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2020年10月17日土曜日

◆【鹿島】「同じ練習をして、同じ意識を持って」総合値を高めるザーゴ監督の手綱さばき(サッカーダイジェスト)






その境界線は、良い意味で曖昧で不確か


 直近3試合を振り返ると、交代のカードの切り方にひとつの傾向が見て取れる。20節のG大阪戦(●0-2)、21節の横浜FC戦(〇3-2)、22節の鳥栖戦(〇2-0)、いずれの試合でもザーゴ監督は後半に“3枚替え”を行なっている。

 指揮官は交代させた選手たちの疲労度を考慮し、適切なタイミングを見計らってカードを切り、攻撃のスピードや強度をキープしようとする。途中出場の選手たちもそれに応えるべく、質の高いパフォーマンスを見せる。

 まさに総力戦。コロナ禍による今季の過密スケジュールを乗り切るにはメンバー全員の力が必要で、ザーゴ監督も「必要とされる選手たちが、タイミングに応じて出場し、チームの勝利に貢献する。それを求めているし、できていると思う」と手応えを口にする。

 たとえば前節の鳥栖戦では、久々の先発出場となった白崎凌兵がチームを勢いづかせる先制点を挙げれば、9月下旬から着実に出場試合数を伸ばしているルーキーの松村優太が、途中出場から犬飼智也の追加点をアシスト。白崎と松村、彼らふたりはプレータイムが多いほうではないが、与えられたチャンスの中できっちりと仕事をこなしてみせた。

 トータルの戦力は、着実に高まっている。

「同じ練習をして、同じ意識を持ってもらって、必要になった時に、チームのコンセプト、役割、機能性を発揮できるように、ずっと指導してきました」

 いわゆる「主力組」と「サブ組」の間に、明確な線引きはない。その境界線は、良い意味で曖昧で不確か。たとえ出場試合数が少ない選手でも、計算できる戦力としてチームを下支えする。

「間違っていなければ、18名の選手が10試合以上に出ています。そうすると、選手たちもやる気が出てくる。そのやり方はシーズンが終わるまで変わらないので、常に準備を進めておいてほしいと伝えています」

 次節の札幌戦では、誰が目に見える結果を出して、勝利の立役者となるか――。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)



◆【鹿島】「同じ練習をして、同じ意識を持って」総合値を高めるザーゴ監督の手綱さばき(サッカーダイジェスト)