明治安田生命J1最終節 鹿島0―0磐田 ( 2017年12月2日 ヤマハ )
あと1点で手にできたタイトルは、あえなく転がり落ちた。響き渡る無情のホイッスル。鹿島DF昌子は芝に倒れ込んだ。MF三竿健も起き上がれない。「僕たちは、どうしても勝ちたかった」。ゲーム主将のMF遠藤の両目に涙があふれた。
前半は序盤にDF西が負傷交代。アクシデントや守勢にも耐え、後半は形勢を逆転した。後半だけで10本のシュート。終盤は5トップ気味に猛攻したが、得点は遠かった。ゴールは“幻”にもなった。前半44分に右CKを植田が頭で決めたが、村上主審は直前でDF昌子のマークについた相手DF大井が倒れた場面のファウルを取った。誰の反則か分からず確認した昌子に主審が「昌子か植田のどっちか」と答えたというあいまいすぎる判定。1点の壁は厚かった。
DAZN元年の今季は、FWペドロ・ジュニオール、MFレオ・シルバらを積極補強。「タイトルを獲るために編成して、監督も代えた。これでダメだったから責任を感じている。どこに問題があったのか考えたい」と鈴木満常務取締役。勝てば優勝していた柏戦、磐田戦に引き分け、20冠目を逃した大岩監督は「私の経験不足」と自らを責めた。
来季も続投が濃厚な指揮官は試合後、「この悔しさを次につなげよう」と選手に語りかけた。「この悔しさを何も残らないものにしたくない。“これがあったから”と言えるサッカー人生にしたい」とFW土居。失ったものが大きいだけ、糧も大きくなるはずだ。