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2021年11月10日水曜日

◆鹿島アントラーズの若武者、荒木遼太郎が持つ無限の可能性(FOOTBALL TRIBE)






Jリーグ屈指の名門、鹿島アントラーズに所属するMF荒木遼太郎(19)が、11月3日開催の明治安田生命J1リーグ第34節サンフレッチェ広島戦で偉大な記録を達成した。「10代での2桁得点」である。これは29年の歴史を持つJリーグにおいても、元日本代表の城彰二氏(当時ジェフユナイテッド市原所属)以来2人目の快挙となる。

荒木遼太郎とはどういった選手なのか、どれほどの期待ができるのだろうか。これ以外にも持つ記録と共に荒木の魅力を紐解いていく。


荒木遼太郎のプロ1年目まで


熊本県北部に位置し、県内一の温泉湧出量を誇る山鹿市に生まれた荒木は、幼稚園児の頃にサッカーを始めた。幼い頃は様々なスポーツをしていたが、ゴールを決める喜びは何事にも代えがたくサッカーを選択。プレーするだけでなく観ることも好きで、当時から鹿島アントラーズへの憧れを抱いていた。

FCドミンゴ鹿央、シャルムFC熊本を経て、中学年代ではロアッソ熊本のジュニアユースに入団。3次まである試験に1次で合格するほど、当時から図抜けた技術を持っていた。だがいざ入ってみると、身体が小さく体力に乏しい荒木は大苦戦。指導者に怒られることも多かったが、持ち前の切り替えの早さで練習に挑み続けた。

中学卒業後はユースへの昇格ではなく、東福岡高校へ進学。この選択には「より厳しい道の方が成長できる」という考えがあった。全国高校サッカー選手権大会3回、全国高等学校総合体育大会サッカー競技大会(通称・インターハイ)3回の優勝を誇る名門校でトップ下やアンカーとしてプレー。3年時には怪我の影響があり、最後の全国高校サッカー選手権は福岡県決勝で筑陽学園に0-1で敗退。荒木は途中出場したものの本来の出来を示すことはできなかった。悔しい思いをすることもあったものの、背番号10を背負い、キャプテンも経験した。

個人としては優勝したAFC U-16選手権でU-16日本代表の主力を担い、その後もU-17、U-18、U-19、U-20と各年代別代表に選出されている。

2020シーズンから憧れの鹿島に入団すると、荒木はルヴァンカップ開幕戦の名古屋グランパス戦でプロデビュー。Jリーグ開幕戦のサンフレッチェ広島戦で途中出場しJ1デビュー。鹿島の高卒ルーキーでは、開幕戦出場は元日本代表の内田篤人氏以来と、非常に順調なスタートを切った。

同シーズン、プロ1年目のリーグ戦は26試合出場2得点という数字と確かなインパクトを残した。だた、出場試合の内訳はスタメン7試合で途中出場19試合。1年目としては素晴らしい成績だが、完全な主力にはなりきれていなかった。


2年目に見せた真の凄さ


迎えた2年目となる2021シーズン、荒木の快進撃が始まる。開幕戦の清水エスパルス戦で途中出場からシーズン初ゴールを決めると、続く湘南ベルマーレ戦、サンフレッチェ広島戦と立て続けにゴール。これは27年ぶり2人目となる、城以来の10代での開幕3試合連続得点。鹿島での開幕3戦連発弾はマルキーニョス(2007-2010)以来、13年ぶり4人目の記録となった。

4月にアントニオ・カルロス・ザーゴ監督から相馬直樹監督へと監督交代を経て、中央での起用が増えると、荒木はさらに本領を発揮。アシストと得点をコンスタントに積み重ね、前述の11月3日の第34節のサンフレッチェ広島戦の得点で史上2人目となる10代での2桁得点を決めたのだ。

得点に絡む力が優れている選手であることは数字に現れているが、魅力はそこだけではない。というよりも、荒木ほど魅力が多い選手が他にどれだけいるだろうか。まずはボディバランスに優れていることと足からボールが離れないことが大きな特徴で、それを巧みに使うことでプレーの幅が非常に広い。ゴールを目指すためのドリブル、素早い反転と高いシュート意識。加えてボールを引き出す動きにも優れている。セットプレーのキッカーを務めるほどキックの精度も高い。

