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2022年9月4日日曜日

◆2試合3ゴールを決め“浦和キラー”となったブラジル人FW 鹿島の新たな得点源としてカイキの覚醒は(the WORLD)






前回対戦でもゴール


鹿島アントラーズはJ1第28節で浦和レッズと対戦。2点リードを奪いながらも追いつかれて2-2のドローで終了した。この試合で2ゴールを決め、浦和への相性のよさを見せつけた男がアルトゥール・カイキだ。

鹿島が先制点を挙げたのは16分。左サイドから仕掛けるとペナルティエリア角から樋口雄太がクロスを供給する。頭で合わせたカイキがゴールネットを揺らし、鹿島が得点を奪う。さらに27分にもミドルシュートから得点を奪い、浦和から2得点を記録した。

前回対戦も1-1のドローで終わった一戦だが、その時にもカイキは先制点をあげている。今季J1で8ゴールを決めているものの、そのうち3得点が浦和戦であり、新たな浦和キラーとなっている。

昨季からチームに加入した助っ人は174cmと決して身長は高くないものの、ヘディングから多くの得点を挙げており、自身の持ち味を十分に発揮。空中戦も強いストライカーはこの試合で6度の空中戦すべてで勝利している。上田綺世が移籍して新たな得点源が求められる鹿島で助っ人FWの覚醒はあるだろうか(データは『SofaScore』より)。





◆2試合3ゴールを決め“浦和キラー”となったブラジル人FW 鹿島の新たな得点源としてカイキの覚醒は(the WORLD)





◆鈴木優磨は日本代表に執着しない。「俺みたいなサッカー選手がいてもいいと思いません?」(Sportiva)






鹿島アントラーズ・鈴木優磨インタビュー(後編)


 瞬時に質問の意図を理解して、言葉を発するのは、ストライカーとしての嗅覚とでも言えばいいだろうか。感覚の鋭さには、こちらも驚かされるほどだった。

 インタビューも終盤に差しかかり、どうしても聞かなければいけないテーマがあると伝えた時だった。鈴木優磨はニヤリと笑うと、自ら言った。

「日本代表?」

 こちらがうなずくと、さらに察した彼はこう続けた。

「そんなに思いはないですよ。それよりも、自分はクラブでの成功をより願うタイプなんです。だったら、もっとアントラーズのために頑張りたい。今はアントラーズでいっぱいタイトルを獲りたいという気持ちのほうが強いんです」




 あまりに素直に話すものだから、偽らざる思いだということはすぐに理解できた。

「だって、そのほうがこのチームのファンやサポーターの心や記憶に刻まれるじゃないですか。そのくらい自分は鹿島っ子だから。このクラブは俺の一部というか。だから、鹿島のためにプレーしている自分のほうが好きかな。それにこのクラブのことが好きだから、そっちのほうがプレーしていても気持ちが入るんですよね」

 鹿島っ子----千葉県銚子生まれだが、小学生の時から鹿島アントラーズのスクールに通い、アカデミーで育ってきた。童心に返ったかのように、クラブのことを話す彼は、この日一番の笑顔を見せた。

「自分はずっとこのクラブを見てきたから、このクラブのすごさも知っている。それを取り戻すためにすべての力を使いたいと思っているから、よそ見をしている暇なんてないんです」

「だって」と言って、2年半ぶりに復帰して、カシマスタジアムでプレーする思いを語った。

「本当に帰ってきて思いますけど、カシマスタジアムってすごい力があるなって。0−2、0−3だろうが、俺はそこまで苦じゃないと思っている。力が発揮できれば、残り15分だろうが、10分だろうが2点、3点くらいは奪える雰囲気がある。

 それくらいの力がこのスタジアムには宿っているなって、帰ってきて改めて感じる。あのファンとサポーターが一緒に戦ってくれれば、どんなことも成し遂げられると自信を持って言えます」


鹿島というクラブのDNA


「それに」と言って、まだまだ言葉は続く。

「ひとりくらい俺みたいなサッカー選手がいてもいいと思うんです。選手として日本代表を目指すのはいいことだと思います。だからこそ、逆に俺みたいにクラブのためにプレーする選手がいることも受け入れてほしいなと思います。だって、人それぞれじゃないですか。どんな選手がいてもいいと思いません?」

