http://hochi.yomiuri.co.jp/soccer/jleague/news/20140315-OHT1T00218.htm
◆J1第3節 広島0―2浦和(15日・エディオンスタジアム広島) 差別的な横断幕が問題視された浦和が15日、出直しの1勝を飾った。J1の第3節が行われ、浦和はアウェーで広島に2―0で快勝。横断幕の掲出がすべて禁止されたスタンドでは、約1800人のサポーターが手拍子や声援でもり立てた。処分の対象となる次節、23日の清水戦(埼玉)は、Jリーグ史上初の無観客試合として行われる。
1週間前まで、スタンドを埋め尽くしていた横断幕は1枚もない。寂しささえ感じさせた浦和のゴール裏。広島を2―0で下し勝利を報告するイレブンに、どこからか「We are REDS」の大合唱が湧き起こった。一斉にタオルマフラーが掲げられ、観客席が赤く染まった。
8日の鳥栖戦で差別的横断幕が掲げられ、クラブは次回ホームを無観客試合とするなどの厳罰を受けた。次はない。危機感の下、再発防止策として異例のクラブ職員、警備員を合わせ32人が埼玉から広島入り。スタンドには25人を配置して問題行為に目を光らせた。試合前には今回の経緯と横断幕の掲出が禁止となったことなどを記したチラシを2500枚用意し、スタッフが配った。
選手も特別な思いで臨んだ。試合前に事件直後にツイッターで問題提起したDF槙野が音頭を取り「こういう時だからこそ、僕たちはピッチで表現していこう」と誓い合うと、前半42分にFW興梠が先制弾。後半ロスタイムには今季からエースナンバーの9番を任されたMF原口が、名前通りピッチ内外を“元気”づける今季初得点を挙げた。
興梠「入ってくれ!って気持ちだった。いろいろあったけど、サポーターの声援がなければ、思い切って試合ができない」
原口「違和感はあったけど、変わらずサポートしてくれた。結果を出すことで、ネガティブをポジティブに変えられる」
約1800人のサポーターはトラブルを起こすことなく、勝利を後押しした。クラブスタッフの1人は「今回はサポーターに助けてもらった。みんなレッズが好き。クラブがなくなるわけにはいかない。そういうのを感じた」と感謝した。
16日からは無観客試合となる23日の清水戦へ、運営方法などの準備に取りかかる。最高の勝利から浦和が苦難の道を再び歩き始めた。