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2020年1月31日金曜日

◆鈴木優磨、19/20前半戦の評価は? 二桁得点も視野に。エース格に定着、監督交代も信頼失わず【欧州日本人中間査定(18)】(フットボールチャンネル)



鈴木優磨 Yuma.Suzuki



新年を迎え、2019/20シーズンは後半戦へと突入した。欧州各国でプレーする日本人選手たちはどのような活躍を見せたのか。今回は今季からシント=トロイデンVVでプレーする鈴木優磨の前半戦を振り返る。(文:編集部)


スロースタートも徐々にエース格へ


 満を持して海を渡ってベルギー1部のシント=トロイデンVVに加入したFW鈴木優磨だが、2019年上半期は負傷の影響もあって鹿島アントラーズでの公式戦出場が1試合もない状態だった。

 ベルギーでもしばらくはベンチ外が続き、8月末の第6節オイペン戦で途中出場を果たしようやくリーグ戦デビューを飾る。そこから主力へ定着するのに時間はかからなかった。

 リーグ戦初先発となった第8節のシャルルロワ戦で初ゴールを挙げると、味方選手の負傷によって前半途中に急きょ出番が回ってきた第9節のゲンクとのダービーマッチでも存在感を発揮し3-3のドローに貢献する。

「もうちょい絡んでいけて、もうちょいゴール前で力を発揮できるようになれば、点を取っていけるんじゃないか」

 荒れに荒れたダービーマッチの後、明るい展望を語った鈴木はそこから徐々に2トップの一角へ定着していく。出遅れはしたものの、チームメイトたちとの相互理解が進んでいき、味方との連係がスムーズになっていくとともに、決定的なチャンスに絡む回数も増えていった。

 ベルギーリーグはシーズン終盤にプレーオフがあるため、2019年のうちにレギュラーシーズンの3分の2が終わる。シント=トロイデンVVは11月待つにマーク・ブライス監督を解任するなど下位で苦しんでいたが、鈴木は相方のコートジボワール代表FWヨアン・ボリとともにチームを引っ張った。

 ブライス監督解任直後の王者ゲンク戦では、鈴木が決勝ゴールを奪った。背番号9の日本人ストライカーは左サイドに流れてシンプルなボールキープで攻撃の起点となり、そのままゴール前まで侵入。最後は右サイドからのクロスに、相手GKと交錯しながら頭で合わせてゴールネットを揺らした。


監督交代でもスタメンの座は譲らず


 昨季、シント=トロイデンVVの前線をけん引していたFW鎌田大地は、新年を迎えるまでにリーグ戦二桁得点を達成していた。12月はややトーンダウンした感があったものの、10月や11月はほとんど毎試合のようにゴールを決めて、チャンピオンズリーグ出場権を争えるプレーオフ1進出目前までチームを押し上げた。

 鈴木は「(鎌田と)同じ時間を与えられれば、俺は絶対に超えられると思っているので。スタメンで出れば絶対に(ゴールを)取れる」と豪語したが、まだ先代エースの領域には達していない。それでも後半戦のパフォーマンス次第では渡欧1年目でのリーグ戦二桁得点は十分に視野に入ってくるだろう。

 そして、シント=トロイデンVVの浮沈は鈴木が握っていると言っても過言ではない。冬の移籍市場でリーグ戦10得点を挙げていた相方のボリがカタールのアル・ラーヤンに引き抜かれ、大きな得点源を失った。だからこそ鈴木が背負うべき責任は一層大きくなっていく。

 昨年末に就任したミロス・コスティッチ新監督は、これまで試合ごとに3バックや4バックなど変わり続けていたシステムを4バックに固定。初陣となった第22節のコルトライク戦と第23節のムスクロン戦で今季2度目の連勝を飾っている。

 その中で、新指揮官は鈴木を4-3-3の左ウィングと4-3-1-2の2トップの一角で起用した。もともとボリと組んでいた頃も、左右に流れてチャンスメイクに絡む動きは度々見せていた。裏への飛び出しのみならず、柔軟なポストプレーやドリブル突破など前線で幅広い役割をこなせる背番号9は、間違いなく新体制のエースとして期待を寄せられている。


新相方コリディオとの連係が後半戦の鍵に


 また、コスティッチ監督は半年間ほとんど出番を与えられてこなかったアタッカーを起用し、結果につなげている。インテルから期限付き移籍中のアルゼンチン人FWファクンド・コリディオが、ブレイクの兆しを見せているのだ。

 20歳のコリディオは直近のリーグ第25節ムスクロン戦で鈴木のゴールをアシストし、2人の相性は非常に良い。しかもその試合では3アシストを記録し、3-1の勝利に大きく貢献した。利他的なメンタリティを備え、ゴールを決めるだけでなくチャンスメイクにもクオリティを発揮できる、鈴木の新しい相方候補筆頭だ。

 現時点で10位のシント=トロイデンVVには、まだ上位6チームによるプレーオフ1進出の可能性が十分に残されている。ボーダーラインの6位ゲンクまでの勝ち点差はわずかに5ポイントだ。23試合で39失点と守備に難のある状態で、残り5試合で上位をごぼう抜きするには勝ち続けるしかないが、そこで鈴木に期待されるのはやはりゴール量産に他ならない。

 コスティッチ監督が構築するチームにおいて、中盤ではU-23アルゼンチン代表MFサンティアゴ・コロンバットが中心となり、ベルギー人MFアレクサンダー・デ・ブラインはチャンスメイカーとして急成長を遂げている。キャプテンのMFジョーダン・ボタカも右ウィングバックが定位置だった前体制とは違い、より攻撃的な位置で起用されるようになって輝きを増している。

「コリディオと組むようになって、彼も若いですけど本当にポテンシャルはあるし、これからもっともっと2人で得点に絡んでいける回数が増えるんじゃないかと思います」

 鈴木はムスクロン戦終了後、コリディオとのコンビネーションへの確かな手応えをクラブ公式のインタビューで語った。2人のゴールやアシストが増えていけば、自ずと攻撃の破壊力は増していくだろう。レギュラーシーズン12得点だった鎌田は昨季後半戦、対策が進んで徐々にトーンダウンしてしまったが、鈴木には新たな相方のサポートとともに上昇気流に乗ってのさらなるゴール量産と、「鎌田超え」が期待される。

(文:編集部)

【了】


◆鈴木優磨、19/20前半戦の評価は? 二桁得点も視野に。エース格に定着、監督交代も信頼失わず【欧州日本人中間査定(18)】(フットボールチャンネル)





◆鹿島が失ったACLのタイトル。 「決勝戦に負けたのと等しい」(Number)



土居聖真 Shoma.Doi



 タイムアップの笛が鳴り、審判がそれを告げる。

 そのとき、カシマスタジアムは静まり返った。メルボルンビクトリーの選手たちが互いに抱擁し、スタンドからは、10人にも満たないメルボルンのサポーターたちの歌声が響く。

 1月28日、AFCチャンピオンズリーグ2020プレーオフ。一昨年の大会王者である鹿島アントラーズは、0-1で敗れ、本戦に出場することもなく、2020年のタイトルをひとつ落とすことになった。

「タイトルを1個失っているので、決勝戦に負けたのと等しい。今年2回決勝戦に負けているので、もちろんショックは大きい。でも、次に進まなくちゃいけない。この苦しい状況から逃げちゃいけないと思うので、次に向かって、またやるしかないと思います」

 今季から新キャプテンに任命された三竿健斗の言葉が、この1敗の大きさを物語っている。


「リフォームじゃもう無理かな」


 2019年Jリーグ首位を走りながらも終盤に失速し、3位で終えた鹿島は、天皇杯を残して大岩剛の監督退任を発表。天皇杯決勝戦を前に鈴木満フットボールダイレクターは、新たなチームについて次のように語っている。

「主導権を持ち、主体性を持ったサッカーに変えていきたい。ここ2、3年は受けて相手にポゼッションを渡したなかで、どうするかというサッカーになってしまったので。主導権を持ったサッカーというか、そこが今回のキーワード。

(大岩)剛も、そういう風にしたかったと思うけれど、けが人が多数でたり、選手が入れ替わるなかで、よくはやってくれたと感じている。でも少し方向性というか狙いというか、変化をつける時期だとは感じています。個の能力、個の判断だけじゃなくて、もう少し組織力を高めていくようにしないといけない。選手任せでサッカーをしていても勝てない時代になってきた。アントラーズのベースは残しつつも、ちょっといろんな変化をもたらしていけば」

 そしてこう続ける。

「Jリーグの環境は急速に変わっている。今までこうやってきたから、同じ方法で成功できるとあぐらをかいていればどんどん取り残される時代になってきている。ここ数年、リフォームリフォームでやってきたけれど、もうそれでは、間に合わないところに来ている。なので基礎だけ残して家を建て替えようかなと。そういう編成をしようと思っています。

 変わるというか、やっぱり変えなくちゃいけない部分がある。リフォームじゃもう無理かな。新築しないといけないかな」


合流から10日しか時間がなかった。


 天皇杯で優勝していれば、ACLは2月10日のグループリーグからの参加だった。シーズンは2月8日のゼロックス杯でスタートするため、1月中旬を目途に新監督での始動を予定していた。しかし元日の天皇杯決勝に敗れた鹿島は、リーグ3位でACLプレーオフ出場権を得たため、1月28日に初戦を迎えることになった。始動は1月8日に前倒しを余儀なくされた。

