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2023年2月26日日曜日

◆【採点寸評|鹿島】ベースとなる戦いは川崎にも通用していたが…交代出場の選手たちは決定打に欠く内容[J1第2節 鹿島1-2川崎](サッカーダイジェスト)






勝たなければいけない試合だった


 2月25日にJ1第2節が各地で開催。県立カシマサッカースタジアムでは鹿島アントラーズ対川崎フロンターレが行なわれ、2-1で川崎が勝利した。

 先制は鹿島。5分、鈴木優磨の浮き球のパスに反応した知念慶がヘディングで合わせてゴール右に流し込んだ。

 その後も川崎に圧倒的にボールを握られる時間が続くなか、コンパクトな守備で対応。最後の局面で仕事をさせない。

 一方の川崎は、最終ラインでボールをつなぎながら、中盤の大島僚太や脇坂泰斗が果敢に顔を出し、縦パスを引き出そうとする。だが鹿島の激しいチェックに苦戦。なかなかシュートまで持ち込めない。

 それでも終了間際の89分、途中出場の大卒ルーキーFW山田新がプロ初ゴールを挙げ、同点に追いつくと、さらに90+10分にPKを獲得。これを家長昭博が冷静に沈め、川崎が逆転勝利。敵地で貴重な勝点3を獲得した。


▼鹿島のチーム採点「5.5」
 勝たなければいけない試合だった。

 80分過ぎまでは岩政大樹監督の想定通りの試合で、「概ねゲームをコントロールできていた」と自信ものぞかせた。特に鈴木優磨や知念慶、ディエゴ・ピトゥカらはハードワークを怠らず、常にチームを鼓舞し続けるなど、替えの利かない存在に。

 一方で、プレシーズンから続く課題のひとつは明確で、ゲームの流れを変えられないこと。前節の京都戦でもその傾向は表われており、交代出場の選手たちも持ち味は出しているものの、決定打に欠く内容だった。

 ただ、ベースとなる戦いは川崎相手にも通用していただけに、結果が伴わないなかでも継続し、今日の敗戦を糧にできるか。シーズンが終わった時に分岐点となるような試合だった。

※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定したこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。

取材・文●渡邊裕樹(サッカーダイジェスト編集部)




GK:早川友基|採点5.5/2失点という結果以外は申し分なし。PKにつながる場面では飛び出した以上、ボールに触りたかったか。

DF:常本佳吾|採点6/マルシーニョを封じ次々とピンチの芽を摘んだ。終盤で逆転を許してしまったのが悔やまれる。

DF:植田直通|採点6/シュートコースの読みやラインコントロールなど、強みの対人守備以外にも総合力の高さを見せつけた。チーム全体が前への意識を高めるなか、最終ラインに柱ができたことは大きい。ただ、同点弾の場面では、反応した山田を褒めるしかないが、背後を取られてしまった。

DF:関川郁万|採点6/植田との“師弟関係”で伸び伸びとプレー。フィードやヘディングなど強みが全面に出てきている。PK直前のシュートブロックなど積極性がうかがえた。

DF:安西幸輝|採点6/相手のキーマン家長を運動量で上回り、自身のサイドでは仕事をさせなかった。

MF:佐野海舟|採点7/際立つ活躍ぶり。特に、気の利いたポジショニングと状況判断から相手のパスワークを引っかけてリズムを作らせなかった。

MF:ディエゴ・ピトゥカ|採点7/徐々に真価を発揮し始めている。周囲との距離感が良くなり、攻撃性能やサッカーセンスの良さが随所で顔を出す。守備でのハードワークもさすがだ。

MF:藤井智也|採点6/やや周囲との連係不足か。鋭い飛び出しで相手の最終ライン背後を狙うが、オフサイドになるシーンも度々見られた。出し手との呼吸が合えば今後の大きな武器になるか。58分に無念の負傷交代。

MF:樋口雄太|採点6.5/ピンポイントで関川に合わせたCKなど、キック精度の高さは健在。安定したプレーで相手に圧力をかけ続けた。

FW:知念慶|採点7.5/常にゴールを狙う姿勢や、前線からの激しいプレスなど、実力を発揮。何より古巣相手に奪った先制弾はチームを活気づけた。

FW:鈴木優磨|採点7.5/この日も広いエリアをカバーし、知念の先制弾をアシスト。チームへの貢献度は特大だ。


MF:松村優太|採点5.5/藤井が負傷したため早めにピッチへ。右ウイングとしてチャンスにも絡んだが、存在感はやや希薄だった。

MF:荒木遼太郎|採点5/PKを与えてしまった場面はハンドの判定にこそなったが、決死のクリアでもあった。しかし、期待されていたゲームチェンジャーとしての役割は担えず。持ち前のテクニックを発揮したい。

MF:仲間隼斗|採点5.5/前線からのプレスで貢献。決定機もあったが、直前にファウルの判定で、ゴールは奪えず。相手に傾いた流れを変えられなかった。

FW:垣田裕暉|採点5.5/同点弾を許した場面では、直前のCKをストーンの位置に入ってヘディングも「クリアが中途半端になってしまった」と悔やむ。アディショナルタイムには同点のチャンスもあったが、シュートは枠外へ。

監督:岩政大樹|採点5.5/前掛かりになり過ぎず狙いを持ったプレスや、ボール保持の時間を作るなど、事前の準備の周到さを感じさせた。一方で、交代カードは期待どおりの効果は出ず、ゲームを上手く閉めることができなかった。