チャンスつくるも得点決まらず。アウェイで悔しい敗戦
YBCルヴァンカップ・グループステージ第1節、アウェイのパロマ瑞穂スタジアムで名古屋グランパスと対戦した。立ち上がりから積極的に攻撃を仕掛けて多くのチャンスをつくったが、フィニッシュの局面で精彩を欠き、得点を奪えない。すると、前半終了間際にフリーキックを直接決められて、失点を喫してしまう。後半もチャンスの数こそ多かったものの、ゴールを決めきれず、そのまま0-1のスコアで敗れた。
1月28日のACLプレーオフ、アントラーズは0-1のスコアで敗戦を喫した。2020年元日の天皇杯に続き、2試合連続でタイトルを失う屈辱を味わった。決して簡単に切り替えられる敗戦ではない。
だが、苦しいときこそ、一丸とならなくてはいけない。今シーズンは、主導権を握るサッカーを取り戻し、必ず新しいアントラーズをみせる。選手たちは悔しさを糧にして、強度の高いトレーニングに打ち込んだ。
プレシーズンマッチ、練習試合などを通して、成熟度を高めていく。新指揮官ザーゴの目指すサッカーは、日を追うごとにチームへ浸透していった。あとは、目に見える結果を残すのみ。
そして、2月16日を迎えた。あいにくの天気となったが、パロマ瑞穂スタジアムには続々とアントラーズファミリーが駆けつけた。
キックオフ2時間前には、先発メンバーが発表された。ゴールマウスはスンテが守る。最終ラインは、右から広瀬、関川、町田、永戸が入った。ボランチは三竿とレオがコンビを組み、サイドハーフは右にアラーノ、左に和泉、前線はエヴェラウドと土居が2トップを務める。ベンチには、曽ケ端、ブエノ、永木、荒木、松村、小泉、上田が座った。
14時3分、アントラーズのキックオフで試合が始まった。
立ち上がりはアントラーズが主導権を握って試合を進める。安定したビルドアップで相手陣内深くまで攻め込んだ。
10分を経過したあたりから徐々に名古屋がボールを握るようになった。アントラーズは自陣に押し込まれたが、全体をコンパクトな陣形に保ち、チーム一丸となって粘り強く守った。
苦しい時間帯を耐えたアントラーズは、18分に決定機が訪れる。永戸からのスルーパスを土居がスルーし、最後は和泉がペナルティエリア内右からシュートする。いいコースに飛んだボールだったが、これは惜しくもポストに弾かれ、先制点には至らなかった。
その後、試合は一進一退の緊迫した展開が続いた。互いにゴール前まで攻め込む場面をつくるものの、決定機を決めきることができなかった。
スコアレスのままハーフタイムへ突入かと思われた43分、アントラーズは自陣左サイド深い位置でファウルを犯してしまう。角度のない位置からのフリーキックだったが、これをキッカーのマテウスに直接決められてしまい、先制点を奪われてしまった。
このまま前半は0-1のスコアで終了した。
後半立ち上がり、試合の主導権を握ったのはアントラーズだった。ピッチを広くワイドに使いながらボールを動かし、名古屋を自陣深くまで押し込んだ。
しかし、前半と同じく名古屋の堅い守備に手を焼き、時間の経過とともに攻撃の勢いは失われてしまった。
流れを変化させるべく、66分にアントラーズが一人目の選手交代を行う。アラーノとの交代で荒木をピッチへ送った。
すると69分に荒木がいきなりチャンスをつくる。荒木はニアゾーンに走り込み、右サイドバックの広瀬からボールを引き出すと、ゴール前へマイナスのクロスを入れる。これに最後はエヴェラウドが合わせたものの、惜しくも相手GKの好セーブに阻まれて、得点には至らなかった。
荒木の投入から流れは大きくアントラーズに傾いたが、チャンスをつくりながらも決めきれない展開が続いた。そこで、アントラーズは均衡を打開すべく選手交代を行う。73分にエヴェラウドとの交代で上田、81分には土居との交代で松村を投入した。
アントラーズは相手陣内深くまで攻め込みながらも、なかなかゴールを奪うことができない。すると90分にアクシデントが起こる。ドリブルでペナルティエリア内に進入した松村が、相手GKに遅れてタックルをしてしまう。松村はこのプレーでレッドカードが提示され、退場処分となった。
最後までゴールを狙い続けたアントラーズだったが、フィニッシュの局面で精彩を欠き、このまま0-1のスコアで試合終了となった。
初戦で勝ち点を得ることはできなかったが、落ち込んでいる暇はない。1週間後にはリーグ開幕が控えている。チームはこれからも進むべき道を信じて、勝利のためだけに突き進んでいく。
【この試合のトピックス】
・関川、アラーノ、エヴェラウド、荒木、松村が国内カップ戦初出場
入場者数 9,364人 天候 雨、無風 気温 12.1℃ / 湿度 76.0% ピッチ 全面良芝
主審 中村 太 副審 和角 敏之 佐藤 貴之 第4の審判員 上村 篤史
監督コメント
ハーフタイム
鹿島アントラーズ:ザーゴ
・スリッピーなピッチを考え、確実なプレーを選択すること。
・プレッシャーをかけるタイミングをもっと全体で意識しよう。
・攻撃の時はあわてず、冷静に一つ一つのプレーを行っていこう。
名古屋グランパス:マッシモ フィッカデンティ
・後半も集中して良い入りをしよう。
・しっかり勝ち切ろう。
試合後
鹿島アントラーズ:ザーゴ
前半は今までと違い、自分がイメージしていた通りのパフォーマンスにはならなかった。前半のなかで数多くのチャンスがありながら決めきれず、相手の素晴らしいフリーキックで失点してしまった。後半は自分たちがゲームコントロールしながら、チャンスを多く作ったが、それを決めきることができなかった。決めることができていれば、また違った試合展開になっていたと思う。見直すべき部分と良くなった部分のどちらもあった。