 とはいえ、選手たちには最低でも2週間程度のシーズンオフを得る権利があるし、なにより休暇とリフレッシュがなければ、ケガのリスクだけではなく、メンタル面での問題が生じる可能性も高まる。

 毎年1月下旬にACLのプレーオフが実施されるようになり、しかも4枠のうち2枠がプレーオフに参加(以前は1枠だったが、アジア内での国別ランキングによってストレートイン枠が減った)するようになって以来J上位チームの始動は早まり、シーズンオフが短くなる傾向は続いている。

 2019年も、前年CWCに出場した後にACLプレーオフに参戦した鹿島のシーズンオフは短いものだった。

「シーズン前のキャンプで身体づくりをする時間が限られて、その結果、けが人が増えたとも考えられる」と鈴木は語っていた。

 しかし結果的には2020年シーズンのオフはさらに短くなってしまったため、昨年主力として戦った選手は始動時期をずらし、1月16日にチームへ合流した。つまりACLの準備はわずか10日間しか時間がなかったことになる。


監督は鹿島の理想に一致する人選。


「ボールを握り、ゲームを主導する、主導権を持って戦いたい。ボールのないときはアグレッシブな守備でボールを奪いにいく」

 新監督となったアントニオ・カルロス・ザーゴは、自身の理想のサッカーについてそう語っている。1996~97年には柏レイソルでのプレー経験を持ち、ASローマ時代にはセリエA優勝経験を持つ元ブラジル代表CB。

 2009年よりブラジルで監督のキャリアをスタートさせ、ローマやシャフタールドネツクでアシスタントコーチを務め、2015年からはブラジル全国選手権セリエBやセリエCのチームで監督を務めてきた。ヨーロッパでの指導経験を持つブラジル人という、鹿島の理想に合致する人選だ。

「理想のチームを作るには準備期間は短いけれど、要求に対する選手たちの意欲がとても素晴らしい。100パーセントではないが、できることはやった。アントラーズにはタイトルが必要だというのはみんながわかっている。プレーオフはタイトルへ向かう道。まずはそこを突破することがもっとも重要だ」

 新体制発表会見でそう語った新監督にACLの前日会見でチームのポイントを聞くと、「ボールを持つことでゲームコントロールすること。ボールを失っても素早くプレスをかけること。ホームというアドバンテージを生かし、主導権を持って戦いたい。できないこともあるかもしれないが、時折はやってきたことが表現できると思う」と話してくれた。

  緊張からなのか性格なのかわからないが、会見で笑顔を見せることはなかった。


メルボルンはシーズンの真っ只中。


 一方対戦相手のメルボルンはシーズン真っ只中。リーグ戦では3連敗しているが、コンディションは上々だ。

「私たちはたくさん試合をしているが、鹿島には時間がなかった。そのアドバンテージを生かしたい」とカルロス・サルバチュア監督は戦前語っていた。

 強風による横殴りの雨が吹き付ける中、試合が始まった。鹿島の先発メンバーには、6人の新加入選手が含まれていた。コンディションを考慮したのかもしれないが、連係面ではやはりそう簡単にうまくいくはずもない。

 それでも前線からのプレス、ボールを保持して高い位置で試合を進めるという狙いはある程度成功し、チャンスも作っていた。

 しかしメルボルンも対応し、普段使っている4バックから鹿島戦のために3バックに変更し、時間帯によっては5人がDFラインに並んで守り鹿島にゴールを許さない。

 そんな前半の展開に「ボールを保持することがゲームの主導権に繋がるのか?」という不安が浮かんだ。


「典型的なサッカーの負け方というか」


 コンディション面でのアドバンテージを持つメルボルンが、実質的にはゲームの主導権を握っているのではないかという危惧だ。前半を無失点で凌ぎ、コンディションの差が出る後半に勝負をかけるプランは現実的だ。

 後半立ち上がりから、メルボルンは積極的に攻めに出る。鹿島が素早い攻守の切り替えでボールを奪おうとしても、ファールをとられてペースを取り戻せない。そして54分、元浦和レッズのアンドリュー・ナバウトのシュートが決まり、メルボルンが先制。その後は鹿島の攻撃時間が続き後半だけで12本ものシュートを放ったが、相手GKの好守もあり、同点に追いつくことはできなかった。

「最後に決め切ることができなかった。足りないのはそこだけだと思う。自分たちで蒔いた種だと思うし、典型的なサッカーの負け方というか。あれだけ、ボールを支配して決定機を作っても、決めなければ何もない。逆に相手は、チャンスでもなんでもないシュートが入っちゃうというのが、サッカーの恐ろしいところだと思います」

 土居聖真はそう試合を振り返った。新顔が並ぶ攻撃陣をポジショニングとパスでまとめた土居だったが、その労力は報われなかった。


内田篤人「失ったものは大きい」


 監督の求めるサッカーを体現できたとポジティブに捉える選手もいたが、三竿は「内容も悪いし、結果も悪い」ときっぱり言った。

「映像を使ったり、組み立ての練習である程度こういうふうに動かすというのはあったけど、大きなピッチでの練習もやっていなくて、今日は前との距離感を遠く感じてしまった」とも振り返っている。メルボルンとの大一番の前には、親善試合をする時間的余裕もなかったのだ。

 土居や三竿、そして犬飼智也は、短い準備期間というハンデを認めようとはしなかった。内田篤人もその1人だ。

「チャンスがいっぱいあって、入らない試合は負けちゃう。今日はそういう試合じゃない? でも、『そういう試合じゃない?』で、片づけられないんだけどね、今日の試合というのは。

 失ったものは大きい。チーム立ち上げの最初の試合という中でも、今までは勝ってきたから。一発勝負は強いっていうチームだったしね。俺は試合に出てないから言えないけど、自分たちがどうリアクションしなくちゃいけないかっていうのは、出ていない俺らがやらなくちゃいけないと思う」

 そしてこう続けた。

「すごい雨にもかかわらず、今日もゴール裏にはいっぱいお客さんが入ってくれて。本当に感謝しているし、同時に申し訳ない。最後スタンドへ挨拶へ行ったとき、ブーイングじゃないというのが悲しかった。鹿島は負けて頑張れよって言われるチームじゃないから、ちょっと悲しかった。でも、そういうふうになっちゃったのが申し訳ない。

 ただ、僕はサポーターの厳しい眼があって成長できたし、選手はそうやって育つから。他のチームから来た選手もいるし、若い選手も見ているからね。厳しい眼であってほしいという気持ちはある」


三竿「ブーイングされて当然の内容だった」


 三竿もいう。

「拍手とか起こってましたけど、逆にその拍手に対して申し訳ないですし、ブーイングをされて当然の内容だったので、そういうふうに気を使わせてしまって、申し訳ないなと思います。

 期待もその拍手には込められていると思うので。その拍手を裏切らないように。みんなでもっと精度を上げて、チームがひとつになって精度を上げていきたい」


終わってみれば勝っている、という美学。


 鹿島の強さの根底には、「リアリスト」という姿がある。勝つためにどうすべきかを逆算し、方法を模索し続ける。試合の流れが悪ければ、ファールでそれを止めることも厭わない。また相手の出方に応じてプランを修正する力も選手たちは備えていた。内容は最悪でもポゼッション率が低くても、被シュート数が多かろうと関係ない。

「終わってみれば勝っている」

 それが美学だと話す選手も少なくなかった。そのふてぶてしさが鹿島アントラーズでもあった。

 しかし、海外へ移籍する選手が増加し、育成の時間が確保できない。補強選手が増えれば、選手任せでは立ち行かない。組織としての戦略、チームモデルが必要だ。そういう意識のもとで、「変わらなければならない」と2020年シーズンは舵を切った。

 そうなれば、チーム作りにも時間が必要だろう。リフォームではなく新築なのであれば、当然のことだ。それをサポーターも理解しているからこその、激励の拍手だったのだろう。スタメンに生え抜きの選手は土居だけだった。チームは確実に変動している。


監督の評価はまだできないが……。


 始動から3週間ほどで、監督の評価はできない。それでも、プレーオフに敗れるという痛手は小さくはない。

「監督が求めるサッカー」より、「勝利」を手繰り寄せるエゴが足りなかったのだろうか?

