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2021年3月10日水曜日

◆小笠原満男にとっての3.11。「東北人魂」は変わらず。被災地からJリーガー誕生を願う(Sportiva)







第7回:小笠原満男

 突然の大きな揺れは、まるで「忘れないで」という忠告のようだった。

 東日本大震災からちょうど10年が経とうとしていた時に、その地震は起きた。2021年2月13日23時7分ごろ、福島県沖を震源とするマグニチュード7.3の地震が発生。宮城県と福島県で震度6強を観測した。

「震災は忘れた頃にやってくる、って言葉があるけど、忘れているわけではなくても、こういうことがあるたびに、あらためて防災意識を思い出す。そんなきっかけになったかなと思っています」

 現在、鹿島アントラーズでテクニカルアドバイザーとして働いている小笠原は、現役引退後、スクール、ジュニア、ジュニアユース、ユースと、さまざまな育成年代の選手たちを指導している。近況を尋ねると「練習の用意をしたり、試合の映像を見たり、スカウティング映像を見たり、会議に出たり......大変だね! 働くってのは」と、小笠原は冗談っぽく笑った。

 それから、「でも」と続けた。

「選手時代、津波の映像を子どもたちに見せるために、いろんなところから映像を引っ張ってきて、切ったりつないだりして編集するのを、クラブのスタッフに教えてもらいながらずっとやっていたんです。それが今、試合の映像分析とか、そういう編集作業をすることがあるので、意外なところで意外なことが役に立ったというか。やっておいてよかったなって実感しています」

 小笠原は震災後から、防災意識の重要性について、数え切れないほどの講演をこれまで行なってきている。声をかけられれば全国どこにでも出向いたし、子どもたちにはとくにしっかり胸にとどめておいてほしいと、自身が足を運ぶサッカー大会などでは必ず、東日本大震災の映像を見せながら丁寧に防災における知識を説いてきた。それは、小笠原が現役を引退した今でも変わっていない。

 ふりかえれば、小笠原にとって東日本大震災からの10年は、東北サッカーの復興・発展と、防災意識の普及に奔走し、ひたすら震災と向き合い続けた10年だった。

 岩手県出身の小笠原の母校がある大船渡市も、津波に飲み込まれた街のひとつだ。自身のサッカーの礎(いしずえ)を築いた大切な故郷の惨状に、いてもたってもいられず、小笠原は震災直後からひとりで被災地に支援物資を届け続けた。

 しかし、ひとりでやれることにも限界を感じ、サッカー選手だからこそできる支援をしていこうと、間もなく東北出身のJリーガーを募り、支援活動を行なうべく『東北人魂』という団体を発足させた。

 主に活動は、サッカーに限らず、子どもたちとボールを介して触れ合い、笑顔を取り戻してもらうことが一番の目的だった。

「仮設住宅での避難生活を余儀なくされた方が多かったですし、またその仮設住宅の建設地が小学校や中学校の校庭だったりしていたので、子どもたちが元気に走ったり、体を動かせているかどうかはすごく心配でした。スポーツ選手としては、体が動かせないことが苦痛であることは、誰よりもわかりますから」

 それから毎年、年始のオフや夏のJリーグの中断期間になると、参加できる選手たちで東北の被災地を点々と周り、子どもたちとボールで触れ合った。

 場所は被害を逃れた体育館や空き地などさまざまで、走り回るスペースがあればどこでもよかった。だが、やはりどうしても室内が多かった。そして、そのイベント後や合間に必ず、皆で現地の被災状況を見て回るのが決まりだった。

「いろいろ行きましたね。福島、宮城、岩手、そして秋田も。現地に行って、見て、話を聞いて。子どもたちに何が必要なのか、それをどうすれば実現できるのか。同じ東北でどうやったら助け合えるのか......。イベントの内容も含めて、選手同士でアイデアを出し合ったりしていました」

