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2023年12月7日木曜日

◆鹿島GKクォンスンテが“引退試合”出場を固辞した理由 家族のセレモニー参加も断っていたが…(報知)



クォン・スンテ


 今季限りで現役を引退した鹿島の元韓国代表GKクォン・スンテ(39)が6日、鹿嶋市内で引退会見を行った。鹿島に7年間在籍し、公式戦通算163試合に出場。記録にも記憶にも残る選手として、ファン・サポーターに愛された。

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 自身の引退に際し、クォン・スンテは2度、断った。

 最初は家族に対して。最後の勇姿を見届けるべく、家族は最終節後に行われる引退セレモニーへの参加を望んでいたが…。

 「家族は行きたいと言ってくれたが、その日の主役はチームであり、鹿島が輝かないといけない日だと。家族には来なくていいと伝えました」。家族のセレモニー参加により、試合そのものの価値が下がることを懸念したという。

 それでも、そんな性格を熟知しているクラブ側の計らいで「サプライズゲスト」として家族は参加。「家族が見えた時は、申し訳なさと嬉しさと、複雑な感情があって、家族を見た瞬間に涙が出てきてしまいました」と苦笑いで振り返った。

 2度目は最終節の試合中、岩政大樹監督に対して。指揮官は最後の交代カードとしての投入を準備したが、固辞した。正GKの早川友基が、第1節から連続フルタイム出場を続けていたことが理由にあったという。

 「18年間プロでサッカーをやりましたし、全試合でフル出場することがどれだけ難しいかわかっています。そういう状況を考えて断りました。配慮してくれた大樹さんには、この場を借りて感謝の気持ちを伝えたい」

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 17年に全北(韓国)から鹿島入り。18年にACLを制し、自身3度目となるアジアの頂点に立った。「鈴木満さん(当時強化部長)から『ACLを何が何でも獲りたい』という話をされて鹿島に来た。厳しい戦いを勝ち抜いて優勝したことは財産」と誇った。

 準決勝の水原戦(第1戦)で相手に頭突きをするそぶりを見せたこと、試合後の「韓国のチームには負けたくなかった」というコメントが一人歩きしたこともあり、母国開催の第2戦で大ブーイングを受けた。それでも「大きな試合ほど小さなミスが勝敗を分ける」の信条を崩さず、毅然とゴールマウスに立った。

 20、21年は計12試合の出場にとどまった。足元の技術が求められる戦術に懸命にトライし、通訳なしの環境で生活した2年間でもあった。27試合に出場した22年は引退する意思を固めていたが、出場機会がないことを覚悟した上で、チームに残った。「自分にも役割があると思った。ベテランとして貢献できるところがあると。自分が教えられるのは技術よりメンタルの部分。それが今年はうまくいき、若い選手たちがいいプレーを見せてくれた」

 現役引退は、自身のパフォーマンスではなく後輩GKの成長を見て決断した。「若手が飛躍する姿をみて、自分の役割は果たしたという感覚があった」とユニホームを脱ぐことを決めた。サッカー人生に「悔いはない」と言い切った。

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 鹿島は今季も無冠に終わった。鹿島を「7年連続国内無冠」と表現する記事が、何本か流れていた。

 毎年のことだが、あれには正直、ムッとしている。確かにACLは「国内」タイトルではないし、誤報ではないのだが。これを機に言わせていただきたい。

 「偉大なGKが最後尾から鬼の形相でチームを鼓舞し、クラブ悲願のアジア制覇に導いた通算20冠目をなかったことにするな」と。「スンテさんがどれだけの覚悟で日本に来て、アジア制覇2度の経験をどれだけチームに還元したのか、知ってるのか」と。18年間の現役生活、本当にお疲れさまでした。(18~19年鹿島担当・岡島 智哉)








◆鹿島GKクォンスンテが“引退試合”出場を固辞した理由 家族のセレモニー参加も断っていたが…(報知)