また、ここまでの急成長を促しているのは、切り替えの早さと現状に満足しない貪欲さだ。ロアッソ熊本のジュニアユースに入った直後も鹿島に入団した当初も苦しんだが、寝たら忘れる切り替えの早さでポジティブに課題に取り組んできた。プロ1年目の序盤戦は攻撃的な若手選手にありがちな、攻撃面の輝きと引き換えの守備面の緩さが多少見られたが、課題から目を離さずに守備の強度を改善。細かなミスが目立つなどまだ荒削りな部分はあるが、彼ならば今後も1つ1つ改善していくことだろう。

ピッチ内とピッチ外での違いも面白い。ピッチから離れると負けず嫌いな性格から一変。ピッチ外では誰からも「優しい」という声が聞こえてくるうえ、初のヒーローインタビューでは天然な面も。サポーターへのメッセージを求められた荒木は、カメラ越しでなくスタンドに直接伝えるのかと勘違いしていた。


秘める特大の可能性


プレーはもちろん、様々な面でサポーターを魅了する荒木の姿は、すでに鹿島に欠かせないものになっている。今季開幕前には「5ゴール5アシスト」を目標に掲げていた中で、3試合を残して10得点7アシスト。まずはこの数字をどこまで伸ばすのか注目が集まっている。

そしてその先には、日本代表が長年抱える「得点力」という課題を解消する可能性までも秘めている。最前線のFWが得点を奪うのではなく、トップ下に君臨する荒木をはじめとする2列目の選手達が得点を量産する。自分自身の予想をも遥かに超える成長曲線を描く荒木ならば、世界を相手にそんな姿を見せてくれる可能性を秘めている。



◆鹿島アントラーズの若武者、荒木遼太郎が持つ無限の可能性(FOOTBALL TRIBE)





◆上田綺世「同じ特徴をもっている人はいない」個性アピールに意欲/一問一答(ニッカン)






W杯アジア最終予選ベトナム戦(11日、ハノイ)に向けて、日本代表FW上田綺世(23=鹿島アントラーズ)が9日、現地からオンライン取材に応じた。

東京五輪世代を中心に編成された、19年12月の東アジア選手権(韓国)以来の招集。初めてともに戦う選手もおり、前線にはライバルも多いが「同じ特徴をもっている人はいない。自分にしかできないものを出していきたい」と、得意とするDFの背後をとる動きで得点を狙う。

上田の一問一答は以下の通り。

 

-久しぶりのA代表招集、どんな思いか

上田 チャンスだと思っているし、久々といってもちゃんとA代表に呼んでもらえるのは初めて。こうして呼んでもらえたのはすごくうれしい。クラブでの活動を認めてもらえたのは自信にもなったので、表現したい。

-前線での競争に勝ち残るためには

上田 選手は多いけど、同じ特徴をもっている人はいないし、自分にしかできないことをピッチの中で表現して、必要だと思ってもらえれば試合に出られると思う。自分にしかできないものを出していきたい。

-自分のプレーを周りに理解してもらうために

上田 動きだしの幅や種類、タイミングは、引き出しを増やしてきたつもり。まずは味方のプレースタイル、持ち方、くせを理解して、顔を上げるタイミングを見つけて、トライして、うまくすりあわせていければ。

-ベトナムの印象は

上田 世代別でしかやったことがないけど、個々の技術も高い。粘り強さは日本の武器でもあるので、球際含めて粘り強く戦っていきたい。

-五輪後、吉田が「ここからはA代表を目指す戦いだ」と言っていた

上田 どんなに意識しても、置かれた環境で結果を残さなければ呼んでもらえない。麻也くん(吉田)の言葉も心の中で受け止めていたけど、自分のチームは鹿島であり、代表を目指して鹿島でプレーしているわけじゃなくて、鹿島で優勝争い、ACL圏内を目指して戦っている。代表は大事だと分かっているけど、自分のクラブで何を表現するか、それを認めてもらえるかが大事だと思う。

