東京五輪のサッカー男子1次リーグの組み合わせが決まりました。日本はフランス、メキシコ、南アフリカと同組です。
五輪クラスのビッグマッチになると、新聞紙上では必ず「死の組」という見出しが躍りますが、五輪の出場国は16カ国。32カ国が出場するW杯の半分しかありません。D組だってブラジルとドイツが同じ組だし、死の組なんてないと思います。
ただ心配な点として、コロナ禍の影響でどこまで海外組が招集できるかは不透明になってきました。そこで「国内組ならこの選手」と推したいのが、J1名古屋MF相馬勇紀(24)です。
早大卒の4年目。一番の魅力はサイドから仕掛ける突破力です。シザース(またぎフェイント)などで相手を撹乱させるドリブラーなどもいますが、彼は違います。緩急だけで切り込むんです。
この技術はなかなかどうして、簡単なものではありません。相手との距離が5メートルもあれば、レベルの高い相手でも一瞬で抜ける。チャンスメークができる選手ですね。
それだけではありません。2019年から1年間、レンタル移籍先のJ1鹿島で学んだのは守備力。昨季から名古屋に復帰して、「ウノ・ゼロ」(イタリア語で1-0)で勝ち切るフィッカデンティ監督にも相当教え込まれましたね。トップクラスの仕掛ける技術があり、守備もいけます。
攻撃の選手は自分のセンスに頼りがちなところがあるのですが、彼の場合はそうではない。早大時代、かつてJリーガーだった外池大亮監督(46)の「サッカー選手たるもの、プレーをしているだけではダメ」という教えのもと、スカウティングや戦力分析などのノウハウも「自分で考えろ」とみっちり仕込まれました。これもプロになってから役立っていますね。前のめりにならずに常に冷静です。
短期決戦の五輪には、チームを勢いづかせるジョーカーが必要。相馬はそれができる選手です。(元J1横浜監督・水沼貴史)
◆【オヤジのためのサッカー塾】五輪代表には名古屋MF相馬を“推薦”します チーム勢いづかせるジョーカー(zakzak)