AFCチャンピオンズリーグ2015 グループステージ 第3節 vs広州恒大
広州恒大との打ち合いに屈した鹿島、ACL3連敗。
公式戦4連敗で迎えた中3日のアウェイゲームで、鹿島は広州恒大に屈した。先制を許しながらも、高崎と土居のゴールで一時は逆転したものの、その後3失点。終了間際に柴崎が1点を返したが、3-4で敗れ、AFCチャンピオンズリーグ3連敗、リーグ戦と合わせて5連敗となってしまった。
鹿島は、AFCチャンピオンズリーグで2連敗を喫し、J1 1stでも2連敗と、結果を残せていない。苦しい時間が続く中、ホームで逆転負けを喫した湘南戦の翌日に移動するタイトなスケジュールで、選手たちは決戦の地・広州へと向かった。2日間、現地でトレーニングを積んだ末、トニーニョ セレーゾ監督は昌子をセンターバックの一角に指名。左手の手術を受けてリーグ戦2試合を欠場していた背番号3がピッチに帰還し、生き残りを懸けた90分に挑んだ。
現地時間20時、約4万人の大観衆が詰めかけたアウェイの夜に、キックオフのホイッスルが鳴った。グループステージ2連勝で首位に立つ強敵は立ち上がりから激しいプレスをかけ、主導権を奪いに来た。鹿島はなかなかリズムに乗れず、チャンスすら作れない時間が続く。そして10分、左サイドで与えたFKから、リカルド グラールにヘディングシュートを決められてしまった。いきなりセットプレーで失点し、ビハインドを負った。
広州恒大サポーターの大歓声が響き渡る中、鹿島をさらなる試練が襲う。15分、小笠原が左サイドのタッチライン際で負傷し、膝を押さえてピッチ外へ。痛みで顔をしかめた小笠原はプレーに復帰できず、梅鉢との交代を余儀なくされた。
1点を追う中、大黒柱が早々と離脱するアクシデントに見舞われた鹿島。前半20分以降も苦しい時間が続き、球際での激しいタックルで山本が痛む場面があるなど、広州恒大の圧力に押されてしまった。しかし決定的なピンチを迎えることはなく、少しずつ盛り返しながら、時計の針は進んでいった。
そして、待望の同点弾は36分に生まれた。右サイド深くで遠藤がボールを収め、後方に戻したボールを西がワンタッチでクロス。ニアサイドの土居がボレーで合わせると、相手GKが弾いたところに詰めていた高崎が押し込んだ。前日に誕生日を迎え、「自分が点を取って勝つ」と話していた背番号15が、しっかりと結果を残してみせた。前半唯一の枠内シュートでゴールネットを揺らした鹿島が、スコアを1-1としてハーフタイムを迎えた。
後半、次の1点を奪ったのは鹿島だった。51分、右サイドからカットインした遠藤が左足を振り抜くと、相手GKが弾いたところに土居が反応。強烈なヘディングシュートを突き刺し、2-1と逆転に成功した。
アウェイでリードを奪った鹿島だが、再びセットプレーから失点してしまう。土居のゴールから6分後、右サイドからのFKをエウケソンに頭で合わせられ、スコアは2-2に。さらに5分後には、中盤でのボールロストからグラールにドリブルを許し、左足ミドルシュートを決められてしまった。立て続けの失点で広州恒大に再逆転を許し、またも1点を追いかける形となった。
3点目を狙いに行く鹿島は、69分に高崎に代えてカイオ、73分には遠藤に代えて本山を投入。広州まで駆けつけたサポーターが声を枯らして応援を続ける中、攻撃陣を活性化してゴールを目指した。84分には柴崎のスルーパスに反応した金崎が、飛び出した相手GKの手前でシュートを放ったが、枠の左へ。金崎は前線で身体を張り、スペースに流れてボールを呼び込むなど、戦う姿勢を最後まで示していた。
1点差で迎えた後半アディショナルタイム、鹿島は湘南戦に続いて決勝点を奪われてしまう。縦パスで中央を割られ、チャオ シュリーに1対1からシュートを決められた。その直後、左サイドから本山が上げたクロスに柴崎が飛び込んでヘディングシュートで1点を返したが、そのままタイムアップ。3-4で打ち合いに敗れ、鹿島はグループステージ3連敗となった。
これで、リーグ戦と合わせて5連敗。苦しい時間を、今日も止めることはできなかった。次戦は中3日、アウェイで迎えるJ1 1st 第3節の名古屋戦だ。とにかく、結果が欲しい。自分たちの足で、一歩目を刻むしかない。
【この試合のトピックス】
・高崎が同点弾を挙げ、公式戦初得点を挙げた。
・土居がAFCチャンピオンズリーグ2得点目を挙げた。
・柴崎が今季初得点を決めた。
・昌子が先発メンバーに復帰。3月4日のAFCチャンピオンズリーグ グループステージ第2節FCソウル戦以来、公式戦3試合ぶりにピッチに立った。
監督コメント
[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:トニーニョ セレーゾ