 そして、回数を重ねていくごとに、あるひとつの思いが強くなった。

「子どもたちが安心して走り回れるグラウンドを作ってあげたい」

 気持ちが揺るぎないものになると、小笠原はすぐにグラウンドプロジェクトを立ち上げ、グラウンド建設に向けて動いた。場所は、海沿いで東北地方でも比較的雪の少ない暖かい地域であることと、地元の小笠原の同級生や後輩が賛同してくれたこともあり、被災地でもある大船渡市にグラウンドを作ることに決めた。

 それから小笠原は、シーズン中でも時間を見つけては、何度も、何度も現地に足を運んだ。イチから土地を探すところから始まったが、小笠原の情熱に押されて、やがて大船渡市の行政も動き出した。そして、実にプロジェクト発足からわずか1年で土のグラウンドが完成し、それからさらに5年後にはグラウンドの全面人工芝化が実現したのだった。2017年の年末のことだった。

「うれしかったというか、ホッとしたというか。本当に、いろいろな人の協力や、多くの方々の募金のおかげで叶ったと思っています。とくに、一緒に先頭に立って頑張ってくれた同級生には本当に感謝しています」

 そのグラウンドでは現在多くの大会が誘致されており、東北人魂の冠がついた大会も行なわれている。東北人魂カップには、小笠原の提案でアントラーズのスクール選抜の子どもたちも参加している。それには、理由があった。

「鹿島って、海が近いんだけど、避難警報が来てもあんまり逃げなかったり、ピンときてなかったりというか......そういう意識が少し低いんですよね。そこで、参加チーム数が増えることもいいことだし、ちょうどいいので大会に参加してもらって、震災ってこうだったんだよって話を鹿島の子たちにも自分たちの目で見て、聞いてほしいなと思って提案しました。

 最初の頃は僕が震災や防災について説明していたんですけど、毎回帯同しているコーチが同じなので、次第にコーチのほうから「自分たちでやりますよ」って言ってくれて。今はスクールのコーチが引き継いでくれています。一昨年には岩手・陸前高田に『東日本大震災津波伝承館』もできたので、そこに子どもたちを連れて行って、ガイドさんに話してもらっています」

 ここ4、5年で、東北人魂の活動もフェーズが変わり、イベントではなく、よりサッカーに重きを置いていこうと前進。東北サッカーの発展のために大会を作り、子どもたちが真剣にサッカーに取り組める場を提供することに注力している。大船渡の大会はそのひとつで、主に小笠原を中心に執り行なっている。

 ほかには、宮城県の松島でも開催されており、こちらは鹿島アントラーズで仙台出身の遠藤康が中心となって行なっている。どちらの大会も現地に行ける選手がいれば来てもらい、その選手たちが試合を見てMVPを決めたり、表彰式に参加したりして子どもたちのモチベーションを上げている。

「いつか一緒にボールを蹴った子どもたちの中から、この震災を乗り越えて強いメンタルを持ったJリーガーが出てきてほしい」というのは、この活動に関わった選手たちにとって、かねてからの願いだった。東北人魂を発足させるにあたり、当初現役の東北出身のJリーガーを調べたら、J1、J2併せて30人もいなかったこともあり、その思いは切実だった。

 あれから10年経った今、震災当時に小中学生だった子どもたちは、もう成人したり、高校を卒業したりしている。

 そんななか、最近では記事で東北出身の選手が新加入でJクラブに加入したと目にすることもあれば、大会でMVPに選ばれた子がクラブユースに入り、トップチームにいけるかもしれないと帯同のコーチから教えてもらったりもするようになった。

「もしかしたら一緒にボール蹴ったことあるかな?と思ったりもするけど、こちらから聞くもの野暮というか、変な感じだしね。でも、そうやってあの経験を乗り越えてプロでがんばっているっていうのは純粋にうれしいし、応援したくなりますね」

 いかにも奥手な東北人らしい思いを述べると、小笠原は少し残念そうにこう続けた。

「ただ、もう今の小学生には、すでに東日本大震災と言ってもピンとこない子たちが多くなってきているんですよね。やっぱり、10年前に何があったかっていうのを風化させちゃいけないと思うし、こういうことはまたいつか起こるんだよって伝えていく必要がある。

