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2020年10月8日木曜日

◆ともにJ内定選手擁し、選手権V狙う2校が激突。昌平が新潟内定FW小見2発などで前橋育英破る(ゲキサカ)






[10.4 プリンスリーグ関東第5節 前橋育英高 2-3 昌平高 前橋育英高高崎G]

 ともに日本一を狙う2校による強豪校対決は昌平が制す――。高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ2020 関東第5節で前橋育英高(群馬)と昌平高(埼玉)が対戦。ともにJクラブ内定者を擁し、選手権優勝を狙う強豪校同士の一戦は、昌平が3-2で勝った。

 先手を打ったのは昌平だった。前半10分、MF荒井悠汰(1年)が右サイドから左足でCKを蹴り込むと、ニアのMF平原隆暉(2年)がヘディングシュート。ポストを叩いたこぼれ球をCB唐木晃(3年)が右足でゴールへ押し込んだ。

 さらに13分には、中央の荒井を起点とした攻撃から鹿島内定MF小川優介(3年)が左サイドを前進し、一度ドリブルを止めたあとに中へ運んでループパス。新潟内定FW小見洋太(3年)がタイミング良く抜け出し、GKの頭上を抜くシュートで2-0とした。

 前日3日に全国高校選手権群馬県予選1回戦(20-0桐生西高)を戦っている前橋育英は、入りの悪いところを突かれて2点ビハインドを負う展開となった。昌平の小川と福島内定MF柴圭汰(3年)のダブルボランチや鹿島内定MF須藤直輝(3年)にボールを握られ、さらに自陣でボールを失って小見にシュートへ持ち込まれるなどピンチも。だが、ゲーム主将の神戸内定MF櫻井辰徳(3年)が声で鼓舞するなど、ここで落ちなかった前橋育英は立て直す。

 31分、FW鈴木雄太(3年)が敵陣右中間でFKを獲得。昌平はプレースキックのスペシャリスト・櫻井の右足シュートを警戒していたが、前橋育英はその裏をかく形で左SB相川陽葵(3年)が左足シュートをファーサイドのネットに叩き込む。

 これで勢いを増した前橋育英はさらに34分、右サイドから櫻井が左足で蹴ったCKをニアの鈴木が頭で上手くコースを変えて同点ゴール。前橋育英はその1分後にも組み立て役となっていた右SB岡本一真(2年)の攻め上がりから、MF新井悠太(3年)がボールを奪い返し、最後はMF笠柳翼(2年)が決定的な右足シュートを放つ。

 前橋育英は新井が推進力のあるドリブルを見せるなど攻守に渡って幅広い動き。櫻井も厳しいマークを受ける中で1タッチパスを通して攻撃のテンポを上げる。ピッチの幅を使い、突破力のあるMF熊倉弘達(3年)と笠柳の両翼が仕掛ける前橋育英は奪い返しも速く、攻勢の時間帯を続けた。

 だが、山田耕介監督が「後半は課題かなと思いました。前半の途中からリズムが出てきたけれどあれを最後までやり続けられれば」と指摘したように、後半に失速してしまう。10番FW中村草太(3年)のスピードをより活用しようとするあまり、攻撃がやや単調に。一方の昌平は10分に左SB小澤亮太(3年)のドリブル突破、スルーパスから荒井が決定的な左足シュートを打ち込む。

 さらに13分、小見が敵陣中央から持ち上がると、ボランチの柴が右中間でキープしたSB 田島魁人(3年)を外側から追い越してクロス。最後はセカンドボールに反応した小見が右足ダイレクトでシュートを左隅へねじ込んだ。

 昌平は藤島崇之監督が「相当強いと思います。ボールを守れる」と評する1年生MF荒井がトップ下でボールの収まりどころになったほか、須藤や小澤の仕掛けからゴール前のシーンを作り返す。また小見、須藤をはじめ、前線から鋭い守備を見せる昌平は平原のスルーパスから小見がシュートを打ち込み、須藤のスルーパスに小見が反応するなど追加点を狙う。

 前橋育英も櫻井がインターセプトから左足シュートへ持ち込み、27分にはMF熊倉弘貴主将(3年)ら3人を同時投入。38分には中村のラストパスで右中間を抜け出したMF両角開(3年)が右足を振り抜く。だが、これが昌平GK西村遥己(2年)に阻まれるなど再び追いつくことはできなかった。

 勝った昌平の須藤は「(追いつかれたが、藤島監督から)『まずゴールへ向かおう』という話をされたこと、2点取られた後にみんなが受け身にならないでゴールを決めに行くという気持ちでやっていたことが勝利に繋がったと思うし、何回かゴール前で惜しいシーンもあったと思うので、受け身にならなかった結果が勝利に繋がったと思います」と頷いた。

 プリンスリーグ関東はこの後、約1か月半の間中断。ともに選手権日本一を狙う両校は埼玉県、群馬県の各予選を戦う。前橋育英の櫻井は「悔しいですけれども、(昌平に)選手権で借りを返せればと思う。まずは目の前の一試合一試合を全力で戦っていくこと」。一方、須藤、小見、小川、柴と昨年からの経験者4人がJクラブ内定を決め、この日も強敵に勝利した昌平だが、2-0から追いつかれたことやPA付近でのファウルが増えてしまったことは反省点。須藤が「一戦一戦集中」「日々の練習から良いチームに仕上げていきたい」と語ったように、過信することなく日常からチームをレベルアップさせて埼玉県予選から一戦一戦勝ち上がる。

(取材・文 吉田太郎)




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