Question
植田にボールが渡ってから、鹿島はどのように相手を崩したか
Jリーグ第3節、横浜FC対鹿島アントラーズが行なわれ、アウェーの鹿島が3-1で勝利。勝ち点6で3位とし、上々のシーズンスタートとなった。
鹿島は立ち上がりから前線での強度の高いプレスでリズムを作ると、前半9分にMF藤井智也の先制点で早々とリードを奪った。しかし、前半24分にDF安西幸輝のファールでPKを献上し、同点に追いつかれる。
なおもペースを握る鹿島は、前半38分にFW鈴木優磨の得点で再びリード。後半に入っても主導権は鹿島が握り、終了間際のアディショナルタイム6分にMFアルトゥール・カイキがダメ押しの3点目を決めて3-1の快勝となった。
今回は、鹿島の2点目のシーンを取り上げる。
前半38分、左サイドでボールを持ったFW知念慶が中へ持ち出し、後方のDF植田直通にボールを渡す。
次の瞬間、植田の前方にいるDF常本佳吾は、どのように動き出し、横浜FCの守備を崩したか、というのがQuestionである。
Answer
常本がハーフレーンの裏へ抜け出しロングボールを受け、クロスを入れた
鹿島の狙いどおりの形が、ゴールへとつながったシーンである。まずポイントは右サイドバック(SB)の常本のポジショニングだ。
左サイドにボールがある時、アンカーのMF佐野海舟がボールサイドに寄り、空いていた中央のスペースに常本が入ってきていた。これによって横浜FCの左MF坂本亘基も中へ絞ることになった。
次のシーンで知念が中へボールを持ち出し、最後尾の植田へボールを渡すと、坂本が中へ絞っているので右ウイングの藤井へのパスコースが空いていた。それによって横浜の左SBのDF橋本健人が、タッチライン際に開く藤井へ釣り出される。
それを見た常本のアクションが見事だった。常本は橋本が釣り出されて空いたハーフレーンの裏へ走り込んでパスを要求する。植田はワンタッチでボールを前へ運ぶと、すぐに裏のスペースへロングボールを供給した。
抜け出した常本は、遅れて対応に来た横浜のDF岩武克弥をワンタッチでかわし、中へ走り込んだ鈴木へラストパス。鈴木がゴールを決めた。
鹿島はウイングがライン際に開いて相手SBを釣り出し、空いたハーフスペースやそのSBの裏を、味方のSB、あるいは1トップの鈴木が走り込むという形を度々狙っていた。このシーンの常本もオートマチックなタイミングで動き出しており、狙っていた形であったことは見て取れた。
3戦2勝といいスタートを切った鹿島。次節・アビスパ福岡戦でどんな戦いを見せるのか注目だ。
◆好調・鹿島アントラーズは狙いどおりの攻撃が炸裂中 DFラインがボールを持った時に前の選手はどう動いているか(Sportiva)