 その時に自分はどうしなきゃいけないのかってことを、みんなで話し合っていく必要があると思っています。10年は記念日じゃないけど、10年の節目っていうのをいい機会にして、防災意識の再確認を家族や周りの人と話し合ったりして、備えてほしいですね」

 日頃から震災や津波のことを考えるのはおそらく無理だろうが、こういう節目に今一度思い起こしてほしいと何度も繰り返す小笠原は、これからの自身のスタンスもとくに変わることはないと話す。

「この先も、できれば子どもたちが活躍できるような大会を作っていって、東北のサッカーを盛り上げたいと思っていますし、何かことあるごとにまたそういう防災意識などを伝えられる場があるのであれば、話していきたいと思っています」

 あれから10年----。小笠原に言わせればまだ復興とはほど遠く、「10年で、まだこれだけしか進まないのか」と、もどかしさが募る。しかし、それだけの爪痕を残していくほどの震災であったことを、この先も私たちは忘れてはならないし、そこから学んで行かなければならない。

 そして小笠原はきっとこの先も変わらず、大切なことを伝え続けていくのだろう。いつの日か、完全に復興するその時が来ても......。




◆小笠原満男にとっての3.11。「東北人魂」は変わらず。被災地からJリーガー誕生を願う(Sportiva)






◆父は元Jリーガー天理・内藤大翔、昨秋近畿大会コールド負け大阪桐蔭に借り返す…センバツ19日開幕(報知)






 第93回センバツ高校野球大会(19~31日・甲子園)に2年連続25度目出場の天理(奈良)を紹介する。昨秋は5番を務めて近畿大会8強に貢献した内藤大翔(やまと)内野手(2年)は、J1鹿島などで活躍した就行(なるゆき)さん(53)=J3テゲバジャーロ宮崎監督=を父に持つ。中学の先輩でもある瀬千皓(せ・ちひろ)外野手(3年)とクリーンアップ再結成を目指す。天理は第2日第1試合で宮崎商と対戦する。

 天理の内藤は2月28日の紅白戦で、今秋ドラフト上位候補の達(たつ)孝太(3年)から左越え2ランを放つなど、3安打2打点とアピールした。昨秋の近畿大会後は、腰の疲労骨折で故障者に入って練習し、1月中旬に復帰した。「レギュラーをもう1回取りたい」と、言葉に力を込めた。


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◆【鹿島】「しっかりと準備はできた」コロナ禍で中止となったG大阪戦。ザーゴ監督が選手に伝えた言葉は?(サッカーダイジェスト)






「しっかりと決めるということが大事」


 3月9日、鹿島アントラーズのザーゴ監督が練習後にオンライン取材に応じた。

 3日のルヴァンカップ第1節でサガン鳥栖を相手に3-0と快勝を収め、今季公式戦初勝利を飾った鹿島。勢いそのままにリーグ戦初勝利を目指し、中2日でJ1第2節へと準備を進めていたが、ガンバ大阪の選手・スタッフら複数人に新型コロナウイルス陽性者が多数判明した影響で、試合は急遽中止となった。
 
 コロナ禍において、こうした突然の日程の変更はやむを得ないが、ザーゴ監督は試合の中止を「残念だ」としながらも、選手らの精神面の安定を保つため、練習でこう声をかけたという。
 
「選手たちに言ったのは、自分たちの目標、フォーカスしているものを見失わずに取り組み続けようという話はしました。そのなかで、(次の試合に向けて)しっかりと準備はできたのではないかと思っています」

 次節は10日に、昨季の対戦成績が1勝1分と五分五分の湘南ベルマーレをホームに迎える。
 
 試合に臨むにあたって指揮官は、「(湘南は)スピーディな選手が前に揃っているので、そういう相手には作ったチャンスをしっかり決め切らなければいけない。それができれば必然的に相手も精神的に崩れてくると思うので、しっかりと決めるということが大事になってくる」と、決定力の向上を勝利のポイントに挙げた。果たして、5シーズンぶりのJ1タイトルを狙う常勝軍団は、今季のリーグ初白星を掴めるだろうか。
 
構成●サッカーダイジェストWeb編集部




◆【鹿島】「しっかりと準備はできた」コロナ禍で中止となったG大阪戦。ザーゴ監督が選手に伝えた言葉は?(サッカーダイジェスト)





