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2023年1月17日火曜日

◆J1鹿島加入の知念慶 背番号「13」の重圧関係なし「勝利に貢献したい」(デイリー)






 J1鹿島が15日、茨城県鹿嶋市内で新体制発表会見を行った。川崎から完全移籍で加入したFW知念慶(27)は「自分が成長したい思いが強く移籍を決断した。チームの勝利に貢献したい」と決意を語った。

 タイトルから遠ざかる鹿島だが、川崎での経験を軸に「いい時期も悪い時期もサッカーに真摯(しんし)に向き合う姿を見せたい」と意気込んだ知念。柳沢敦、興梠慎三(現浦和)らが背負ったエース番号『13』には「重圧は感じるので、あまり考えないようにしたい」と話していた。





◆J1鹿島加入の知念慶 背番号「13」の重圧関係なし「勝利に貢献したい」(デイリー)

◆「仲良しこよしでやっていても勝てない」鹿島復帰の昌子源が語る“常勝”の秘訣(サッカーダイジェスト)






昌子は土居、鈴木、クォン・スンテとともにキャプテンを務める


 鹿島アントラーズは1月15日、鹿嶋市内で新体制発表会を実施。国内3大タイトルの奪還を唯一無二の目標として掲げ、2年目を迎える岩政大樹監督の下、選手やサポーター、アントラーズファミリーが一丸となって取り組む。

 メルカリの小泉文明社長の挨拶で始まった会は、今回からサポーターを会場に入れて行なわれ、オンライン配信も実施された。

 その中で、キャプテン4人体制を発表。昨季からの土居聖真のほか、クォン・スンテ、鈴木優磨、そして5年ぶりに復帰した昌子源が務める。

 今季の新戦力として登壇した昌子は、「ただいま」との第一声に続けて、「5年ぶり、こうやって帰ってこれるとは思っていなかった。アウェーで(対戦相手としてカシマスタジアムに)来た時から、『帰ってこい』といろんな方々に言って頂いていた。こうやって実現できて嬉しい」と復帰の心境を語った。

「新しい鹿島をつくるうえでも、鹿島を体現できる選手として、僕の名前が挙がったのは光栄」

 Jリーグ最多の20冠を獲得してきた鹿島だが、昌子がキャプテンを務め、ACLを制覇した2018年以降はタイトルから遠ざかっている。

 覇権奪還について、再びキャプテンのひとりとなった昌子はこう語る。

「僕と植田直通が注目されているのは分かる。自分たちでも分かっているからこそ、目に見える数字を残したい。ただディフェンダーなので、具体的な数字は難しい。チームとしては優勝。個人としては鹿島のために自分がどう振る舞えば良いのかが重要だと思う」

 さらに、復帰直後には「すべてが分かっているわけではないが、帰ってきた身として、仲良しこよしでやっていても勝てない。鹿島がタイトルを取れていないのは事実」と合流初日に挨拶で話したと言い、「練習あっての試合。紅白戦の相手がJリーグで一番強いという鹿島だった」とかつて自身が経験した“常勝軍団”復活へ意気込みを語った。

「(鹿島を離れて)一番変わったのは年齢。フィールドプレーヤーでは最年長になった。30歳でその立場になるとは思わなかった。ただ、振る舞いは(キャプテンを務めていた)当時から変えることなくやって行けば良いと思う。この数年間でいろんなものを経験した。もちろん怪我もあったし、残留争いもした。それをどうチームに還元できるか」

 それは「言葉ではなく、先輩たちが見せてくれて来たように、自身の背中で示していきたい」と想いを語った。

 現在昌子は右膝内側側副靱帯損傷で約6週間の治療期間が必要だと発表されている。戦力としてチームに合流するのは少し期間が必要だが、そのリーダーシップで早くもチームに影響を与え始めているようだ。

取材・文●渡邊裕樹(サッカーダイジェスト編集部)




◆「仲良しこよしでやっていても勝てない」鹿島復帰の昌子源が語る“常勝”の秘訣(サッカーダイジェスト)





