DF植田直通(ニーム)は昨年10月以来の日本代表復帰となった。今回の活動ではDF吉田麻也(サンプドリア)、DF冨安健洋(アーセナル)を負傷で欠き、センターバックは緊急事態。「今まで出ていた選手がいるいないは関係なく、この2試合は重要な試合になる」と力を込めた植田は「この2試合は自分のことよりも、チームが2連勝することに向けてフォーカスしたい」と使命感を見せた。
植田は昨年9月に行われたカタールW杯アジア最終予選の初戦オマーン戦(●0-1)で、移籍手続きの関係で不在だった冨安に代わり先発出場。日本は濡れたピッチの影響もあって主導権を握れない中、終盤の失点により0-1で敗れた。
失点シーンはボールの奪われ方、プレッシャーのかけ方、クロス対応と、チーム全体での守り方に課題が露呈した。それでも24日、今回の合宿初日のオンライン取材に応じた植田は「クロスの対応は強みでもあるので、そこは自分のところで抑えたい」と語り、自身に矢印を向けていた。
「最悪あのシーンは僕のところで終わらせることができればベストだった。どういう守り方をしていくかはチームで決まり事をはっきりしないといけないという思いもあったが、選手、スタッフと話した中で、ああいう局面では自分の強さを出さないといけなかったと思った。やらせないためにも自分がしっかりマークをついてクリアできていれば問題なかった。チームの問題というよりは自分でできたなという印象がある」
その後、植田は10月の2試合では出番を得られず、11月のアウェー2連戦は招集メンバー外。「11月に呼ばれなかったタイミングでは、僕自身のプレーも含めて満足できるものではなかったので当たり前かなと思う」。一時はそんなスランプに陥っていたという。それでも代表から離れて戦う中で、立ち返ったのは自らの“原点”。いまでは迷いから抜け出した手応えがあるようだ。
「11月の時点では試合には出ていたけど、自分のプレーに満足していないところで、自分の良さを出せていないと思っていた。どうやったら(これまでのように)楽に勝てるんだろうということばかり考えてしまっていた。ただ、そういったことは大事じゃないなと気付かされることが突然試合の中であった。自分の良さを出すにはもっとガツガツ行かなきゃなと思い知った。そういったプレーをすることが増えて、自分の良さをどんどん出せるようになった。そういうプレーをするからこそ、試合を楽に運べるようになった」。
目の前の相手に負けないというのが植田の原点。「僕はそこを失ったら何もない。そこだけは誰にも負けない自信はあるし、そこをしっかり出したい」。それはオマーン戦で感じた反省にも通づるところであり、主力の不在で再挑戦の機会を得たA代表の舞台においても普段から求められるものでもある。
植田は年明けに新型コロナウイルス感染者の濃厚接触者と判定されたことに加え、所属先のクラスター発生により試合中止が続いていたため、27日の最終予選・中国戦(埼玉)が1か月ぶりの公式戦。それでも「今年はまだ試合ができていない状況ではあるけど、チームの中で練習試合ができていたので意識高くやれていた」と植田。「コンディションは問題ないし、ここに来たからにはしっかりやれる」と久しぶりの代表の雰囲気も力に変え、日本の窮地を救う構えだ。
(取材・文 竹内達也)
◆植田直通がオマーン戦失点を反省「最悪あのシーンは…」立ち返った“原点”(ゲキサカ)