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2020年3月20日金曜日

◆鹿島アントラーズ、5年間の歴代フォーメーション。2冠&アジア制覇を経験も…遠ざかる国内タイトルへの道(フットボールチャンネル)






鹿島アントラーズ栄光の10年—Football dream 1992-2001 ...


Jリーグの各クラブは、毎年メンバーを変えながらシーズンを戦っている。5年前と比べると、ほとんどのチームでメンバーの大半が入れ替わっていることがわかる。今回、フットボールチャンネルでは、鹿島アントラーズの過去5年間の主要メンバーや基本システムをシーズンごとに紹介していく。


監督交代を機に復活(2015年)





【シーズン成績】
明治安田生命J1リーグ:5位(1st:8位/2nd:2位)
ヤマザキナビスコカップ:優勝
天皇杯:3回戦敗退
AFCチャンピオンズリーグ:グループリーグ敗退


 第2次トニーニョ・セレーゾ政権の3年目。前年のリーグ戦で3位という成績を収めていた鹿島アントラーズには、当然ながらタイトル獲得が期待されていた。AFCチャンピオンズリーグ(ACL)も戦う中で、オフ期間にはFW金崎夢生やDFファン・ソッコなど、即戦力級の選手を補強している。

 しかし、チームはスタートダッシュに大失敗。ACLを含め公式戦5連敗スタートと調子が上がらず、順位は一時17位にまで低迷している。その後もなかなか調子を取り戻せない鹿島は、1stステージを14年ぶりの負け越しとなる8位でフィニッシュ。3連敗スタートとなったACLでも、グループリーグ敗退という結果に終わった。

 巻き返しを狙った2ndステージでも、鹿島は苦戦を強いられる。2ndステージ第1節のアルビレックス新潟には勝利したものの、第2節の清水エスパルス戦でドロー、第3節の松本山雅FC戦で0-2と下位相手に勝ち点を取り損ねる試合が目立った。そして、この状況に危機感を抱いたクラブは、7月にセレーゾ監督を電撃解任。後任にはコーチを務めていた石井正忠氏が就くことになった。

 すると、この監督交代を機にチームの調子は好転。石井監督はシステムをそれまでの4-2-3-1から4-4-2へと変更し、より前線からの守備の強度を高めた。すると球際で簡単に負けないようになり、守→攻への切り替えも非常に素早くなった。攻守両面でストロングポイントを作り出すことに成功した鹿島は石井監督就任後、リーグ戦で11勝3敗という成績を収め、最終的に2ndステージでは2位につけている。

 そして、ヤマザキナビスコカップでは3年ぶりの優勝を経験。ガンバ大阪との決勝戦では常勝軍団らしい攻守両面での圧倒ぶりを見せ、3-0と快勝を収めた。

 リーグ戦の総合順位は5位。開幕前の期待値と比べると少し物足りない気もするが、監督交代を機にチームが復活、そしてナビスコカップを制覇できたことは大きな収穫だった。2015シーズンは浮き沈みが激しかったが、2016シーズンへ大きな期待を持てるシーズンでもあった。

▽GK
曽ヶ端準

▽DF
ファン・ソッコ
昌子源
西大伍
山本脩斗

▽MF
柴崎岳
小笠原満男
遠藤康
中村充孝

▽FW
金崎夢生
赤崎秀平


2冠達成(2016年)





【シーズン成績】
明治安田生命J1リーグ:1位(1st:1位/2nd:11位)
YBCルヴァンカップ:グループリーグ敗退
天皇杯:優勝
FIFAクラブワールドカップ:準優勝

 石井正忠監督体制の2年目。鹿島アントラーズはオフ期間中に東京ヴェルディからMF三竿健斗、湘南ベルマーレからMF永木亮太、清水エスパルスからDFブエノなどを獲得している。また、2015シーズンはレンタルという形でチームに加わっていたFW金崎夢生はこのシーズンより完全移籍でチームに“再加入”することになった。

 チームは1stステージで絶好調を維持。石井監督の下で研ぎ澄まされた守から攻への素早い切り替えがその威力を発揮し、序盤から安定して勝ち点を奪取。結果的に鹿島は、1stステージで12勝3分2敗という好成績を収め、ステージ制覇を達成している。全17試合でわずか10失点と安定した守備も光るなど、常勝軍団らしい強さを見せつけた。