◆2023年のテーマは“鬼迫” 古巣・鹿島で再出発の植田直通が目指すタイトルと代表復帰(サッカーキング)






「僕の目標はタイトル。それしか考えていません。チームのために戦えば、自ずと結果がついてくると思っています」

 1月15日に行われた鹿島アントラーズの2023年新体制発表会。2018年夏以来の古巣復帰となる植田直通は、イベント後の会見で改めて強い決意をにじませた。

「結束してタイトル奪還を目指す」。これを2023年の強化指針に挙げた鹿島にとって、彼と昌子源というタイトル獲得経験のある2人の復帰は力強い材料と言っていい。

 岩政大樹監督も「伝統的に鹿島には常勝軍団を体現する先輩がいて、自分と照らし合わせて追いつけ追い越せで努力する環境があった。『新しい鹿島を作る』と僕は言っているが、彼らは指標となるべき存在」と話していたが、植田自身もその覚悟を胸に秘め、4年半ぶりに戻ってきたのである。

「僕も海外でやっていろんなことを経験しましたし、物凄くハングリー精神がついた。人間的にも少しは大きくなれたのかなと思う部分があります。海外ではうまくいかないことがたくさんあって、それが当たり前。そういうことを乗り越えて日本に帰ってきたので、かなり余裕を持ってやれると思う。経験を生かしながらやっていきたいです」

 しみじみとこう語ったが、ベルギー、フランスでのキャリアは本当に一筋縄ではいかなかった。

 2018年夏から2年半を過ごした最初のクラブ、サークル・ブルッヘではコンスタントに試合に出ていたが、つねに下位争いを強いられる難しさに直面した。

「チームを立て直すことが僕の役割。この苦境は『神様が与えた試練』だと思ってます。このチームでは若い方ではないし、約束事なんか関係ないやつばかりだから、僕が制御しないといけない部分も結構ある。彼らの良さを失わせないように修正することが必要なんです。それに自分も単純な空中戦で競って勝てるとは思わなかった。日本では身体的に必ず勝てたけど、ベルギーには2メートル超の選手もいますし、相手を自由にさせないポジション争いや技術にはかなりこだわってきた。そこはうまくなったという実感はあります」

 サークル・ブルッヘで奮闘していた2019年10月。植田はこんな話をしていたことがある。もともと人見知りで、口数の少なかった彼がリーダー、集団を統率する自覚を口にしたのは、この時が初めてだったかもしれない。ちょうど同時期に結婚し、家族を持ったことも、自身のマインドを変化させるきっかけになったのだろう。

 2021年1月には、当時フランス1部のニームへ赴いたが、半年で降格。2021-22、2022-23シーズンは2部での戦いを余儀なくされた。昨シーズンは出場機会を与えられたからまだよかったが、今シーズンはほぼピッチに立てなくなった。本人もプロ入り後、初めての苦境に直面し、もがき苦しんだに違いない。

 その煽りを受け、断続的に呼ばれていた日本代表も、2022年3月のFIFAワールドカップカタール2022アジア最終予選の2連戦を最後に遠ざかることになった。結果的に大津高校の先輩でもある谷口彰悟にDFの枠を奪われる形になり、2大会連続のW杯参戦を逃してしまったのである。

「(カタールW杯は)僕もフランスで見ていましたけど、今まで一緒にやってきた選手たちがたくさんいて、その中に入れない悔しさはもちろんありました。彼らが頑張っている姿を見て、すごく刺激も受けましたけど、その場に立てていない悔しさをより感じた大会でした。今のメンバーのほとんどが海外組。僕は日本に帰ってきましたけど、自分次第で変わってくる。次の大会がすごく注目される中で、ベスト8を狙うのではなくて、もっと上を目指せるように、自分の能力を高めていければいいなと思ってます」と彼は今一度、高みを追い求める覚悟だ。

