ページ

2022年7月8日金曜日

◆【鹿島アントラーズ】三竿健斗の交代後に2失点で「求められるフィルター役」 レネ・ヴァイラー監督は「意見には賛同できない」と反論も「持ち上がる背番号6の起用法」(サッカー批評)






■7月6日/明治安田生命J1第20節 鹿島 3-3 C大阪(カシマ)

 C大阪戦は劇的な展開で同点に持ち込んだが、ここで鹿島が露呈したのは「守備」のもろさだ。現在、J1で順位では2位につけるが、失点数はワースト5の「26」。1試合平均で1.3失点していることになる。そのウイークポイントが、C大阪を相手にしたこの試合でも3-3というスコアで表れた。

 そんなもろさを象徴するような失点が、1失点目だった。35分、奥埜博亮がゴール前にいたアダム・タガートに縦パスを入れてきたところで、キム・ミンテがボールに反応。タガートがトラップして横に置こうとしたボールをミンテはGKに戻そうとしたが、それがそのままゴールネットを揺らしてしまったのだ。守備陣の連携不足を露呈した場面だった。

 さらに言えば、縦パスにつながる前の段階でも怪しかった。クォン・スンテのフィードを毎熊晟矢に渡してしまうと、その毎熊に対応したのは奥埜を見ていた三竿。この時、奥埜と毎熊がスイッチしたことで奥埜はフリーとなり、プレッシャーがない状態で縦パスを入れることを許してしまっていた。

 2失点目も、連携ミスが否めなかった。ミンテが前に出てルーズボールを対処しに行ったところで、ボールに対応すべき関川郁万と広瀬が軽くお見合い。2人の間をスルーパスがきれいに通ったために失点につながってしまった。

 3失点目はその6分後。鹿島ゴールに向かって疾走するジェアン・パトリッキの勢いを止めることができないまま、スルーパスから逆転弾を許してしまった。


■三竿の起用法


 結果論に過ぎないが、三竿が交代した後に2失点を喫した。今季はCB起用が多い三竿だが、ここ2試合は本来のポジションであるボランチでスタメン出場しており、いずれにせよ、守備能力の高い背番号6がピッチにいるかどうかで、鹿島の守備強度は大きく変わる。カバーリング力やボール奪取能力、フィード力を生かしたCB起用も魅力だが、一方で、中盤のフィルター役でして相手の攻撃の芽を摘む頼もしさもある。チーム事情も大きく影響するが、どちらのポジションで起用するかは悩みどころだ。

 レネ・ヴァイラー監督は試合後に「鈴木(優磨)選手がゴールを決めてから自分たちが試合をコントロールする時間があったんですけど、カウンター2つで失点してしまい、全体的に守備がまだうまくいっていない状況」と振り返った。さらに三竿については、「ピトゥカと樋口(雄太)も数多くの試合をプレーしています。やるべきことを2人とも体現できてきている」としたうえで、「三竿がいなくなったという意見には賛同できないんですけど、ここからも試合が多いので交代しました」と反論した。

 鹿島の岩政大樹コーチは試合後に自身のツイッターで、「偶然の得点はあるが、偶然の失点はない。ただ、攻守は一体」と投稿し、失点の要因は単純にその場面だけではないことを示唆している。

 一方で、3失点をイーブンにする3得点を奪ったように、鹿島の攻撃陣は好調だ。得点ランキングトップだった上田綺世が抜けたものの、エヴェラウドが2試合連続ゴールと復調気味である。守備面での課題を修正できれば、強力攻撃陣を擁する鹿島の前に優勝奪還の文字が現れるはずだ。




◆【鹿島アントラーズ】三竿健斗の交代後に2失点で「求められるフィルター役」 レネ・ヴァイラー監督は「意見には賛同できない」と反論も「持ち上がる背番号6の起用法」(サッカー批評)