[9.9 ルヴァン杯準々決勝第2戦 川崎F1-3鹿島 味スタ]
1点こそリードしていたものの、劣勢の時間帯だった。しかし、ここで19歳の若武者が魅せた。
前半28分、同37分に生まれたDF山本脩斗の得点で2点のリードを奪った鹿島アントラーズ。左サイドハーフとして先発出場していたMF安部裕葵は、「早い時間帯で2-0となったので、守備中心のゲームになると覚悟してしていた」という。準決勝に勝ち上がるには十分なリードとなったが、「しっかり守りながら、隙があれば点を取るイメージだった」と追加点を狙う気持ちは忘れていなかった。
後半6分にPKで1点を返されると、川崎Fに押し込まれる時間帯が続く。しかし、同27分に安部が一瞬の隙を突いて追加点をお膳立てする。
「久しぶりにバイタルエリアに来たシーンだったけど、冷静にプレーできたのは僕の良さ」。PA外で山本の縦パスを呼び込むと、すぐさま前を向く。「セルジーニョもDFも見えていたし、体が勝手に動いた」と巧みなタッチでタメを作り、鮮やかなスルーパスを供給。走り込んだセルジーニョが左足シュートでネットを揺らし、貴重な3点目が生まれた。
この瞬間、安部は喜びを爆発させる。「イメージどおり」ということはもちろんのこと、「皆が声を出して一生懸命守っていた時間で、ここからもう一踏ん張りしないといけないというときに追加点が取れた。メンタル的にもすごく楽になったし、そういううれしさがあった」と苦しい時間帯に生まれた値千金弾を笑顔で振り返った。
(取材・文 折戸岳彦)
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