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2016年12月7日水曜日
◆強心臓の鹿島FW鈴木、弱冠20歳の若武者は世界相手に暴れるか?(サンスポ)
http://www.sanspo.com/soccer/news/20161206/jle16120622020014-n1.html
全身にみなぎる闘争心と物怖じしない強心臓で、貪欲にゴールを目指し続ける生粋のストライカー。7年ぶり8回目のJ1リーグ制覇を成し遂げた鹿島アントラーズにあって、弱冠20歳にして存在感を誇示しているのが鈴木優磨だ。プロ2年目の若武者は今季、リーグ戦でチーム2位タイの8ゴールを記録。欠かせない存在となった。
3日に行われた明治安田生命Jリーグチャンピオンシップ決勝第2戦では58分から出場し、76分にPKを獲得。相手のミスを逃さずに敵陣をドリブルで独走し、最後は日本代表の槙野智章に背後から倒された。ホイッスルが鳴ると、雄叫びを上げてガッツポーズを繰り返す。そして、PKキッカーを巡って金崎夢生と“言い合い”に。最終的には「夢生くんだから譲った」と、兄弟のように仲の良い先輩にボールを託したものの、年間王者の行方を左右する極めて重要なPKを自ら蹴りに行くという、メンタルの強さを見せた。2点以上を決めて勝たなければいけないアウェイゲームを「観客が多ければ多いほど、燃える。FWにとってはおいしい試合」と称していた20歳にとって、PK失敗のリスクや恐怖など眼中にないのだろう。ファン感謝イベントのステージ上や優勝後のテレビ番組で“即興ラップ”を披露するなど、いろいろな意味でハートが強い男だ。
そんな鈴木がプロの世界で頭角を現したのは、昨年9月のこと。12日の明治安田生命J1リーグ・セカンドステージ第10節ガンバ大阪戦で74分にピッチに立った。これがリーグ戦デビューとなった鈴木は、0-2で迎えた後半終了間際、ダイビングヘッドでゴールを決めた。ルーキーイヤーに、初出場で初ゴール。離れ業をやってのける勝負強さを見せつけた。だが、チームは1-2で敗れてしまった。
試合後、鈴木は笑顔も興奮も見せることなく、悔しさを噛み殺しながら言った。「もし、自分の初ゴールと勝ち点3を交換できるのなら、初ゴールなんていらないです。自分が試合に出て、チームが負けた。それが全てです」と。貪欲にゴールを目指しながらも、最優先にするものはチームの勝利なのだ。小学1年生の時から鹿島のアカデミーで育ってきた“アントラーズ一筋”のストライカーは、「まるで軍隊のよう」と称されるほどに厳しく規律を重んじる鹿島ユースで熊谷浩二監督の熱い指導を受け、フォア・ザ・チームの精神を叩きこまれている。練習や試合でピッチに入る時、そして退く時、グラウンドへの礼を欠かさない。強心臓で、ややもすれば破天荒にも見える若武者だが、それと同時にサッカーへの真摯な態度を併せ持っている。
鈴木の持ち味は何と言っても、その勝負強さとゴールへの嗅覚だ。先述のデビュー弾に加え、昨年10月17日のJ1リーグ・セカンドステージ第14節柏レイソル戦でも、2-2で迎えた後半アディショナルタイムに決勝ゴールを奪っている。試合終盤の得点率の高さは特筆すべきで、J1で記録している計10得点中、80分以降に決めたものが実に7つもある。ゴール前で泥臭く相手と競り合い、ボールをゴールへと押し込む。また、“ここしかない”というポイントを見つけて飛び込むヘディングの強さも魅力の一つだ。今季の開幕戦では完成間もない吹田サッカースタジアムで、ガンバ大阪サポーターを沈黙させる決勝弾を頭で叩き込んでいる。昨季のヤマザキナビスコカップ決勝でも、打点の高いヘディングで金崎のゴールをアシストした。ケガを恐れずにボールへ食らい付いてくるだけに、DFにとっては非常に嫌な選手だろう。身体を張ってボールをキープするポストプレーでも強さを見せる。
2年目の今季、鈴木はリーグ戦全34試合中31試合に出場し、8得点を記録。1年目は7試合で2得点だから、大いなる飛躍を遂げたことになる。次の目標はスタメン出場の回数を増やすことだろうか。先発メンバーに名を連ねたのは9試合のみ。ゴール前での迫力や粗削りな面が魅力である一方で、安易なパスミスやボールロストが目に付く試合も散見された。一つ一つのプレーの正確性を上げていくことが、先発入りのために必要な要素となるだろう。石井正忠監督からはFWだけでなく、攻撃的MFでも起用されているだけに、プレーの幅を広げていきながらレベルアップを図りたい。
プロ2年目にしてリーグタイトル獲得を経験した鈴木。次は世界大会が待っている。FIFAクラブワールドカップ ジャパン 2016に出場する鹿島の一員として、強豪たちと対峙することとなる。鈴木はワクワクしているに違いない。大舞台になればなるほど燃える、怖いもの知らずのストライカー。鈴木優磨、20歳。その活躍から目が離せない。(文=内藤悠史、Goal.com)