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2018年3月19日月曜日

◆2018明治安田生命J1リーグ 第4節(オフィシャル)





2018明治安田生命J1リーグ 第4節


明治安田J1 第4節

激闘を制したのは鹿島!金崎の一撃を守り切り、ベアスタで3年ぶりの勝利!

16日間での5連戦、最終章。ホームでの悔しき2戦を経て、鹿島が意地と気迫の勝ち点3を掴んだ。ベストアメニティスタジアムに乗り込んだJ1第4節、サガン鳥栖との激突。前半14分に金崎が強烈な右足シュートを突き刺すと、肉弾戦となった90分を全員が戦い抜き、1-0と気迫の完封勝利を収めた。

3月3日のG大阪戦から16日間で5試合。J1とACLを並行して戦う過密日程、そして負傷者の続出という苦境に立ち向かい、鹿島はもがき苦しみながらも歩みを進めている。ここまでの4試合、2勝1分1敗。10日の広島戦で今季初黒星を喫し、5日前のシドニーFC戦では先制しながら1-1のドローに終わった。ホームでの2試合で1ポイントという結果に終わり、永木は「本当に悔しい」と繰り返してスタジアムを後にした。

チームは翌日に久しぶりのオフを設け、15日にトレーニングを再開した。3日間の準備期間で、16連戦の最終章へと照準を合わせていく。今月下旬の欧州遠征へ臨む日本代表には昌子と植田、そして三竿健斗が招集。定位置奪取からわずか半年ほどで代表キャップを刻み、そして再び招集を受けた若武者の存在は大いなる刺激となったはずだ。大岩監督は「相乗効果で他の選手にもいい影響を与えてくれればいい」と語っている。そして16日には紅白戦を実施し、攻守両面の連係を確認。負傷が癒えた安部、ピッチに帰還した西の存在もまた、切磋琢磨の水準を高めていた。

そして試合前日、クラブハウスでは恒例のトレーニングメニューが実施された。激しいマッチアップを繰り返して集中力を高めたセットプレー、そして笑顔があふれたレクリエーションゲーム。充実の練習を終え、大岩監督は「昨季、鳥栖にはアウェイで敗れている。しっかり借りを返すつもりで乗り込みたい」と抱負を語った。難敵とのアウェイゲームは常に難しい戦いになるが、だからこそチーム一丸で臨まなければならない。植田は「1点を争う試合になると思う。1得点、1失点の重みを大事にしたい」と語り、そして鳥栖へと発った。



メンバーを入れ替えながら連戦を突き進む指揮官は、シドニーFC戦から6名の先発変更を断行した。ゴールマウスにクォン スンテ、最終ラインには植田と山本が復帰。そしてボランチの一角には健斗が戻り、2列目には土居と安部が並んだ。その他、右サイドバックには伊東、センターバックは昌子が植田とコンビを組み、健斗の相棒は永木が務める。J1では昨年9月23日以来の先発となる背番号6は「勝ちに行く」と、短い一言に決意を込めていた。そして前線は金崎と鈴木。貪欲にゴールを狙い続ける2人が、鳥栖の守備陣に襲いかかる。ベンチにはGKの曽ケ端、犬飼、レオ シルバ、小笠原、中村、ペドロ ジュニオール、金森が座る。



鳥栖は朝から厚い雲に覆われていたものの、キックオフが近づくにつれて気温が上がり、穏やかな天候に恵まれた。日曜日の夕方、九州でのアウェイゲーム。遠方での一戦だが、アントラーズレッドの背番号12は続々とベストアメニティスタジアムへと足を運んでいく。ビジタースタンドの1階席を埋め尽くしたサポーターとともに、選手たちはボルテージを高めていった。そして16時3分、キックオフ。意地と気迫を見せつける90分が始まった。

激しいボディコンタクトの応酬となる鳥栖との戦い。今日もまた、そうだった。右サイドからのクロスに対応してヘディングでクリアした植田が、オーバーヘッドを試みた相手に蹴られるような形となった開始2分のプレーに象徴されるように、ピッチの至るところで肉弾戦が繰り広げられていった。「球際で負けないこと」を勝利への前提かつ絶対条件と話していた鹿島の選手たちは、一歩も引くことなく応戦していく。前線では金崎と鈴木が力強いポストプレーと迫力満点の突破で推進力となり、プレーエリアに深さをもたらした。そして中盤では健斗と永木が出足の速いプレスを連発。ファウルとなる場面も少なくなかったが、鳥栖の攻撃を寸断すべく、あらゆるプレーで気迫を見せていた。

