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2019年3月2日土曜日

◆昌子源に直撃。「なんでトゥールーズに来たんだよ!?」“野望のない”クラブで抱く覚悟とは(フットボールチャンネル)



昌子源 Gen.Shoji


◆◆夢をそだてるみんなの仕事300 野球選手/花屋 サッカー選手 医師/警察官 ...


今冬、フランスのリーグ・アンに所属するトゥールーズへと移籍を果たした昌子源。日本を代表するCBは新天地でさっそく実力を証明している。しかし、常勝軍団・鹿島とは違い、新クラブはまるで野望がなく、勝利への執念というものを感じることができないという。そんなトゥールーズにおいて、これまで数々のタイトルを獲得してきた昌子は今、何を思うのか。現地在住記者が本人を直撃した。(取材・文:小川由紀子【フランス】)


新天地での滑り出しは順調

 実に新入り感のない新入り選手。

 とは、今年の冬、フランスのリーグ・アンのトゥールーズに入団した昌子源だ。そしてもちろんこれは褒め言葉。というより、1月19日にデビューしてまだほんの約1ヶ月で、すでに2、3年このチームでプレーしている選手かのようなこの存在感はさすがというか、おどろきにさえ価する。

 腕を伸ばして仲間に指示を飛ばしたり、終盤、あからさまな時間稼ぎをする相手選手に手首を指差しながら牽制しに向かっていく姿を見ていると、「キャプテンマーク巻いてたっけ?」と錯覚を起こしそうだ。

「すでにショウジはチームに必要な選手だよ。もちろん、これまで彼がやってきたプレーとの違いはあるだろうし、コミュニケーションなどこれからもっと磨きをかけていく点はあるが、彼には、きっとウチの戦力になってくれる、という確信が持てる」

 スタジアムに来ていたサポーターも、1月に入ったばかりの選手だ、などということはすっかり忘れている感じで、もう昌子の先発イレブン入りは当たり前、といった口ぶりだった。

 これまでのキャリアを鹿島アントラーズ一筋でプレーしてきた昌子にとっては、海外はおろか初めての移籍だが、新天地での出場機会は…などという心配はひとまず無用。文字通りの「即戦力」として、デビュー戦以来、1ヶ月の間にフランスカップ戦2試合を含む8試合にフル出場している。

 アラン・カサノバ監督も「昌子はこのリーグでプレーする素質のある選手であること十分に発揮し、このクラブが彼をリクルートしたことは間違いでなかったことを証明してくれている。彼は非常に才能のあるディフェンダーで、配球にも優れたレベルの高い選手だ」と満足げで、昌子の新天地での滑り出しは順調だ。

トゥールーズは野望のないクラブ

 が一方で厳しい状態にあるのは、チームの方である。

 トゥールーズは、リーグ戦ではなんと8月25日の第3節からホーム戦での勝ち星がなく、26節を終えて15位と、降格圏も遠くない。2月24日の26節、本拠地スタディオンでのカーン戦は、前半ロスタイムに先制を許し、試合終了間際の同点打で、なんとか1-1と敗戦を免れた。

 昌子は試合後、「追いつかれた引き分けよりも、追いついた引き分けのほうがポジティブにとらえられる。追いついたことは今の僕たちにとって、数少ないポジティブな要素…」と話したが、デビュー戦のニーム戦(1-0)と、次のフランスカップ戦で連勝したあとは勝ち星がなく、常勝軍団・鹿島アントラーズに身を置いていた昌子にとって、「6試合勝っていない」というのはこれまでにない経験だった。

 トゥールーズってどんなクラブ? と、地元の人に尋ねると、まず間違いなく、「野望のないクラブ」という答えが返ってくる。

「会長は、残留さえできれば良い、というスタンスでいるからね」と、年間パスホルダーのサポーターはこぼしていたが、どうやらそれは事実であるらしい。

 2001年からクラブの実権を握るオリヴィエ・サドラン会長は、航空会社のケータリング業をグローバルに展開する地元の優良企業のオーナーであり、有能なビジネスマンとして誉れ高い御仁だ。若い頃は3部リーグでプレーした経験もあるくらいだから、サッカーへの情熱も本物。

 オーナー就任当時3部にいたクラブを、2年と最速でリーグ・アンへ昇格させると、4年後の2006/07シーズンには3位とTOP3入りを実現し、翌年はチャンピオンズリーグ(CL)にも出場した。しかしここ数年は、順位表の下半分が定位置になっていて、昨季もプレーオフを勝ち抜いてのギリギリの残留だった。

 今では会長は、「トゥールーズの人々のために、街にリーグ・アンのクラブを」というところで満足しているため、育成部門には投資して若手は育てるが、彼らはよそへ手放して収益を上げる、というストラテジーを決めこんでいるようなのだ。

「なんでトゥールーズに来たんだよ!?」

 地元紙のスティバル記者も、「会長に野心がないと知って、やる気のある選手は他のクラブに去っていってしまう。でも、引き止めるために同じ規模のクラブの中ではサラリーを高めに設定しているので、そこで満足してとどまる選手もいる。それがいまのトゥールーズです」と教えてくれた。

 そして、その状況になんとなく慣れっこになっている、ほんわかとした感じがこのクラブには漂っている。サポーターが選手に厳しくプレッシャーをかけることもなければ、負けて怒りをぶつけることもない。

「負けているのにめっちゃ笑顔でファンが(自分のところに)来たりするんです。鹿島だったら負けてたら『なにやってんだよー』みたいな感じでくるんですけど…」と昌子も戸惑っている様子だったが、サポーターも、「このクラブはプレッシャーが少ないから、初めて海外移籍した昌子にとってはきっと良いと思う。ここで慣らして、もっと大きいクラブへ羽ばたくといいよ」と、自ら「踏み台」発言である。

 入団早々、昌子はチームメイトに、「おまえ、優勝経験あるのか?」と聞かれたそうだ。

「あるよ、カップ戦とかアジアを入れて6、7回くらいかな…」と答えると、全員が「ほんとかよ! おまえすげえな~!」と驚き、「なんでトゥールーズに来たんだよ!?」という勢いだったという。