 そのためにも、常勝軍団復活は不可欠な命題だ。昌子がいきなり長期離脱してしまったこともあり、植田が最終ラインの統率役を担うことになるのは確か。15日の南葛SCとの練習試合でも関川郁万、佐野海舟らとセンターバックを組んでいたが、彼らをはじめとしてキム・ミンテや昌子を含めた面々と強固な連携を構築し、鉄壁の守備組織を構築することができれば、タイトルにまた一歩近づいていくはずだ。

 昌子も「鹿島がここ何年かタイトルを取れていなかったのは、どこかで甘えがあったり、仲良しこよし、言い合いがなかったせいかもしれない。サッカーはそんなに甘いものではない。他のJリーグチームより紅白戦の相手が一番強い時の鹿島が一番強い。そういう雰囲気を作りたい」と言っていたが、植田もその意見に大いに賛同している。

「日頃の練習からどれだけ厳しさを持ってやれるかが大事。そういう気持ちで取り組めれば、必ず結果はついてくると思ってます」と語気を強めた植田。自身が掲げた今季のテーマである「鬼迫(きはく)」という言葉を体現するような荒々しいパフォーマンスを披露して、鹿島に7年ぶりの国内タイトルをもたらしてほしい。

取材・文=元川悦子





◆2023年のテーマは“鬼迫” 古巣・鹿島で再出発の植田直通が目指すタイトルと代表復帰(サッカーキング)





◆中村憲剛は知念慶を「天然」と紹介。鹿島新体制で中田浩二CROが“独自取材”を報告!(サッカーダイジェスト)






同じく他クラブから移籍の藤井と佐野は…


 鹿島アントラーズは1月15日、2023年シーズンの新体制発表会を実施。サポーターも観覧に訪れた会では、司会を務めた中田浩二CROが3人の新戦力について、独自の取材結果を報告した。

 川崎フロンターレから加入したFW知念慶については、同クラブOBの中村憲剛氏に連絡を取ったとし、「高い身体能力で左右両足から強烈なシュートが打てる。ジャンプ力もあって、身体はかなり無理が利くので、苦しい時に頼りになる」、さらに性格は「天然」と中村氏の評価を紹介した。

 続けて、サンフレッチェ広島から加入したMF藤井智也については、佐藤寿人氏へ質問したようだ。

「仕掛けの回数と推進力が素晴らしい。チャンスを作る指数はJリーグ全体で4位。ドリブル回数は1位。スピードに乗ったドリブルを見てほしい」とコメントを紹介した。

 FC町田ゼルビアから移籍してきたMF佐野海舟については、中田CROの帝京高時代の2学年先輩で、現在は町田のスカウト担当を務める丸山竜平氏に連絡。

「危機察知能力が素晴らしく、ボールを奪う能力が凄い。守備的なボランチで足も速い。J1に一番近い選手だと思っていたので鹿島に決まって嬉しい」と絶賛していた様子を報告した。

 新加入選手たちは、中田CROが紹介したとおりの活躍を披露できるか。鹿島は1月17日より宮崎キャンプをスタートさせる。

取材・文●渡邊裕樹(サッカーダイジェスト編集部)




◆中村憲剛は知念慶を「天然」と紹介。鹿島新体制で中田浩二CROが“独自取材”を報告!(サッカーダイジェスト)





◆【鹿島|ポジション別最新序列】開幕スタメン抜擢の可能性もある大卒ルーキーFW。中盤のポジション争いは激戦必至(サッカーダイジェスト)






正GKはクォン・スンテを予想も、早川と沖が猛追


 来るべき新シーズンに向けて、戦力補強やキャンプインなど、各クラブが着々と準備を進めている。いかなる陣容で新たな戦いに臨むか。本稿では、鹿島アントラーズのポジション別最新序列をお届けする。

――◆――◆――

【GK】
 現在38歳の大ベテラン、クォン・スンテがファーストチョイスと思われるが、その座を脅かすべく、猛追する2人のGKがいる。

 1人は明治大から鹿島に加入し、プロ3年目となる早川友基だ。安定したキャッチングとシュートストップに優れ、足もとの技術も高い。昨季J1第30節の鳥栖戦でJデビューを飾って以降、5試合連続フル出場と進境著しい注目株だ。