 ストライカーとしての得点力、決定機を演出するアシスト力もさることながら、鹿島に戻ってきた鈴木のプレーから"チーム"という単位を感じるのは、そのためだろう。相手に立ち向かっていく姿勢、スタジアムのファン・サポーターをあおる行為、タイミングも含めて、彼には明確に「何のためにプレーしているか」という"魂"が宿っている。

 そんな鈴木は、いつから個ではなく、チームのことを考えるようになったのだろうか。

「(今季)帰ってきてからですよ。だって(ベルギーに)行く前なんて22歳ですからね。チームのことなんて考えてなかったです(笑)。それまでは自分が、自分がというか、自分のプレー、自分のプレーという考えをしていたように思います。でも、若い時はそれでいいと思うんですけどね」

 過去の自分を否定するのではなく、肯定する潔さに成長を実感する。同時に、鹿島というクラブのDNAも感じた。自分よりも年齢の若い選手が多くなった今、彼らに対してはこうメッセージを発信したからだ。

「自分自身も若いころは、自分のことで精一杯だった。自分の調子がいいのか悪いのか、自分が試合に出られるのか出られないのか、試合に出てもゴールを決められるのかアシストできるのか。自分のことばかりにフォーカスしていた。

 でも、若い時はそれが結果的にチームのためになっている。あとは、今でいえば、経験のある(土居)聖真くんや(三竿)健斗とか自分が、チームとして戦う方向や目指すベクトルを示してあげればいい。だって、自分も若い時には、(小笠原)満男さんをはじめとする先輩たちに、バランスを取ってもらったり、ゲームや時間帯をコントロールしてもらったりしていましたから。

 だから、自分は自分の結果だけを考えて突っ走ることができていた。今度は自分がチームとしてバランスを取ることをやる順番だし、それは絶対にやらなければいけない」


小笠原満男が示してくれた


 伝統というべきか、哲学というべきか。鹿島のDNAは、次のような言葉にも受け継がれている。

 今季の鹿島はシーズン途中で監督交代を敢行したが、鈴木がここまで不満をこぼすようなことはなかった。彼が目を向けていたのは常に自分であり、発信していたのはチームへの発奮と鼓舞だった。

 聞くと、鈴木は思いを馳せた。

「だって、自分が若い時に、満男さんが誰かのせいにするような言葉を聞いたことがなかったんですよね。いつも揺らぐことなく、大丈夫だという態度を示してくれていた。だから、試合に負けたとしても、満男さんが大丈夫だと言えば、チームは大丈夫だと思えたし、信じてついていくことができた。満男さんがチームは大丈夫だって言っているんだから、若い自分は自分のことに集中しようと思えたんです。

 だから、自分が年齢的に上になった今、経験のある俺らが前を向いて、ポジティブに働きかけていきたいと考えていた。そうでないとチームは一瞬で崩れてしまうということを、聖真くんや健斗といった経験のある選手たちもわかっていると思います」

 だから、鈴木は前を向く。岩政大樹監督とともに目指すのは、やはりタイトルになる。

「課題はまだまだありますけど、その見えている課題に対して大樹さんはあやふやにするようなことがない。しっかりと俺ら選手たちに、ここが課題だと提示してくれる。しかも、選手が感じている課題とチームを率いる大樹さんが感じている課題が一致しているので、同じ目標に向かって走っていると、より感じられています。

 あと、大樹さんはあまり昔の話を俺らにしないんです。前を向いていて、俺らと一緒になって新しいアントラーズを作っていこうと話してくれている」

 岩政監督がコーチだった時に、苦しんでいることを察して投げかけてくれた言葉が今も胸に突き刺さっている。


突き刺さった岩政大樹の言葉


「監督から要求されたことをやらなければ、やらなければと思っていた時に、大樹さんから『今のお前はただの労働者になっている。サッカーを楽しんでいないだろ?』って言われたんです。その時たしかに、今の自分は監督に求められたことを一生懸命やろうとしているだけだなって思ったんです。

 それは本当に自分が目指している姿なのか、ということは考えさせられましたし、サッカーの最大の魅力である楽しさを忘れてしまっているような気がしました。そのことに気づかせてくれた大樹さんの言葉は、これからも自分の心に一生残っていくものだと思っています」