 勝利に対する気迫がシュートの精度にどう影響するのかはわからない。ただひとつ思うのは、「鹿島らしい」試合ではなかったということだ。

 しかし同時にこうも思う。“決勝戦”に2連敗している姿は、もう鹿島らしさを求める段階ではないのかもしれないと。


鹿島の栄養はタイトルそのものである。


 2001年のチャンピオンシップ第1戦。ジュビロ磐田に2点リードを許しながら、後半に2点を決めてドローで終えると、第2戦では延長戦の小笠原満男のVゴールで王者になった。

「僕らは華麗なサッカーをしていると言われるけれど、勝つのは鹿島」と磐田の藤田俊哉が悔やんでいた姿は今も忘れられない。

「タイトルがクラブの栄養だ」と鈴木は話していた。その栄養を得るために鹿島は変わろうとしている。その先がどうなるのか。ACLがなくなったことで、チーム作りの時間が生まれたと考えることもできる。

 シュートが決まっていれば、勝てた。確かにそれも事実だ。しかし、負けてしまった。

「不甲斐ない。でもこれが僕たちの実力。目をそらしちゃいけない。逃げずに、できるだけタイトルをとり、最後には大きく成長した姿を示したい。逃げずにやり続けたい」

  三竿の言葉がすべてだろう。


◆鹿島が失ったACLのタイトル。 「決勝戦に負けたのと等しい」(Number)




◆新生アントラーズ、昨季とは180度転換。 ザーゴが考える戦術の片鱗を見た(Sportiva)



ザーゴ zago




「4冠」を目指して始動した鹿島アントラーズが、早くもひとつめのタイトルを失うことになった。

 1月28日に行なわれたAFCチャンピオンズリーグ(ACL)のプレーオフで、メルボルン・ビクトリーに0−1で敗れたのである。

 Jリーグ勢がACLのプレーオフに出場するようになってから、初の「プレーオフ敗退」という屈辱。鹿島としては3年連続でACLの本戦に出場していた歴史が途切れる失態となった。

 試合後、取材陣の前に姿を見せたボランチの三竿健斗はこう切り出した。

「自分自身も不甲斐ない出来だったので、申し訳ない気持ちでいっぱいですけど、これが今の自分たちの実力。目を背けてはいけない。批判されて当然の内容だったと思うし、今は何を言われても、すべてを受け止め、シーズンの最後にはここから成長した姿を見せてタイトルが獲れるように続けていきたい」

 CBを担った犬飼智也も責任の重さを言及した。

「目指していたタイトルをひとつ失ってしまった。本戦に出場できないというのはあってはならないこと。その責任は強く感じています。ただ、それもこれも自分たちで招いてしまった結果。無冠では終われないチームなので、国内のタイトルにフォーカスしていきたい」

 今シーズンの新戦力として川崎フロンターレから加入し、犬飼とCBでコンビを組んだ奈良竜樹も唇を噛みしめた。

「結果ですべてが評価される試合だったと思うので、後ろが踏ん張りきれなかったことは申し訳ないと思っています。(失点は)不運といえば不運ですけど、自分なりにもっといい対応はできたと思う。反省して次に生かしていきたいと思います」

 エクスキューズは探せば、いくらでもある。

 元日に天皇杯・決勝を戦った鹿島は、極端にオフが短く、選手たちは身体を休める時間がなかった。チームは1月8日から始動したが、昨シーズンを主力として戦った選手たちは個別に休養期間を取っていた関係で、宮崎キャンプには途中からの合流だった。

 加えて、今シーズンからザーゴ新監督が就任し、新たなサッカーに着手している最中である。わずか3週間で戦術を浸透させてチームの形を見出すのは、新指揮官にとっても、選手たちにとっても、難しすぎるミッションだった。

 実際、宮崎キャンプ中に行なわれた練習試合も取材したが、合流して間もなかった主力選手たちは出場せず。ピッチに立ったのは、新加入選手や若手が中心だった。

 その後もプレーオフに向けた調整のため、練習試合はおろか紅白戦も行なえていない。メルボルン・ビクトリー戦では新加入選手6人が出場したが、新旧が融合したメンバーで実戦を戦うのは、いわば”ぶっつけ本番”だった。

 それでも選手たちが、挙げればキリがない不足要素を言い訳にすることはなかった。

 たしかに試合に敗れ、ACLの出場が叶わなかった事実は、すべてのタイトル獲得を目指す鹿島にとっては大きいし、痛い。

 だが、一方でメルボルン・ビクトリー戦は、ザーゴ監督が掲げる新たなるサッカーの片鱗が見えた試合でもあった。システムこそ鹿島伝統の4−4−2ではあるが、試みているサッカーは180度と表現してしまいたくなるほど、昨季までと違いがあった。

 ひと言で言えば、ポゼッションサッカーへの転換である。

 昨季までの鹿島はどこかリアクションサッカーになりがちだったが、メルボルン・ビクトリー戦では終始、試合の主導権を握り、ボールを保持していた。犬飼が言う。

「ボールは7対3の割合くらいで持てていたと思います。そこは去年できていなかった部分。

後半は(相手がリードしたこともあり)、全体的に下がってしまったので、シンプルにSBにパスを出して任せる形が多かった。ですけど、前半は相手が前からハメにこようとしていたなかで、うまく相手をはがせたところはあったと思います。

その時、やり直すのか、もしくは自分たちが縦パスを入れるのか。そこはまだまだ判断していかなければならないと思います」

 奈良も続ける。

「監督からは『ボールを早く動かせ』という指示があるので、CBが長い時間ボールを持たずに、ボールを動かしてテンポを出す。他にもサイドチェンジを入れることも意識していたんですけど、相手が3バックでワイドに人がいたこともあり、なかなか僕らCBから狙うのが難しかった。

 どうしても探り探りの部分もあったので、監督が目指すサッカーをしっかりと理解していきたい。実際にやるのは自分たちなので、ピッチで判断していかなければいけない。個人もそうですけど、グループでも深めていかなければと思います」

 自陣から攻撃を組み立てる際には、ボランチである三竿健斗が最終ラインまで降り、ビルドアップに加わる。それにより犬飼と奈良の両CBが開くことで、右SBに入った新加入の広瀬陸斗と、左SBの永戸勝也が高い位置を取ることができていた。

 わずか3週間ではあるが、短期間の練習と映像を見ながらのイメージの擦り合わせにより、監督が抱くサッカーの哲学を選手たちはピッチで表現しようと努めていた。

 54分に浦和レッズでプレーしていたアンドリュー・ナバウトに強烈なシュートを浴び、1点を追いかける展開になった。そのため攻撃の圧力は増し、徐々にサイド攻撃の回数やゴール前で迎えるチャンスの数も増していった。

 三竿が言う。

「映像を使ったり、組み立ての練習をやってきて、こういうふうに(ボールを)動かしていくというイメージはあったんですけど、大きなピッチで練習をやっていなかったこともあって、前との距離が遠く感じた。

 パスを出せるといえば出せるけど、狙われているし、出したとしても潰されるというのを中にいる時は感じ取れたので、自分が長い距離でもパスを出せなければいけない。そこは映像を見て、修正していくしかないと思っています」

 やってみなければわからないこともある。実戦でしか得られないものもある。

 犬飼や奈良、そして三竿が言うように、公式戦を経験してきたからこそ見えてきた感覚と課題があった。結果的にACLプレーオフ敗退という高い授業料を払うことになったが、鹿島が変わろうとしている姿勢は強く見られた一戦だった。

 ザーゴ監督が掲げる「後ろから攻撃を組み立てていくサッカー」を担っていくのは、両CBとボランチである。三竿が続ける。

「このサッカーはボランチがキーになるので、攻守においては常にバランスを取って、攻撃時はサイドバックが高い位置を取れるようにすることを求められている。ボールを奪うところでもチームを助け、攻撃の起点にもなれるように、パスの精度を上げていきたい」

 サイドからの攻撃とゴール前での精度もまた、練習での積み重ねでしかない。その前提となるベースを作っていくのが、CBとボランチである。後方を担う「3枚のトライアングル」が機能しなければ、サイド攻撃も、ゴール前での迫力も、損なわれることになる。

 犬飼が言った。

「ボランチやSBが勝負できるパスを出すのがCBの役目だと思うので、1本のパスやサイドチェンジもトライしていきたい。チャンスは作れていたので、あとは決め切るところも。こういうサッカーに挑戦していくなかでは、うまくいかなかったり、今日みたいなゲームはあると思う。でも、そこに焦れずに突き詰めていくしかない」

 今、鹿島は生みの苦しみの一歩を経験している。時間がかかるかもしれないし、いくつものハードルとステップが待っていることだろう。

 だが、それを抜けた先に、新たなる鹿島の姿と形が見えてくる。


◆新生アントラーズ、昨季とは180度転換。 ザーゴが考える戦術の片鱗を見た(Sportiva)





◆【G大阪】昌子源を獲得へ…海外挑戦にひと区切りつけJでの再起検討(報知)







 G大阪が日本代表DF昌子源(27)の獲得を目指し、フランス1部トゥールーズに完全移籍での獲得オファーを出したことが30日、分かった。昌子は負傷に苦しんだ約1年の海外挑戦にひと区切りをつけ、Jリーグでの再起の検討。中学時代まで下部組織に在籍したG大阪が、守備の要として獲得を熱望し交渉に入っている。18年ロシアW杯で日本代表の主軸を担ったセンターバックが、5年ぶりのタイトルを目指すG大阪に加わる可能性が高い。

 日本屈指のセンターバックがJリーグ復帰を決断する可能性が高まった。今季フランスで足首や太ももの負傷を繰り返していた昌子は、コンディション面の問題を解決するために日本での再起を検討。獲得オファーを出したG大阪とトゥールーズ間では、完全移籍へ向けた交渉が前向きに進められているという。

 昨冬に鹿島からトゥールーズに完全移籍し、すぐにレギュラーポジションを奪うなど順調なスタートを切った。昨季は半年間でリーグ戦18試合に出場し、19年4月にはフランス代表FWエムバペらを擁する世界的強豪・パリSGとの対戦も経験。「世界最高峰の選手と対戦できる機会は、なかなかない。いろいろなトライができた」と話すなど、ハイレベルな環境でさらなる成長を目指していた。しかし今季は負傷に苦しみ、リーグ戦出場はわずか1試合。昨年9月の出場を最後に、ベンチ外の日々が続いていた。