「僕はタイトルをとってきて、勝ち方、優勝の仕方もある程度染み込んでいて、そこからあまり勝てないチームに来ると、『勝ちてえな』と思う。サッカーはやっぱり勝ってなんぼだと思うし、優勝を6回もしていたら、また優勝したくなる」

 タイトルを獲る感触を、一回味わっているのと味わっていないとでは違うのだ。

「その喜びを知りたいし、優勝したいという気持ちを常に持っていないといけないと思う。僕はこのチームに途中から入って、今シーズンはもう優勝は無理だと思いますが、来シーズンのあたま、じゃあ、パリ・(サンジェルマン)がいるから、と思ってやるのと、いや、パリがいてもとにかく優勝を目指す、と思ってやるのとでは全然違う。そういうメンタリティは、新加入だから、というのとは関係なく注入していけたらな、と思いますね」

ロシアW杯の悔しさが生んだ覚悟

 あまりにも勝つことに貪欲さがないチームに、イラつきを覚えることもあるというが、それももっともだろう。

「勝者のメンタリティは全然足りてないです。言葉ができたら、もうめっちゃ言ってると思いますよ。(キャプテンだった)鹿島のときも、試合中も『なんだ、そんなプレーだったら代われ!』『おまえみたいなやついらねえよ!』とかすごく言っていて、みんなもそんな僕にイラつくんですけど、そこで『やったるわ!』みたいになるんです。そういうのをどんどんここでも入れていきたいなと」

 10年前、CLとの両立も影響して3位から一気に17位に転落した2007/08シーズンの翌年、エースを任されたアンドレ・ピエール・ジニャックが24得点と、チームの年間総得点の半分以上を一人でマークする奮闘で、ふたたびトゥールーズは4位に浮上した。ジニャックもその活躍でフランス代表に呼ばれ、彼自身のキャリアもそこから大きく開花した。

 昌子の「新加入だから、というのとは関係なく、勝利のメンタリティを注入していきたい」という言葉は実に頼もしい。入団直後から新入りらしさのかけらもないプレーぶりも納得だ。

 ロシアワールドカップでのベルギー戦は、昌子のこれまでのサッカー人生で一番悔しい試合だったという。ピッチ上で唯一の国内組だった彼は、「自分が足を引っ張ったんじゃないか」と自分を責め、そこで思った。

「こうなったら僕もそこにいって、同じレベルまでがんばって上って、誰も僕の心配をせず、みんなが100%の力を出せれば、もっと上まで行けるんじゃないか」

「日本が世界に勝つにはセンターバック(のレベルアップ)」とロシア大会で痛感し、周囲の協力を得て実現した海外挑戦。昌子はここトゥールーズで、思う存分、奮闘することだろう。そして、ジニャック以来の救世主になるかもしれない。

(取材・文:小川由紀子【フランス】)

【了】


◆昌子源に直撃。「なんでトゥールーズに来たんだよ!?」“野望のない”クラブで抱く覚悟とは(フットボールチャンネル)





◆ヴィッセルの西大伍が断言。 今季の見どころは「僕です!」(Sportiva)



西大伍 Daigo.Nishi


◆◆億万長者サッカークラブ サッカー界を支配する狂気のマネーゲーム / ジェーム...


 アンドレス・イニエスタに続いてダビド・ビジャも加わって、ますます注目を集めているヴィッセル神戸。今季は国内からも大物選手が続々加入した。特集3回目の今回は、そのひとりである西大伍に”今季のヴィッセル”と、自らが果たすべき役割について語ってもらった――。

毎日刺激を受けられる環境が
すごく魅力だった

 鹿島アントラーズからの移籍を決断したのは、プロサッカー選手としての一番の喜びだと考えている”成長”を求めるためでした。もちろん、現状では鹿島のほうが、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)など、より高いレベルでの試合を戦えるとは思います。

 でも僕の中には「試合に出てさえいれば満足」という考えはなかったし、選手って試合を戦っている時間より、練習をしている時間のほうが圧倒的に長いですからね。毎日のように刺激を受けられる環境があるヴィッセルは、僕にとってすごく魅力でした。

 それは当然、アンドレス(・イニエスタ)ら外国籍選手から受ける刺激を期待してのことでもあります。今のところはまだチームが始動して間もないので、外から見ていた時に受けていたのと同じくらいの刺激しか受けていませんが(笑)、実際にシーズンが進んで、僕を含めてそれぞれのコンディションが高まっていけば、必然的に刺激は増えるだろうな、と想像はできる。それが自分のサッカー観に与える影響もすごく楽しみです。

 プレシーズンでは、3-3-3-1をベースに流動的にフォーメーションを変化させながら戦ってきましたが、(フアン・マヌエル・)リージョ監督の考え方はすごく面白いなと思います。ただ、このフォーメーションを機能させるには、どのポジションに入る選手にも頭のよさが求められるし、チームの総合力も求められますからね。それぞれの選手がもっと状況を感じて動けるようになれば、面白くなるはずですが、今はまだまだその部分での課題が多いです。

 それを機能させるには、僕自身は、もっと監督の言うことを聞くところと、聞かないところのバランスが大事だと思っていますが、正直、今はまだチーム全体が監督のもとでサッカーをしている時間がそう長くはないので、言うことを聞くことに終始するのは仕方がない部分もあるのかな、と。僕も最初はそうしでした……今はもうやめたけど(笑)。

 やめたというか、リージョ監督の考え方は理解したので、それをもとに自分のプレーをすればいい、という考え方にすでに切り替わっています。そんなふうに時間が経つにつれて、個々がいい割り切りを持ってプレーするようになれば、チームとしても機能するはずだし、個々のよさも消さずに戦えるのかな、と思います。

 でも、その辺は安心してください。僕のコンディションさえ上がれば、チームもきっといい感じになっていくと思います。

自分がチームを変える
姿を見てもらいたい

 ということで、今年のヴィッセル神戸の見どころは……僕です!