 過去があるからこそ、新しい歴史を築いていくこともできる。ただひとつ言えるのは、新しいアントラーズを築いていくのは、今の選手たちである。そして、鈴木優磨のような選手がいてもいいのではないだろうか。それもまたJリーグが、鹿島が歴史を紡いできた証だ。

「リーグ戦も最後まであきらめないで戦いますし、天皇杯も残っている。優勝する可能性があるタイトルを必ず鹿島の歴史に加えたいので、ここからまた苦しい時期があったとしてもブレずに、自分たちの目標に向かってやっていければと思います」


【profile】
鈴木優磨(すずき・ゆうま)
1996年4月26日生まれ、千葉県銚子市出身。小学1年から鹿島アントラーズのスクールに通い、ジュニアユース→ユースを経て2015年にトップチームに昇格。2018年にはクラブ初のACL優勝に貢献し、大会MVPにも選出される。同年11月、日本代表メンバーに初選出されるもケガのために辞退。2019年7月、ベルギーのシント・トロイデンに移籍を果たし、2020−2021シーズンには17ゴールを記録する。2022年、古巣の鹿島に2年半ぶりに復帰。ポジション=FW。身長182cm、体重75kg。


◆鈴木優磨は日本代表に執着しない。「俺みたいなサッカー選手がいてもいいと思いません?」(Sportiva)





◆鈴木優磨「早くアントラーズはタイトルを獲らなければ」。チームへの思いや自身のプレーが献身的になった理由も明かした(Sportiva)






鹿島アントラーズ・鈴木優磨インタビュー(前編)


 まるで衝動に駆られるかのように、鈴木優磨はベンチに向かって走っていた。

 8月14日、J1第25節のアビスパ福岡戦だった。

 10分、ペナルティーエリア右でパスを受けた鈴木は、ゴール前に進入すると、迷うことなくシュートした。相手に当たって決まった得点は、記録上オウンゴールになったように、華麗でもなければ美しくもなかった。だが、そこで右足を振り抜いた判断は、リスタートを切った鹿島アントラーズに一体感、活気、自信......多くを取り戻させるゴールになった。

 8月7日にレネ・ヴァイラー監督が退任し、翌8日にコーチを務めていた岩政大樹が監督に就任して迎えた初戦だった。

 ベンチに向かって走った鈴木は、勢い余って新指揮官を押し倒すほどの熱量で抱きついた。

「特別な意味はなかったけど、『これからまたチームとして新たなスタートを切っていこうよ』というような思いからでした」

「衝動だったのか」と聞けば、鈴木は少しだけ照れくさそうに「そうですね」とうなずく。誰よりもクラブとチームを思うがゆえの、まさに衝動だったのだろう。

「自分はずっと試合に出場していた身なので、(監督が交代したことに)もちろん責任は感じていました。ただ、その事実に対して感傷に浸ることなく、反省するところは反省して、イチから頑張ろうと思って臨みました」

 2−0で終えた福岡戦で欲していたのは、間違いなく「勝利」の二文字だった。

「今シーズン当初、(岩政)大樹さんが監督代行としてチームを指揮してくれていた時のイメージが俺のなかで強烈に残っていました。それは選手として初めての感覚でもあった。その時間がすごく楽しかったので、また大樹さんのもとでサッカーができる思いと、その初戦で負けるわけにはいかないという、ふたつの思いがありました」


上田綺世にチャンスを作りたい


 今シーズン、ベルギーのシント・トロイデンから2年半ぶりに鹿島へ戻ってきた。復帰の理由を聞くと、力強く語ってくれた。

「鹿島にタイトルをもたらしたい、という思いが大きな要因でした。鹿島はここ5年、国内タイトルから遠ざかっているので、ひとつでも多くのタイトルをクラブにもたらしたいという思いがありました。その思いは今も常にブレていません」

 勇ましい風貌とやんちゃと表現したくなるキャラクター、またFWというポジションも相まってエゴイスティックに見られがちだが、ヨーロッパから帰ってきた鈴木のプレーは、見違えるほど献身的だった。

 自分がというよりも、チームメイトの能力を引き出し、活かす。2トップを組んでいた上田綺世(現サークル・ブルッヘ)が早々にふたケタ得点をマークしたことからも周知だろう。