 一方でG大阪は昨季、残留争いに巻き込まれ、最終的には7位まで浮上したが4年連続の無冠に終わった。48失点は10位。3シーズン目の指揮となる宮本恒靖監督(42)の下、今季はタイトル獲得を至上命題とする中で、リーダーシップと実力を兼ね備えたセンターバックの補強を模索。オファーを出した川崎DF奈良竜樹は鹿島と競合の末に敗れるなど、補強は順調に進まない中で、起死回生の一手として昌子にオファーを出した。すでにチームは沖縄キャンプ等で開幕に向けた準備を進める一方、最大の案件に全力を注いでいる。

 神戸市出身の昌子はかつて、G大阪ジュニアユースに所属していた。同期のFW宇佐美貴史らとともにプレーしたが、中学3年時に退団。米子北高を経て鹿島でプロとしてのスタートを切り、日本代表へ上り詰めた。フランス移籍以降は負傷の影響もあり、昨年6月を最後に日本代表から遠ざかっているが、コンディションさえ戻れば実力に疑いはない。

 昌子は育ててくれた鹿島への恩義を強く感じているが、今回はチーム編成とのタイミングが合わず、具体的な動きに至っていない。東京五輪のオーバーエージ候補にも挙がるなど、DF吉田麻也(サウサンプトン)に次ぐ次世代のDFリーダーとしての資質も兼ね備えた27歳。欧州での苦い経験も糧に“古巣”再建に挑むことになりそうだ。

 ◆昌子 源(しょうじ・げん)1992年12月11日、神戸市生まれ。27歳。フレスカ神戸でサッカーを始め、G大阪ジュニアユースを経て米子北高へ進学。11年に鹿島入り。対人守備、スピード、フィード力を備えたセンターバック。18年ロシアW杯では日本代表の主力として16強進出に貢献。19年1月にフランス1部トゥールーズに移籍。フランス1部19試合0得点、J1通算157試合8得点、国際Aマッチ18試合1得点。180センチ、73キロ。



◆【G大阪】昌子源を獲得へ…海外挑戦にひと区切りつけJでの再起検討(報知)

2020年1月30日木曜日

◆J史上初の屈辱からスタート…ザーゴ新体制の鹿島に待つのは「希望」か「不安」か(サッカーダイジェスト)






 いきなり躓いてしまった。

 ここ3シーズン、国内タイトルを獲れずにいた鹿島は、新監督にアントニオ・カルロス・ザーゴを迎え、生まれ変わろうとしている。その初陣が1月28日のACLプレーオフだった。

 相手はメルボルン・ビクトリー(オーストラリア)。ACLに絡んだ公式戦では初めて戦うチームだ。鹿島のスタメンには6名の新加入選手が並び、チーム作りが新たなサイクルに入っていることを強く印象づけていた。

 なかでも最終ラインの顔ぶれの変化は顕著で、右の広瀬陸斗、左の永戸勝也、CBの奈良竜樹は新加入組。先の宮崎キャンプでのプレシーズンマッチでは、ここにプロ2年目のCB関川郁万が入り、4バックを構成していたが、メルボルン・V戦では主力である犬飼智也が先発した。

 勝たなければ次につながらない。兎にも角にも「結果ファースト」。しかしながら望みは叶えられなかった。

 スコアは0-1と、まさに痛恨の極みである。

 降り続いていた雨の影響があったかもしれない。自陣でのちょっとしたミスも重なり、54分、かつて浦和に在籍していたナバウトにこの日唯一のゴールを許してしまった。味方選手が伸ばした足にシュートが当たり、ボールの軌道が変わるという不運な1点だった。

 鹿島はまず同点に追いつこうとギアを上げて、メルボルン・Vを攻め立てたが、1点さえも奪えなかった。選手たちの地団駄が聞こえてくるようだった。

 公式記録によると、鹿島のシュート数17本に対し、メルボルン・Vのそれは6本。「どちらが優勢だったか、数字がすべてを物語っている」というザーゴ監督の言葉は負け惜しみではない。

 試合の主導権を握っていたのは明らかに鹿島だった。ザーゴ監督が思い描くサッカーの基盤である「ボールを握ること」はできていたし、「ボールを奪われたあとの守備への切り替え」も素早かった。ペナルティエリアの両角に攻撃の起点を作り、そこからの崩しの工夫も見られた。

 決定機は少なく見積もっても5回。レオ・シルバが、和泉竜司が、ファン・アラーノが、エヴェラウドが、土居聖真が果敢にシュートをねらい、メルボルン・Vの守備陣を慌てさせた。相手GKの好セーブやDFの体を張ったブロックに阻まれたとはいえ、「なぜ、これが決まらない?」と思わずのけぞってしまうようなシーンもあった。




 有り体にいえば、鹿島の日ではなかった、ということか。

「この2週間、我々が取り組んできたパスワークやサイドチェンジ、縦への意識など、選手たちは一生懸命に表現しようとしていた。そこは評価したい。フィットネスの部分であったり、冷静さであったり、頭と体が一致せず、残念ながらチャンスを生かしきれなかった。自分が求めているものとは、まだまだほど遠い。結果には失望しているが、(Jリーグやルヴァンカップに向けて)引き続きチーム作りを進めていきたい」

 ザーゴ監督は手ごたえを感じつつも時間の必要性に言及していた。

 新チームの始動は1月8日だった。年明け早々の元日に行われた天皇杯決勝を戦った主力組はその1週間後に合流。さらに、U-23アジア選手権に出場していた3選手(上田綺世、町田浩樹、杉岡大暉)は宮崎キャンプ後にチームに加わった。

 今季の登録32選手が勢ぞろいしたのはACLプレーオフの、ほんの1週間前。チームを作っていくうえで、準備期間は十分とはいえない。ただ、そこを誰ひとり言い訳にすることはなかった。

 母国ブラジルで監督のキャリアをスタートさせたザーゴはローマ(イタリア)やシャフタール・ドネツク(ウクライナ)でアシスタントコーチを務めるなど、ヨーロッパでの指導経験も重ねてきた。

 そんな研究熱心な指揮官が鹿島に導入しようとしているのは現代サッカーの戦術的トレンドといわれるポジショナルプレーだ。攻守両面で、いかに優位性を保ち、試合をコントロールするのか。ポジショニング、ビルドアップ、ハーフスペースの利活用、攻守の切り替えなど、一つひとつプレーを緻密に積み上げようとしている。

 良い内容の先にこそ、望む結果がある。目指すは偶発的な勝利ではなく、論理的な勝利。つまり、勝つべくして勝つサッカーなのだ。

 ACL本戦出場の切符を逃し、一様にショックの色は隠せない。今季からキャプテンに就任したボランチの三竿健斗は「この苦しい状況から逃げちゃいいけない。前に向かって進むしかない」と、唇をかんだ。

 ACLのプレーオフで史上初めて敗れたJクラブとの汚名を返上すべく、鹿島はここからはい上がっていく。

取材・文●小室功(オフィスプリマベーラ)


◆J史上初の屈辱からスタート…ザーゴ新体制の鹿島に待つのは「希望」か「不安」か(サッカーダイジェスト)



◆【鹿島】右の広瀬陸斗、左の永戸勝也。新たな〝両翼〞への期待感(サッカーダイジェスト)







左から右へ。局面を一気に変える効果的なサイドチェンジも


[ACLプレーオフ]鹿島0-1メルボルン・V/1月28日/カシマ

 痛恨の敗戦だった。ACL本戦出場をかけたプレーオフで、鹿島アントラーズはオーストラリアのメルボルン・ヴィクトリーに0-1で敗れた。ACLのプレーオフで日本勢が敗れるのは初。今季初の公式戦で、いきなり躓いてしまった。

 不甲斐ない結果に終わったが、ポジティブな側面がなかったわけではない。両SBで先発フル出場した今季の新戦力、右の広瀬陸斗、左の永戸勝也がまずまずのパフォーマンスを見せたことだ。

 ザーゴ新体制下の鹿島では、ダブルボランチのひとりが4バックの中央、2CBの間に落ちてビルドアップをスタートさせるのが戦術のベースとしてある。CBがワイドに開き、両SBは前に押し出されるような形になる。広瀬も永戸も、サイドで高い位置を取り、パスが入れば果敢に仕掛けて質の高いクロスを供給するなど、攻撃の起点となる場面は多かった。

「ビルドアップの時に高い位置を取って、テンポ良く動かして、相手に隙ができたら中にボールを通して、そこから攻撃につなげていく。相手のプレッシャーも回避できていたところがあったので、前半からやれていたと思う」

 そう振り返る永戸は、少なからず手応えを掴んだに違いない。もっとも、自身の活躍も勝利につながらなかっただけに、「満足はできない。本当に、悔しい結果。次につなげないといけない」と表情を引き締める。

 広瀬も敗戦には納得できていない様子だ。「手応えですか? あんまりないですかね。勝たなければ意味がない」と唇を噛む。永戸と同じようにサイドから好配給を見せていたが、「そこで得点してもらって、目に見える数字を出せればいいけど。自分はそういう結果を求めに来たので。そこはもっと精度を良くしていきたい」と自らを律する。

