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2022年6月1日水曜日

◆【データが語る】26年ぶり日本人2桁得点一番乗りの上田綺世“代表の鹿島”伝統つなげるか?(ニッカン)






鹿島の日本代表FW上田綺世(23)が、5月29日の東京戦でJ1得点ランキング単独トップの10ゴール目をマークした。

シーズン2桁得点一番乗りは、優勝した08年のFWマルキーニョス以来、クラブ14年ぶり4人目。日本選手に限ると、こちらも初の年間優勝を果たした96年のFW長谷川祥之以来、実に26年ぶりだ。

ブラジルなどと対戦する6月の国際親善試合に臨む日本代表で、MFとFWでは唯一の国内組。不動の1トップだったFW大迫勇也(神戸)が不在の中、11月に開幕するワールドカップ(W杯)カタール大会メンバー入りへ、生き残りを懸けた正念場となる。

ここまで国際Aマッチ通算8試合無得点。クラブ別最多12人(15度)のW杯日本代表を輩出している常勝軍団の現エースFWとして、6月の4試合で目に見える結果を残し、偉大な先輩たちに続きたいところだ。

J1最多8度のリーグ優勝を誇る鹿島は、14年ブラジル大会を除く5大会でW杯日本代表を輩出。初出場だった98年フランス大会でDF秋田豊、DF相馬直樹、DF名良橋晃と最終ライン4人のうち3人が選ばれた。02年日韓大会では1大会クラブ別最多となる6人が出場し、決勝トーナメント進出の原動力になった。

MF小笠原満男とFW柳沢敦が02年から2大会連続で出場し、10年南アフリカ大会以降はDF内田篤人ら4人のDFがメンバー入り。前回の18年ロシア大会で選出されたDF昌子源(現J1G大阪)は「鹿島を代表して頑張っていきたい」と、センターバックの主力として1次リーグ突破に貢献した。

W杯で鹿島所属選手のゴールは02年大会のFW鈴木隆行のみ。日本代表の海外組の比率が80%近くを占める中、国内リーグを活性化する意味でも、ハイペースでゴールを量産する鹿島のエースFWに懸かる期待は大きい。


〈鹿島のJ1リーグ戦2桁得点一番乗り〉

93年 アルシンド 28試合22得点 年間2位
94年 アルシンド 43試合28得点 年間3位
96年 長谷川祥之 25試合12得点 優勝
08年 マルキーニョス 30試合21得点 優勝
22年 上田綺世 16試合10得点 ?

※成績は最終の出場記録とチーム順位(今季の上田は6月1日現在)


〈鹿島のW杯日本代表〉

▼98年フランス大会(3人)
DF秋田  豊(27)
DF名良橋 晃(26)
DF相馬 直樹(26)

▼02年日韓大会(6人)
GK曽ケ端 準(22)
DF秋田  豊(31)
DF中田 浩二(22)
MF小笠原満男(23)
FW鈴木 隆行(25)
FW柳沢  敦(25)

▼06年ドイツ大会(2人)
MF小笠原満男(27)
FW柳沢  敦(29)

▼10年南アフリカ大会(2人)
DF岩政 大樹(28)
DF内田 篤人(22)

▼14年ブラジル大会(0人)
選出なし

▼18年ロシア大会(2人)
DF昌子  源(25)
DF植田 直通(23)


○…鹿島出身で海外リーグ移籍後にW杯日本代表に選ばれた選手も多い。06年ドイツ大会でMF中田浩二(バーゼル)、14年ブラジル大会ではDF内田篤人(シャルケ)とFW大迫勇也(ケルン)、18年ロシア大会ではMF柴崎岳(ヘタフェ)とFW大迫勇也(ブレーメン)がメンバー入りしている。





◆【データが語る】26年ぶり日本人2桁得点一番乗りの上田綺世“代表の鹿島”伝統つなげるか?(ニッカン)




◆上田綺世の「チームを勝たせるゴール」で鹿島から世界へ。多彩なゴールバリエーションが魅力的【コラム】(サッカーマガジン)






16試合で10ゴール。明治安田生命J1リーグの得点ランクでトップに立つのが、鹿島アントラーズのFW上田綺世だ。どこからでも、どんな形からでも決めきるシュート技術の高さを見せているが、ここからは日本代表での活動に入る。鹿島から世界へ。チームを勝たせるゴールで高みを目指す。