「シーズン序盤は綺世と2トップを組むことが多かったので、彼の得点力を活かすためには、俺自身が動いて、綺世になるべくチャンスを作りたいという考えがありました。今は(土居)聖真くんには聖真くんのよさ、エヴェ(エヴェラウド)にはエヴェの強さがあるので、そこを引き出してあげたいと思っています。

 組む相手によって自分の役割は変わってくるし、誰と組んでも合わせられる自信もある。だから、コンビを組んだ選手によって、よりストライカーの動きをするのか、よりチャンスメーカーに近いプレーをするのかは、自分のなかで使い分けています」

 プレーだけでなく、姿勢や言動からも、チームという単位が感じられる行動がいくつも見受けられる。

 たとえば、2−1で勝利したJ1第19節の柏レイソル戦だ。前述した上田がベルギーに移籍した直後の一戦とあって、勝利できるかどうかで周囲の声や評価は大きく変わってくる。

 そうしたなか1−1で迎えた82分、鈴木はPKを獲得したが、大事なキッカーをエヴェラウドに譲った。そして自身は、「信じている」と言わんばかりにゴールに背を向けたのである。試合後には、「エヴェをもう一度、復活させるのは自分のなかで大きなミッション」と語り、チームメイトへの信頼を口にした。

「会見で語ったのでクローズアップされてしまいましたけど、シーズン当初からずっと言っていたことでした。ベルギーからいつもアントラーズの試合を見ていて、エヴェのゴールは散々見ていた。あれだけ点が取れる選手なので、もう一度、自信を取り戻せば復活してくれると思っていた。

 みんなが信頼してボールを集めてくれれば(ゴールを決められるのに)というFWとしての苦しみは自分も理解できるし、(点が)取れない時の苦しみもわかる。だから、もっと信頼してボールを集めれば、彼はやってくれると思っていた」


ベルギーで学んだギブ&テイク


 鈴木の言葉を借りて「チャンスメーカーに近いプレー」をした時には、状況判断と視野の広さが際立っている。

「自分では状況が見えているかどうかまではわからないですけど、ボールをもらうタイミングと、そのあとにどこへパスを出して、どう展開しようということは、頭のなかで整理できています。

 そうやって自分のプレーが整理できている時はいい攻撃ができていますけど、逆に自分が止まってしまうと、チームとしていい攻撃につながらなくなってしまうことも多い。だから、中盤に降りた時には、シンプルに逆サイドへ振るなど、展開力を意識しています」

 ただし、決してストライカーの矜持を忘れたわけではない。J1第26節を終え、7得点8アシストという結果に触れた時だった。

「いくら献身的なプレーをしていると言ってもらえても、結局のところ最後は数字で見られるのがFWですからね。否が応でも何ゴールしたか、何アシストしたかという数字はついてくる。

 そこが伴わなければ、いくらチームのために献身的なプレーをしたところで意味はない。あくまで献身的なプレーはプラスアルファ。自分のなかでは得点、アシストという数字に重きを置いてプレーしていきたい」

 やや不服そうに鈴木は言った。

「だから、アシストについてはいいですけど、得点については物足りない。FWとしてはアシストのほうが多いのは、やっぱり気になりますよね」

 その言葉を聞くと、なおさらPKを譲った行為に矛盾を覚えてしまう。数字にこだわるのであれば、自らPKを蹴ればよかったのではないかと----。そこには、ベルギーでプレーした経験が生きていた。

「シント・トロイデンでは、エゴの強い選手ばかりとプレーしてきました。そのなかでどうやってチームメイトと信頼関係を築いていくかと言えば、ギブアンドテイクというか。だから俺、向こうでも10試合くらいゴールのない選手には、PKを譲ったりしていましたよ。助け合えるところは助け合うことで、いかに信頼が高まっていくか、またそれがピッチのなかで表れるということも学びました」


試合中にしゃべらなくても...