 ただ、〝らしさ〞を示す場面もあった。前所属の横浜F・マリノスでは、中央に絞って組み立てに参加する〝偽SB〞として経験を積んだが、この試合でもサイドに張るだけでなく、「(同サイドの2列目のファン・)アラーノが開いて、自分がインナーラップしてクロスを上げられた」ワンプレーは、チームの新たな攻撃パターンになるはずだ。

 左の永戸が右の広瀬に正確なロングパスを通すなど、局面を一気に変える効果的なサイドチェンジもあった。新加入ながら小さくない存在感を放っていた〝両翼〞のさらなる活躍に注目だ。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

◆【鹿島】右の広瀬陸斗、左の永戸勝也。新たな〝両翼〞への期待感(サッカーダイジェスト)




◆鹿島・三竿 敗戦から一夜 チームまとめる決意「いい影響与えていけたら」(スポニチ)






 6代目主将に就任した鹿島MF三竿は28日のACLプレーオフ(対メルボルンV)の敗戦から一夜明けたこの日、クラブハウス内で体を動かし「クラブの象徴としてふさわしいプレーや姿勢で、チームメートにいい影響を与えていけたら」とチームをまとめる決意を語った。

 前夜の敗戦後は「最後に大きく成長した姿を見せられるように、逃げずにやっていきたい」と雪辱を期した新主将に前任の内田も「まだ若いし、やりたいようにチームを引っ張ってもらえたら。俺たちがサポートする」とバックアップを約束。23歳の若き主将に導かれ、チームは改革の道を行く。


◆鹿島・三竿 敗戦から一夜 チームまとめる決意「いい影響与えていけたら」(スポニチ)

◆【ACL採点&寸評】鹿島0-1メルボルン・V|痛恨のプレーオフ敗退。注目の新助っ人は期待に応えられず…(サッカーダイジェスト)







失点に絡んだ奈良は厳しく採点


[ACLプレーオフ]鹿島0-1メルボルン・V/1月28日/カシマ
 
【チーム採点・寸評】
鹿島 5
試合の入りは良かったが、攻撃に手詰まり感もあり、前半は0-0で折り返す。後半には、一瞬の隙を突かれて失点。その後は猛攻を仕掛け、いくつかの決定機を築いたものの、相手の粘り強い守備を崩し切れずに0-1のままタイムアップ。ACL本戦への出場権を逃した。
 
【鹿島|採点・寸評】
GK
1 クォン・スンテ 5.5
失意の1失点。ただ、それ以外ではハイボールの処理は安定感があり、接触を恐れないアグレッシブなプレーなどでゴールを守った。
 
DF
3 奈良竜樹 5
寄せても取り切れなかったり、あっさりと抜かれるシーンも。失点の場面では身体を投げ出したが止められなかった。
 
14 永戸勝也 5.5
質の高いクロスを供給。持ち味は随所に見せた一方、それを得点に結びつけられず。15分の直接FKはバーの上。

22 広瀬陸斗 5.5
素早いポジショニングでビルドアップに広がりをもたらす働きぶり。右サイドから好配給も、勝利には導けずに本人は不満足な様子。
 
39 犬飼智也 5.5
激しいチャージでボール奪取を試み、空中戦でもまずまずの強さ。致命的なミスはなかったが、組み立ての部分でもうひと押しが欲しかったか。
 
MF
4 レオ・シルバ 5.5(77分OUT)
豊富な運動量でピッチを走り回り、球際も激しく戦う。しかし、後半は雑なプレーが散見。途中交代を余儀なくされた。
 
20 三竿健斗 5.5
深い位置に降りて、後ろから丁寧にボールを動かす。中盤での守備の強度も高かったが、やや判断が遅れることも。


土居は攻撃の中心として奮闘したが…




MF
7 ファン・アラーノ 5
崩しの局面でのダイレクトパスはセンスを感じさせた。もっとも、周囲との連係不足は明らか。守備のタスクはしっかりとこなした。
 
11 和泉竜司 5.5(72分OUT)
17分、67分に際どい一撃を放つも決め切れず。キレのあるプレーを見せたとはいえ、決定的な仕事はできなかった。
 
FW
8 土居聖真 5.5
攻撃の中心として奮闘。上手くパスを引き出し、味方も活かす巧みな動き出しはいつもどおりだったが……。終了間際の決定機は相手GKの好守に阻まれた。
 
9 エヴェラウド 5
31分、63分、74分と決定的なチャンスに恵まれたが、いずれもゴールネットを揺らせず。持ちすぎてチャンスを逸する時も。

途中出場
MF
41 白崎凌兵 5.5(72分IN)
和泉との交代で左MFに入る。要所でプレーに絡み、攻撃に勢いをもたらしたが、求められる仕事は果たせなかった。
 
FW
15 伊藤 翔 ―(77分IN)
L・シルバとの交代で投入され、トップに入る。すぐに絶好機を迎えるが、合わせられなかった。出場時間が15分未満のため採点なし。
 
監督
ザーゴ 5.5
ボールを前に運ぶ戦術は落とし込めていたが、敵陣に入ってからの崩しはまだ不十分な印象。なによりも欲しかった結果を得られなかったのは痛恨だった。
 
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
 
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)


◆【ACL採点&寸評】鹿島0-1メルボルン・V|痛恨のプレーオフ敗退。注目の新助っ人は期待に応えられず…(サッカーダイジェスト)





2020年1月29日水曜日

◆移籍組4選手は即先発も「サポーターの心を掴めなかった」「誰が出ても鹿島は勝たないと」(ゲキサカ)






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[1.28 ACLプレーオフ 鹿島0-1メルボルン・V カシマ]

 負ければアジア制覇という大きな目標が潰えるACLプレーオフ。鹿島アントラーズのザーゴ監督は重要な一戦に向け、新加入の6選手を先発に抜擢した。昨季の主力選手は1月1日まで天皇杯決勝を戦っており、コンディションの差も踏まえた起用。それでも急造チームでゴールを奪うことはできず、本戦出場権を掴むことはできなかった。

 試合後、ザーゴ監督は「2週間でチームが完成するというのは不可能なこと」と指摘。「言い訳ということではなく、皆さんが評価するのであれば厳しい評価になる」と結果に向き合う姿勢を見せつつも、日本特有の過密スケジュールが影響したことを認めた。また、新加入の選手たちも連係不足を言い訳にはせず。それは指揮官がたたえた「選手たちが一生懸命に取り組んでくれた」という言葉どおりの姿勢だった。

 新天地デビュー戦でセンターバックを担ったDF奈良竜樹(←川崎F)は「結果で全て評価される試合だったし、後ろが踏ん張り切れなかったのは申し訳ない。プレシーズンで試合やっていない中、試合ができれば身体がもっと良くなるという思いはあるけど、ここに向けて準備してきたつもりなのでここで結果を出せなかったのは残念」と敗戦と素直に向き合った。

 またDF広瀬陸斗(←横浜FM)も「この試合は絶対に内容より結果が大事。内容どうのこうのより勝てなかったことが非常に残念」と落胆。MFファン・アラーノと絡んだ右サイド攻撃は脅威となったが、全体的な連係不足に「中で静かな部分もあったし、声を出してどうすればいいのかをピッチ外じゃなくてピッチ内で話し合えたら良かった」と改善点を語っていた。

 MF和泉竜司(←名古屋)は「誰が出ても鹿島は勝たないといけないし、そこが悔しい」と最初のチャンスを活かせなかったことを悔やみつつ、サイドハーフとサイドバックが高い位置で連係する攻撃には手応え。「これで一個タイトルを失ったので悔しい思いはあるけど、やっていくしかない」と前を見据える。

 昨季J1リーグのアシスト王に輝いたDF永戸勝也(←仙台)にとってはクロスを上げようにもゴール前に人員が少ない苦しい展開となったが、「中に人数欲しいというのは気持ちとしてあるけど、僕のミスもあった。一人しかいなくても通せれば1点という場面があった」と言い訳にはせず。「自分にベクトルを向けて修正していければ」と意気込んだ。

「下を向いても何も始まらないので、また次に取れるタイトルを目指してしっかり戦っていきたい」(奈良)。「なかなかサポーターの心を掴むことができなかったというのが率直な思い。次にチャンスをもらった時に必ず結果が残せるようにチャンスが来るまでいい準備をしたい」(永戸)。初陣はショックな結果に終わった新加入選手たち。この悔しさは残る国内3大タイトルで晴らすしかない。

(取材・文 竹内達也)


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◆移籍組4選手は即先発も「サポーターの心を掴めなかった」「誰が出ても鹿島は勝たないと」(ゲキサカ)





◆過密日程に晒された鹿島、日本勢初のPO敗退「言い訳するつもりはない」(ゲキサカ)






Jリーグ「新戦術」レポート(2019) なぜGKからボールをつなぐチームが強くな...


