J1リーグは10〜11日、第9節の10試合を各地で行った。今季から再導入されているビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)によるレビューは3回。Jリーグ史上初めて、ノーファウルだった事象にラフプレー(著しく不正なファウルプレー)によるレッドカードが出される事例も起きた。
<事例1>4月10日 J1第9節 C大阪 2-2 福岡 @ヤンマー(一発退場に関する判定)
0-0で迎えた前半11分、福岡は左サイドで相手にプレッシャーをかけたDF志知孝明がMF奥埜博亮とボールを奪い合った際、膝付近にスライディングタックルをする形で交錯。その時点ではファウルを告げるホイッスルは鳴らされず、福岡の攻撃がそのまま続いた後、C大阪のクリアでプレーが途切れた。
ここでVARが介入。約1分半にわたってチェックが入った後、笠原寛貴主審がオンフィールドレビューを行った。その結果、笠原主審は志知の行為が「著しく不正なプレー」にあたると判断。ノーファウルからレッドカードに判定が変更された。第8節鹿島対柏戦の類似事例ではFWエヴェラウド(鹿島)にイエローカードが出されていたが、レッドカードが出されるのは史上初となった。
主審:笠原寛貴
VAR:池内明彦
AVAR:川崎秋仁
<事例2>4月11日 J1第9節 札幌 2-2 鹿島 @札幌ド(PKに関する判定)
鹿島が2-1でリードして迎えた後半20分、札幌はMF金子拓郎が素早いターンからペナルティエリア内に仕掛け、鹿島DF町田浩樹を股抜きで突破。続いて追いかけてきたDF永戸勝也と交錯した後に転倒し、清水勇人主審はPKの判定を下した。
ここでVARが介入。争点は永戸のファウルがエリア内だったかどうか。通常、エリア内外は「ファクト(事実)」に関するプレーのためVARオンリーレビューで最終判断が行われるのが一般的だが、このようなケースでは「どの行為がファウルにあたるか」という主観的な判断も必要とされるため、清水主審はオンフィールド・レビューを行った。
その結果、清水主審は永戸のファウルがエリア内で起きていたとして札幌のPKを再度指示。当初の判定をキープした。札幌はこのPKをFWアンデルソン・ロペスが決めて同点。2-2のまま試合は終わり、鹿島のザーゴ監督は試合後に「試合を見ていた人全員がPKではないということを明確に見られたのではないかと思うし、それが非常に残念」「PKではないPKを取られた」と不満をあらわにした。
主審:清水勇人
VAR:高山啓義
AVAR:田尻智計
<事例3>4月11日 J1第9節 FC東京 2-4 川崎F @味スタ(ゴールに関する判定)
川崎Fが2-0でリードして迎えた前半23分、ゴール正面からのFKをMFジョアン・シミッチがクイックリスタートすると、FWレアンドロ・ダミアンがフリック。これに反応したMF三笘薫がカットインで相手GKをかわしてゴールに流し込んだ。
副審はフラッグアップしていなかったが、ここでVARが介入。約2分半にわたってVARがチェックを行った結果、三笘のオフサイドが確認され、VARオンリーレビューでノーゴールとなった。オフサイドによるゴール取り消しはこれで今季4例目。川崎Fでは第5節の神戸戦に続いて2例目となった。
担当副審:塚越由貴
VAR:中村太
AVAR:平間亮
■2021年VAR統計(第9節まで)
レビューで判定が修正された回数:18
レビューしたが原判定が支持された回数:4
①得点に関わる事象
ゴールが認められた回数:2
ゴールが取り消された回数:8
オフサイド(ゴール/ノーゴール):2/4
ハンド(ゴール/ノーゴール):0/2
その他ファウル(ゴール/ノーゴール):0/2
ラインアウト(ゴール/ノーゴール):0/1
②PKに関する事象
PKが与えられた回数:3(成功3、失敗0)
PKが取り消された回数:1
PKが蹴り直しとなった回数:0
エリア内外(PK/取り消し):1/1
ハンド(PK/取り消し):1/0
その他ファウル(PK/取り消し):1/0
③レッドカードに関する事象
カードなし→レッドカード:2
イエローカード→レッドカード:0
レッドカード→イエローカード:0
カードなし→イエローカード:1
レッドカード→カードなし:0
④人違いに関する事象
人違いでカードの対象が変わった回数:0
(文 竹内達也)
◆福岡DF志知が“史上初”ラフプレー退場、鹿島ザーゴ監督はPK判定に不満:J1第9節VARまとめ(ゲキサカ)