2022年のJリーグ開幕が迫ってきた。各チームは初戦に向けて仕上げに入っていこうとしている。
目標を達成するには、明確なゴールの設定と、そこに至る道筋の逆算が必要だ。開幕戦は確かに大事だが、リーグ戦の1試合に過ぎず、その後もチームの歩みを止めないことが肝要だ。
ぶれなく前進するために必要なJ1の各チームが追いかける「理想」と、そこにたどり着くための道のりを探る。
■大きく方針を転換するシーズン
2022年、鹿島アントラーズは大きく舵を切る。これまで外国人監督は「開祖」ジーコより続く「王国」ブラジルの流れを堅持してきたが、ついにヨーロッパから指揮官を迎える。スイス人のレネ・ヴァイラーを招いたのだ。
外部から新しい血を迎えるのみならず、内部でも大きな変化があった。ジーコの薫陶を受け、鹿島イズムを脈々と息づかせる責務を背負ってきた鈴木満フットボールダイレクターが退任。クラブは新たな時代に入る。
クラブの方針展開には、タイトルから遠ざかったことが大きく影響しているだろう。鹿島は「常勝軍団」である。そうでなければ生き残ることはできないとの危機感が、強いチームをつくり上げさせ続けてきた。
ただし、急な変化が結果に直結するとは言えない。もちろんタイトルは欲しいだろうが、今季の鹿島にとってはACL出場圏内が目標か。ただし、新監督を含めて未知数の部分は大きく、いかに地力があるクラブであろうとも、達成が簡単であるとは言えない。
■中心となるべき20代半ばの選手たち
本来は国内の他クラブから補強することが少なかったクラブだが、ここ数年は出入りが加速している印象だ。ヴァイラー監督がどのようなフォーメーションを敷くかは分からないが、CBの顔ぶれは大きく変わる。町田浩樹がヨーロッパへの挑戦を選び、犬飼智也が浦和レッズへと移籍。その他のポジションでも、レオ・シルバ、永木亮太、永戸勝也と昨季の主力級がクラブを離れた。
この重大な局面において、期待を担うのが新しい世代だ。日本代表にも選ばれた荒木遼太郎、同期の染野唯月というプロ3年目の20歳の2人には、これまで以上に存在感を示すことが求められる。
また中心となっていくべきなのは、20代半ばの選手たちだ。昨季もキャプテンを務めた三竿健人はもちろんのこと、同じ26歳で期限付き移籍から戻ってきた名古新太郎、サガン鳥栖から加入した樋口雄太には、新たな刺激をもたらす役目が期待される。さまざまなポジションをこなす樋口は、あらゆるエリアでチーム内競争を高めることだろう。
■最も期待値が高い生え抜き
その26歳の選手たちの中でも、最も期待値が高いのが鈴木優磨だ。下部組織で育った生え抜きが、ベルギーから帰還した。ヨーロッパで成功を収め切れなかった悔しさもあるかもしれないが、その思いさえもガソリンとなる。クラブの移行期間において、表面的には変わるかもしれないが、ぶれることはない「鹿島イズム」をつなぐ者としての期待もかかるのだ。
ピッチ内での期待値も当然高い。昨季、エースストライカーを襲名した上田綺世、エヴェラウド、染野ら、最前線には人材がそろっていた。そこに強烈な刺激として加わったというわけだ。
ヴァイラー監督にとっても、うれしい悩みとなることだろう。1トップもあり得るが、やはり2トップが理想か。歴代の鹿島では、優秀な外国人FWと伸び盛りの若手が組むことで選手とチームの成長を促してきたが、今季は鈴木が「導き手」となるべきだろう。その存在は、新時代に進むクラブにとっても、重要な指針となる。
タスク:「ACL出場圏内」
達成難度:★★★★☆