西武は来年春、本拠地球場近くに整形外科クリニックを開設することになりました。選手の治療だけでなく住民にも高度なスポーツ医療を提供します。プロ野球で初の試みです。
埼玉西武ライオンズと帝京大がパートナーシップ
プロ野球の西武は1月、帝京大学とスポーツ医療などに関するパートナーシップを結ぶことを発表しました。
今シーズン、選手のけがの予防や早期回復、さらにパフォーマンスの向上のために、球団の中に専門の部署を設けて、帝京大学から派遣されたチームドクターや理学療法士、管理栄養士などが連携して活動していくということです。
これまで1人だったチームドクターを6人に増やすほか、理学療法士も2人から4人に増やして体制を厚くします。
球場近くに“ライオンズ整形外科クリニック”
これにあわせて、埼玉県所沢市のベルーナドームのすぐ近くに「ライオンズ整形外科クリニック」を来年2024年春に開設することになりました。
チームドクターを務める帝京大学スポーツ医科学センターの医師や理学療法士が診療にあたり、X線やMRIの検査機器も備えていて、選手がけがをした場合、すぐに検査や治療を受けることができます。
西武 松井稼頭央監督
「ぼくが選手の時に欲しかったですね。選手たちには準備の大切さを伝えていますが、シーズンを通してだと、体調の変化もありますしコンディションを維持することが大事なので、うらやましいですし、非常に心強く思っています」
このクリニック、選手のためだけに設けられるのではありません。
プロ野球の現場で培った整形外科の治療のノウハウや知見を、地域の人たちに還元していくということです。
アマチュア選手や部活動の中高生などに、治療、リハビリ、トレーニング、競技復帰まで一貫してサポートする医療体制を構築することにしています。
さらにアスリートだけではなく、一般の人たちや高齢者を対象に、メタボリック症候群の改善や生活習慣病の予防、歩き方の指導、介護予防などの健康プログラムも提供します。
帝京大学 冲永佳史学長
「少子高齢社会を迎えているなか、スポーツによる健康増進活動は、子どもからお年寄りまで欠かせないものだと考えています。しかし、その活動の中で、けがをする場合もありますし、いい運動のしかたを伝える必要もありますので、新たなクリニックを拠点に、安心してスポーツ活動に取り組んでもらえるよう支援していきたい」
プロ野球の球団による整形外科クリニック開設は初めてだということです。一方、こうした取り組みは、ほかのプロスポーツチームでも行われています。
ラグビーリーグワンの埼玉パナソニックワイルドナイツは去年、本拠地の埼玉県熊谷市に新たな法人を設立して「ワイルドナイツ クリニック」を開設しました。
また、サッカーJ1の鹿島アントラーズは2015年、茨城県鹿嶋市のカシマスタジアムに「アントラーズ スポーツクリニック」を設け、チームドクターが診療にあたっています。運営会社によりますと、去年1年間で延べ6万人余りが利用するなど、地域医療に欠かせない存在になっているということです。
西武 後藤高志オーナー
「選手たちの検査や治療、リハビリを一気通貫する体制を、球場近くに設置するとともに、高度な医療サービスを、地域に住んでいる人たちに提供することで、より健康で充実した生活を送ってもらえるよう貢献していきたいと考えています。プロ野球球団の整形外科クリニックは初めてで、この新たな取り組みがチームのさらなる強化と、地域の人たちにほほえみと元気を提供することを確信しています」