Q. 後半に荒木選手と松村選手を投入した意図は?
A. 攻撃を活性化し、スピードアップさせるために投入した。彼らが入ってから、チャンスや機動性が増えた。彼らが練習で示した姿勢がピッチへ送り出す自信をもたらした。見ての通り、素晴らしい選手たちである。もちろん、磨かないといけない部分は多々あるかもしれないが、彼らは違いを示した。投入後に試合の流れが変わった、良くなったことに関しては、評価するべき点だと思う。
Q. 前半にイメージ通りにいかなかった原因は?また、ハーフタイムにどのような言葉をかけた?
A.各ラインが離れた部分があったからだと思う。そのため、名古屋にボールを保持され、左右に振られてしまっていた。あとは状況的に厳しい場面で、無理にプレーしようとしていた場面があった。それによって、多少のズレが生じてしまった。ハーフタイムであらゆる状況でのプレーに関して指示を明確にしたことで、後半は安定することができた。チャンスも多く作ることができた。今は試行錯誤しながらチーム全体でやっているところ。悪い結果になったからといって、やり方を変えたりする必要はないと選手たちに伝えた。精度、連係の部分をもっと上げていかなければいけない。
名古屋グランパス:マッシモ フィッカデンティ
今シーズンはこういうサッカーを目指すという部分を見せることができたと思う。前半はとてもインテンシブを高くできていた。ただ、失点につながりかねないミスが、前半に多かった。そのミスがなければ、もっと試合を有利に進めることができていたと思う。疲れもあり、ピンチの場面も作られたが、勝つことができた。いい方向に向かっていくことができていると思う。
選手コメント
試合前
【永戸 勝也】
名古屋は昨シーズンの途中から監督が代わり、だいぶ守備が堅くなっているという印象を持っている。ただ、その中でも必ず隙はできてくると思う。その隙をうまく突いていきたい。相手のサイドハーフの選手には注意しなければいけないと思う。その相手選手とのマッチアップでいかに勝てるかどうかだと思っている。
【和泉 竜司】
名古屋の前線には前田選手、マテウス選手、相馬選手など、スピードがあり、個人で局面を打開できる選手がいる。相手は前からプレスをかけてくると思うので、不用意なミスを少なくしていく。ボールを奪われた後の素早い攻撃は昨シーズンからレベルアップしてきていると思う。そこは警戒していかなければいけない。
【荒木 遼太郎】
名古屋は結構、前からプレスをしてくるチームという印象を持っている。常に結果にこだわり、監督にアピールして、次の試合でも使ってもらえるようなパフォーマンスをしていきたい。
【広瀬 陸斗】
監督は、誰が出たとしても同じサッカーができるように言っている。そのサッカーを名古屋戦でもできるように、頑張っていきたい。
【小泉 慶】
今年のルヴァンカップは、まずグループステージを突破しなければならない。まず大事なのは、試合に勝利すること。それが一番大事になってくる。目の前の試合に勝利することによって、大きな結果へとつながっていく。勝利するために、チーム、個人として何をしていくかだと思う。常にいい準備をしていくことを意識してやってきた。
試合後
【三竿 健斗】
どのような戦術であっても、どのような選手が試合に出たとしても、勝たなければいけない。負けてしまったという事実に対して、みんなで反省していかなければいけない。1試合でも早くチームを完成させて、結果につなげていくことが大事。今日の試合で出た課題を改善して、次の試合で今日よりもいいプレーや求められていることを出していきたい。
【和泉 竜司】
試合の入りは悪くなかった。自分を含め、ゴールを決めることができていれば、また違った結果になっていたと思う。決めれるところを決めていかないと、このような試合になってしまう。自陣での判断ミスもあった。チームとして、そして個人としても、改善していかなければいけない。
【関川 郁万】
残り時間が少ない状況で、どのように攻め込んでいくのかという部分がまだ統一されていない部分があるのかなと感じた。自分たちの流れではない時に、コミュニケーションを取ったり、セカンドボールを拾ったりというところができていなかったと思う。
【広瀬 陸斗】
立ち上がりは、相手を押し込んで決定機を作ることができていた。押し込まれた時にピッチの中で話し合って、クリアするときはクリアするというところを、もっと共有していきたい。守備に関しては、失点のフリーキック1本だけで、他にチャンスをつくられた場面は多くなかった。自分たちが決定機をつくりながら、決めきれなかったところが敗因。
【土居 聖真】
まだまだ、チームになりかけている段階。戸惑いながらプレーしている部分もあったが、試合が終わったあと、みんながポジティブに話し合いを行うことができている。「もっとよくしていこう」などと、色んなことを話し合うことができた。勝利するということに、もっとこだわってやっていきたい。
【永戸 勝也】
前半に点を決めることができた場面があった中で、取り切れないとこういうゲームになってしまう。前回と同じような試合展開となってしまった。前半は前からプレスをかけすぎて、簡単にかわされてしまい、カウンターを受けてしまう形があった。試合の中で、自分たちで改善していかなければいけない。
◆2020JリーグYBCルヴァンカップ グループステージ 第1節(オフィシャル)