広州恒大:ファビオ カンナヴァーロ
[試合後]
鹿島アントラーズ:トニーニョ セレーゾ
・まず、非常に感動的で面白味がある試合だったと思う。7点も入ればハラハラドキドキするし、得点のたびに喜びが大きかったのではないかと思う。昨日も言ったように、非常にレベルの高いブラジル人選手がいて、彼らが試合を決定づけるような仕事をした。その中で、我々の時間帯がありチャンスを作った時にそれを決めていれば状況は変わっていたし、彼らに驚きを与えることができた。相手も我々もゴールを目指すサッカーをしていて、攻撃の部分では非常に面白味のある試合だったのではないか。ただ、残念な部分があって、サッカーの1つのポイントであるセットプレーから2失点したことが、非常に残念な結果につながってしまった。
・最初、立ち上がりの時間帯に少し慌ててしまった。相手のサポーターの勢いもあって、15分から20分くらいは相手のリズムに合わせたプレーをしてしまった。それが残念なこと。我々はパスサッカーを狙いとしているが、それを立ち上がりの15分、20分間はできなかった。ただ、ベンチから選手たちに伝えたことは、落ち着いてプレーするということ。失点はしてしまったが、その中でも落ち着きを取り戻して、自分たちが後ろからつないでビルドアップして、相手ゴールまでたどり着くことができた。試合の中で、パスをつなぐという自分たちのサッカーをすることができて、チャンスを多く作れたのではないかと思う。
・小笠原選手に関しては、日本に帰ってから検査をするという状態。それ以上はコメントできない。
・ずっと我々の試合を観てもらっているのであれば、多くのチャンスを作りながら点を決められず、試合に負けてしまっているというのが現状だ。今日の試合を観てもらえれば、我々が作ったチャンスの数と、相手が作ったチャンスの数を比較して、決定的な仕事をしたのが外国籍選手であるということが言える。おそらく、2人の外国籍選手が点を取ったが、1人の選手を獲得するためにかかった費用は、Jリーグ全体の外国籍選手を合計しても到達できない数字だろう。それだけ点を取る選手が高額なのであって、どのチームにとっても必要な選手である。やはり、勝つためには投資をしていかなければいけない。そのリーグのレベルを上げるためには、投資というものが必要不可欠であって、それが今日の試合でも表れたのではないかと思う。今、我々が一番必要としているのは、点を取ることができる選手。6回チャンスを作って1点を取る状況で、内容が悪いわけではない。それを改善するために、やり続ける。点を取れる時期や選手が現れてくると信じて、やっていくしかない。
・例えば今日の試合でも、広州恒大の選手とうちの選手のレベルを見れば、引けを取らないと思う。場合によっては、クオリティの部分ではうちの選手の方がレベルが高かった。そう言える選手が、何名かいたのではないかと思う。ただ、試合を決めたのは外国籍選手だ。それが大きな違いを示したのではないかと思う。
広州恒大:ファビオ カンナヴァーロ
1点差ではあっても、勝利は勝利。非常に難しいゲームだった。大差で勝つことを常に望まれるが、フットボールではなかなかないこと。鹿島は非常に力強いチームで、技術的にも高いものがあった。前日の記者会見ですでに言ったが、この試合は最初から難しいものになると考えていた。
選手コメント
[試合後]
【遠藤 康】
これが今の実力だと思う。この5試合は同じ様な感じで負けている。時間が経つにつれ、ボールが回せるようになり、チャンスも作れていた。最後の最後の精度で差が出た。同点に追いついてから、相手もホームなので前がかりになったのでチャンスは来ると思った。2-1からセットプレーでやられ、バランスを崩してしまった。もったいない。
【土居 聖真】
相手のホームで声援が凄い事もあり、技術というより勢いで圧倒された。途中から自分たちのサッカーが出来るようになった。(後ろの選手を)責める事は出来ない。チームとして負けているので全員に責任がある。2-1になってからコントロールできなかった。過去ののアントラーズなら上手くコントロールして、流れを持って来れていた。それが出来なくて連敗が続いている。負けているのだから何かが悪い。それを全員が責任感を持って、勝つためにプラスになるように全力を注ぎたい。試合を見ていた方は不満だと思う。観ている人も苦しいし、自分たちも苦しい。監督が言っている事を全員で信じて這い上がるしかない。
【曽ヶ端 準】
自分自身、悔しい。アウェイの試合で良い結果をみせられなくて残念。点が入った事は良いが、チームとして失点が続いているので改善が必要。何より結果が出ていない。すぐに試合があるので、それに向けて良い準備をしたい。
昌子選手のコメントは、アントラーズモバイルをご覧ください。