 ただ、2ndステージは一転して失速。MFカイオの移籍、主力に相次ぐ負傷者、そして金崎と石井監督の衝突など数多くの壁が鹿島の前に立ちはだかり、道を塞いだ。結果、鹿島は2ndステージで9敗を喫するなど攻守両面で歯車が噛み合わず、11位と低迷。チャンピオンシップ進出は果たしたが、不安の残る出来となった。

 それでも、鹿島には1stステージを制した強さと自信があった。チャンピオンシップの準決勝では川崎フロンターレを撃破し、決勝では浦和レッズを2戦合計スコアで上回り優勝。7年ぶり8回目となるリーグ制覇を果たしたのである。

 その後、鹿島は開催国王者として挑んだFIFAクラブワールドカップでも躍進。レアル・マドリードとの決勝ではFWクリスティアーノ・ロナウドにハットトリックを許すなど2-4と敗れたが、アジア勢初となる準優勝を飾った。さらに、元日に行われた天皇杯では川崎Fを破って優勝を果たしている。

 この年の鹿島には大一番で勝ち切れるという強さがあった。内容が悪くても、結果にこだわる姿勢を貫いて全員が前へとベクトルを向けることができていた。永木、金崎など新加入選手もチームに欠かせないピースとなり、DF昌子源、MF柴崎岳ら強烈な個を放つ存在も大きかった。

 2016年は、鹿島らしい強さが見られたのではないだろうか。

▽GK
曽ヶ端準

▽DF
植田直通
昌子源
西大伍
山本脩斗

▽MF
永木亮太
小笠原満男
遠藤康
柴崎岳

▽FW
金崎夢生
土居聖真


石井監督解任。無冠のシーズンに(2017年)





【シーズン成績】
明治安田生命J1リーグ:2位(23勝3分8敗)
YBCルヴァンカップ:ベスト8
天皇杯:ベスト8
AFCチャンピオンズリーグ:ベスト16

 石井正忠監督体制の3年目。前年にリーグ王者に輝くなど強さを見せつけた鹿島アントラーズに対する期待は、当然ながら高かった。

 MFレアンドロ、FWペドロ・ジュニオール、MFレオ・シルバ、GKクォン・スンテなど外国人選手を中心に補強を進めた鹿島は、リーグ序盤戦から好調を維持。第10節の浦和レッズ戦終了時点で首位に立つなど、スタートは順調だったと言える。

 しかし、2年ぶりの出場となったAFCチャンピオンズリーグ(ACL)ではグループリーグこそ突破したものの、ベスト16で中国王者・広州恒大と対戦して2戦合計スコアで相手を下回り敗退。ちょうどこのころ、鹿島はリーグ戦でも連敗を喫するなど調子を落としており、その影響でクラブは石井監督を解任する決断を下した。

 この判断には賛否両論あったものの、後任に就いた大岩剛監督の下で鹿島は再出発を図ることになった。チームは新監督の下でリーグ戦5連勝を果たすなど調子を取り戻し、比較的安定して勝ち点を奪取。首位の座をキープし続け、リーグ2連覇への期待感が高まっていた。

 しかし、鹿島はリーグ戦ラスト2試合でドローに終わり、川崎フロンターレにリーグタイトルを許す結果を招いた。YBCルヴァンカップもベスト8、天皇杯もベスト8で敗退しており、鹿島はこのシーズン主要タイトルを獲得することができなかった。リーグ戦で稼いだ勝ち点72は決して悪い数字ではないが、だからこそタイトルを逃したのはサポーターにとっても大きなショックだった。

 L・シルバは怪我の影響でパフォーマンスレベルが上がり切らず、P・ジュニオールも好不調の波が激しかった。クォン・スンテも正守護神にはなりきれず、新加入選手の中で安定した出来を見せたのはレアンドロのみという結果に。このあたりも主要タイトル無冠という結果に影響したと言えるかもしれない。

 最後までリーグ優勝の可能性を残しながら、タイトル獲得を逃す。2016シーズンにはあった勝負強さが、失われてしまった一年となった。

▽GK
曽ヶ端準

▽DF
植田直通
昌子源
西大伍
山本侑斗

▽MF
三竿健斗
レオ・シルバ
遠藤康
レアンドロ

▽FW
金崎夢生
土居聖真


神様の帰還。初のアジア王者に(2018年)





