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2023年3月9日木曜日

◆シミュレーション? 絶妙テクニック? 横浜FC×鹿島、PA内でのファウル&PK判定に「非常に難しい」の声(FOOTBALLZONE)






「Jリーグジャッジリプレイ」で日本代表OBや元主審の家本氏が見解


 スポーツチャンネル「DAZN」の判定検証番組「Jリーグジャッジリプレイ」で、3月4日に行われたJ1リーグ第3節、横浜FCと鹿島アントラーズの試合が取り上げられた。この場面では前半22分、横浜FCのMF山根永遠がペナルティーエリア内に切り込んだのに対し、鹿島のDF安西幸輝が寄せたところでファウルとPKの判定になった。

 横浜FCのスローインから山根が右サイドからペナルティーエリア内に侵入。遅れた安西は山根に対してゴールライン側の右後方から左腕をかけ、山根が転倒したところでファウルの判定に。飯田淳平レフェリーがPKを指示したが、足の接触はスロー映像からも見られなかった。

 ゲスト出演の元日本代表DF安田理大氏は「僕は守る側も攻める側も両方(経験が)ある。攻める側だったら、ちょっと手がかかるだけでバランスが崩れて倒れる。これはダイブではなく、PKが妥当だと思う」と話した。

 一方で同じくゲスト出演した元日本代表DF坪井慶介氏は「バランスを崩すほどの過剰な力が加わっているとは思わない」とした一方で、「だけど、(PKを)取られます。これはDFからしたら、本当に気をつけなければいけないところ。ちょっと触って抜けられたら取られるシーン。山根選手が上手かった。ドリブルのコース取りと、相手に触られた後。バランスは崩れたかもしれないが、踏ん張ろうと思えばできた。過剰な力は加わっていないけど、PKになってしまう」と、選手としての経験から話した。

 元国際審判員・プロフェッショナルレフェリーの家本政明氏は「左手が触れているのは事実。レフェリーのポジションから足が当たっているかを正確に見極めるのは難しい。手と足の接触があったと認識して言うと思うが、現場では不用意な接触でPKと判断したのでしょう。VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)は足の接触がないことは映像で分かる。ただ、主審とコミュニケーションを取っているので、手の影響があると見えるから、チェックコンプリートで現場の判定をフォローしたのでしょうし、それは理解できる」とコメントした。


「コンタクトがある以上はシミュレーションと言うのは難しい」


 一方で、家本氏は「安西選手の手がどれくらい影響したかという点で、影響を及ぼすなら足から崩れることは、コンタクトがない限りはない。左足、右足を前に運んでいますかという点で、手が離れたあとに、左足を踏ん張って崩す、右足を前に運ばず崩していっている。要は力を抜いているということ。ということは、手の影響があるよりも、自ら手のコンタクトを利用して倒れにいった印象をスロー映像では強く感じる。なので、不用意なFKとなる反則行為が行われたというのはテクニカルからは厳しいと感じる。そのため、ノーマルフットボールコンタクトとしてそのままプレーを続けさせたほうが良かったというシーンではないか。ただ、これは非常に難しい」とも話した。

 さらに家本氏は「シミュレーションか否かで言えば、コンタクトがある以上はシミュレーションの反則と言うのは難しい」とも話している。そして、このようなプレーへの捉え方は「グレーな価値観、考え方なので、日本のサッカーに関わる人がこういうものをありと思うか、止めていこうと思うのかで決まっていくと思う」とコメントした。

 坪井氏は「こういうシーンはなくしていきたいとは思う」としつつ、「現実的にはこれも含めてサッカーをというにも分かる」と触れた。一方で安田はUEFAチャンピオンズリーグ(CL)を引き合いに出し、「世界中の選手がCLを目指しているということは、あそこがトップ。そこに出ている選手はここでファウルをもらいにいかない。でも、難しい」とも語った。

 家本氏は判定に対する総括として、「レフェリーがこう吹いてしまったら、VAR家本はフォローする。現場のレフェリーとして、そう感じてしまったなら仕方ない。ただし映像で見る限りは、ファウルではないと思う」と話していた。