-五輪のときに森保監督から求められたことは

上田 五輪に限らず今もだと思うけど、ゴールに向かうプレー、動きだし、ゴールに関わるところ、ゴール前での駆け引きを求められていると思うし、何より結果を残して欲しいと思っていると思うので、チームのためにこの瞬間に何が必要なのか、考えながらプレーしたい。

-最終予選のイメージは

上田 いろいろあるけど、僕の印象としては、簡単につかめるものはないと思うし、自分が小さい頃から日本はW杯に出場していたけど、それはすごく難しいことだし、ギリギリまで粘って勝ち得た大会もあったと思う。今回も同じで、難しい状況であることは間違いない。粘り強く、日本らしく戦えたらと思うし、簡単な試合はないと思うので。得点などでチームの助けになれたらと思う。




◆上田綺世「同じ特徴をもっている人はいない」個性アピールに意欲/一問一答(ニッカン)


◆初の最終予選に意気込む東京五輪世代の星FW上田綺世「自分にしか出せないものをピッチで」(ゲキサカ)






 新陳代謝が促進しつつある森保ジャパンで確かな一歩を刻みたいと燃えている。2019年のコパアメリカ、E-1選手権以来となるA代表復帰を果たしたFW上田綺世(鹿島)がオンライン取材に対応。「チャンスだと思っていますし、久々といってもちゃんとA代表に呼んでもらえるのは初めて。クラブでの活動を認めてもらえたのは自信にもなっているので、それを表現したい」と意気込んだ。

 東京五輪世代が中心となってチームが構成されたコパアメリカでは、南米の強豪チームを相手に3試合に出場したが、スピードに乗ったり、相手と競ったりした時の精度やフィジカルが足りず、決定機を何本も逸した。

 プロ2年目となった昨季は鹿島で大きく成長。だが、エースとして期待の懸かった今夏の東京五輪は直前のケガでコンディションがぎりぎりになり、先発メンバーからは外れた。悔しい思いをしてきた分、実質的に初のフル代表という意味合いに近い今回は、やはり期するところがあるようだ。

 今季のJ1リーグでは13得点を挙げているが、そのうち7得点は東京五輪後に決めている。所属の鹿島で磨いてきたのは、「動きだしの幅や種類やタイミング」(上田)。多彩な能力が魅力なだけに、代表活動では短期間でチームメートに特徴を理解してもらうアピールも必要になるだろう。

 その点については、「味方のプレースタイル、持ち方、くせを理解して、顔を上げるタイミングを見つけて、トライして、うまくすりあわせていければ」と語り、まずは自分から味方の特徴に合わせるようなアプローチ方法をとるつもりだ。

 スピードがあるうえに身長182センチと高さもある上田は、クロスのターゲットともなりうる。引いて守ることが予想されるベトナム戦で相手ゴールをこじ開ける際の最適解の一つになるポテンシャルを秘めている。

「(FWの)選手は多いけど、同じ特徴をもっている人はいない。自分にしかできないものをピッチで出していきたい」

 ベトナムの印象については「世代別でしかやったことがないですが、個々の技術も高い」と見ている。「チームのためにこの瞬間に何が必要なのか、考えながらプレーしたい」。日本に勝利をもたらすプレーをすることで、代表に定着していくつもりだ。

(取材・文 矢内由美子)




◆初の最終予選に意気込む東京五輪世代の星FW上田綺世「自分にしか出せないものをピッチで」(ゲキサカ)





◆【J1採点&寸評】鹿島1-0浦和|関川&町田のコンビは出色の出来。ユンカーはまるで犠牲者のように…(サッカーダイジェスト)