 大丈夫? こんなこと言う選手、います(笑)? でも本気で、僕がチームを変える姿を見てもらいたいと思っています!……と、自分にプレッシャーをかけて、どんどん責任感を与えて、言い訳をしないようにしているんですけど(笑)。でも、これまでのサッカー人生でもずっとそうしてきたし、その積み重ねで今の自分があるんだとも思っています。

 それに、クラブが僕を獲得したのは、リージョ監督がやろうとしているサッカーを、よりスムーズに表現するためでもあると思うんです。というのも、監督がやろうとしているサッカーって、教えればできるものではないと思うから。

 無論、選手それぞれ、特徴もよさも違うので、”リージョ監督が求めていることをできない=悪い選手”だとは思いません。でもそういう選手も含めて、チームとして機能させていくために僕を獲得してくれた……と、僕自身は受け止めているので。実際に加入してみて、その使命も感じていますしね。

 だからこそ、僕のコンディションさえ上がれば、チームも大丈夫かと。そう思えることも、今シーズンを戦っていくうえでの僕の楽しみの1つです。

 ただチームが”タイトル”に近づくには、そうしたピッチ上のことだけじゃなくて、変えなきゃいけないこともたくさんあるんじゃないかと感じています。もちろん”タイトル”には獲り方なんてないし、僕もそれはわかりません。

 でも、少なからず鹿島での経験をもとに考えるなら、クラブとしてタイトルを獲らないことが普通とされているのか、獲らなきゃダメだと言われるのか。そして、口で言うだけでも、願うだけでもなく、誰もが本気で……日々の練習からどのくらい本気で、それを強く求めているのか、なのかなと。あとは1年を通してずっと同じテンションで戦えるわけではないなかで、ピークをどこに持っていくのかとか、運も必要だと思います。

 じゃあ、その運はどこから来るかと言えば……僕は日々の生活や練習の中からやってくると信じています。だから、今日も自分発信で「洗濯物を裏返しで出さないようにしよう」って決めたところです。人によっては「そんなこと?」って思われるだろうけど、そういう小さな積み重ねが運につながっていくものだと思うから。

 実際、鹿島ではそういうことから意識していたし、だから僕も普段からそう信じて、道を歩いていてゴミが落ちていたら、拾うようにしています。そしたら、点が取れるんです。嘘みたいな話ですけど、本当です(笑)。

 信じるか信じないかは自由だけど、僕はそういうこともすごく大事にしたいし、今後もどんどんみんなに言っていきたい。とくにこのクラブは……若い選手ほど、ピッチより私生活のところで言うことが増えるかな、と思っています。

『神戸讃歌』を聞けば
選手の気持ちも昂るはず

 ホームのノエビアスタジアムは本当にいいスタジアムで、いいイメージしかありません……だって、勝てるから(笑)。昨年の終盤戦も僕、ここで点を取りましたしね。これは、鹿島としてというより、僕と相性がいいと思ってください。だから、僕がヴィッセルの一員になったということは最強です。なので、今年はヴィッセルの一員として、あのスタジアムでたくさん勝ちたいと思います。

 チームの見どころは……僕を楽しんでもらいたい。あ、僕とチームのプレーを、かな(笑)。

 そう言えば、あのスタジアムで試合前に歌われる『神戸讃歌』ってあるじゃないですか? この間の新体制会見のときにサポーターのみなさんが歌ってくださって初めて聞いたんですが、すごく想いの込められた、いい歌だと思いました。

 でも、聞くところによると、僕らがアップを終えて、ロッカールームに戻っている間に歌われているそうなんです。それじゃあ、もったいないなと。だって、それだと僕たち選手が聞くことができないから。

 だから、あれをできれば今シーズンは入場のときに……バルセロナのアンセムみたいな感じで歌ってもらえないかなって思っています。尺の問題とか、いろんな問題があるんでしょうけど、そのときだけ歌詞をコンパクトにするとか少し工夫していただいて、ぜひ歌ってほしい。

 そうしたら間違いなく、僕たち選手の気持ちも昂ぶるだろうし、スタジアムの雰囲気ももっとよくなる気がする……って、そんな簡単には実現しないかもしれないけど、せっかくヴィッセルの一員になったからには、そういうことも含めてどんどん意見を出していきたいと思います!

 と同時に、プレーでも観に来てくださった方が応援をがんばるとか、そういうことじゃなくて、純粋に僕らの試合を観て楽しんでほしいし、また観に行きたい! と思ってもらえるプレーをしたいと思っています。







◆世代交代できないJリーグ再考の余地/ぜじんが行く(ニッカン)






◆◆育成主義 選手を育てて結果を出すプロサッカー監督の行動哲学 / 曹貴裁/著 ...


<サッカー記者歴21年ぜじんが行く:番外編>

このほど始まった新コラム「ぜじんが行く」。初回は鹿島アントラーズを、鈴木満常務取締役強化部長(61)の言葉を中心に紹介した。2時間以上も丁寧に取材に応じてくれたことに感謝したい。その中で、書き切れなかったものを、ここで紹介したい。

Jリーグが開幕した。鹿島、川崎フロンターレ、FC東京、浦和レッズなど、シーズン前に優勝候補として名前が挙がっていたチームは、そろって勝てなかった。前線にビジャ、イニエスタ、ポドルスキの「VIPライン」を完成させたヴィッセル神戸は黒星発進した。J2から昇格した大分トリニータが、アジア王者・鹿島をアウェーで2-1で破る波乱も起きた。

ここ数年、Jリーグは優勝の行方が最終節までもつれることが目立つ。Jリーグ事務局は「リーグ全体の力が拮抗(きっこう)してきた。最後まで目が離せない」と喜ぶ。しかし私は、ほぼ毎年繰り返される、最終節の優勝争いに疑問がある。柏レイソル(11年度)やガンバ大阪(14年度)は、J2から昇格した年にJ1を優勝している。まともなリーグなら起こりえないことが起きている。

私の疑問に、サッカーに関わって50年の鈴木満常務がクリアな答えを出してくれた。

鈴木満常務 これからその現象は続くだろうな。過去には7年間、うちとジュビロ磐田が優勝を分け合った時代があった。ベテランと中堅、若手のバランスが良くて、世代交代もスムーズに進んだ。でも、もう上位1、2チームが決まって優勝争いする時代ではなくなった。なぜならシステム上、長期計画で選手を育てることがほぼ不可能になったから。