[1.28 ACLプレーオフ 鹿島0-1メルボルン・V カシマ]

 最後の最後までゴールは遠かった。鹿島アントラーズは28日、一発勝負のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)プレーオフで豪州代表メルボルン・ビクトリーに0-1で敗戦。4年ぶりに本大会への出場権を逃し、MF土居聖真は「残念だし、悲しい。悪天候の中でファン・サポーターがたくさん応援に来てくれたのに申し訳ない」と声を詰まらせた。

 1月1日に新国立競技場での天皇杯決勝を終え、わずか1か月足らずで迎えた2020シーズンの初戦。ザーゴ監督が新たに就任し、チーム構築を一から進めたい鹿島だが、オフの休養期間もキャンプの準備期間も不十分なまま初陣に臨む形となった。その結果が無得点での敗戦。2年ぶりのアジア制覇という夢は早々に崩れ去った。

 昨季の主力選手がチームに合流したのは約10日前。この日は比較的休養期間のあった新戦力6人をピッチに送り込んだが、ピッチ上では連係不足も目立った。日本勢のACLプレーオフ敗退は史上初の屈辱。Jリーグ代表枠が現行の4つとなった2009年以来、初めて3チームしかACL本大会に派遣できないことが決まったが、その要因の一つに「新国立の元日決勝」があったことは否めない。

 もっとも、試合後の選手たちからスケジュールを怨むような言葉はほとんど聞かれなかった。フル出場した土居が「関係ないと思うし、それは言い訳だと思う」と述べれば、MF三竿健斗も「その中で試合には勝たないといけないし、言い訳するつもりはない」ときっぱり。気持ちは新指揮官の戦術を遂行しようというところに向いている。

 この日の鹿島は昨季に比べて、両サイドバックが高い位置を取って攻守に前傾姿勢を見せる場面が目立った。その結果、前線の選手が近い距離感で連動できるだけでなく、ボールを失った直後に奪い返しに行ける場面も増加。土居も「いい攻撃といい守備、いい切り替え。監督がやろうとしていることは出せた」と振り返る。

 しかし、肝心のフィニッシュが足りなかった。シュート数はFWエヴェラウド、MFレオ・シルバの4本を筆頭にチーム合計17本。攻撃面で最大の敗因を挙げるとすれば「決め切るところだけ」(土居)ということになる。連係不足が向上すれば改善の余地がある部分であるだけに、土居は「自分たちで撒いた種。典型的なサッカーの負け方」と敗責と素直に向き合った。

 三竿も「これが僕たちの実力だということから目を背けちゃいけない。批判されても、何を言われても仕方ない。ここから大きく成長する姿をサポーターの皆さんに見せるために、タイトルを取れるように逃げてはいけない」と強調。不遇な日程に後味の悪さは残るが、新たな道を信じて突き進もうとする鹿島。ショッキングな敗戦を乗り越え、残された国内3大タイトルに全力を注ぐ構えだ。

(取材・文 竹内達也)




◆過密日程に晒された鹿島、日本勢初のPO敗退「言い訳するつもりはない」(ゲキサカ)





◆【鹿島】日本勢初プレーオフ敗退 体調差明らかFW土居「日程を言い訳にはしたくない」(報知)






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◆アジア・チャンピオンズリーグ プレーオフ メルボルンV1―0鹿島(28日・味スタほか)

 鹿島(Jリーグ3位)はメルボルンV(豪州L3位)に0―1で敗れた。日本のクラブがプレーオフで負けるのは初。横浜M、神戸、F東京が参戦する東地区の1次リーグは2月11、12日に初戦を行う。鹿島はルヴァン杯に出場することになった。

 アジア制覇への道が本戦を前に途絶えた。JクラブがACLプレーオフに参加するようになった15年以降で初めての敗退。チャンスを生かせず、後半9分に元浦和のFWナバウトにミドルシュートを決められた。初陣を飾れなかったザーゴ監督(50)は「サッカーは決める時に決めないと代償を払うことになる」と定石を持ち出した。

 昨季は天皇杯決勝(元日)まで勝ち進み、オフは限られた。首脳は「4年もオフが短い状態。燃え尽き症候群が一番怖い」とし、主力には統一契約書に記される、最低限の2週間のオフを与えた。16日に初めて全員がそろい、全体で練習できたのは12日。紅白戦は行えなかった。新監督を迎え、新加入11人が加わり、スタッフも一新。特に準備期間が必要だった。

 オフが取れた新加入6人を中心に先発させたが、戦略を形にするには時間が不十分で、終盤は前線に人数をかけるも役割は指示できなかった。「日程を言い訳にはしたくない」とFW土居ら選手たちは口々に言った。鹿島の敗戦。日程を編み込む日本協会とJリーグが、日本全体の敗戦と受け止めなければならない。(内田 知宏)


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◆【鹿島】日本勢初プレーオフ敗退 体調差明らかFW土居「日程を言い訳にはしたくない」(報知)





◆鹿島MF三竿「僕たちの実力」ACL本戦出場逃す(ニッカン)






WORLD SOCCER DIGEST (ワールドサッカーダイジェスト) 202...


<ACL:鹿島0-1メルボルンV>◇E組プレーオフ◇28日◇カシマ

鹿島アントラーズはシーズン初戦を落とし、ACL本大会出場を逃した。

今季からDF内田篤人(31)に代わりチームキャプテンを務めるMF三竿健斗(23)は「自分自身もすごくふがいないできだったので、申し訳ない気持ちでいっぱい。これが今の僕たちの実力なので、目を背けてはいけない。批判されて当然の内容だと思うので、今は何を言われても全て受け止めて、逃げずに、今季最後まで、ここから大きく成長したチームの姿をサポーターのみなさんに示して、少しでも多くのタイトルを取れるように、逃げずにやりたい」と言葉をつないだ。

4-4-2でスタートしたが、試合の中ではボランチの三竿が両センターバックの間に下がり、両サイドバックが高い位置を取るという、3バックに近い変則的なフォーメーションも採用した。これによって左右のMFが中央付近でプレーでき、FWを含めた前線の4枚に近い距離感での連係が生まれた。攻撃的なボランチであるレオ・シルバと三竿が完全に役割を分担することで、試合展開や相手の戦術に応じて柔軟な対応をすることが可能になる。

三竿は「このサッカーはボランチがキーになる」と自身の役割を心得ている。「攻守において常にバランスを取り、攻めているときはリスクマネジメントをするし、サイドバックが高い位置を取れるように、ボランチは残ることが求められている。その中で自分がやりたいプレー、ボールを奪うところでチームの助けになりたいし、攻撃の起点となるパスの精度などは練習ではできているので、試合で出すだけ」と、特徴を出しながら役割を遂行することを目標に掲げた。


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◆鹿島MF三竿「僕たちの実力」ACL本戦出場逃す(ニッカン)





◆複雑だった“気遣い”…内田篤人「厳しい目であってほしい」(ゲキサカ)



内田篤人 Atsuto.Uchida


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[1.28 ACLプレーオフ 鹿島0-1メルボルン・V カシマ]

 ACLプレーオフでのショッキングな敗戦後、鹿島アントラーズのゴール裏サポーターはブーイングと拍手が入り混じったリアクションで選手たちを迎え入れた。日本特有のスケジュールの煽りを受け、シーズンオフ期間は異例の1か月弱。そんな難局の最中で船出を迎えたチームを後押しする気持ちが存分に感じ取れた。

 一方、新体制発表でも強調されていたように「すべての試合における勝利、一つでも多くのタイトルを獲得するという目標は、決して揺らぐことはない」のが鹿島の文化。「今日の試合は内容よりも結果だった」と一様に悔しさを示した選手たちは、そうした“気遣い”に複雑な思いものぞかせつつ、奮起へのモチベーションをたぎらせた。

 フル出場したMF三竿健斗は「拍手に対して申し訳ないし、ブーイングされて当然だと思っていたので。気を遣わせてしまって申し訳ない」と心境を吐露。「期待してくれているというのが拍手に込められていると思うので、期待を裏切らないようにみんなで精度を上げて、チーム一丸となって前に進まないといけない」と力を込めた。

 またベンチで戦況を見守ったDF内田篤人も「ブーイングじゃないのが悲しかった」と述べつつ、「他のチームから来た選手、若い選手も見てるから、厳しい目であってほしいというか。いままでそうやって見られて育ってきたというか、僕もそうだったから」と説明。「負けて『頑張れよ』って言われるチームじゃなかったよな、というのが悲しかった。そういうふうになってしまって申し訳ない」と不甲斐なさも口にした。

(取材・文 竹内達也)


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◆複雑だった“気遣い”…内田篤人「厳しい目であってほしい」(ゲキサカ)





◆鹿島ザーゴ新監督、分析外れ「始まったとき驚いた」(ニッカン)






サッカーダイジェスト 2020年 2/13号 [雑誌]


<ACL:鹿島0-1メルボルンV>◇プレーオフ◇28日◇カシマ

鹿島アントラーズが、シーズン初戦でつまずいた。ACL本大会出場を逃し、4冠のうちの1つへの挑戦権を失った。

   ◇   ◇   ◇

11人もの大型補強で今季初戦に臨んだ鹿島は、メルボルン・ビクトリー(オーストラリア)に0-1で敗れてACL本大会出場を逃した。目標の4冠のうち、1つへの挑戦権を失った。日本勢としては初のACLプレーオフ敗退。衝撃の結果に、イレブンはぼうぜんと立ち尽くした。

最後まで得点を奪うことはできなかった。ザーゴ新監督は「選手は自分が求めるものをやろうとしてくれたが、コンディションの部分で頭と体が一致しなかった」。元日に天皇杯決勝を戦い、始動わずか3週間でシーズン初戦を迎えた選手には、疲労が残っていた。実戦形式の練習に至ってはゼロ。準備期間は明らかに足りなかった。

相手の直近5試合を見て4バックと分析していた相手は、ふたを開けてみれば3バック。ザーゴ監督は「試合が始まったときには驚いた」。ボランチで今季主将に就任したMF三竿を両センターバックの間に下げた変則的なフォーメーションを採用するなど、昨季との違いは見せたが、相手が一枚上だった。「大事な大会に参加できず残念だが、時間をかけて、チームを確実に作っていきたい」と新監督。MF土居は「どういう状況でも勝たなければいけないのがこのクラブ」と悔やんだ。


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◆鹿島ザーゴ新監督、分析外れ「始まったとき驚いた」(ニッカン)





◆鹿島 ACLプレーオフ敗退…J初の屈辱にザーゴ新監督は過密日程“嘆き節”(スポニチ)






コロコロサッカーボール サッカースタジアムではたらく人たち (教育画劇のかみしば...


