http://www.hochi.co.jp/soccer/japan/20141011-OHT1T50024.html
◆国際親善試合 日本1―0ジャマイカ(10日・デンカビッグスワンスタジアム)
MF柴崎岳(22)=鹿島=が攻守に存在感を見せ、2016年ロシアW杯のエースに名乗りを上げた。前半16分のシュートで相手のオウンゴールを誘発。その後もチームを引っ張り、ハビエル・アギーレ監督(55)から「ワールドクラス」と絶賛された。チームの「王様」FW本田圭佑(28)=ACミラン=は、前半32分に相手GKと1対1のシュートを外すなど、不発に終わった。
紛れもなくアギーレ・ジャパンの司令塔だった。後半8分、MF柴崎は右サイドでボールを受け、相手DFライン裏へ長い30メートルのスルーパスを通した。その3分後にはゴール前のFW岡崎へクロス。トラップを含め、わずか2タッチで決定機を作った。そして、この日唯一の得点となったオウンゴールを誘発するシュートを放ったのも柴崎だ。決定機の前には、7番が必ず絡んでいた。
「たとえ自分が関わっていなくても、自分のチームが勝てば、うれしいよね。結果(スコア)については、もっと良いふうにできたかもしれないけど、最低限の勝利という結果をつかむことができたのは、良かった」。こう冷静に振り返ったが、通路を挟んだ隣の記者会見場では、柴崎と対照的にアギーレ監督が興奮気味にまくし立てていた。
「ワールドクラスだ。(本田)圭佑、(香川)真司と自然にプレーできている。まるで、20年経験を積んだ(選手のような)プレーをする。かなり遠く(のレベル)まで行き着くことができると信じている」。スペインリーグ、メキシコ代表の監督として、数多くの世界的選手を見てきた指揮官が、声を張り上げるほどの出来だった。
代表デビュー戦となったベネズエラ戦(9月9日・日産ス)で、初ゴールを挙げた。多くの祝福メールが届く中でも、「勝てなかったのが悔しい」と2―2の結果を悔やんだ。「試合は勝てばいい。1本のきれいなスルーパスを通すことよりも、大きく蹴るクリア。勝つ判断、プレーを続ける方が、よっぽど自分にとって大事だから」。この日は自身のプレーが勝利につながり、「良かった」とうなずいた。
「まだフレンドリーマッチ。代表といっても、2試合を消化したばかりで、これから重要な局面や大会がある。そこで使ってもらえれば、信頼を実感できるけど、今はその段階じゃないです」とこれからもアピールしていくことを誓った柴崎。背番号7の後継者がまた一歩、アギーレ・ジャパンの主軸に近づいた。(内田 知宏)