海外志向が強い選手が多く、Jで活躍したら目を海外に向ける。だからクラブは選手と3年契約などの複数年契約を結ぶ。でもその契約期間が終わったら、クラブに止める方法はない。3年活躍したら4年目はもういない。当然、世代交代はできない。チーム力を維持するため、外国籍選手はもちろんだが、J2や他のクラブから選手を補強するしかなくなった。その補強の成否が、成績に影響する。

力の拮抗(きっこう)を良しとするか。それとも、欧州や南米のビッグリーグのように、トップの数チームに他のチームが挑戦する仕組みがいいか。自分の答えは後者だが、前者の意見を否定はしない。ただ長期計画の若手育成、世代交代ができなくなった現状は、再考の余地があるのではないだろうか。【盧載鎭】

◆盧載鎭(ノ・ゼジン)1968年9月8日、ソウル生まれ。88年に来日し、96年に入社。21年間サッカー担当、2年間相撲担当。最近の日韓関係悪化には心が痛むが「政府間の問題を私に聞かれても…」と思う日々。2児のパパ。




◆世代交代できないJリーグ再考の余地/ぜじんが行く(ニッカン)


◆内田篤人と鹿島の二兎を追う挑戦。「シャルケでCLを勝ち上がった時もそうだった」(サカノワ)



内田篤人 Atsuto.Uchida


◆◆サッカーおばかさん / カトリーヌあやこ/著 / 新書館


「あとは俺ら選手に懸かってくる」

[J1 2節]川崎 – 鹿島/2019年3月1日/等々力陸上競技場

 昨季ACL(アジアチャンピオンズリーグ)覇者の鹿島アントラーズがホームでのJリーグ開幕戦、J2から昇格した大分トリニータに敗れた。

 もちろん、まだ開幕したばかり。とはいえ、34分の1以上の重みがあると言われるシーズン初陣で喫した敗戦の意味は重い。そして鹿島は1日の川崎フロンターレ戦から、ACLとJリーグの連戦にも突入していく。

 今季から鹿島のキャプテンに就任したDF内田篤人はACLプレーオフのニューカッスル・ジェッツ(オーストラリア)戦(〇4-1)のあと、「リーグ&ACL」の2冠を狙う難しさを、自身の経験と重ね合わせて次のように言っていた。もちろん大分戦の前だったので、現在とは状況が異なる点は念頭に置きたい。

「昨シーズン、Jリーグが上手くいっていない時、ACLを獲れる流れができているなと、感じていて。それは自分も口に出していました。(今季は)そこ、難しいのは。二つを追うというのは。どちらか一つがこけると、どちらか一つ行けたりすることがある」

 一つに割り切ることで、流れができることはある。しかし、今季はまずしっかり「二兎」を追う挑戦をするという。

「シャルケの時、(UEFA欧州)チャンピオンズリーグで上へ行けた時、やっぱりリーグの成績は良くなかった。そこが難しい。地力というか、日本で飛び抜けて強くないと、2つ、3つはなかなか難しい。どれか一つならば、狙えばチャンスがある。ウチはそういうクラブではない。獲れるものは獲るというクラブ」

 内田が在籍したシャルケ04は2010-11シーズン、DFBカップ優勝を果たし、UEFAチャンピオンズリーグではクラブ史上初のベスト4に進出した一方、リーグ戦は14位と低迷した。

 どうすれば二つの欲しいタイトルを掴み取ることができるのか。貪欲にチャレンジすることで、その先は切り開けるはずだ――。それが鹿島と内田のスタンスだ。

「その分、ローテーションが大切。チーム全体の底上げはしないといけないし、補強はできたと思っています。そこはあと俺ら選手に懸かってきます」

 誰かのせいにはしない。あとは選手自身――最後は自分たちに懸かってくる。内田はそう覚悟を示していた。

 2節のアウェーでの川崎フロンターレ戦。左サイドバックの山本脩斗の負傷離脱に伴い、内田が先発する可能性も浮上している。Jリーグ連覇中の相手との一戦、そして中3日で、勝点3が是が非でもほしいACLのジョホール・ダルル・タクジムFCとの一戦も控えている。

 いきなり戦力的にも苦しい状況下、いろいろな意味で、内田の力がさっそく必要とされている。

文:サカノワ編集グループ


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◆内田篤人と鹿島の二兎を追う挑戦。「シャルケでCLを勝ち上がった時もそうだった」(サカノワ)





◆鹿島の新主将。内田篤人が語るキャプテン像「での7年半の経験を日本に落とさないといけない」(GOAL)



内田篤人 Atsuto.Uchida


◆◆JACPA子どもがぐんぐん伸びるジュニアサッカー / 野口光彦/監修 梶真人...


鹿島アントラーズの新キャプテンに就任したDF内田篤人が、今季公式戦初出場となった川崎フロンターレ戦を振り返った。

鹿島は1日の明治安田生命J1リーグ第2節で川崎Fと対戦し、1-1で引き分けた。序盤にFKから先制点を許したが、21分に内田のロングボールから伊藤翔が絶妙なトラップで持ち出してシュート。これが決まり、すぐさま同点に追いついた。しかしながら、その後は耐える時間帯が続き、最後までゴールを奪えず。ドロー決着に終わった。

今季公式戦初出場となった内田は「去年のルヴァンぐらいかな、週1のペースでやっていく中で、正直、自分の中では『ああ、やれそうかな』っていう雰囲気はあった」と、ケガがちだった昨季からコンディションが向上したことをアピール。フル回転ではなく、ある程度抑え気味にプレーする必要性を語った。

「監督からは、『練習にいるいない、ベンチにいるいないで影響のある選手』って言ってくれている。僕もチームをなるべく離れたくない。去年みたいにケガをしているようだと、やっぱり迷惑なので。多少、抑えてでもチームに居続ける」ことが大事だと強調した。

ケガについては考えるものがあるようで「去年60試合やって、ケガ人も多くて、今年はケガ人が多くなるかもしれない。ツケが来るよ」と内田。「やっぱりリーグって連敗しちゃダメなんだよ。優勝を狙うチームはね。その中で勝ち点1を拾って帰るかっていうのは大きいと思う。開幕戦コケたから。だから、そこら辺の状況を踏まえた勝ち点1っていうのは、次につながると思う」と、王者相手の1ポイントをポジティブに捉えた。

