今シーズンのJ1リーグも全日程が終了した。この1年を振り返り、各クラブはどのようなシーズンを過ごしたのだろうか。今回は、クラブ史上初のアジア制覇を達成した鹿島アントラーズの今季を振り返る。
過密日程で手にした新たなタイトル
大型補強を敢行した昨季は2位に甘んじた鹿島アントラーズ。今季はアジアチャンピオンズリーグ(ACL)制覇も視野に入れて臨んだ。リーグ戦は開幕3試合を1勝1分1敗とスタートダッシュに失敗。第6節・湘南ベルマーレ戦、第7節・FC東京戦と2連敗を喫することもあった。それでも連敗はこの時のみで、以降は安定して勝ち点を積み重ねていった。
夏場からシーズン最終盤にかけては2度の3連勝があり、調子をさらに上げていった。リーグ優勝こそ逃がしたが、3位でフィニッシュ。来季のACL出場権を獲得している。
これまで多くのタイトルを掴んできた常勝軍団だが、まだ頂点を経験していない大会があった。それがACLだ。今季はしぶとくポイントを稼いでグループリーグを突破。決勝トーナメントでも力強い戦いを見せ、ついに決勝進出を果たす。ペルセポリスとのファイナルでは、ホームで行われた1stレグで2-0と先勝。アウェイでの2ndレグもしっかりとまとめ、念願の初優勝を遂げた。
選手個々の成長でチームはさらに逞しくなった。金崎夢生がシーズン途中にサガン鳥栖へ移籍。得点源を一人失ったものの、鈴木優磨が貫禄のプレーを披露している。リーグ戦11ゴールはチームトップであり、彼がネットを揺らすことでスタジアムのボルテージも上がった。怪我で辞退となってしまったが、日本代表にも初選出。今後の飛躍が期待される選手だ。
また19歳の安部裕葵は今季のベストヤングプレーヤー賞を受賞。そのプレーぶりは若手のそれではない。安西幸輝や犬飼智也も常勝軍団の一員としてチームに貢献しており、将来にも期待が持てる集団になっていると言える。
もちろん小笠原満男、曽ヶ端準といった重鎮の存在も忘れてはならない。出場機会が減少した彼らだが、チームに与える好影響は今季も大きかったはずだ。そして、神様ジーコの帰還で選手たちの目の色もさらに変わっただろう。主力だけでなく、全員が役割を全うしたシーズンだった。
鹿島の2018シーズン通信簿
攻撃力:B
守備力:B
采配:B
人事:A
安定感:A
好守に安定した力を発揮し、自分たちのリズムでなくとも踏みとどまれる強さも示した。過密日程を強いられる中で多くの選手が起用され、持ち味を出した。ロシアワールドカップ後に植田直通が海外移籍し、昌子源も負傷離脱。最終ラインは苦しい状況に陥ったが、他の選手たちが穴を埋めて見せた。
セルジーニョ、チョン・スンヒョンといった途中加入組も重要な戦力となった。補強が成功したのはもちろん、大岩剛監督の采配も称賛されるべきだろう。
クラブワールドカップではレアル・マドリーと再戦。1-3と敗れリベンジを果たすことはできなかったが、収穫の多いシーズンとなったことは間違いない。
【了】