 そしてもう1人が2020年から2シーズンにわたり、正GKを務めていた沖悠哉。昨季こそベンチを温める機会が増えたものの、あらゆる面でバージョンアップし、スタメン奪取に意気込む。

 今年、漢陽工業高(韓国)を卒業と同時に鹿島入りした18歳のパク・ウィジョンは、アンダーカテゴリーの韓国代表に常時、名を連ねる逸材。鹿島ではあくまでも4番手の位置づけながら、身長192センチと、将来を嘱望される大型GKだ。

【DF】
 かつて鹿島のタイトル獲得に尽力した2人のCB、昌子源と植田直通が戻ってきた。ともに海外移籍を経験するなど、プロフットボーラーとして、また人として、さらに視野を広げての復帰。4バックの中央を担うのはこのコンビが“鉄板”だが、チーム始動早々に昌子が負傷離脱を余儀なくされた。開幕戦に間に合うか、微妙なところだ。

 その穴を埋めるのは、プロ5年目の関川郁万が有力。現役時代にセンターバックだった岩政大樹監督の薫陶を受け、鹿島のセンターバックたる自覚と責任感がいっそう深まっている。

 ただ、植田と関川は同じクラッシャータイプだけに、連係面を踏まえ、プレースタイルの異なるキム・ミンテの起用も十分に考えられるだろう。

 両サイドバックの顔ぶれに変化はなく、右サイドは引き続き、常本佳吾と広瀬陸斗が競い合う。攻守にわたってプレー強度の高い前者が一歩リードといったところか。

 左サイドはクラブ伝統の2番を背負う安西幸輝が不動の存在。他クラブで実戦経験を積み、昨季レンタルバックした小田逸稀、アカデミー出身で、プロ2年目の溝口修平がどこまで割って入れるか。


中盤から前は様々な形が想定される


【MF】
 昨季途中から指揮官のバトンを受け継いだ岩政監督は、選手の個性や試合展開に応じて大胆なシステム変更もいとわない。フィールドメンバーが同じ10人であっても必要とあれば、立ち位置を変えて戦うのが岩政流だ。ゆえに、新加入組やレンタルバック組が多い中盤から前の構成は様々な形が想定される。

 現段階ではアンカーを置く公算が高く、そのポジションに一躍、名乗りを上げたのが新加入の佐野海舟だ。ボール奪取力と展開力に長け、練習試合での好パフォーマンスによって周囲の信頼を勝ち得ている。とはいえ、鹿島加入2年目の中村亮太朗が2番手に甘んじるつもりなど毛頭ないだろう。

 鹿島での実績からサイドハーフの左はディエゴ・ピトゥカ、右は樋口雄太、トップ下は荒木遼太郎がそれぞれ務めそうだが、スピード豊かな新戦力の藤井智也、プロ4年目を迎え、成長著しい松村優太、バイタリティにあふれる仲間隼斗、怪我による長期離脱から復活した名古新太郎など、甲乙つけがたい個性がひしめき合う。中盤のポジション争いは激戦必至だ。

【FW】
 2トップは自ら得点するだけではなく、周囲を活かす器用さを兼ね備える大黒柱の鈴木優磨と、宿敵の川崎から相当な覚悟を持って移籍してきたパワーシューターである知念慶の組み合わせがやはり一番手になるだろう。

 昨季のJ1では幸先よく滑り出しながら、チーム一の得点源だった上田綺世の海外移籍を境に、勝ちきれない試合が続いた。最終的にリーグ4位まで持ち直したものの、総得点は47。優勝した横浜のそれが70点で、2位・川崎は65点と、ずいぶん水をあけられた。“上田ロス”の払拭が明確な課題だけに、クラブ伝統の13番を託された知念にかかる期待は大きい。

 昨季、上田に続き、チーム2番目の得点を記録したアルトゥール・カイキ、昨夏に加入した190センチの大型FWのエレケ、攻撃に違いをもたらす土居聖真、武者修行の末、7年ぶりに鹿島に戻ってきた垣田裕暉など、2トップの選手層は厚い。