「チームとして今日の一つのテーマは、忍耐」だったことを明かし、「(川崎Fに)回されて、自分たちからスペースを取りに行って崩して、相手に使われるくらいなら、カチッと守る」シフトに転じた鹿島。「それを変にプライドを持って、じゃあ、取りに行こうって行ったらやられると思う」と、あくまでも現実路線で川崎Fに立ち向かった。

今季から新キャプテンに就任した内田だが「満男さんは背中でプレーで見せるタイプだった。でも体が100じゃないから、それがまだ俺はできないんだよね」と複雑な心境を吐露。

それでも「しゃべりで『うるせえな、できないくせに』って思われてもいいから伝えていかなきゃ、もったいないと思うんだよね。日本人がドイツのシャルケで7年半やっていたことを、日本に落とさなきゃいけないと思うね。鹿島というチームで、若い選手、いい選手がいっぱい入っている環境は、俺が教えないといけない環境だと思う」と、異なるキャプテンシーを見せていく考えを示した。

「鹿島の昔、1年目、2年目っていうのは、満男さんだったり、(中田)浩二さんだったり、新井場(徹)さんだったりの後ろについて歩いてきたけど、海外に行って感じることもあったし、年齢が勝手に上がって、勝手に下が増えていく中で、自分がやっていかなきゃいけないんだと思う。満男さんも引退して、やっていかなきゃいけないんだっていう気持ちはやっぱり出てくるよね。それが義務というか。鹿島が取ってくれた恩返しにもなると思う」

新キャプテン内田の下、鹿島は昨季以上の躍進を手にすることができるのか、注目だ。









◆鹿島 敵地でドロー、伊藤が公式戦3戦連発 クロス送った内田「よく決めたよ」(スポニチ)



伊藤翔 Sho.Ito


日本は、サッカーの国になれたのか。電通の格闘。


明治安田生命J1第2節第1日   鹿島1―1川崎F ( 2019年3月1日    等々力 )

 鹿島は敵地で川崎Fに1―1で引き分けた。ケガ人8人という苦しい台所事情の中で迎えた一戦。同22分にDF内田篤人(30)のクロスからFW伊藤翔(30)が公式戦3戦連続ゴールを決めた。2人の呼吸がかみ合って生まれた得点だった。
 伊藤は「見てほしいのは、ゴールに至る前にCBとの駆け引きに勝ったこと」と説明する。

 「あの時は(川崎Fの)DFラインがそろっていなくて、谷口が後ろに下がっていて、奈良がここ(少し前)にいた。奈良の目の前に入ってもオフサイドじゃなかったんですよ。そこで一回奈良にぶつかって、奈良の走るコースを消しといてから行った。だから向こうも遅れて間に合わなかった」。

 一方の内田も、伊藤がDFに体を当てるシーンをハーフライン上でしっかり捉えていた。

 「多分ね、ぶつかってんだよね。翔とDFが。ぶつかったんで“これ行けるわ”と思って、GKの間に蹴ろうって(モーションの)途中で変えた。満男さんとか新井場さんとかよく狙っていた」

 内田が「翔のトラップもうまかったし、よく決めたよあれは。キックした人もうまかったな」と冗談交じりに自賛しながら振り返れば、「うっちーは遠くまで見えるから、走り出せばっていうタイミングで本当にいいボールが来た。ラインもちゃんと見ていたし、駆け引きもちゃんとできたし、自分的には結構うれしいゴール」と伊藤。2人の意図がかみ合い、勝ち点1につながるゴールが生まれた。


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◆鹿島 敵地でドロー、伊藤が公式戦3戦連発 クロス送った内田「よく決めたよ」(スポニチ)




◆鹿島・内田篤人、今季初先発初出場で40mアシスト、勝ち点1は「大きい」(デイリー)






◆◆サッカー批評 ISSUE60(2013) / 双葉社


 「明治安田生命J1、川崎1-1鹿島」(1日、等々力陸上競技場)

 今季、鹿島の主将に就任したDF内田篤人が、今季リーグ戦初先発初出場し、同点に追いつくアシストをした。「結果には満足していないです」とした上で、相手にボールを支配されたゲームで勝ち点1をもぎとったことの意味も語った。

 前半9分に川崎のMF中村に直接FKを決められた。1点を追う同21分。右サイドの内田はハーフウェーライン付近から最前線のFW伊藤へ約40メートルのロングパス。伊藤が相手守備選手を振り切りながら、シュートを打ちやすい位置へ的確にトラップすると、ゴール左隅に流し込んだ。

 試合全体を見ると、川崎に試合を支配される時間が長かったが、早い時間帯で追いつけたことで勝ち点1を手にできた。同点アシストの場面は「僕は見た瞬間、(伊藤が)動いてくれましたし。右足振り上げた瞬間、ぶつかって向こう(の選手が)こけてたんで。裏まで蹴ろうと(狙いを)変えました」と冷静に振り返った。「(伊藤)翔がトラップうまかったしよく決めたよね」とたたえると、ひと呼吸置いて、「まあ(パスを)キックした人もうまかったけど」といたずらっぽく語った。

 連覇中の川崎を相手に「今日の一つのテーマは忍耐っていうのはあった」と我慢する試合になることは覚悟していたという。その中で一瞬のスキをついての1点。同様のプレーは特段、練習していないというが、「(鹿島の主力だった小笠原)満男さんとか、新井場(徹)さんとかやってた。スキをつかないと。連敗しないか、連敗するかで大きいから。やっぱ、リーグって連敗しちゃだめなの。優勝狙うチームは。その中で勝ち点1拾って帰るのは大きいと思う。開幕戦こけたし。さらに」と語った。


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◆鹿島・内田篤人、今季初先発初出場で40mアシスト、勝ち点1は「大きい」(デイリー)


◆駆け引き詰まった絶妙フィード…内田篤人の“現代サッカー”攻略術(ゲキサカ)



内田篤人 Atsuto.Uchida


特集南アフリカW杯から見えた日本サッカーの姿


[3.1 J1第2節 川崎F1-1鹿島 等々力]

