ページ

2018年8月24日金曜日

◆二枚看板との比較も批判も糧にして。鹿島DF犬飼、磐田戦を前にしての決意/J1第24節(GOAL)



犬飼智也 Tomoya.Inukai


8月24日、明治安田生命J1リーグ第24節で7位・鹿島アントラーズは10位・ジュビロ磐田をホームに迎える。今節はカシマでの金曜日開催となる。鹿島はリーグ戦2連勝、磐田は前節・柏レイソル戦で3試合ぶりの勝利を収めたものの、アウェイでは2連敗中だ。


[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]
ZERO 真野恵里菜写真集 [ 西田幸樹 ]
価格:3240円(税込、送料無料) (2018/8/23時点)


鹿島にとって、前節・横浜F・マリノス戦(1-0)は3試合ぶりのクリーンシートとなった。前々節・名古屋グランパス戦を4失点して敗れていただけに、「ゼロ」に抑えられたことは大きい。今季、最終ラインの中央がなかなか固定できなかった中で、公式戦連続フル出場を重ねているのが、犬飼智也だ。

■暗闇の出口を探し続けた前半戦

「自分たちの声で、ゼロに抑える確率を高める。そういうプレーが少しずつできるようになってきていると思います」

前節・横浜FM戦が会心のパフォーマンスだったかと問われれば、頷くことはできなかったかもしれない。それでも、スコアボードに刻まれたのは「0」だった。

今季から鹿島に加入した犬飼にとって、聖地・カシマスタジアムで2度目のクリーンシートだった。アントラーズでの1年目、シーズン開幕から約半年。背番号39は苦しみながらも前進を続けてきた。満足とは程遠くとも。一歩ずつ、着実に――。

「伝統あるクラブに来ることができて幸せに感じている。このクラブと一緒にタイトルを目指して日々努力していきたい」。強い決意とともに臨んだ、シーズン前の宮崎キャンプだったが、いきなりの試練が待っていた。

「アントラーズのやり方を伝えて、すり合わせをしていきたい。清水(エスパルス)の癖なのかなと思ったのは、サイドにボールが出た時に…」とプレー描写を交えて説明したのは昌子源だ。「清水の守り方と、うちのやり方とがあって…」。

歩んできた道のりの違いが、トレーニングマッチで顕在化した。犬飼自身も「まだまだ全然できていない」と、その事実を十二分に理解していた。

開幕を迎えた後も、苦難は続く。

3月7日、ACLグループステージ第3節・シドニーFC戦、敵地で飾ったデビューこそ2-0の完封勝利で終えたものの、4月3日の第5節・上海申花戦でPKを与えるファウル(2-2)、そして4日後のJ1台6節・湘南戦ではオウンゴールで1-2の敗戦。

低空飛行を続けたアントラーズにあって、犬飼もまた、暗闇の出口を探し求めていたのだった。結局、5月20日のJ1中断まで、背番号39は浮上できなかった。

■公式戦10試合、フルタイム出場を続ける

「アントラーズに来て、勝っていないですからね。本当に結果で示すこと、勝つこと。とにかく、それしかないです」。犬飼が静かに語ったのは、6月1日のこと。不甲斐なきシーズン前半戦を経て、心境を問うのは酷だったかもしれない。それでも、5日後に迫っていた天皇杯初戦、そして7月の公式戦再開を見据えた時、背番号39の奮起が不可欠であることも容易に想像できた。

「アントラーズのグラウンドの中での厳しさ、バチバチ感は日本でのトップクラスだと思うんです。本当にいい環境に身を置けています」

「サッカーに対する取り組み方、チームの雰囲気ですね。一言で、と言われると難しいんですけど、率直に“いいな”と、ここにいて思うんです。一体感はもちろん、ここを離れた選手にも“アントラーズはよかったな”と思わせるものがある。そういうチームだと思います」

どんな時でも誠実に受け答えをする25歳の瞳に、充実の光が灯った。「成長していけるかどうかは自分次第」。果たして今、その言葉は現実のものとなりつつある。






植田直通の欧州挑戦、昌子の負傷離脱、チョン・スンヒョンの加入、町田浩樹の台頭。激しく変化するチーム状況に身を置き、背番号39は不可欠な存在として先発出場を続けている。7月11日の公式戦再開から10試合、フルタイム出場を遂げているのは一人だけだ。

7月22日のJ1第17節・柏レイソル戦、自身にとって、リーグ初勝利の舞台はカシマスタジアムだった。3日後の第17節・セレッソ大阪戦、リーグ初のクリーンシート。

「気にしていたので、よかったです」

安堵の言葉を連ねた後、青黒、青赤との2試合は不甲斐ない己と向き合うこととなったが、聖地で初めての完封勝利は8月5日、古巣・清水エスパルスとの90分だった。「もっともっと、突き詰めていかないと――」。もがきながらも、犬飼は次なる戦いを見据えている。

「アントラーズのために、自分ができることは全部やりたい。結果がすべてですし、自分が勝たせるという気持ちで」。不在だからこそ浮き彫りになる、植田・昌子という二枚看板との比較も批判も、すべてが進化への糧になる。

揺るぎない信頼を勝ち取るために、今夜も犬飼はアントラーズを守る。誇り高き鹿のエンブレムとともに、サックスブルーの前に立ちはだかる。

◆二枚看板との比較も批判も糧にして。鹿島DF犬飼、磐田戦を前にしての決意/J1第24節(GOAL)