 決して野心がなくなったわけではない。その単位が個よりもチームに変わっただけだ。むしろ、野心は以前よりも増している。

「結局、俺ひとりでサッカーをやっているわけではないですからね。そうした経験をチームに伝えて、それをみんなで感じ取って優勝していくことで、チームとしての経験値は上がっていくと思うんです。

 繰り返しになっちゃいますけど、サッカーはひとりではできない。だから、チームということを考えた時に、早くアントラーズはタイトルを獲らなければいけないと思っているんです」

「早く」----これも、クラブを思うがゆえの言葉だった。

「復帰した時にまず感じたのは、優勝経験のある選手が少なくなってきている、ということでした。だからこそ、早くタイトルを獲らなければとも思ったんです。

 これは自分自身が感じたことでもあるのですが、優勝を知っているのと、知らないのでは、タイトルを目指していくうえでも大きく違ってくる。チームとしてひと皮もふた皮もむけるためには、タイトルを獲得することが早いので」

 鈴木自身は2015年にナビスコカップ(現・ルヴァンカップ)、2016年にJ1と天皇杯で優勝を経験し、2018年にはクラブ初のアジアチャンピオンズリーグ優勝に貢献するとともに大会MVPに輝いている。そこで何を得ていたのか。

「大きく言うと、自信が違います。タイトルを獲ったという自信がプレーにも表れる。それを重ねることによって、この時間はこういうプレーをすれば試合に勝てる、もしくは勝ち点を拾えるということが、ひとりではなくチームとして共有できるようになっていく。

 その自信と経験は一人ひとりにも、チームにも大きく、間違いなくプレーしていくうえでの助けになる。強かった時はわざわざ試合中にしゃべらなくてもいいというのが、まさに経験の賜物だと思うんです」

 強い鹿島を知り、優勝を知るからこそ、鈴木が今、タイトルを欲している理由だった。






【profile】
鈴木優磨(すずき・ゆうま)
1996年4月26日生まれ、千葉県銚子市出身。小学1年から鹿島アントラーズのスクールに通い、ジュニアユース→ユースを経て2015年にトップチームに昇格。2018年にはクラブ初のACL優勝に貢献し、大会MVPにも選出される。同年11月、日本代表メンバーに初選出されるもケガのために辞退。2019年7月、ベルギーのシント・トロイデンに移籍を果たし、2020−2021シーズンには17ゴールを記録する。2022年、古巣の鹿島に2年半ぶりに復帰。ポジション=FW。身長182cm、体重75kg。







◆鹿島“お得意さま”の浦和に不覚ドロー 岩政監督「選手はしっかり戦った」(スポニチ)






明治安田生命J1第28節   鹿島2―2浦和 ( 2022年9月3日    カシマ )


 鹿島はホームで5連勝中と“お得意さま”の浦和に不覚をとった。前半2点を奪って主導権を握ったものの、その後は押し込まれて2失点して痛み分け。優勝争いから大きく後退した岩政監督は「選手たちはしっかり戦ってくれた」と必死に前を向いた。

 中3日で天皇杯準々決勝の神戸戦(7日、ノエスタ)が控える。指揮官は「中3日で大事な試合がある。どう勝つかにフォーカスしたい」と切り替えた。




◆鹿島“お得意さま”の浦和に不覚ドロー 岩政監督「選手はしっかり戦った」(スポニチ)


◆【鹿島】2点リード守り切れずドロー、課題残るも指揮官は前向き 背番10荒木遼太郎復帰も好材料(ニッカン)






<明治安田生命J1:鹿島2-2浦和>◇第28節◇3日◇カシマ

鹿島アントラーズは、MFアルトゥール・カイキの2発のリードを守り切れず、浦和レッズと2-2の引き分けに終わった。

岩政大樹監督が就任後、アビスパ福岡には勝利したが、湘南ベルマーレ、川崎フロンターレ、浦和と1敗2分けで、直近3試合で勝ち点2しか上積みできていない。それでも、指揮官は「結果が出てないとは思っていない。それにとらわれていたらこれまでの鹿島。これまでの鹿島のメンタリティーで選手に接していないので」と前向きだった。

前半に限れば、テンポよく人とボールが動き、両サイドの幅を生かす攻撃で浦和を押し込んだ。迫力ある攻撃で、2点をとった。岩政監督は前半について「立ち位置の整理も含め、見えやすい景色をつくっていることが大きな要因。絵が見えるような練習ができていて、2週間でここまでいくのか、という手応えを持って臨めている」と振り返った。