 絶妙なコンビネーションでJ屈指の堅守を破った。鹿島アントラーズは0-1で迎えた前半21分、自陣ビルドアップからDF内田篤人が最終ラインの背後にボールを送ると、ここまで2戦連発中のFW伊藤翔が見事なタイミングで反応。後ろ向きのトラップでうまく収め、劣勢を打破する同点ゴールを流し込んだ。

 かつては世代別代表でU-17W杯を目指す予選を戦い、「高校の時から知っている」(内田)という1988年生まれのホットライン。内田が「前を見た瞬間に動いてくれた」と振り返れば、伊藤も「裏にボールを蹴る意思疎通ができていた」と同調するなど、同じチームになって間もない中でも関係性の良さを感じさせる。

 裏へのロングボールというシンプルな攻撃ではあったが、高度な駆け引きの賜物でもあった。抜け出した伊藤にはDF奈良竜樹がマークについていたにもかかわらず、シュートの場面では大きく先着。これを伊藤は「相手センターバックは自分に付けなかったんじゃなくて、先に身体をぶつけなかったので走って来られなかった」と振り返る。

 この駆け引きには内田もしっかり気付いていた。「適当に前にボンと蹴ろうか、翔が動き出したら高いボールを裏に蹴ろうか迷っていたけど、たぶん翔がディフェンスにぶつかってこけたんですよね。足を振りかぶった時に分かったので『これ行けるわ』って」。ストライカーの巧みな動きが名手のフィードを引き出していたようだ。

「前半に1-1に追いつけたのが本当にでかかった」と語った内田は「コンパクトに守ってくるのが現代サッカー。タッチラインからタッチラインまで(の距離を)蹴れれば守備も何もない。トラップも含めてよくやってくれた」と見事なゴールに手応え。ここまで2試合未勝利が続く鹿島だが、たしかな武器は磨かれている。

(取材・文 竹内達也)


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◆駆け引き詰まった絶妙フィード…内田篤人の“現代サッカー”攻略術(ゲキサカ)




◆鹿島内田に主将の覚悟「うるせえと思われてもいい」(ニッカン)



内田篤人 Atsuto.Uchida


◆◆サッカー上達のためのマインドとメソッド / 中村憲剛/著 / ぴあ


<明治安田生命J1:川崎F1-1鹿島>◇第2節◇1日◇等々力

鹿島アントラーズのDF内田篤人(30)が主将として初の公式戦に臨み、ハーフウエーライン付近からの正確なロングボールでFW伊藤の同点弾をアシスト。試合中は声を張り上げ、アウェイで勝ち点1をたぐり寄せた。

主将就任時には「(主将は)やったことねーし、やるキャラじゃない」と言っていた内田だが、ピッチに立つとキャプテンらしく、チームを鼓舞した。その声は、スタンド上層部の記者席にまで届くほど。「満男さん(先代の主将小笠原)は背中で見せるタイプだったけど、俺はまだ体が100%じゃないからできない。『うるせえな、できないくせに』って思われてもいいから、伝えていかなきゃ」。小笠原も引退し、気がつけばチームの日本人フィールドプレーヤーで上から2番目。「下が増えていく中で、満男さんも引退して。やっていかなきゃいけないって気持ちは出てくるよね」と、立場が意識を変えていった。

伸び盛りの若手の成長に目を細めるのも、チームを思うからこそ。「(フル出場した21歳センターバックの)町田だったり若い選手は、こういうしびれるゲームをやっていくと嫌でも成長していくからね。隣で成長させていかなきゃいけないと思ってる。190センチの左利きのセンターバックなんて(めったに)いないよ。そういうのも楽しみだったりする」とうれしそうに話した。

それでも試合を振り返ると、「勝ちに行って1-1だった。みんな結果には満足していない」と引き締めた。勝利にこだわる、常勝軍団の主将らしい姿がそこにあった。




◆鹿島内田に主将の覚悟「うるせえと思われてもいい」(ニッカン)





◆鹿島・内田“弱みを見せる”ブーイングに立ち向かう「そこは隠してでも次に」(デイリー)






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 「明治安田生命J1、川崎1-1鹿島」(1日、等々力陸上競技場)

 今季、鹿島の主将を務めるDF内田篤人が、試合後に一部のサポーターからの厳しい声に対して、向かっていく場面があった。そこには、選手・チームとサポーターが築くべきと考える関係性への思いがあった。

 鹿島は開幕戦で大分に敗れ、この試合は引き分けに持ち込んだものの1分け1敗と未勝利。ただ、MF中村、MF家長、FWレアンドロダミアン、FW小林、MF大島、MF守田とタレントが揃う川崎に試合を支配された中で、失点を中村の直接FKのみにとどめて、勝ち点1をもぎ取ったという評価もできる試合だった。

 内田は試合後の取材エリアで、「(大分に敗れた)前節のブーイングだったり、厳しい声っていうのは受け入れます。ホームだし」とした上で、「今日の戦い方に対して、ああだこうだ言われるのは、キャプテンマーク巻いてますけど、ちょっと納得できなかったです」と思いを語った。

 大前提として「平日に応援しにきてくれているJリーグ、しっかり来てくれて本当にありがたい」というサポーターへの感謝があった上で、「アウェーのサポーターが見ている中で、自分たちのサポーターにブーイングされるのは、『鹿島、うまくいってないんだな』と思われてもしょうがない。そこは隠してでも次に向かわないといけない。それは選手だけでなくサポーターも」と提言した。

 さらに、「そういう1個、レベルが高い話。そういう関係性っていうものを築きたいな」と求めた。サポーターに対して意思表示をしたのは「みんなを守んなきゃいけないんで。僕は。チーム自体も選手も」と説明した。


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◆鹿島・内田“弱みを見せる”ブーイングに立ち向かう「そこは隠してでも次に」(デイリー)





◆鹿島DF内田 敵地でブーイングのにサポに「納得できない」共闘呼びかけ(スポニチ)



内田篤人 Atsuto.Uchida


◆◆JLEAGUE SOCCER KING増 / 2019年3月号


明治安田生命J1第2節第1日   鹿島1―1川崎F ( 2019年3月1日    等々力 )