 そんななか、急速に評価を高めているのが大卒ルーキーの師岡柊生だ。スピードとテクニックを兼ね備え、献身的な守備も光る。序列を大きく覆し、開幕スタメンに抜擢される可能性も決して小さくない。

文●小室功(オフィス・プリマベーラ)




◆【鹿島|ポジション別最新序列】開幕スタメン抜擢の可能性もある大卒ルーキーFW。中盤のポジション争いは激戦必至(サッカーダイジェスト)





◆今季の鹿島アントラーズはガラリと変わる? 優勝目指すチームの変化と期待高まる新戦力【コラム】(フットボールチャンネル)






タイトル奪還を目指す鹿島アントラーズが2023シーズンに向けて始動し、15日には新体制発表会を開催した。昌子源らが復帰し、岩政大樹監督としても真価が問われる今シーズン、鹿島は変化を打ち出して優勝を目指す。そして、新戦力の加入は、鹿島にどういった色を加え、どういった結果をもたらすのだろうか。(取材・文:元川悦子)


「優勝を目指す」鹿島アントラーズ


 昨年8月にクラブOBの岩政大樹監督が就任したものの、それ以降のリーグは2勝6分2敗と結果を残せず、鹿島アントラーズはJ1・4位という結果でAFCチャンピオンズリーグ出場を逃した。YBCルヴァンカップと天皇杯も取れず、6季連続国内タイトルなしに終わっている。

 彼らにとって常勝軍団復活はまさに悲願。2023年は「結束してタイトル奪還を目指す」という強化方針の下、鹿島で優勝経験のある昌子源、植田直通を復帰させた。さらに国内で実績を残してきた知念慶、藤井智也、佐野海舟らを補強。レンタルに出していた垣田裕暉、染野唯月、須藤直輝も戻し、さらに新卒の師岡柊生、津久井佳佑、パク・ヴィジョンも獲得、下田栄祐が昇格し、より分厚い選手層で大目標に挑むことになる。

 そんな鹿島が15日、新体制発表会を実施。Jリーグ発足30周年にふさわしく、初めてソシオ会員を集めてお披露目を行った。

 熱気あふれる雰囲気の中、まず岩政監督が登壇。「今年は競争と成長を持って優勝を目指す」と宣言。これまで1人の中心選手が担っていたキャプテンを4人制にすることを明らかにし、今季は土居聖真、昌子、鈴木優磨、クォン・スンテが担うことになったという。

「キャプテン1人だと正直、いろんなことを抱え込んでしまうところがあった。切磋琢磨しながら問題解決できるのはいいこと」と土居も前向きにコメントしていた。


「勝つというのはそんなに甘いもんじゃない」


 確かに、近年のキャプテンだった三竿健斗や土居はチーム第一志向が強すぎて自身のパフォーマンスにブレーキがかかる部分があった。それを防ぐ意味でも分業制にするのは悪くない選択。チーム統率役を担う面々がイキイキと躍動あるプレーを率先して示せるようになれば理想的だ。

 今季の34人の陣容を見ると、昨季優勝を争った横浜F・マリノスや川崎フロンターレと比較しても見劣りしないと言っていいだろう。

 特に大きいのは、昌子と植田の復帰。岩政監督は始動日だった6日のオンライン取材で「伝統的に鹿島には常勝軍団を体現する先輩がいて、自分と照らし合わせて追いつけ追い越せで努力する環境があった。『新しい鹿島を作る』と僕は言っているが、鹿島を知らずしてそれはできない。タイトル獲得経験のある昌子と植田にはその指標になってほしい」と語っていたが、2人はかつて小笠原満男らから学んだものを継承していく大仕事が託されるのだ。

「仲良しこよしでやっていても勝てない。鹿島がここ何年かタイトルが取れていないのは、もしかしたらどっかで甘えがあったり、言い合いがなかったのかもしれない。勝つというのはそんなに甘いもんじゃない。他のJリーグの相手じゃなくて、紅白戦の相手が一番強い時の鹿島が一番強い。そういう雰囲気を作りたい」と昌子も語気を強めたが、ピリピリとした緊張感と競争意識を取り戻すのが、タイトル奪還への第一歩と言えるのではないか。

