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2023年11月4日土曜日

◆福岡DF小田逸稀、ルヴァン杯決勝へ…“親友”の思いも胸に「綺麗なストーリーを完結させる」(サッカーキング)



小田逸稀


 3日、2023JリーグYBCルヴァンカップ決勝を翌日に控えたアビスパ福岡のDF小田逸稀は、同大会の初優勝に向けて、決意を口にした。

 今年で25歳になった小田は、プロ生活7年目。ここまでの道のりは、決して平坦ではなかった。

 第94回全国高校サッカー選手権大会とインターハイの2冠を達成した東福岡高校から、鹿島アントラーズに加入したが、プロの壁にぶつかり、3年間でリーグ戦の出場はわずか8試合のみ。出場機会を求め、4年目にFC町田ゼルビア、5年目にはジェフユナイテッド市原・千葉へ期限付き移籍した。

 J2での2年間の武者修行を終え、昨季は満を持して鹿島へ復帰。しかし、ポジション争いに敗れ、公式戦わずか6試合のみの出場にとどまった。「あらためて、すごいチームだと感じさせられた。もう少し試合に出て、チームの勝利に貢献したかったけど、残念だった…」。J2で培った自信は徐々に失われていった。

 だが、出場機会が限られたなかでも、自分自身にベクトルを向け、貪欲に上を目指すことはやめなかった。コンディションを保つために、常に自己管理も徹底。本人は鹿島で過ごした日々を「悔しかったけど、自分の力を伸ばすことのできた、いい1年だった」と振り返る。

 そして、迎えた今シーズン、ついに弛まぬ努力が実を結んだ。鹿島でのプレシーズンキャンプで手応えを掴めずにいたところ、アビスパ福岡からオファーが届く。「鹿島でなかなか試合に出られなくて、燻っていたところ、ありがたいことに声をかけていただいた」。小田は迷わず、新天地への移籍を決断した。

 福岡に移籍して10カ月が経った今、あのときの決断は「正解だった」と感じている。今季はここまで、J1でのキャリアハイとなる28試合に出場。元々控えめな性格ゆえ、「段々と課題が浮き彫りになってきた部分もある。J1の洗礼を受けたなという感じ」と、自身の課題も謙虚に話したが、「最初から試合に出してもらって、序盤は自分でも納得のいくようなパフォーマンスを見せられた。自分のストロングポイントがJ1でも活かせることもわかった。プロサッカー選手になってから、1番充実したシーズンになっていると思う」と、頼もしく語った。

 J1でコンスタントに出場機会を得たことで、自信が深まり、その自信はさらなる成長につながった。「チームメートも、監督も、スタッフも、サポーターの方々も、自分のヘディングの強さを期待してくれている。それで、すごく自信がついたし、自分が負けてはダメだなという思いが強くなった」と、充実感が溢れる表情で語る。そして、「素晴らしい人柄で、優しいし、1人ひとり選手のことを思ってくれる」という長谷部茂利監督のもと、より一層、「自分の特長を自信をもって発揮できるようになった」。

 そんな大きな手応えを掴み、チームでの立場も確立した小田は、4日、アビスパ福岡の一員として、ルヴァンカップ決勝に臨む。

「鹿島のときに、ACL(AFCチャンピオンズリーグ)のタイトルを獲得させてもらったことはあるけれど、当時は今と(チーム内の)立ち位置が違った。(明日勝てば)胸を張って、初めてタイトルを獲得したと言える。決勝の舞台に立てるチャンスがある今の状況は、すごくうれしい。本当に、選手としてずっと忘れられない日になると思う」

 決勝の舞台は、キャリアのなかで何度立てるかわからない。そして、誰もが立てる舞台ではない。だからこそ「勝ちたいという思いが強くなる」。幾多もの苦悩を乗り越えてきた分、今、それを強く実感している。

 そして、もう一つ。小田には勝たなければならない理由がある。

「凌我の分までという気持ちはあります」

 東福岡高校時代の同級生であり、親友の佐藤凌我(アビスパ福岡)の存在だ。佐藤は今大会の準々決勝第1戦で全治8か月の大怪我を負った。佐藤の無念を背負った小田は、4日後に行われた準々決勝第2戦で1ゴール、1アシストの活躍を見せ、福岡を準決勝進出へ導いた。もちろん、決勝でも佐藤の思いを背負って戦う。

「凌我がケガしたあとの試合でも決めたし、決勝でもゴールを決めて、綺麗なストーリーを完結させたい。明日は絶対に勝って、美談にしたい」

 これまで味わったきた悔しさと、“親友”への思いを力に変え、「胸を張って言える初めてのタイトル獲得」へ。小田は、佐藤とともに戦った第94回全国高校サッカー選手権大会以来となる決勝の舞台へ挑む。




◆福岡DF小田逸稀、ルヴァン杯決勝へ…“親友”の思いも胸に「綺麗なストーリーを完結させる」(サッカーキング)





◆【鹿島】浦和戦で惜しいFK弾、樋口雄太「チームのために何ができるか自問自答」(サカノワ)



樋口雄太


新方式のACL出場権を得るため、一つでも上の順位を目指す。


 J1リーグ鹿島アントラーズは10月28日、浦和レッズとのホームゲームをスコアレスで引き分けて勝点1を獲得した。ただ最近リーグ戦は4試合勝ち星がなし。順位も7位まで下げた。

 試合全体を振り返ってみると、4-4-2の布陣に戻したことで、鈴木優磨と垣田裕暉からスタートするプレッシング強度は高く迫力もあった。選手たちの意思疎通は前回ヴィッセル神戸戦(4-2-3-1でスタート)よりも感じられた。

 ただ中央に厚い壁を築くという浦和の守備をどのように崩すのか。相手も不慣れな4-4-2を採用してきていただけに、そのあたりを逆に利用する算段や攻略法は感じられなかった。 

 この試合で最も惜しかったチャンスが、試合終盤、樋口雄太の直接フリーキックのチャンスだった。その狙いすましたショットが浦和ゴールを襲い、GK西川周作の頭上を越える――。しかし……ボールはクロスバーを直撃し、ゴールネットを揺らせなかった。樋口は浦和戦のあと、これからに向けて「上に行くには、足りなかった精度を上げるため、自分にフォーカスして、チームのために何ができるのかを自問自答しながらやっていきたいです」と語っていた。 

 鹿島はリーグ残り3試合、柏レイソル(11/11 ホーム)、川崎フロンターレ(11/24 アウェー)、そして横浜FC(12/3 ホーム)と対戦する。新方式となる2024-25シーズンのAFCアジア・チャンピオンズリーグは、ACLエリート(欧州[UEFA]のチャンピオンズリーグ(CL)に実質相当)にリーグ上位2チーム(+天皇杯優勝チーム)、ACL2(欧州[UEFA]のヨーロッパリーグに実質相当)にリーグ3位1チームに出場権が与えられる。またACL優勝枠や浦和の成績などによって、4位などにもチャンスが与えられる可能性がある。

 一つでも上の順位へ。初採用となるACL2に出場し、初代王者を目指すという道に向かうのもあながち悪くはない。5シーズン連続無冠が決まった鹿島が、勝利と栄冠、何よりサポーターとの歓喜の瞬間に飢えている。




◆【鹿島】浦和戦で惜しいFK弾、樋口雄太「チームのために何ができるか自問自答」(サカノワ)