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2020年2月8日土曜日

◆バルサ・安部裕葵、右太もも腱断裂も前向き「物事はうまくいく」(報知)






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 右太もも裏の腱(けん)を断裂したスペイン1部バルセロナのU―23日本代表MF安部裕葵(21)が5日、自身のインスタグラムを更新した。英語で「誰もがつらい日々がある。明るい面を見よう。物事はうまくいく」と前向きなメッセージを投稿した。

 安部は2日に行われた2部B(3部)のリーグ戦で同箇所を負傷。自力で歩くことができず、スタッフに両肩を支えられながらピッチを後にした。5日にはクラブが11日に手術を受けると発表。全治は不明だが、術後に状態などを公表するとしている。同選手は東京五輪代表の有力候補だが、7月開幕の本大会への出場が懸念される。




◆バルサ・安部裕葵、右太もも腱断裂も前向き「物事はうまくいく」(報知)





◆広瀬陸斗が鹿島アントラーズに来た理由。「今後のサッカー人生に必要なものがここで得られる」【この男、Jリーグにあり/後編】(フットボールチャンネル)



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鹿島アントラーズは28日、AFCチャンピオンズリーグ・プレーオフでメルボルン・ビクトリーと対戦。0-1で敗れた鹿島は、グループステージ出場権を逃している。タイトル獲得を「義務」と語る広瀬陸斗は、J1王者・横浜F・マリノスを離れてまで鹿島に移籍した理由を語っている。(取材・文:藤江直人)


「ACLの土俵にすら立てない」悔しさ


「四冠獲得を掲げてきたなかでひとつを落としたことは、洒落にならないというか、本当に残念です」

 冷たい雨が間断なく降り続いたピッチで、後半に失った1点を取り返せないまま90分を終えた試合後の取材エリアで、右サイドバックでフル出場した広瀬は絞り出すように第一声を残した。タッチラインを割ったボールを拾った広瀬が、スローインの体勢に入った直後に終戦を告げる笛が鳴り響いた。

 広瀬を含めた6人の新戦力が先発に名前を連ねたアントラーズは、決してチャンスを作れなかったわけではなかった。特に右サイドからは広瀬が何度もオーバーラップを仕掛け、ゴールの予感を抱かせる鋭いクロスを何本も供給していた。右サイドハーフに入った同じく新加入のブラジル人選手、ファン・アラーノともまずまずの連携を見せたが、広瀬は自らにダメ出しをした。

「身体は動けていましたけど、この試合は絶対に結果が大事だったので。試合内容がどうのこうのというよりも、勝てなかったということが、ACL(AFCチャンピオンズリーグ)の土俵にすら立てないということが一番悔しい。もっとボールを動かして、もっと相手を揺さぶることも必要でした」


マリノスを飛び出した理由


 昨シーズンはけが人が続出し、ボランチを主戦場する永木亮太や小泉慶がスクランブルで右サイドバックを務めたことを考えれば、まさかの黒星を喫したなかで数少ない収穫のひとつが広瀬のパフォーマンスとなる。その広瀬にあえてマリノスを飛び出した胸中を、あらためて直撃してみた。

「自分としては、何て言えばいいのか……チャレンジしたいというか、今後のサッカー人生で自分に必要なものが、ここで得られると思って来ました。自分のなかではいい部分を伸ばすのではなくて、自分にはないところを求めているので」

 自分に足りないものとは、果たして何なのか。一転して「それは言えないんですけど」と答えを封印した広瀬は、前出の新体制発表会見で昨シーズンにマリノスの右サイドバックとして2度対峙し、1勝1敗の星を残しているアントラーズの印象をこう語っている。

「ひとつひとつのデュエルで激しく来ていたし、実際に加入してそういう練習をするなかで、ボールへの執着心を強くもっていることがわかる。自分はこれという特長をあまりもっていませんけど、基本である戦うという姿勢をピッチで表現できれば、と思っています」

 マリノス時代を含めて、これまでも戦っていないわけではない。ただ、敵として対峙したアントラーズからデュエルにおける数々の攻防を介して、ライバル勢の追随をまったく許さない、国内外で20個ものタイトルを獲得してきた理由を肌で感じ取ったのではないだろうか。