 鹿島は敵地で川崎Fに1―1で引き分けた。0―1の前半22分、FW伊藤の公式戦3試合連続ゴールをDF内田篤人(30)がアシスト。その内田が珍しく、試合後にブーイングするサポーターに向かって強く異を唱えるシーンがあった。
 試合後、内田は真意を説明した。

 「前節のブーイングや厳しい声は受け入れます。ホームですし。でも今日の戦い方に関して。ああだこうだ言われるのは、僕キャプテンマーク巻いていますけど、ちょっと納得できなかった」。

 そして平日にも関わらず、スタジアムまで駆けつけて応援してくれることへの感謝を述べた後に続けた。

 「アウェーのサポーターが見ている中で、自分たちのサポーターにブーイングされるというのは、“鹿島はうまくいってないんだ”と思われてもしょうがない。そこは隠してでも次に向かわないといけない。選手だけじゃなくてサポーターも。そういう関係性を築きたい」

 離脱者8人という苦しい台所事情の中で戦い抜いた試合だった。結果については「アウェーでもフロンターレに勝って優勝してきた」歴史を踏まえれば「満足はしてない」という。それでも、昨季60試合をも戦い抜いた影響もあり、ケガ人が続出しているという状況を踏まえれば、「今日の勝ち点1は次につながる」と捉えている。

 サポーターに共闘を呼びかけた新主将は「僕も(サポーターに)向かっていきましたけど、笑いながら話せるくらいの代表者が一人くらいいてもいい」とも口にした。


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◆鹿島DF内田 敵地でブーイングのにサポに「納得できない」共闘呼びかけ(スポニチ)





◆「アントラーズCBの伝統」“幻ゴール”の鹿島DF町田浩樹に強い責任感(ゲキサカ)



町田浩樹 Koki.Machida


◆◆ワールドサッカーダイジェスト / 2019年2月21日号


[3.1 J1第2節 川崎F1-1鹿島 等々力]

 新時代を担う責任感は増している。各ポジションに負傷者が続出している鹿島アントラーズは左利きのCB町田浩樹がスタメン入り。故障で離脱したチョン・スンヒョンの穴を埋めて存在感を示し、中央を塞ぐ守備を構築した。

 後半は一方的に攻め込まれたが、相手のスルーパスの受け手を抑え、流れの中からのゴールは与えなかった。DF犬飼智也と息を合わせ、失点はセットプレーの1点。苦しいチーム事情の中、全員守備で奮闘し、「流れから取られたわけじゃないことはポジティブに捉えている」と前を向いた。

「今年は自分の責任を十分、感じています。源くん、大伍さん、満男さんが抜けて、責任感がある」。チームの象徴だったMF小笠原満男が昨シーズン限りで現役を引退し、オフにDF昌子源、DF西大伍が流出した。J屈指の強力センターバックとして君臨してきた昌子とDF植田直通が抜け、新たな局面を迎えた今季、21歳の生え抜きには守備陣を統率する責任感が強くなった。

 190cmの高さを生かした“幻ゴール”もあった。前半27分、PA左からのFKをMF永木亮太が右足で蹴り込み、ファーサイドの町田が高い打点からヘディングシュートでネットを揺らした。しかし、オフサイドポジションにいたMF土居聖真が相手GKへの妨害とみなされ、得点は認められなかった。

「こういう固い試合は余計セットプレーが大事になる。秋田さん、岩政さんだったり、こういう苦しい試合で点を取れるとチームも楽になる」。鹿島センターバックの系譜を受け継ぐ町田は「セットプレーはアントラーズのセンターバックとして伝統的なところだと思う。決めます、次は」と意欲。覚悟を新たにした今季、東京五輪世代の21歳は次のステージに上っていく。

(取材・文 佐藤亜希子)




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◆「アントラーズCBの伝統」“幻ゴール”の鹿島DF町田浩樹に強い責任感(ゲキサカ)





◆2019明治安田生命J1リーグ 第2節(オフィシャル)



町田浩樹 Koki.Machida


Jリーグサッカーキング2019年4月号【電子書籍】[ Jリーグサッカーキング編集部 ]


2019年03月01日(金) 19:03キックオフ 等々力陸上競技場
【入場者数】23,927人 【天候】晴、弱風、 気温11.6度、 湿度56.0% 【ピッチ】全面良芝、水含み
【主審】佐藤 隆治 【副審】中野 卓 【副審】武田 光晴 【第4の審判員】小屋 幸栄



明治安田J1 第2節

鹿島、等々力で王者川崎Fと意地のドロー。

アウェイの地でのリーグ第2節、アントラーズは川崎フロンターレと対戦した。前半立ち上がりに先制点を許す苦しい試合展開となったが、伊藤翔のゴールで同点に追いつき、1-1の引き分け。リーグ戦今季初の勝ち点を手にした。





J1開幕戦で大分に手痛い敗北を喫したアントラーズだが、指揮官が指名した先発メンバー11名は、GKにクォン スンテ、最終ラインは右から内田、犬飼、町田、安西。ボランチはレオ シルバと永木亮太がコンビを組んだ。右サイドに土居、左サイドに安部、フォワードにはセルジーニョと新加入の伊藤が入った。またベンチには、曽ケ端、ブエノ、三竿、遠藤、名古、金森、山口が座る。



最初のチャンスはアントラーズに訪れた。4分、左サイドを駆け上がった安西のクロスに、伊藤が飛び込む。ヘディングでゴールを狙ったが、わずかに枠をとらえられなかった。





試合開始早々にチャンスをつくり出したアントラーズだが、伊藤のシュートシーン以降は川崎Fに主導権を握られてしまう。8分、守備ブロックの間を強引にドリブル突破してきた小林悠を倒してしまい、フリーキックを献上。これを中村憲剛に決められた。まさに芸術的なFK弾を叩き込まれ、試合開始早々に追いかける展開となってしまった。







反撃に出たいアントラーズだが、川崎Fのボールポゼッションと激しいプレッシングに苦戦。ボールを奪い返しても、前にパスを繋げない。ロングボールで蹴り出す場面が多くなる。