鹿島――クオリティ勝ちの三竿


[J1第35節]鹿島1-0浦和/11月7日/県立カシマサッカースタジアム

【チーム採点・寸評】
鹿島 7
立ち上がりから強度の高いプレスで浦和の出ばなをくじき、前半のリードを守り切って勝利。追加点は課題も、内容的には完勝。

【鹿島|採点・寸評】
GK
1  クォン・スンテ 6.5
シュートセーブが必要な場面はほとんどなかったが、若いセンターバックの背後で安心感をもたらした。

DF
32 常本佳吾 6
前半は汰木を完全にシャットアウトして交代に追い込んだ。後半は山中に突破を許してクロスを上げられる場面も。

MAN OF THE MATCH
DF
33 関川郁万 7
縦パスに対する前への強さを見せ、パワープレーが増えた終盤戦も強さを見せた。前向きなカットから上田に出したスルーパスは素晴らしかった。
 
DF
28 町田浩樹 7
高さを見せたのは関川と同様。こちらは逆にドリブルで進出して展開を作るプレーも効果的なものがあった。コンビでMOMをつけたい。

DF
2  安西幸輝 6.5
前半、J・アラーノのヘディングシュートを導いたクロスはアシストを損したと言える精度。

MF
20 三竿健斗 6.5
浦和のダブルボランチに対してボール際の強さを見せてクオリティ勝ち。順位表とこの試合の持つ意味を理解したプレーだった。

MF
21 ディエゴ・ピトゥカ 6.5
ボール奪取と攻撃への推進力の両方を兼ね備えたプレー。三竿と中央で盤石のブロックを形成した。


鹿島――指揮官は交代策で状況を改善


MF
7  ファン・アラーノ 6(88分OUT)
特に前半、浦和のストロングポイントである山中を守備に追わせた貢献度は高い。ただ、安西のクロスに合わせたヘディングは決めるべきシーンだった。

MF
17 アルトゥール・カイキ 5.5(57分OUT)
鹿島の中では唯一プレーに空回り感があった。イエローカードを受けたことも要因か、早めの交代に。

FW
8  土居聖真 6.5(72分OUT)
先制点は「これほど押し込むだけというシチュエーションもない」ものだったが、貴重な決勝点。裏抜けの上田とバランスの良い役割分担だった。

FW
18 上田綺世 6(72分OUT)
背後への動き出しで浦和の最終ラインに後ろ向きの怖さを与えて存在感があった。西川との1対1は上位チームのエースなら決めるべき場面。

途中出場
MF
11 和泉竜司 5.5(57分IN)
全体に浦和ボールの時間が長くなったタイミングでの投入で、自分の周囲に複数人いる状況には手を焼いていた。小泉に何度かサイドチェンジを蹴らせてしまった。

MF
13 荒木遼太郎 6.5(72分IN)
押し込まれる時間が長かったチームを活性化。中央でボールを引き出せる存在になることで、浦和の攻撃回数を削る効果があった。

FW
9  エヴェラウド 6(72分IN)
逃げ切りを図るタイミングで、前線で背負って受けられる存在になったことがチームを助けた。

DF
39 犬飼智也 -(88分IN)
浦和がパワープレー要員の槙野を入れてきたのに対応しての出場だった。

監督
相馬直樹 7
試合に対する適切なモチベーションの高め方が前半の優勢につながった感がある。後半は押し込まれるも、交代策は状況を改善した。


浦和――西川は1失点も2つのファインセーブ


【チーム採点・寸評】
浦和 4.5
この試合で絶対に勝利が必要なチームの振る舞いには見えなかった。強度を上げてきた相手と渡り合うボール際の戦いができず、パスワークで外しきることもできなかった。

DF
8 西 大伍 5(87分OUT)
ベンチの指示に応じてインサイドを取れることは戦術に幅を与えるが、流れの悪いチームと共に埋没した。


浦和――ゴールへ向かう姿勢を見せた槙野


途中出場
FW
30 興梠慎三 6(72分IN)
前節に続く途中出場。ボール際で負けないキープ、ラストプレーのヘディングも復調を感じさせた。

※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
 
構成●サッカーダイジェストWeb編集部




◆【J1採点&寸評】鹿島1-0浦和|関川&町田のコンビは出色の出来。ユンカーはまるで犠牲者のように…(サッカーダイジェスト)