「バリエーションはフォワードの価値に直結する」


 5月29日のJ1第16節でFC東京に1-3と敗れ、首位の座も横浜F・マリノスに譲った鹿島アントラーズにあって、唯一のゴールで反撃ののろしを上げたのは上田綺世だった。

 54分、アルトゥール・カイキの左からの折り返しに和泉竜司がヒールで残したボールを、右足のインステップでゴール左に確実に送り込んだ、ていねいなゴールだった。

 3点のビハインドとなった直後のこのゴールで2点差としたあと、上田が絡んで作ったチャンスなどを決めきっていれば、0-3から追い上げた前節のサガン鳥栖戦の再現もあるのではと思わせた。結局それはならなかったが、劣勢を好転させる上田の決定力は光った。

 これで今季10得点目とし、3年連続で2ケタ得点に乗せ、得点ランキングのトップを走る。本人は「今日の試合、負けたのでそれがすべて。あくまで勝つために点を取りにいっているので、シーズンを通して何点とか、何年連続というのは考えていない」と記録にはそっけないが、16試合で10ゴールと最多得点を挙げているのは、Jリーグでトップクラスのストライカーであることの証しだ。

 この日のゴールや鳥栖戦でのチームの2点目のように、スペースのない状況でもコンパクトな足の振りでダイレクトに決めることができ、スルーパスに走り込んでのゴールも多く、ペナルティーエリアの外から豪快に決めることもある。相手と競り合ってのヘディングも強く、ゴールのパターンは多彩だ。

 身体能力が高く、縦へ出るスピードと動き出しのタイミングの良さ、高いジャンプ力も備え、ストライカーとしての資質は抜群だ。技術的にもワンタッチでのコントロールが確実で、シュートへのキックは種類も多く、正確に蹴ることができる。ここまでの10得点は得意の右足が7、左が2、ヘッドが1という内訳になる。

 第11節のジュビロ磐田戦で、左足で2ゴールを決めたときに「ゴールのバリエーションはフォワードの価値に直結すると思うので、いろんなゴールが取れるようにこれからも練習していきたい」と話したように、さまざまな形から得点できることを意識しており、ストライカーとしての高い意識を感じさせる。

 この後はインターナショナルマッチデーの日本代表の活動に入る。これまでエースとして君臨してきた大迫勇也がコンディション不良のために今回はメンバーから外れ、中央に構えてポストプレーもこなすタイプは上田だけになった。それだけ期待も大きいということで、前線の軸となることが求められる。

 日本代表でのプレーについては「自分の特徴を体現できるように頑張りたいです」とコメント。特徴とはどんな形からでも得点できることだろう。パラグアイ、ブラジルといった南米の強豪を相手に持ち味を発揮して、何よりゴールという結果を残すことができれば、ワールドカップ本番への大きなステップアップとなる。

 エースとして期待された昨夏の東京オリンピックでは、負傷の影響もあって出番が限られ、追加招集された林大地(シントトロイデン=ベルギー)にポジションを譲る格好となった。それだけにワールドカップへの思いは強いはずで、6月シリーズはその試金石となる。ワールドカップを見据え、日本代表でも「チームを勝たせるためのゴール」に期待したい。




◆上田綺世の「チームを勝たせるゴール」で鹿島から世界へ。多彩なゴールバリエーションが魅力的【コラム】(サッカーマガジン)





◆【鹿島】必勝態勢で臨む天皇杯新潟医療福祉大学戦。染野唯月「プロとしてのあるべき姿を示さなければいけない」(サッカーマガジン)






5月30日、鹿島アントラーズの染野唯月が練習後のオンライン取材に応じた。チームは29日のJ1第16節FC東京戦に敗れ、3試合未勝利となった。リーグ戦は中断期間に入り、次は6月1日にカシマスタジアムでの天皇杯2回戦・新潟医療福祉大学戦を戦う。


「チームのためにできることを精いっぱいやっていきたい」


 試練の3連戦となった。5月14日の第13節札幌戦から中2日、中3日での試合が続くなか、第14節浦和戦と第15節鳥栖戦では勝ち切れずに引き分けに終わり、前節のFC東京戦は敗北。3試合で勝利から見放され、リーグ戦の中断期間に入った。

 それでも、連戦は終わらない。FC東京戦から中2日の6月1日には天皇杯2回戦の新潟医療福祉大学戦が控える。大学生との試合ではあるが、1回戦でJ3の八戸を破って勝ち上がってきている相手であるだけに、鹿島としても決して油断はできない。