シーズンが進めばわかる


 フォワード出身ならではの攻撃力を、身長176cm体重68kgの身体に広瀬は搭載している。そこへクラブ全体に脈打つデュエルの激しさ、黎明期から受け継がれてきた敗北の二文字を拒絶するDNAを身にまとい、上手さに身体と心の強さを融合させたいと思い描いている、と考えれば合点がいく。

 肝心な部分では言葉を濁す広瀬へ、あらためて聞いてみた。アントラーズの一員としてプレーしていくシーズンが深まっていけば、見ている側にも足りないものが何かわかるのか、と。首を縦に振りながら「わかると思います」と返した広瀬は、ちょっぴり照れた表情を浮かべている。

 1日に行われたホーリーホックとのプレシーズンマッチで、右サイドバックで先発した元日本代表の内田篤人が右太ももを痛めて戦線離脱した。右下腿三頭筋の損傷で全治まで約4週間と診断されたなかで、16日の名古屋グランパスとのYBCルヴァンカップのグループリーグ初戦、そして23日のサンフレッチェ広島との明治安田生命J1リーグ開幕戦へ向けて、広瀬が放つ存在感がより高まってくる。

(取材・文:藤江直人)

【了】




◆広瀬陸斗が鹿島アントラーズに来た理由。「今後のサッカー人生に必要なものがここで得られる」【この男、Jリーグにあり/後編】(フットボールチャンネル)





◆広瀬陸斗が横浜F・マリノスを去る理由。クラブと仲間の慰留を振り切ってまで貫いた決断【この男、Jリーグにあり/前編】(フットボールチャンネル)






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DF広瀬陸斗は、横浜F・マリノスから鹿島アントラーズに移籍した。昨季はJ1で20試合に出場し、AFCチャンピオンズリーグを戦うマリノスにとっては当然、今季も必要な戦力として数えられていた中で、なぜマリノスを離れるという決断を下したのか。広瀬は鹿島加入に際して「義務」という言葉を口にしている。(取材・文:藤江直人)


父は浦和レッズのレジェンド


 後ろ髪を引かれる思いを断ち切って、王者から常勝軍団へ新天地を求めた。プロになって6年目にして念願のJ1デビューを果たし、ゴールまで決めた横浜F・マリノスの慰留を振り切る形で、鹿島アントラーズへの移籍を決断するまでの日々を、広瀬陸斗は「もちろん迷いました」と振り返る。

「言い方は失礼ですけど、優勝チームからわざわざ(順位が)下のチームへ行くというのは……あっちはすでにACL出場が決まっていて、試合数も多いなかでの移籍だったので」

 Jリーグ黎明期の浦和レッズで直接フリーキックの名手として名を馳せたレジェンドで、今年から現埼玉県リーグ3部の川越FUTUREの監督を務める広瀬治氏を父にもつ24歳のサラブレッドは、埼玉大学教育学部附属中へ進学した2008年にレッズのジュニアユースへの入団を果たした。

 しかし、順風満帆に映った軌跡はユースの卒業を控えた2013年に、別ルートへ回ることを余儀なくされる。トップチームへの昇格がかなわなかった広瀬は、2014年にJ2の水戸ホーリーホックへ加入。プロの第一歩を踏み出すと、翌2015年には徳島ヴォルティスへ完全移籍した。

 4年間在籍したヴォルティスでは、J2の舞台で通算98試合に出場。レッズユースまではフォワードとしてプレーしていた広瀬はサイドバックとしての才能を開花させ、左右のサイドバックを戦術のキーマンにすえる、アンジェ・ポステコグルー監督に率いられるマリノスに見初められた。


マリノスからの強い慰留


 迎えた昨年2月23日。敵地パナソニックスタジアム吹田へ乗り込んだガンバ大阪との開幕戦で、右サイドバックの先発をゲット。J1デビューを果たした広瀬は11試合連続で先発し、かつて下部組織に所属したレッズと対戦した4月5日の第6節ではJ1初ゴールまで決めてみせた。

 夏場以降は復調した松原健に右サイドバックのレギュラーの座を奪われ、自身はリザーブに回る試合が増えた。それでも最終的にはリーグ戦で20試合、1727分間にわたってプレーした広瀬は、J1王者としてAFCチャンピオンズリーグ(ACL)に臨む2020シーズンにおいて必要不可欠な選手だった。