そして14分、鹿島は最初の決定機で歓喜の瞬間を迎えた。中盤まで進出した植田がボールを奪うと、ペナルティーエリア手前へ流れたボールに鈴木が反応。恐れることなく競り合いに挑み、相手に倒されながらもパスをつなぐと、金崎がエリア右側から強烈な右足シュートを突き刺した。シドニーFC戦で先制のスコアを刻みながらも勝利を掴むことができなかった悔しさ、そして責任を背負ってピッチに立ったエースが、値千金の一撃で鹿島のリードと勇気をもたらした。






リードを奪った鹿島は23分、ペナルティーエリア内の混戦から大ピンチを迎える。こぼれ球に反応されて打たれたシュートは右ポストを弾き、さらに強烈な一撃を枠に飛ばされた。しかし、立ちはだかったのは背番号1。スンテが渾身のビッグセーブを見せ、ゴールを許さなかった。

決定機を逃したホームチームの落胆に付け入るように、鹿島は25分頃から敵陣でのプレータイムを伸ばしていった。出足の速いプレス、複数の選手でボールホルダーを囲い込む連動した守備で鳥栖に自由を与えない。とりわけ、背番号6のハードタックルは迫力満点だった。敵陣に進出してボールを狩り取り、ピンチの芽をことごとく摘んでいた。

















敵陣深くまで押し込みつつも、決定機を作れずにいた鹿島。40分には敵陣右サイド深くからの攻撃でペナルティーエリアへ入り、鈴木がトラップからシュートコースを作り出して右足を振り抜く。至近距離から狙ったものの、相手DFにブロックされてしまった。結果的に、前半は唯一の決定機を結実させた45分となった。1-0。リードを保ったまま、ハーフタイムを迎えた。


ビジタースタンドへ向かって攻める後半45分も、息の詰まるような攻防が続くこととなった。前半から消耗戦の様相を呈していた中、次第にスペースが大きく開き始めることで息つく間のないカウンターの応酬へと傾斜していく。鹿島は50分、左サイド深くまで進出した山本の折り返しに安部が飛び込んだものの、シュートには持ち込めず。53分には前線で幾度となく突破を仕掛けてきたビクトル イバルボにペナルティーエリア左側でボールを持たれ、シュートフェイントから右足を振り抜かれたものの、スンテが正面でキャッチした。鉄壁の守備を構築した背番号1はこの後も、圧倒的な存在感でゴールマウスに立ちはだかった。





残り30分を切ると、競り合いはさらに激しさを増していった。1万7000超のスタンドは接触プレーのたびに騒然となり、ピッチは熱を帯びていく。熱く激しく試合を進める鹿島は64分、永木のFKから山本がヘディングシュートを放ったものの、相手GKに阻まれてしまった。以後も決定機を作るには至らず、鹿島は鳥栖に押し込まれる展開を強いられた。



土居は「後半はずっと攻められた感じだった」と振り返る。判定基準も次第に不明瞭になり、肉弾戦とホイッスルのたびに場内がヒートアップする激闘。残り15分、パワープレーを敢行してきた鳥栖に対して、鹿島は自陣ペナルティーエリア内で幾度となく競り合い、セカンドボールに反応し、そして必死にボールを蹴り出す戦いとなった。だが、守護神スンテが盤石の安定感でホームチームのあらゆる攻撃を無力化し、全選手が勝利だけを目指して気迫の戦いを貫いた。1-0。死闘を繰り広げた先に掴み取った、会心の勝ち点3。ベアスタで3年ぶりに勝利を収め、5連戦は幕を閉じた。















チームはしばしの充電期間に入る。3日間のオフを経て、23日にトレーニングを再開。今月31日に控えているJ1第5節、ホームでの札幌戦に向けて準備を進めていく。そして昌子と植田、健斗のA代表組、U-19代表に選出された安部は海外遠征へと臨む。J1はインターバルに入るが、進化への道のりは続いていく。



【この試合のトピックス】
・J1でのアウェイ鳥栖戦は3年ぶりの勝利。前回は2015年7月29日の2nd 第5節で、柴崎が2得点を挙げて3-0と快勝した。アウェイでの通算成績は3勝1分3敗となった。
・J1での鳥栖戦の通算成績は6勝2分5敗となった。
・金崎が今季のJ1で2得点目、公式戦では5得点目となる決勝ゴールを挙げた。
・土居が先発メンバーに名を連ね、J1通算150試合出場を果たした。
・安部が先発出場し、J1では2試合ぶり、公式戦では3試合ぶりの復帰を果たした。
・伊東と永木が今季のJ1で初先発を果たした。伊東は昨年9月16日の第26節新潟戦、永木は9月23日に行われた第27節のG大阪戦以来だった。