【シーズン成績】
明治安田生命J1リーグ:3位(16勝8分10敗)
YBCルヴァンカップ:ベスト4
天皇杯:ベスト4
AFCチャンピオンズリーグ:優勝
FIFAクラブワールドカップ:4位

 大岩剛監督体制の2年目。2017シーズンに主要タイトルを獲得できなかった鹿島アントラーズに求められたのは、もちろん王座奪還である。

 リーグ戦では開幕3試合を1勝1分1敗とするなどスタートダッシュに失敗。第6節の湘南ベルマーレ戦、第7節のFC東京戦と連敗を喫することもあり、勝ち点を安定して伸ばせない時期が続いていた。

 しかし、リーグ戦で連敗を喫したのはこの時のみ。以降は安定してポイントを取り続け、順位もシーズンが進むにつれ順調に回復。最終的にリーグ優勝は逃したものの、3位で全日程を終え2019シーズンのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場権を獲得している。ただ、YBCルヴァンカップではベスト4、天皇杯でもベスト4で敗退を余儀なくされ、このシーズンも国内の主要タイトルを逃す結果となった。

 それでも、このシーズンが鹿島にとって特別なものとなったのは、ACLがあったからだ。過密日程の中、グループリーグから死闘を繰り広げた鹿島は、天津権健、水原三星などを下して決勝に進出。ファイナルではペルセポリス相手に2戦合計スコア2-0で競り勝ち、見事クラブ史上初となるACL王者に輝いた。

 このシーズンは選手個々の成長でチームがより逞しくなったと言える。FW金崎夢生がシーズン途中にサガン鳥栖へと旅立ったが、代わりにFW鈴木優磨が貫禄のプレーを披露。MF安部裕葵はベストヤングプレーヤー賞を受賞し、DF安西幸輝やDF犬飼智也も頼もしい存在となった。もちろん、MF小笠原満男、GK曽ヶ端準といったベテランの力もタイトル獲得には必要不可欠であったと言える。

 そして、夏に帰還した神様・ジーコの存在も忘れてはならない。元ブラジル代表選手の鹿島帰還は選手の目の色を変えたと言えるだろう。ACL制覇は主力だけでなく、全員が役割を全うしたからこそのものである。

▽GK
クォン・スンテ

▽DF
犬飼智也
昌子源
西大伍
安西幸輝

▽MF
三竿健斗
レオ・シルバ
遠藤康
安部裕葵

▽FW
鈴木優磨
セルジーニョ


再び逃した国内タイトル(2019年)





【シーズン成績】
明治安田生命J1リーグ:3位(18勝9分7敗)
YBCルヴァンカップ:ベスト4
天皇杯:準優勝
AFCチャンピオンズリーグ:ベスト8

 DF昌子源、DF西大伍、MF小笠原満男などがチームを離れた中迎えた2019シーズンは、鹿島アントラーズにとって厳しいものとなった。

 リーグ戦では最後まで横浜F・マリノス、FC東京と優勝争いを繰り広げたものの、終盤の3試合で1分2敗と急ブレーキを踏んでしまい優勝候補から脱落。結果的にリーグ戦を3位で終え、YBCルヴァンカップもベスト4敗退、天皇杯も準優勝となるなど3季連続で国内タイトルを逃す結果になった。

 過密日程との厳しい戦いもあったのは事実だが、鹿島らしからぬ取りこぼしが目立ったシーズンであった。最多得点者はセルジーニョで12得点と物足りなく、FW伊藤翔やMF白崎凌兵といった新加入選手も不完全燃焼に終わってしまった。主力の海外移籍、怪我人も多数出ており、マネジメント面でもかなりの苦労を強いられたと言えるだろう。

 大岩剛監督の引き出しもあまり多くはなかった。伝統あるカウンターはその威力を潜め、ボールを持っても停滞を余儀なくされることが多い。セカンドボールの回収でも後手に回ることがあり、なかなかストロングポイントを作り出せなかった。重要な試合で勝ち切れないあたりに、こうした部分の影響を感じざるを得ない。

 チームを3年間率いた大岩監督は2019シーズンをもって退任。鹿島は2020シーズン、ザーゴ新監督の下で再スタートを切ることになった。3季連続の国内無冠という不名誉を払拭することができるか。

▽GK
クォン・スンテ

▽DF
ブエノ
犬飼智也
永木亮太
町田浩樹

▽MF
三竿健斗
レオ・シルバ
セルジーニョ
白崎凌兵

▽FW
伊藤翔
土居聖真

【了】


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