ACLプレーオフ   鹿島0―1メルボルンV ( 2020年1月28日    カシマ )


 4冠の夢が早くもついえた。鹿島は後半9分、昨季途中まで浦和でプレーしたFWナバウトのシュートがDF奈良に当たり、そのままゴールに吸い込まれた。JクラブがACLプレーオフに参加するようになって以降、敗退は史上初の屈辱。ザーゴ監督は「2週間でチームをつくり上げるのはとても難しい」と準備期間の短さを嘆いた。

 昨季最終戦は元日の天皇杯決勝。新シーズン初戦のACLはわずか27日後で、過密日程に苦しめられた。疲労を考慮し全選手がそろったのは16日になってからで、この日までに紅白戦は行えなかった。

 新監督を招へいし、ボール保持率を高めて主導権を握る新たなスタイルの構築に着手している過程。新主将に就任したMF三竿は「これが今の自分たちの実力。目を背けてはいけないし、逃げずに最後に大きく成長した姿を見せたい」と雪辱を誓った。決して下を向くことなく、国内タイトルの奪還に力を注いでいく。




◆鹿島 ACLプレーオフ敗退…J初の屈辱にザーゴ新監督は過密日程“嘆き節”(スポニチ)





◆鹿島がまさかのACLプレーオフ敗退…元浦和ナバウトに被弾、ホームでメルボルンに完封負け(GOAL)







AFCチャンピオンズリーグ2020(ACL)は28日に東地区のプレーオフが開催。昨季の明治安田生命J1リーグで3位だった鹿島アントラーズがホームでメルボルン・ビクトリー(オーストラリア)と対戦した。

アントニオ・カルロス・ザーゴ新監督初陣となる鹿島は、新戦力6人がスターティングメンバー入り。最終ラインに奈良竜樹(←川崎F)、両サイドバックに広瀬陸斗(←横浜FM)、永戸勝也(←仙台)が入り、新外国籍助っ人のファン・アラーノ(←ケレタロ/メキシコ)と和泉竜司(←名古屋)がサイドハーフに据えられた。そして注目の最前線には生え抜きの土居聖真と、こちらも新戦力のエヴェラウド(←インテルナシオナル/ブラジル)がスタメン入りを果たした。

対するメルボルンは、今季のオーストラリア・Aリーグで8勝3分4敗の2位に位置。1月に入ってからはリーグ戦で4試合無敗と好調を維持している。鹿島戦の先発には、元浦和のアンドリュー・ナバウトや欧州経験豊富な豪州代表FWロビー・クルーズ、元デンマーク代表のヤコブ・ポウルセンらが名を連ねた。また、サブには長身FWのオラ・トイボネンも控える。

雨が降りしきるカシマスタジアムでスタートした一戦。シーズン真っ只中のメルボルンに対し、新シーズン初の公式戦となる鹿島ということもあり、メルボルンが序盤にペースを握ったが、鹿島も17分に新加入エヴェラウドのポストプレーから和泉がダイレクトボレーを放つ。これは相手GKのファインセーブに遭ったが、ひとつ見せ場を作った。

鹿島はその後も中盤のレオ・シルバを起点に長短織り交ぜたパスでメルボルン陣内へと攻め込む。両サイドバックの永戸と広瀬が高い位置を取り、攻勢に出たものの結局前半は決め手を欠いてスコアレスで終了した。

後半に入ると流れは再びメルボルンへ。51分にドリブルでカットインしたナバウトが強烈な右足シュートを放つ。これはGKクォン・スンテが右手一本ではじき出したが、鹿島にとっては肝を冷やす場面だった。

しかしその3分後、再びナバウトにボールが渡ると、今度はPA手前左から左足を一閃。シュートブロックに入った奈良に当たってコースが変わり、ゴールに吸い込まれた。鹿島は先制を許す苦しい展開となってしまった。

1点を追う鹿島は67分に広瀬のクロスに和泉が合わせるが、コースが甘くGK正面に。今度は70分に左サイドの永戸が低いクロスを送ると、これがDFに当たってゴール方向へ向かったが、GKにストップされて得点には至らず。

鹿島は72分に和泉を下げて白崎凌兵、77分にレオ・シルバに代えて伊藤翔と攻撃的なカードを切るも、メルボルンの粘り強い守備に苦戦。最後までゴールを奪えず、ホームでメルボルンに0-1と完封負け。2018年のアジア王者であり、ACL常連であった鹿島が史上初のプレーオフ敗退を喫している。なお、鹿島がACL本戦に出場しないのは2016年以来4年ぶりとなる。

■試合結果
鹿島アントラーズ 0-1 メルボルン・ビクトリー

■得点者
鹿島:なし
メルボルン:アンドリュー・ナバウト(54分)


◆鹿島がまさかのACLプレーオフ敗退…元浦和ナバウトに被弾、ホームでメルボルンに完封負け(GOAL)

◆AFCチャンピオンズリーグ2020 プレーオフ(オフィシャル)



奈良竜樹 Tatsuki.Nara


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ACLプレーオフ、カシマスタジアムでメルボルン・ビクトリーと対戦した。前半から試合の主導権を握り、主体的にボールを動かしたアントラーズだが、メルボルンの堅い守備に苦しめられ、なかなか得点を奪えない。すると、54分に奈良が伸ばした足にナバウトのミドルシュートが当たり、ゴールネットを揺らされる。ビハインドを負ったアントラーズは、最後まで懸命にゴールを狙い続けたが、1点が遠かった。このまま0-1のスコアで終わり、ACLプレーオフ敗退となった。


天皇杯決勝からわずか7日後の2020年1月8日。つかの間のシーズンオフを終えたチームが始動した。今季こそ獲れるタイトルをすべて奪還するーー。合流は一部の選手のみとなったが、新加入選手を加えたフレッシュな面々が強い思いをもって、トレーニングを開始した。

11日からは10日間の宮崎キャンプに突入。攻守の切り替えを強く意識したポゼッションやミニゲームなどを中心に行い、コンディションを高めていく。18日にはテゲバジャーロ宮崎と練習試合を行い、チーム戦術の浸透を図った。結果は2-1で勝利。課題が残る内容ではあったが、初のテストマッチとしては、十分な収獲を得た。

シーズン開幕まで残された時間は少ない。充実のキャンプを過ごしたチームは、鹿嶋へ帰還してからも休むことなくトレーニングを続けた。







そして、ついに試合当日を迎えた。キックオフ1時間前にメンバーが発表された。ゴールマウスは守護神スンテが守る。最終ラインは、右から広瀬、奈良、犬飼、永戸が入った。ボランチは三竿とレオがコンビを組む。右のサイドハーフがアラーノ、左が和泉、前線は土居とエヴェラウドが務めた。スタメンに6人もの新加入選手が名を連ねるフレッシュな顔ぶれで決戦に臨む。







雨が降りしきるなか、キックオフのホイッスルが吹かれた。



立ち上がりは、アントラーズが主導権を握ってボールを動かし、相手ゴールへと迫っていく。







試合開始から10分を経過すると、立て続けにメルボルンにコーナーキックを与えてしまう。非常に苦しい時間帯となったが、集中した守りでクロスボールを跳ね返し、無失点で凌いだ。



15分、今度はアントラーズにチャンスが訪れる。ペナルティエリア手前、アラーノとのパス交換で抜け出そうとしたレオが相手選手に倒され、FKを獲得する。永戸が直接ゴールを狙ったが、シュートは大きく枠を外れた。





17分にも再びアントラーズがチャンスをつくる。エヴェラウドが相手選手と競り合って高くあがったボールを落とし、和泉がミドルシュートを放つ。強烈なシュートがゴールを襲ったが、惜しくも相手GKの好セーブに阻まれた。

その後、試合はこう着状態に陥る。アントラーズのビルドアップは、数的同数で前から嵌めてきたメルボルンのプレスに阻害された。なかなか縦パスを通すことができず、リズムをつくれない。





31分、ピッチ中央でボールを受けたレオが、右サイドへロングパスを送る。ボールを受けた広瀬がゴール前へクロスを送ると、エヴェラウドが高い打点でシュートする。しかし、これは惜しくもクロスバーに阻まれ、得点には至らなかった。

38分、アントラーズは左サイドからペナルティエリア内に進入する。ペナルティエリア内で混戦を生み、最後は土居からのパスを受けたレオがシュートした。だが、これは枠に飛ばなかった。





