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2021年8月1日日曜日

◆PK戦1番手に立候補!! 上田綺世の漢気「この状況を作ったのは僕」(ゲキサカ)






[7.31 東京五輪準々決勝 U-24日本 0-0(PK4-2) U-24ニュージーランド カシマ]

 0-0で迎えたPK戦。しびれるような状況の中、PK戦の一番手に向かったのはU-24日本代表FW上田綺世(鹿島)だった。

 ベンチスタートとなった上田に出番が巡って来たのは、スコアが動かずに迎えた後半24分だった。「守備とか求められることはあるけど、決勝点を取ることに注力していた」。そして、後半37分に決定機が訪れる。右サイドからMF堂安律(PSV)が送ったラストパスに反応すると、ゴール前でフリーに。しかし、右足で合わせた至近距離からのシュートは好反応を見せたGKマイケル・バウドにストップされてしまった。

 0-0のまま、試合は延長戦へ。そして、延長戦でも得点は生まれず、勝敗はPK戦に委ねられることになった。

 ここで、森保一監督はPK戦のキッカーを挙手での立候補制で決めることに。そして、一番手に名乗りを挙げたのが上田だった。「自信もあったけど、この状況を作ってしまったのは僕なので。取り返すことはできないけど、1本目に自分がしっかり決めてチームを勢い付かせることしかできないと思い、1本目に立候補した。6番目とかで終わっても悔しいし、自分が外したまま終わるのが嫌だった」。

 先行のニュージーランドが1本目を決めて迎えた、日本の1本目。ペナルティースポットに向かった上田は、ボールを頭に当てて願いを込めた。

「何かの節目にあったときに必ず運が必要だと思う。自分自身のキャリアを見ても、自分のラッキーパンチに助けられたこともある。自分が今まで背負ってきたものをここで出さないといけないし、あの一蹴りで僕の人生を、これまでの人生をつなげることにもなるので、その念を込めた」

 上田が右足から蹴り出したボールはきっちりネットを揺らした。さらに相手の2本目をGK谷晃生(湘南)がストップして勢いに乗ったチームは、PK戦を4-2で制して、スペインが待つ準決勝へと駒を進めた。

「この状況を作ってしまったのは僕なので、次につながったのは僕にとってもチャンス。絶好機があって、それをモノにできなかったのがすべてだと思う」。次こそは、チームに勝利をもたらすゴールを奪うために「僕の持っている力のすべてを使っていきたい」と決意を固めた。

(取材・文 折戸岳彦)




◆PK戦1番手に立候補!! 上田綺世の漢気「この状況を作ったのは僕」(ゲキサカ)





◆柳澤敦監督率いる鹿島ユースは、菊池快の2ゴールでタフな激闘を制して準決勝へ!(ゲキサカ)






[7.31 日本クラブユースサッカー選手権U-18大会準々決勝 京都U-18 1-2 鹿島ユース ロード宮城総合運動場陸上競技場]

 一進一退の攻防を制したのは、元日本代表FW柳澤敦監督率いる鹿島アントラーズユース(関東6)だった。

 31日、第45回日本クラブユース選手権(U-18)大会の準々決勝。群馬県の宮城総合運動場陸上競技場で行われた鹿島ユースと京都サンガF.C.U-18(関西2)の試合は、激しい競り合いが連続するタフなゲームとなった。

「相手は前からかなり(プレスに)来るチームで、僕らも前線から守備に行くチームなので、同じような特長があると感じていた」(鹿島ユースFW菊池快)

 負けたら終わりの一発勝負。グラウンド状態もそれほど良くないことを思えば、お互いに相手のプレッシングを避けてロングボールを蹴り込む展開が増えていくのは必然だった。「まずはシンプルに、失点をしないようにしよう」(柳澤監督)という指示も出ており、互いに予想の範囲内の展開だったが、「もう少し自分たちの流れに持って行きたかったし、チャンスを作りたかった」と指揮官が振り返ったとおり、チャンスらしいチャンスが生まれぬまま試合時間が流れていった。

 そんな試合が動いたのは前半の30分だった。DF小林栞太(3年)のクロスから菊池快(3年)がストライカーらしくニアへと突っ込んでのヘディングシュートを突き刺す。「感覚で動き出した」というエースの一発は、「前半はあれしかチャンスがなかった」(柳澤監督)中で生まれた値千金の先制弾だった。

 だが、京都U-18もこのまま終わるようなチームではない。前半終了間際にMF遠山悠希(3年)のドリブルシュートで好機を作ると、ハーフタイムにはFW勝島新之助(3年)、DF植田悠太(2年)の2枚を投入。年代別日本代表経験を持つ二人の実力者が見せる意欲的なプレーが加わり、京都U-18が試合の流れを一気に引き戻す。

 セットプレーから相手ゴールに迫るチャンスを作り始めた後半8分には、FKがこぼれた流れからDF大坪謙也(3年)が左足ボレーシュートを鮮やかに突き刺し、試合を振り出しに戻す。直後の11分にも大坪がCKから決定的なヘディングシュートを放つなど、勝敗の天秤は京都U-18に傾きつつあるかに見えた。

 しかし、柳澤監督が「このチームは本当に失点したあとすぐにまた失点してしまうということが多く、口酸っぱくその点を選手たちに言い続けてきた。でも今日は、相手の勢いがある中で違う姿を見せてくれた」と選手たちの成長ぶりを称えたとおり、GK高橋楓(3年)を中心によく声を掛け合って立て直した。

 そして逆に一刺しを相手ゴールへと突き立てる。後半13分、MF淵上涼太(3年)の右足シュートを京都U-18のGK岡田修樹(3年)がセーブした直後のプレーだった。「あそこで淵上なら(シュートを)打つと思ったので」と抜け目なく狙っていたストライカーがいた。ワンタッチで菊池が押し込み、2―1。鹿島ユースが再度勝ち越しに成功する。

 このあとはゴールへの意欲をみなぎらせる勝島を軸に反撃する京都U-18に対し、鹿島ユースが一丸の守備で対抗する流れ。京都U-18は退場者を出しながらも最後まで諦めない姿勢を見せたが、鹿島ユースは伝統どおりの体を張った守備を全員が見せる。次々と訪れたセットプレーのピンチも耐え切り、2-1のスコアを維持。昨冬に行われた前回大会に続く4強進出を果たした。

「前回はこの準決勝で負けているので、選手たちにはそのリベンジという思いがある」と柳澤監督。まずはその準決勝、そして「その先にはもちろん、日本一」(同監督)も見据えている。

(取材・文 川端暁彦)