「(相手が)大学生ということで、自分にとっては同年代の人たちと戦うことになる。プロとしてのあるべき姿、戦う姿勢であったり、そういったところを示さなければいけません」

 20歳の染野唯月は、そのように新潟医療福祉大学戦を見据える。高卒でプロ入りした染野にとって、自身の真価を示したい一戦だ。

「まずは点を取ること。結果が必要です。そして、チームとして絶対に勝たなければいけない試合なので、チームのためにできることを精いっぱいやっていきたいと思っています」

 鹿島の最前線で奮闘する背番号「19」が、チームを勝利に導くためにゴールへと突き進む。




◆【鹿島】必勝態勢で臨む天皇杯新潟医療福祉大学戦。染野唯月「プロとしてのあるべき姿を示さなければいけない」(サッカーマガジン)





◆【鹿島】加速した“縦に速いスタイル”がぶつかった壁。求められる戦い方の多様化(サッカーダイジェスト)






敵将は「インテンシティが下がることも予想していました」


[J1第16節]FC東京3ー1鹿島/5月29日/味の素スタジアム

 前節の鳥栖戦に続き、後半立ち上がりまでに3失点を喫したFC東京戦では、上田綺世の今季10ゴール目が決まったものの、鹿島は1ー3で敗れた。

 レネ・ヴァイラー監督が掲げた「縦に速いサッカー」で今季ここまで上田の10得点をはじめ、鈴木優磨が6ゴール、アルトゥール・カイキが4ゴールと、前線の3選手で20得点を挙げている。チームの総得点は、今節で首位に立った横浜(30得点)に次いでリーグ2位の27得点だ。

 シンプルにゴールを目指すスタイルは、前述の選手たちの個人能力の高さも相まって、対戦相手に分析されても“分かっていても止められない”強みを持つ一方で、FC東京戦では自分たちの強度が落ちると単調になってしまうという弱さも露呈した。

 前半の立ち上がりから相手陣内に攻め込み、15分にはブエノのパスに上田が反応し、こぼれ球を拾ったA・カイキが際どいシュートを放つなど、鳥栖戦以上に先制点の気配を漂わせていた。球際の攻防で一進一退の状況で推移するなかでも、FC東京に決定機を与えていなかった。

 しかし、飲水タイム後の25分頃から相手にチャンスを作られると、33分に左SBの小川諒也からの楔のパスを受けた渡邊凌磨に、ディエゴ・オリヴェイラとのワンツーからシュートを許し、先制点を献上してしまう。

 失点直後に反撃ムードを作り上げ、樋口雄太、A・カイキらがシュートを放つが、ネットを揺らせずにいると、42分にアダイウトンの突破から最後は渡邊にゴールを決められ、リードを広げられてしまう。

 先制点を狙い、リスク覚悟で攻め込んだが、ゴールを奪えず、逆にピンチを招くのはよくあることと言えるが、敵将の言葉を借りれば相手にとっても想定済みの内容でもあった。

「アントラーズさんがクオリティの高い選手を揃えていること、最初からインテンシティの高い守備をしてくることは予想していました」。さらには「今日は暑いことが予想されましたし、過密スケジュールでの試合でしたので、前半も後半も20分ほどで鹿島のインテンシティが下がることも予想していました」(FC東京・アルベル監督)

 縦に速く、強度の高い鹿島のスタイルは、夏場の連戦では体力の持続で不利に働く一面もあるだろう。鈴木の復帰でチームに勝利へのこだわりと“アツさ”が生まれ、今のスタイルを加速させた一方で、今後はゲームコントロールや、守られた相手を崩す工夫など、戦い方の多様化が必要になりそうだ。

 ヴァイラー監督も日頃から「現代サッカーで分析されるのは当たり前」と語っているだけに、今後どのような策を講じていくのか。

 FC東京戦後に指揮官は、こう語った。

「2週間リーグ戦が中断することは、我々にとって良い時間。苦しい試合が続いていたので、立て直しの時間にしたい。順位も良いところにいると感じている。この期間は、改善しなければいけない部分を改善していく良い時間となる」

 天皇杯とルヴァンカップのプレーオフステージ2試合を挟んで迎える、6月18日の第17節・京都戦に注目だ。

取材・文●渡邊裕樹(サッカーダイジェスト編集部)




◆【鹿島】加速した“縦に速いスタイル”がぶつかった壁。求められる戦い方の多様化(サッカーダイジェスト)