◆鹿島 苦手の“湘南の壁”撃破へ!10日ホーム湘南戦、ザーゴ監督「今年も戦い方は変わらない」(スポニチ)






 鹿島のザーゴ監督が苦手の“湘南の壁”撃破を誓った。チームは10日にホームで湘南と対戦。昨季の同カードは1勝1敗で、2試合1得点だった。

 指揮官は「今年も戦い方は変わらない。堅い守備の相手には、つくったチャンスを決め切ることが重要になる。それができれば相手は(前に)出てこないといけなくなるし、精神的にも崩れていく」と、決定機の重要性を口にした。


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◆鹿島エヴェラウド“不敗神話弾”狙う 力の源は試合当日の「パスタ」(スポニチ)






 J1鹿島のFWエヴェラウド(29)が“不敗神話弾”で、今季リーグ戦初白星を狙う。チームは8日、次節10日のホーム湘南戦に向けて鹿嶋市内で調整。前節6日のアウェーG大阪戦は中止となり、休養たっぷりで迎える一戦に向けて「チーム勝利に貢献することがまず自分がやるべきこと。CFWとして得点をすることが、チームの手助けになればいい」と力を込めた。

 過去、エヴェラウドが得点を挙げた試合は公式戦17試合で13勝4分けと無敗。今月3日のルヴァン杯鳥栖戦でも、エヴェラウドの先制弾を口火に3―0と“不敗神話”は継続している。エースの力の源となっているのが、試合当日に食べる「パスタ」で「試合中は体力不足になってしまうので(炭水化物を)意識しながら食べている」という。

 特に、ウインナーをトッピングしたトマトソースのパスタが好物だ。「寮の料理長が作ってくれる。チキンのグリルもあるので、その2つがあれば“きょうも活躍できる”というぐらい非常に美味しい」。昨季は過密日程の中、チーム最多の33試合に出場した鉄人FW。「勝負めし」をしっかりと平らげ、湘南に食らいつく。




◆鹿島エヴェラウド“不敗神話弾”狙う 力の源は試合当日の「パスタ」(スポニチ)





◆J1鹿島 リーグ戦、初白星を 10日、湘南ベルマーレ戦(茨城新聞)






明治安田J1第3節は10日、各地で9試合が行われ、開幕戦を落とした鹿島はカシマスタジアムで、湘南と対戦する。キックオフは午後7時。今季勝利がない相手をしっかりたたき、リーグ戦初白星につなげたい。

3日のYBCルヴァン・カップ1次リーグの鳥栖戦は、3-0と快勝し、リーグ開幕戦の逆転負けの悔しさを払拭(ふっしょく)した。鳥栖戦は開幕戦から7人も先発メンバーを入れ替えた中で、高いチーム力を再確認できた。6日に予定されていた第2節・G大阪戦が新型コロナウイルスの影響で中止となり、心身の疲労も蓄積していない。

さらに、鳥栖戦では昨季けがに苦しんだ和泉と、今年1月に同ウイルスに感染したレオシルバが戦線復帰した。和泉はゴールを挙げ、結果も出した。

半面、懸念材料は上田と白崎がけがで離脱していること。クラブ関係者によると、2人とも重傷ではないが、復帰時期は不透明だ。2人が不在のため、練習ではエベラウドが最前線に立ち、土居や遠藤がセカンドトップを務めた。

対する湘南は、今季公式戦は1分け2敗と苦しんでいる。ただ、3試合とも激しいプレスでボールを奪い、素早く速攻に切り替えて好機をつくっている。今節は鹿島のホームのため、より守備意識を高めてくるだろう。

鹿島は丁寧なビルドアップで相手を揺さぶり、ゴールをこじ開けたい。注目は、鳥栖戦で今季公式戦初ゴールを挙げたエベラウド。29歳のエースはまだ本調子でないが、「FWとして得点を取る」と闘志を燃やす。




◆J1鹿島 リーグ戦、初白星を 10日、湘南ベルマーレ戦(茨城新聞)