このまま、0-0のスコアで前半終了を迎えた。

後半初めてのチャンスはメルボルンにつくられてしまう。51分、ペナルティエリア手前からナバウトに鋭いミドルシュートをうたれてしまう。枠を捉えられたが、シュートはスンテが指先ではじき出し、失点を免れた。

ピンチを凌いだアントラーズだが、54分に失点を喫してしまう。またもナバウトにペナルティエリア手前からミドルシュートをうたれると、シュートは奈良に当たってコースが変わり、ゴールに入ってしまった。



1点を追う苦しい展開となった。早く同点に追いつきたいアントラーズだが、相手の守備ブロックの間になかなかボールを入れられない。



67分、右サイドから広瀬がクロスを入れると、ゴール前で和泉が飛び込む。シュートは枠を捉えたが、相手GKの好セーブに阻まれた。







状況を打開したいアントラーズは、1人目の選手交代を行う。和泉との交代で白崎を投入する。

すると、74分にチャンスをつくる。ペナルティエリア内、相手DFのクリアボールをアラーノがダイレクトでシュートする。枠を外れたが、コースに入ったエヴェラウドがシュートする。だが、これは相手GKにセーブされ、得点には至らなかった。



攻勢を強めるアントラーズは77分に二人目の選手交代を行う。レオとの交代で伊藤がピッチへ送られた。





試合は残り10分を切った。アントラーズは前線に人数をかけて得点を取りにいく。サイドからのクロスボールでチャンスをつくるものの、得点までは至らない。











89分には、コーナーキックの流れから土居が振り向きざまにゴールを狙った。抑えの効いたシュートは良いコースに飛んだが、相手GKの好セーブに阻まれ、得点は奪えなかった。

最後までゴールを狙い続けたアントラーズだったが、メルボルンの牙城を崩せず、このまま0-1のスコアで試合終了のホイッスルを聞いた。2020シーズン初の公式戦は、ACLプレーオフ敗退という極めて厳しい結果となった。









ACLプレーオフ敗退という結果はしっかりと受け止めなくてはいけない。だが、下を向く必要はない。主体的な攻撃で幾度となく相手ゴールへと迫った。課題ばかりではない。収獲もたくさんみつかった。新しいフットボールへの挑戦は始まったばかり。これからも前を向いて、我々の信じる道を進んでいく。


入場者数 4,275人 天候 雨、強風 気温 10.0℃ / 湿度 90.0% ピッチ 全面良芝
主審 ムード・ボンヤディファルド 
副審 アリネザディアン・サイード アリ・ミルザベイギ
第4の審判員 ヘイダリ・パヤム


監督コメント

試合後

鹿島アントラーズ:ザーゴ
ワンサイドゲームだった。サッカーをやろうとしているチームと徹底的に守るというチームという試合だった。サッカーは大事なところで決めきることができないとその代償を払うことになる。今回はその通りの結果となってしまった。

Q.理想とするサッカーはできていた?

A.私が就任して、キャンプやここまでの準備期間の中で、選手たちのコンディションが少しでも均等になるように調整してきた。そのなかで、自分の求めることも練習してきた。ただ、2週間でチームを完成させることはできない。私が一番評価していることは、この2週間で求めたことを、選手たちが一生懸命やろうとしてくれたところ。パスワークやサイドチェンジ、アグレッシブさ、縦への意識などを随所にやろうとしていた。ただ、コンディションの部分で、頭と体が一致していないところがあり、なかなかうまくいかないところがあった。それでも、彼らが求められていることをやろうとしていたところは非常に評価している。

Q.ポゼッションができていた中で、得点が奪えなかった原因は?

A.私が目指しているサッカーを選手たちはやろうとしてくれている。ただ、2週間でフィットできるかと言われたら、それは難しい。今日は、たくさんのチャンスを作った。普段の彼らであれば、そのチャンスを外すことはない。2週間という短い準備期間の中では、できたほうではないかと思っている。冷静さや技術的な部分、体力的な部分が戻ってくれば、状況は変わってくる。大事な大会に参加することができず、失望しているが、時間をかけて、確実にチームを作っていきたい。

Q.相手が5バックで守備的に来ることは予想していた?それを崩していくための策は考えていた?

A.相手の試合を見て、監督が代わってなかなか結果を残せておらず、それを挽回してくるという予測はできていた。分析した中で、5バックでやっていた試合はなかったので、驚きはあった。相手が現段階でできることが5バックで、我々のミスを待ち続けていたのではないかと思う。相手は非常にプレッシャーのかけ方がうまかった。前半の途中に、両サイドバックの選手たちにもう少しポジションを下げる指示を出していた。ほかにも相手のウィングを引き寄せて空いたスペースを突くということもやっていた。後半も自分たちのやるべきことをやってチャンスも作ったが、なかなかゴールに結びつかなかった。ハーフタイムに要求したことを選手たちはやろうとしてくれた。そこの部分はよかったと思う。

Q.最終ラインの組み立ては、どのように評価しているか?

A.サッカーで一番難しい部分ビルドアップの部分である。タイミングや意思の疎通ができていないと難しい。それを彼らがやろうとしているところは感じることができた。その気持ちは評価できる部分だと思う。最終ラインはみんなが違うチームでやってきているので、考え方や今までの要求の違いがある。その中でも合わせようとした姿勢は評価している。ただ、自分の求めているものとはまだほど遠いので、これから練習をしていく。ビルドアップの部分は、繰り返し練習をしていかなければいけないところ。プレーオフは負けてしまったが、リーグ戦の開幕まで時間ができたので、その時間を有効に使って、リーグ戦に合わせてやっていきたい。


メルボルン・ビクトリー:カルロス ペレス サルバチュア
今日の試合で勝利を収めることができて、とても嬉しい。ここ10日間で4試合というタイトスケジュールの中、今日の試合を迎えた。アントラーズのようなチームとの対戦は、非常に難しい部分もあったが、我々は、プラン通りに試合を進めることができた。これからACLの戦いが続いていく。チーム一丸となって頑張っていきたい。

選手コメント

試合前

【犬飼 智也】
練習でやってきたことは、自信になっている。やってきたことを披露するのは当然だし、とにかく勝たないといけない。球際だったり、走るところだったり、練習をしていなくてもできる部分もあるので、そういうところを徹底してやらないといけないと思う。

【土居 聖真】
まずはこの試合に勝利しないと始まらない。自分自身のコンディションは悪くない。メルボルン戦では、自分の持っている100%の力を出したい。勝利ができるように頑張っていきたい。

【和泉 竜司】
相手には、身長の高い選手がいる。その選手にロングボールを入れてくる場面もあると思う。パスをつないできたとしても、しっかりと前線からプレスをかけてボールを奪えるようにしていきたい。そういうトレーニングをここまでしてきたので、落ち着いてやっていきたい。

【広瀬 陸斗】
まずは、勝たなければ意味がない。相手の両サイドにはスピードがある選手がいるし、前線には身長の高い選手がいる。そして、相手は激しさを持ってくると思う。その激しさや勢いに負けないようにしていく。目の前に勝るという部分を意識してやっていきたい。チーム全体で守って、チーム全体で攻め勝つことができればいいと思う。

【永戸 勝也】
能力の高い選手が多いという印象を持っている。相手のミスを待ち、そこからボールを奪ってカウンターを仕掛けてくるようなチームなので、相手のカウンターには気を付けてプレーをしていきたい。

試合後

【三竿 健斗】
自分自身、とても不甲斐ない出来だった。これが今の自分たちの実力。チャンスはあった。しっかりミートさせるところだったり、最後まで見極めて決めきるところだったり、最後の一瞬の集中力が足りなかった。次の戦いに向けて、監督が求めていることをしっかりと理解していくこと、その求められていることを、失敗を恐れずにピッチの上で表現していかなければいけない。

【犬飼 智也】
ボールを支配することはできた。ただ、スイッチを入れるタイミングだったり、勝負のパスを出すというところに関しては、ここからやっていかなければいけない。負けてしまい、喪失感はある。ただ、国内のタイトルを獲りにいくことに頭を切り替えていかないといけない。

【土居 聖真】
典型的なサッカーでの負け方。決め切るところだけだった。ボールを支配していても、一瞬でやられる怖さや集中力を欠いた結果になった。どういう状況でも勝たないといけないし、言い訳できない。悪天候のなかでも多くのサポーターの皆さんが来てくれて、申し訳ない気持ちでいっぱい。

【広瀬 陸斗】
4冠を掲げてきた中でそのうちのひとつを落としてしまった。そのことに対して、とても残念に思う。この試合は、結果が第一の試合だった。試合内容のことを言うよりも、まず勝つことができなかったということに関して、とても残念に思う。

【永戸 勝也】
最後の精度の部分やゴールを決めきるという部分が前半からできていれば、この結果は大きく変わっていたと思う。自分自身、結果につなげることができていない。本当に悔しい結果になってしまった。次につなげていかなければいけない。

【奈良 竜樹】
今日は試合結果ですべてが評価される試合だった。後ろが踏ん張り切れなかったことを本当に申し訳なく思う。この試合に向けてしっかり準備をしてきたが、結果を出すことができなかったことは本当に残念。




◆AFCチャンピオンズリーグ2020 プレーオフ(オフィシャル)