「J1で出られたことも最後に優勝できたこともそうですけど、試合に出られている時期とそうじゃない時期とがあったなかで、試合に出られていないときの振る舞い方を学びました。マリノスのために全員を同じ方向へ向けさせることがいかに大事なのかを、自分より年上のユウキ君(大津祐樹)やタカ君(扇原貴宏)をはじめとして、本当にいろいろな人から学ぶことができました」

 より厚い選手層が必要となる2020シーズンへ。右サイドバックを主戦場としながら左でもプレーでき、父譲りの高精度の直接フリーキックを右足に搭載した広瀬のもとへ、サイドバックを重点補強に掲げるアントラーズからオファーが届いた。当然ながらマリノスからは強く慰留された。

「みんなから止められました。シーズンオフに入ってもみんなでご飯や買い物などに行ったなかで、シン(畠中槙之輔)やユウキ君、タカ君、喜田君(喜田拓也)たちから『マリノスに残ってくれ』とか『まだ一緒にやりたい』と言われて」

 チーム強化の最高責任者にあたる、スポーティングダイレクターを務める小倉勉氏との交渉の席でも強く慰留された。マリノスでの日々に不満を抱いていたわけではなかった。むしろ最高の仲間たちと、最高に楽しい時間を過ごせたという充実感を広瀬は抱いていた。


「タイトルを獲るのは義務」


 それでも、アントラーズからオファーを受けたときに、自分のなかで下した決断を最終的に貫いた。天皇杯全日本サッカー選手権大会決勝でヴィッセル神戸に屈し、無冠で2019シーズンを終えてから2日後の1月3日。マリノスから完全移籍でアントラーズに加わることが発表された広瀬は、クラブの公式ホームページ上でこんな第一声をファンやサポーターへ届けている。

<タイトルを獲るのは義務だと思ってるので、一つでも多くのタイトルをともに獲りましょう!>(原文のまま)

 宮崎市内で行われたキャンプを終えて、茨城県鹿嶋市内へと戻った後の1月23日に開催された新体制発表会見。背番号「22」を背負うことが決まった広瀬は、自分自身にあえてプレッシャーをかけるかのように、再び「義務」という二文字を口にしている。

「伝統ある常勝軍団、鹿島に来られたことを嬉しく思います。常に勝ちを求めなくてはいけないし、タイトルを獲らなくてはいけないという義務があると思うので、そのプレッシャーのなかでサッカーができることを、自分としては幸せに思っています」

 だからこそ、国内の公式戦に先駆けて先月28日にホームの県立カシマサッカースタジアムで行われた、メルボルン・ビクトリーFC(オーストラリア)とのACLプレーオフで敗れ、本大会の舞台にすら立てずにタイトル獲得の可能性が消滅したショックは大きかった。

(取材・文:藤江直人)




◆広瀬陸斗が横浜F・マリノスを去る理由。クラブと仲間の慰留を振り切ってまで貫いた決断【この男、Jリーグにあり/前編】(フットボールチャンネル)





◆仲川、イニエスタ、カズ、昌子らが出席! キックオフカンファレンス参加者発表(超WORLDサッカー!)






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Jリーグは5日、2月14日に行う2020Jリーグキックオフカンファレンスに参加する監督・選手を発表した。


毎年、Jリーグ開幕前に全クラブの監督や選手が一同に会する同イベント。参加者は昨年からJ1全クラブの監督と選手のみとなる。

今年は昨シーズン、明治安田生命J1リーグを制した横浜F・マリノスからMVPと得点王に輝いた日本代表FW仲川輝人が出席。ヴィッセル神戸からは元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタが2年連続で参加する。そのほか、昇格初年度を迎える横浜FCからは“キングカズ”こと元日本代表FW三浦知良、ガンバ大阪からは先日に電撃加入した日本代表DF昌子源が登場することとなった。