それでも、アントラーズは21分にワンチャンスをものにする。右サイドバックに入った内田が自陣から最終ラインの裏へロングフィード。伊藤がこのボールに反応すると、相手DFとの競争を制し、身体を前に入れる。後方からのボールに歩幅を合わせて、見事なトラップで足元に収めると、冷静にタイミングを合わせ、右足を振り抜いた。この精密なシュートが相手GKの手をすり抜け、ポストに当たりながら、ゴールネットに届く。アントラーズが同点に追いついた。









さらに、アントラーズは等々力に駆け付けたサポーターからの後押しを受けて攻勢を強める。コンパクトな守備ブロックで中央へのパスコースを締め、ボールを奪ったら手数をかけずにロングカウンター。前掛かりになった川崎Fのゴールを脅かす。



22分には右サイドから永木、土居と繋ぎ、最後は安部がシュート。惜しくも枠を捉えられなかったが、チャンスをつくった。25分にも再び決定機が訪れる。安西が左サイド深い位置で倒されて、フリーキックを獲得。永木の蹴ったボールに、町田がヘディングで合わせると、シュートはゴールネットを揺らした。しかし、これはオフサイドの判定。追加点は幻となった。





チャンスを逸したアントラーズは、細かいミスから主導権を明け渡す。川崎Fが再びボールを支配。アントラーズは守備を固める展開となった。



前半はこのまま終了。数少ないチャンスをモノにし、同点でハーフタイムを迎えたが、守勢に回る時間が長く、苦しい試合展開となった。







後半に入っても、アントラーズは苦しい試合展開を強いられる。川崎Fにボールを支配され、なかなかボールを奪えない。ようやくボールを奪っても、素早いプレッシングを前に選択肢はロングボールに限られ、攻撃に転じることが出来なかった。























指揮官はアウェイで勝ち点3を奪うべく、70分に安部との交代で山口を、84分にセルジーニョとの交代で金森を投入。前線からの守備を強化するとともに、ロングカウンターで追加点を狙った。そして川崎Fにボールを支配されながらも、ペナルティエリア内では自由を許さず、コンパクトな陣形で猛攻を耐え抜く。







後半アディショナルタイム、伊藤に代えて三竿を投入。試合終了間際には川崎Fに決定機をつくられるものの、クォン スンテがスーパーセーブでシュートを凌ぎ、ゴールを許さなかった。

結局、後半は1本もシュートを打てずに圧倒的に攻められ、シュート数では5対18と大差をつけられた。しかし全員が体を張った守りで最後まで追加点を許さず、1-1の同点で勝ち点1を手にしたことは今後につながる戦いだったと言えるだろう。





まだまだこれからだ。




【この試合のトピックス】
・伊藤翔がアントラーズデビューから公式戦3試合連続ゴール


監督コメント

[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
・後半もセカンドボールに対する反応をすばやく続けていくこと。
・ピッチの中でコミュニケーションをとり、場面場面でしっかり対応していくこと。
・開始からしっかりと試合に入り、必ず勝とう!

川崎フロンターレ:鬼木 達
・時間とスペースを与えすぎている。ボールと人のアプローチをしっかりと。
・相手ボールになったら、しっかり戻ろう。
・攻撃は中と外をシンプルに使っていこう。シュートで終わる。

[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
いろいろなアクシデントがある中でこのゲームに臨んだ。今日の90分で言えば、選手たちは非常によく戦ってくれたと思う。

Q.前半の途中から攻撃が活性化されたように感じたが、後半はまた相手にボールを保持される展開となったが、前半のプレーを続けられなかった部分はどのように考えているか?

A.相手が立ち位置を変えてきて、その相手に対して少し受け身になってしまった。前半は体力もあり、正しいポジショニングと次の攻撃に行くための準備ができていて、自分たちのやりたいことをよくできていたが、後半に関してはボールを奪った後のポジショニングが下がっていた分、次の攻撃につなげられなかったのではないかと分析している。

Q.後半にリスタートをゆっくりやっている部分があったが、その時間帯から引き分けでもいいという考えが頭にあったのか?

A.私の頭の中ではなかった。ただ、選手が休みを入れるところや流れを止めるところ、そこの判断だったのではないかと思う。

Q.勝ち点1をアウェイで取れたというところに関してはどのように考えているのか?

A.我々は開幕戦に敗れて、今日の川崎F戦を迎え、勝ち点3を目指して戦った。その中で勝ち点1を取れたというところは選手を評価したい。

川崎フロンターレ:鬼木 達
平日ナイターの試合で多くのサポーターの方に集まっていただいた中で、勝ち点3をプレゼントできずに、申し訳なく思っている。最初から選手たちは気持ちの入ったプレーをしてくれたし、いい形で先制できたが、警戒していたところで失点してしまったのは非常に残念に思っている。後半にしっかり押し込んではいたが、最後のところでもう少し大胆にできたのではないかと思う。


選手コメント

[試合後]

【犬飼 智也】
ボールを奪った後の一本のパスをもっと大事にしていくことができれば、もう少し攻撃できたので、そこは課題となった。しかし、チーム全体で守ることに関してはできたと思うので、一つの収穫になったと思う。

【伊藤 翔】
先に点を取られてしまい、難しいゲームとなったが、何とか同点に追いつくことができて良かった。

【町田 浩樹】
センターバック2人が真ん中でどっしり構えていこうと、犬飼選手とは話していた。その中で守備のところで外に追いやっていくような守備ができたと思う。

【永木 亮太】
相手は上手いし、攻撃の形が多彩なチーム相手に、流れの中で失点しなかったので、そこだけが収穫になった試合だと思う。今日のような試合展開になるのは分かっていた。みんなが準備してきたことをしっかり忠実にプレーで表現できていた。勝利はできなかったが、最低限の勝ち点1をとれたという点に関しては、今後に生きてくると思う。

【内田 篤人】
前節敗戦して、その中で迎えた2連覇中の相手に難しいゲームになると思っていたが、チャンスはあったので、勝ちたかった。全員が、結果には満足していない。

【三竿 健斗】
少しでもピッチに出て、試合の空気感を味わえてよかった。自分が出たときにはギラギラ感を与えたいと思っていた。自分のポジションはコーチングなど声を出す部分が多いので、そういうところでチームに貢献していきたい。


◆2019明治安田生命J1リーグ 第2節(オフィシャル)