するチームも、選手の回復が追いつかなくなると思います。開幕戦で素晴らしいプレスを見せたガンバ大阪、サンフレッチェ広島も、優勝争いから脱落してしまいそうです」(サッカーライター)
多くのチームが過密日程に苦しみそうだが、そんな中でも延期が追い風になりそうなのが、鹿島アントラーズだという。というのも、鹿島は今季、アジアチャンピオンズリーグ、ルヴァン杯、J1リーグと3連敗を喫している。今季から監督が代わったことが影響しており、延期が戦術を整える時間になる。
「鹿島は過密日程でも、割り切ったサッカーで勝ち点を挙げるのをクラブとして得意としている。なので、過密日程になったことよりも、このタイミングで時間を与えられたメリットのほうが大きいのでは」(同)
果たして、鹿島にとって棚ボタとなるか――。
◆不調の鹿島アントラーズには朗報? 新型コロナでJリーグが94試合延期を決断した裏事情(日刊サイゾー)