◆参加監督・選手
【北海道コンサドーレ札幌】
監督:ペトロヴィッチ
選手:鈴木武蔵

【ベガルタ仙台】
監督:木山隆之
選手:シマオ・マテ

【鹿島アントラーズ】
監督:ザーゴ
選手:上田綺世

【浦和レッズ】
監督:大槻毅
選手:橋岡大樹

【柏レイソル】
監督:ネルシーニョ
選手:古賀太陽

【FC東京】
監督:長谷川健太
選手:橋本拳人

【川崎フロンターレ】
監督:鬼木達
選手:田中碧

【横浜F・マリノス】
監督:アンジェ・ポステコグルー
選手:仲川輝人

【横浜FC】
監督:下平隆宏
選手:三浦知良

【湘南ベルマーレ】
監督:浮嶋敏
選手:齊藤未月

【清水エスパルス】
監督:ピーター・クラモフスキー
選手:立田悠悟

【名古屋グランパス】
監督:マッシモ・フィッカデンティ
選手:相馬勇紀

【ガンバ大阪】
監督:宮本恒靖
選手:昌子源

【セレッソ大阪】
監督:ロティーナ
選手:柿谷曜一朗

【ヴィッセル神戸】
監督:トルステン・フィンク
選手:アンドレス・イニエスタ

【サンフレッチェ広島】
監督:城福浩
選手:松本泰志

【サガン鳥栖】
監督:金明輝
選手:松岡大起

【大分トリニータ】
監督:片野坂知宏
選手:岩田智輝



◆仲川、イニエスタ、カズ、昌子らが出席! キックオフカンファレンス参加者発表(超WORLDサッカー!)






◆鹿島・荒木、3戦3発!開幕スタメンへ「監督にいいアピールできた」(スポニチ)



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練習試合   鹿島4ー1栃木シティー ( 2020年2月7日    鹿島 )


 鹿島の高卒ルーキー、MF荒木が開幕スタメンへ猛アピールした。練習試合の1本目に右サイドハーフで先発。0―1の15分に右CKから相手DFと味方が競り合ったこぼれ球に反応し、「いいところにこぼれてきたので触るだけだった」とすかさず押し込んで試合を振り出しに戻した。これで加入後、出場した対外試合は3戦3発。勢いに乗るルーキーは「監督にいいアピールができた」と初々しく振り返った。

 高卒ルーキーでの開幕スタメンとなれば、06年のDF内田以来クラブ史上2人目の快挙。16日にはルヴァン杯名古屋戦、23日にはリーグ開幕節・広島戦が控えるだけに、「試合に出るためにここに来た。開幕戦で使ってもらえるのが一番なので、まだまだ頑張りたい」と力を込めた。




◆鹿島・荒木、3戦3発!開幕スタメンへ「監督にいいアピールできた」(スポニチ)


◆魅せて勝つ鹿島へ「ザーゴスタイル」の期待と課題(サカノワ)






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セルジーニョの12点をどう埋める?「いいサッカーはするけれど…」の不安を、開幕から解消できるか。


 2月21日に開催されたプレシーズンマッチ「いばらきサッカーフェスティバル」の水戸ホーリーホック対鹿島アントラーズ戦、鹿島はルーキーの18歳、荒木遼太郎のゴールで1-0の勝利を収めた。これで敗れたもののアジアチャンピオンズリーグ(ACL)プレーオフのメルボルン・ビクトリー戦(●0-1)と水戸戦、実戦2試合を行ったことになり、そこから見えた「ザーゴ新スタイル」の目指す先を検証するとともに、期待と課題をまとめた。

 水戸戦では鹿島の伝統である4-4-2が採用され、ピッチの幅を広く使いながらリズムに変化を付け、敵陣に隙ができれば、縦パス(クサビ)でそこを突いて打開していく――という攻撃を見せた。


 近年は勝利を何よりも優先する重圧を強く感じながらプレーしてきたように見えた鹿島だが、「主導権を握る戦いへ」という今季のクラブの方針のもと、クラブのベースをしっかり生かしつつ、新たな領域に意欲的にチャレンジしている。そんなとても前向きな印象を受けた。


 この日は両サイドバックに内田篤人、山本脩斗という経験豊富な二人が入ったことで、ザーゴ監督の意図するスタイルを、まずしっかり表現しようというトライも感じられた。その二人がサイドで起点を確実に作っていったことで、ザーゴ監督も「前半は狙い通り」と振り返ったように、相手を威圧して中盤から前の選手もかなり思い切って仕掛けられていた印象を受けた。


 記者席では「このチームだったら、メルボルン・ビクトリーに勝っていたかも?」という話も出ていた。もちろん相手チームのコンディションやレベルなども関係していて、ただの”たら・れば”話に過ぎないが、そのACL敗戦をむしろチャンスにしてみせようという選手たちの意欲も伝わり、充実した内容だった。