 新体制発表会に先駆けて同日午前中に行われた南葛SCとの今年初の練習試合でも、そういった雰囲気の一端が垣間見えた。


垣間見えた新たなバリエーション


 始動間もない実戦ということもあり、20分×3本という短いゲーム形式だった。負傷離脱中の昌子や津久井、体調不良の染野らは欠場したが、1本目から新戦力の師岡が2ゴールをゲット。3本目にはレンタル復帰組の垣田も2点を叩き出すなど、新たなサバイバルのスタートという印象を色濃く残している。

 王者奪還に向けて絶対に克服しなければいけない課題は、昨季J1通算47得点という横浜、川崎に比べて見劣りした得点力をアップさせることだ。しかも、昨季はシーズン途中にセルクル・ブルージュに移籍した上田綺世が10点と彼への依存度が高かった。アルトゥール・カイキが9点、鈴木優磨が7点と健闘はしたものの、彼らを含めてさらなるゴール量産が必要なのは事実。そこは最重要テーマの1つと考えていい。

 南葛戦の鹿島は4-2-1-3(4-2-3-1)に近い布陣で戦っていたため、今季の前線は1トップとセカンドトップ(トップ下)という組み合わせが有力。それぞれの候補者を見ると、前者は知念、エレケ、垣田、染野、後者は鈴木優磨、荒木遼太郎、名古新太郎、土居あたりが陣取りそうだ。今回は知念・荒木、エレケ・鈴木、垣田・名古、あるいは垣田・土居の組み合わせで戦っていたが、ここから連係強化が進み、新たなバリエーションが生まれていけば、より多様な戦い方ができそうだ。

 特に垣田は注目株。練習試合の3本目に奪ったゴールの1点目は華麗なミドルシュートで、もう1点は相手DFのクリアボールが当たって入るという泥臭い形。いろんなパターンから得点を奪えるのは大きなストロングポイントだ。「自分はFWなんで点を取らなきゃいけないという目標はある。一昨年の徳島で8点、去年の鳥栖で6点を取っているので、今年は2ケタゴールを目指したい」と本人も意気込みを新たにした。


新たな常勝軍団を作り上げるには…


 身長187cmの垣田は高さを生かしたプレーもできるし、スピードを生かしながら献身的な守備やハードワークもできる。本人も「大きい選手が苦手な走ることや足元の技術を出すことができる。それはJ2からJ1で一歩一歩自分の足でゆっくり登った成果。やっと鹿島に挑戦するところまで辿り着けたので、一生懸命やりたい」と強調した。ギラギラ感の強い男の加入は前線を活性化させそうだ。

 一方、新戦力の中で期待値の高い師岡はサイドが主戦場になる見通し。この日の1本目でも仲間隼人と左右を入れ替えながらプレーし、ゴール前での鋭さを示していた。その一挙手一投足には南葛の元日本代表・今野泰幸らも驚きを口にしたほど。かつて関川郁万とFC多摩でプレーしていたこともあり、チーム適応もスムーズに進んでいる様子だ。

「東京国際大学もそうだけど、今までの僕は強いチームを倒す側にいた。でも今回は初めて強いチームに入った。ここで自分が活躍できるかどうかが問われる。ここで最大限アピールできれば、上に行ける」と野心を露にしていた。

 こういった新たな顔ぶれがチームを活性化させ、常勝軍団らしい厳しさと意識の高さを全員がピッチ内外で表現できるようになれば、今季の鹿島はガラリと変わるかもしれない。昌子の長期離脱は痛いが、その分、人間的に成熟した植田がしっかりとリードしてくれるだろう。そういった部分を含め、ここからの動向が大いに楽しみだ。

 2023年は鹿島から目が離せない。

(取材・文:元川悦子)

【了】




◆今季の鹿島アントラーズはガラリと変わる? 優勝目指すチームの変化と期待高まる新戦力【コラム】(フットボールチャンネル)