しかし、浦和が前半途中から鹿島のサイド攻撃の対策として、4バックから5バックへ変更。そこから浦和に流れがわたり、浦和の対策を上回ることはできなかった。相手の変化にどう対応し、5バックの相手を崩していくか。新たな課題が残った。岩政監督は「1つずつ出てきた課題をやっていく。選手のトライで(課題の)材料がそろった。やってきたことができなければ振り出しに戻るが、そうでない段階に持って来られたことが手応え」と前向きにとらえていた。

後半途中から腰のヘルニアで約4カ月、離脱していたMF荒木遼太郎(20)がピッチに立ったことも好材料だ。攻撃エリアでの攻撃のアイデアは、新生・鹿島に欠かせないピースとなる。荒木は「緊張することなく、普通に臨めたけど、まだまだ体力が戻ってなかった。自分の所で攻撃をつくって、攻撃をつないで仕留めることが役目。今日は、自分が機能しなくて試合が決められなかった。チームに足りないものを、自分がもたらして試合を決めるところをやっていきたい」と背番号「10」の責任を口にした。





◆【鹿島】2点リード守り切れずドロー、課題残るも指揮官は前向き 背番10荒木遼太郎復帰も好材料(ニッカン)





◆鹿島MF荒木遼太郎が4か月半ぶり復帰!! リハビリ中は筋力強化にトライ、終盤戦へ「チームに足りないものを自分がもたらす」(ゲキサカ)









[9.3 J1第28節 鹿島2-2浦和 カシマ]

 2-2で迎えた後半33分、鹿島アントラーズはMF荒木遼太郎をピッチに送り込んだ。背番号10を任された今季は腰椎椎間板ヘルニアを発症し、これが4か月半ぶりの公式戦出場。試合を決める活躍こそできなかったものの、岩政大樹監督のもとで生まれ変わりつつあるチームにおいて、若きタレントの復帰は終盤戦の大きな追い風になりそうだ。

 東福岡高から加入して2年目の昨季、10代選手として27年ぶりとなるシーズン二桁得点を記録した荒木。その活躍が評価され、今季は伝統の背番号10を託されたものの、思うようにいかないシーズンとなっていた。

 岩政監督が暫定指揮官として率いていた序盤戦はトップ下の定位置を掴んでいたが、攻守に高い強度を求めるレネ・ヴァイラー前監督の就任以降は出番が激減。4月23日に行われたルヴァン杯グループステージ第5節の大分戦後には腰痛と臀部痛を発症し、腰椎椎間板ヘルニアの診断を受けて長期離脱が続いた。

 約4か月半を経て、この日がようやく復帰戦。今度は正式な指揮官に就任した岩政監督のもと、「つなぎ目の役目でもあるし、仕留める役目でもある」というトップ下で起用され、劣勢の中で攻撃を前進させようとトライしていた。2-2で引き分けた試合後には「自分が機能しなかったので、試合を決められなかった」と厳しい自己評価を口にしたが、変革が進むピッチに背番号10を組み込めたことの価値は大きそうだ。

 リハビリ期間は「フィジカルはいずれ必要になる」と前向きに捉え、筋力トレーニングに励んでいたという荒木。復帰戦には一回り大きくなった姿で登場したが、体重も2〜3kgの増量に成功したそうだ。また「自分が監督の求めるサッカーと自分がやりたいサッカーが一緒な部分があるのでやりやすい」と新体制のスタイルへの順応に自信ものぞかせた。

 またFW上田綺世の移籍後、攻撃の役割の負担が大きくなっていたFW鈴木優磨との信頼関係も十分。「ずっと面倒を見てくれたので、自分のメンタルも持ったし、優磨くんのおかげかなと思っている」。リハビリ期間中の鈴木の振る舞いに感謝した荒木は「リーグもそうだけど、天皇杯は絶対に取りたい。そこでチームに足りないものを自分がもたらして、試合を決める立場になれたら」と終盤戦に向けて決意を語った。

(取材・文 竹内達也)





◆鹿島MF荒木遼太郎が4か月半ぶり復帰!! リハビリ中は筋力強化にトライ、終盤戦へ「チームに足りないものを自分がもたらす」(ゲキサカ)