鹿島アントラーズのトニーニョ・セレーゾ監督 [写真]=Getty Images
試合後、カシマサッカースタジアムには容赦ないブーイングが鳴り響いた。
ホーム開幕戦となった14日に行われたJ1第2節で、鹿島アントラーズは湘南ベルマーレに1-2で敗れた。13分に、新加入の金崎夢生が移籍後初ゴール。畳み掛けるかのように湘南を圧倒したが追加点を奪えず、54分にPKで追いつかれると、後半アディショナルタイムに勝ち越し点を許した。
湘南にJ1復帰後初勝利を与えるとともに、AFCチャンピオンズリーグを含めて公式戦4連敗。第二次トニーニョ・セレーゾ政権では、一昨季が5位、昨季が3位。世代交代も進み、勝負の年と見られていた今季だが、思わぬ躓きに遭っている。
清水との開幕戦を欠場したベテランの小笠原満男ら、先発4選手を入れ替えて臨んだが、痛恨の逆転負け。湘南の永木亮太からは、「球際の戦いでは全体的に負けている感じはしていなかった。そういう細かいところの積み重ねで、少ないチャンスをしっかりものにした」という、耳の痛い言葉も聞かれた。
相手の倍以上となる18本のシュートを放ちながら、クロスバーやポストを3度叩いた。試合を支配しながら勝ち切れない現状に、1トップで先発出場した高崎寛之は「勝てる試合を落としてしまい、責任は自分にある」と語る。先発復帰した曽ヶ端準も「しっかり結果を求めて戦いたいし、苦しい戦いをものにすれば流れは変わる」と、自身に言い聞かせるように言葉にした。
2ステージ制となった短期決戦で、2試合を終えて勝ち点0の17位。早々と窮地に追い込まれながらも、「チーム一丸となってしっかり戦うことが大事」と選手たちが口々に語るのは、名門チームの意地というところか。指揮官の「『あれが悪い』、『采配が悪い』、『あの選手がミスをした』と言い始めたら、負の連鎖がもっとひどくなっていく。アントラーズと他クラブとの違いは、そういうことをせずに、チームのために犠牲心を持つこと。それを我々全員がやる」という言葉からも、プライドが滲む。
この日キャプテンマークを巻いた柴崎岳は、「戦う姿勢は継続しながら、最後の詰めの部分で個人個人の能力も意識高くしたい。習慣なので、しっかりと練習から取り組むことが大事」とコメント。「サポーターの声を真摯に受け止めながら、その時が来るまでは努力、今の取り組みをしっかりと続けていく」と、冷静に口にする。Jリーグ最多の16冠を誇る名門は、序盤に迎えた苦境を雌伏の時に変えられるか。