監督コメント[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
・セカンドボールに対して、誰がいくのかはっきりさせること
・ボールを奪った後、シンプルに素早く展開し、両サイドを上手く使おう。
・後半開始から、もう1点奪う強い気持ちを持って戦おう。

サガン鳥栖:マッシモ フィッカデンティ
・冷静さを失わずに戦い抜くこと。
・相手のサイドスペースを狙って攻めること。
・いい試合は出来ているので、1点ずつ返していこう。


[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
非常にタフなゲームだったが、最後まで集中力を切らすことなくクリーンシートで終わることができたことは非常に評価できると思う。

Q.どのような指示を与えて試合に臨んだのか?

A.「タフなゲームになる。相手は体の強さを前面に出してくるゲームになるだろう」と伝えた。昨季、我々はここで負けているので、それを踏まえてしっかりとゲームに入ろうと思っていた。昨季の悔しい思いをぶつけようという姿勢でピッチに送り出した。

Q.ACLでは悔しい引き分けがあったが、それを踏まえて選手たちにどのような言葉をかけたのか?

A.ACLとは切り離して考えている。別の大会であり、JリーグはJリーグでしっかりと試合に入ろうと話している。切り替えというよりも、やるべきことをしっかりと整理して試合に入ろうと伝えた。昨季、ここで負けた悔しさを強く感じているので、その気持ちを大前提として持ちながら、相手のストロングポイントを消して我々のストロングポイントを出すこと、相手のウィークポイントを突いていくことを伝えた。

サガン鳥栖:マッシモ フィッカデンティ
今季、公式戦を戦った中で最もいい内容だったと思う。サッカーの美しい部分と残酷な部分が出た。これだけいいプレーをしていても、結果として負けることもある。アントラーズの試合の入り方は良かったし、その相手に対していい試合をしたという感想もある。序盤に失点する試合展開だった。「その中でどのように戦ったか」という見方をしなければならない中、カウンターの場面をもっと多く作られてもおかしくなかった。バランスをしっかりと考えながら戦ってくれたと思う。後半はセットプレーの場面でも、時間の経過とともに前がかりにプレーした。DFも全員、敵陣に入ったような状態だった。それだけの試合展開で、相手に大きなチャンスがあって2-0、3-0になってもおかしくない展開の中で、1点を追いかけることとバランスを取ることの両方をよくやってくれた。ただ「ボールがゴールに入りたくない」という日もサッカーにはあると思う。コンディションが万全ではない選手も何人かいる。特に前線の選手の調子が上がってきた時にはどのチームと対戦してもいい試合ができるチームになると思う。


選手コメント[試合後]

【三竿 健斗】
イバルボ選手は体が強いし、競り合うタイミングもうまい。自由に競らせないように意識していた。周りもしっかりとサポートしてくれていた。相手の狙いをしっかりと遮断できたと思う。

【永木 亮太】
非常に難しい試合だった。このような試合で勝ち点3を取れたことはプラスに考えていいと思う。リーグ戦での先発は久しぶりだったけど、勝利に貢献できて良かった。

【昌子 源】
本当にしんどい試合だった。鳥栖との試合では、特にこちらがリードしている時には今日のような展開になることが多い。非常に苦しい展開になった。2点目、3点目を取れるようなサッカーをしていきたい。

【植田 直通】
こういう試合になることはわかっていた。それに対して準備をしてきたことをしっかりと出せて、勝つことができたのだと思う。みんなでカバーする意識を持って守備をすることができていた。

【伊東 幸敏】
早い時間で先制点を取れて、そこからは守備の時間が長くなってしまった。後半は守備しかしていないような展開だったけど、全員が高い集中力を持って戦えた。結果として無失点で終えることができたのは、アントラーズらしさなのかなと思う。

【土居 聖真】
前半はいい時間帯に先制できて、試合内容もコントロールできていたと思う。後半は相手の形を出されてしまって、最後までうまく耐えることができた。みんなでうまく対応できた。この勝ち点3は大きいと思う。

【安部 裕葵】
肉弾戦になると思っていたので、とにかく戦うことと逃げないことを考えていた。セカンドボールを拾うこと、前からプレスをかけることを意識していた。とにかく勝ててよかった。