 77分に交代出場を余儀なくされた内田篤人だが、こんなことを語っていた。

「(内田と山本が)ワイドに開いて、ボランチが下りたり、下りなかったり。もちろん相手があってのポジショニングになってくるけれど、”ピッチを広く”という意識。そのなかで判断を早くと言われています。ハーフタイムには監督が『縦の意識はいいぞ』と言ってくれました。決して、横、横というのではなく、縦も入れて、つまったらサイドを変えていく」

 つまり、サイドバックが比較的高い位置を取り、横に緩急をつけてパスをつなぎながら、ここだとタイミングで、あるいは誰かが動き出した瞬間、縦パスを入れてスイッチを入れる。そんな狙いが感じられた。


 また、ボランチや攻撃的MFの2枚は素早いトランジション(切り替え)が要求され、永木亮太、小泉慶はその役割をまっとう。さらには、途中出場したレオ・シルバは改めて”別格”の存在感も示していた(スピードの部分で二人より不足を感じるが)。

 しかし、危険も潜んでいるように感じられた。そこが最も重要で、まだベールを脱いでいないザーゴの成功を占うポイントかもしれない。

 あくまでもコンディション的に大切なのは開幕から次第にピークへ持っていくこと。特に瞬間的な爆発力が求められるFWはそうなる。若手と異なり、実績を残してきた選手は開幕前の今、調子がいい必要はない。


 だから、そこまで気にすることはないとも言える。ただ2年目の伊藤翔は水戸戦、ターゲットになる役割をこなしていた一方、ややアジリティに物足りなさが感じられた。加えて、メルボルン・ビクトリー戦で抜擢された新エース候補のエヴェラウドもあまりパッとした良い印象を残すことができなかった。新9番がハマるかどうかは、まさに鹿島の命運を握る。

 中盤起用がメインだったもののセルジーニョ(退団が決定)が決めた「12点」をどのように補い、どのようにさらに上回るのか。フィニッシャーの”ラストピース”が課題だとは感じられた。そこが埋まらないと、鹿島と言えども、下手をすると「いいサッカーはしているけれど……」というチームになってしまいかねない不安も、期待との表裏一体で感じられた。


 逆に言えば、そのフィニッシャーのところが一つハマれば上位に食い込んでいける、と言える。その意味で、2列目からアグレッシブにゴールへ向かえる、好調なルーキー荒木遼太郎を開幕から起用していくのも一つの方法だろうか。

  ザーゴ監督は試合後の記者会見で、「前半は完璧に近い内容でした。フィジカル的に良い状態の時は良さを多く出せたと思う。練習から負荷をかけているので後半は足が止まり、多少チグハグなところもありました。全体的に選手たちは練習でやってきていることを表現しようとしてくれていました。私自身としては、満足のいく試合内容でした」と手応えを得ていた。

 水戸戦の前半の戦いぶりを見ていると、鹿島の選手たちは、こうした戦い方をしたかったのだろうなと、そんなポジティブな印象を受けた。ピッチを広く優雅に使って、大胆に攻める。その呼吸をいかに合わせて、ゴールに向かう「技」のバリエーションを増やしていくのか。


 そんな魅せて勝つ「ザーゴ流」鹿島が、2016年度の2冠(Jリーグ、天皇杯)以来、4年遠ざかる国内タイトルの獲得を目指す。

 鹿島は2月16日にルヴァンカップ・グループステージ、アウェーでの名古屋グランパス戦、そして23日に同じくアウェーでのサンフレッチェ広島戦でJ1開幕を迎える。ホーム初陣は、26日のルヴァンカップ川崎フロンターレ戦、28日のJ1・2節のヴィッセル神戸戦だ。




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◆今季の鹿島アントラーズに福田正博が注目する理由「新監督に期待」(Sportiva)






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■今シーズン、ザーゴ新監督を迎えた鹿島の新体制がスタートした。タイトル獲得数でJリーグトップの強豪が、リーグ優勝を奪還するために、どのようなチームを築いていくのか。元日本代表の福田正博氏に注目ポイントを聞いた。


 昨季はリーグ戦とルヴァンカップに加えてACLも戦い、さらに天皇杯は元旦の決勝戦まで勝ち上がった。しかも、鹿島はこうしたシーズンを何年も続けてきている。今季の始動日はほかのクラブと同じだったものの、そこには疲労を考慮して主力選手たちの姿はなかった。

 先日のACLプレーオフでの敗戦は残念だったが、鹿島には今シーズン大いに注目していきたいと思っている。今シーズンを迎えるにあたって、鹿島の鈴木満フットボールダイレクターが「監督が代わって時間がかかるだろうが、後半戦は戦えるようになる」と語っていたように、クラブとしての新たな黄金期を築くための転換点を迎えていると思うからだ。

 鹿島が手掛ける変革のひとつが、ザーゴ新監督の招聘だろう。彼は現役時代に柏レイソルでのプレー経験もあり、ローマ所属時代は中田英寿ともチームメイトだった。日本人のメンタリティーや日本文化をまったく知らない外国籍の監督や選手は、来日1年目に適応に苦労するケースもあるが、ザーゴ監督はこの点で不安は少ないのではないか。また、日本サッカー全体で考えたときに、ザーゴ監督がもたらすものにも期待している。

 彼は昨年、ブラジルのブラガンチーノで指揮をとり、クラブを1部昇格に導いた。ブラガンチーノは、今年からザルツブルクやライプツィヒと同じRBグループのクラブになる。ドイツのライプツィヒ、オーストリアのザルツブルクを保有するRBグループは、ブラジルにはレッドブル・ブラジルというチームを保有していたが、昨年、ブラガンチーノも買収。RBブラジルからフロント、コーチ、選手を移籍させて、1年目で1部昇格となった。その戦術は、RBグループのサッカー開発部門・責任者であるラルフ・ラングニックのパワーフットボールの流れを汲んでいる。そのチームを率いていたザーゴ監督が、鹿島でどのような戦いをするのか、非常に興味深い。

 Jリーグでは近年、海外クラブの最先端のスタイルを取り入れようとするクラブが増えている。川崎フロンターレがバルセロナのようなポゼッションサッカーを指向し、ヴィッセル神戸もアンドレス・イニエスタを獲得してバルセロナ化を目指している。横浜F・マリノスはシティグループということもあって、マンチェスター・シティを率いるペップ・グアルディオラ監督のようなハイライン・ハイプレスの戦術を採用している。

 パワーフットボールのスタイル自体は目新しいものではない。Jリーグでは昨季までの湘南ベルマーレの戦い方は、パワーフットボールに近いものだ。曺貴裁(チョウ・キジェ)前監督は、ボールを奪ったら後方の選手たちが次々と前線へスプリントして飛び出してゴールに迫るスタイルを貫いた。この湘南スタイルは、高いフィジカル強度を求められ、湿度の高い梅雨と猛暑の夏がある日本で、どこまでその戦いを貫けるのかがポイントになる。

 今シーズン、鹿島がリバプールやライプツィヒのようなパワーフットボールの要素を取り入れようとするなら、レオ・シルバの存在は強みだろう。彼の持ち味はタテへの推進力にあるからだ。

 ただし、新しいスタイルを取り入れる場合、1年目からすんなりと結果が出るものではない。それは、横浜FMの例を見ればわかりやすい。

 横浜FMは、アンジェ・ポステコグルー監督就任1年目の2018年に極端なハイラインを取ったことで守備陣が不安定になって苦しんだ。しかし、2年目の昨シーズンは攻守のバランスが取れて優勝。注目すべきは、攻撃に比重を置くことで守備が限界点に達することを2018シーズンに選手たちが経験したこと。1年目に極端なまでに攻撃的なスタイルを徹底したことがいい方向に作用し、翌年、選手たちがバランスを取ることができたと言えるだろう。

 新しいスタイルを取り入れることは容易ではない。それを理解したうえで、鹿島は先を見越して新体制でのスタートを決断したはず。横浜FMは1シーズンの忍耐が翌年に実を結んだが、スピード感が求められるサッカー界にあって、結果が伴わないときにどこまで我慢できるのか。そこも試されることになるだろう。

 鹿島には今季から新たに東京五輪世代の杉岡大輝(湘南)、名古屋で中盤でもサイドバックでもプレーして存在感を示した和泉竜司、川崎でリーグ優勝経験のあるCB奈良竜樹らが加入した。

 ここ数シーズンは終盤の息切れでタイトルを逃してきた鹿島だが、新体制ではどんなチームになっていくのか。新指揮官のもと、新戦力を含めた選手たちがフィットしたとき、リーグ屈指の名門がそのタイトル数をさらに伸ばしていくのか注目したい。


◆今季の鹿島アントラーズに福田正博が注目する理由「新監督に期待」(Sportiva)