日刊鹿島アントラーズニュース

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2023年9月20日水曜日

◆【鹿島】ピトゥカ退場処分、「今の世界的な流れからも致し方ない」。混乱の収束方法は他にあったのでは…(サカノワ)



ディエゴ・ピトゥカ


DAZN「Jリーグジャッジリプレイ」で深野氏、家本氏が見解を示す。


[J1 27節] 鹿島 1-0 C大阪/2023年9月16日18:03/カシマサッカースタジアム

 J1リーグ27節、鹿島アントラーズ – セレッソ大阪の25分、ディエゴ・ピトゥカがボールに向かったあと相手選手の脛を踏みつけ、VARの介入を経て一発レッドカードで退場処分を受けた。さらに執拗に異議を唱えた岩政大樹監督にイエローカード、コーチングエリアの外まで出て主審に繰り返し拍手を送った通訳に一発レッドカードが提示された。このシーンがDAZNの「Jリーグジャッジリプレイ」で取り上げられ、元国際審判員である深野悦子氏(オーストラリア・ニュージーランド共催のFIFA女子ワールドカップでFIFA審判インストラクターを担当)、家本政明氏がこの一連のシーンについて見解を示した。

 ピトゥカへのレッドカードの判定は「今の世界的な流れからも致し方ない」と家本氏は説明。一方、主審はこのファウルを2メートルほどの至近距離から見ていたものの懲戒罰(イエローカードかレッドカード)の判断を下せなかった点を「ちょっと残念」と問題視していた。深野氏もその点でノーカードからレッドカードに「2段階」変更され、鹿島サイドの不信感が強まってしまったのではないかと指摘した。

 また、今回はそのあとの鹿島のベンチからの抗議について「リスペクト(尊敬)に欠ける」ことが何度もこのコンテンツ内で強調された。深野氏は女子W杯では、ボールを叩きつけたり、副審に詰め寄る行為があればイエローカード以上になると、大会前に選手へ強調しレクチャーされていたという。そういったこともあり、大会中に選手の審判への抗議は、ほとんど見られなかったそうだ。

 また今回は、鹿島の選手がさらに主審に対し拍手を送っていることなども指摘。レフェリーチームの判断を尊重しつつも家本氏は「それ(2枚のレッドカードと1枚のイエローカード)以外に(方法は)なかったのか。それよりも酷い行為はなかったのか。レッドカードを出したあとにも選手が拍手をしていますが、それは対象になっていません。であれば、正しさとはなんなのか。どこまで、何を正しく持っていくのか」として、他のジャッジ、この問題の収束方法もあったのではないかと見解を示した。

 さらに攻撃的なチャント、ペットボトルの投げ込みなどにも言及された。そこで深野氏からは、VARの介入時には、今回の女子W杯で導入された主審の判定に関する説明アナウンスは、Jリーグでも検討されるべきではないかという意見も出た。

 また、野次や暴言などを受けて審判員を辞めていく人が少なくない現実問題を、深野氏は吐露。特に女子審判員は、なり手が決して多くないという課題も挙げられた。






◆【鹿島】ピトゥカ退場処分、「今の世界的な流れからも致し方ない」。混乱の収束方法は他にあったのでは…(サカノワ)





◆「特別な気持ち」香川真司と柴崎岳の数奇な運命。2人に共通する「僕が帰ってきた意味」【コラム】(フットボールチャンネル)



柴崎岳


 明治安田生命J1リーグ第27節、鹿島アントラーズ対セレッソ大阪が16日に行われ、1-0で鹿島が勝利した。ともに古巣に復帰した香川真司と柴崎岳は、この試合のピッチで久々に再会を果たしている。似た境遇を持つ2人は、それぞれの立場から「帰ってきた意味」を見出している。(取材・文:藤江直人)


香川真司と柴崎岳の再会


 ハーフウェイラインに沿うように、センターサークルを目指して小走りしていった鹿島アントラーズの柴崎岳が、途中でちょっとだけ右側へ、セレッソ大阪の陣内へ膨らんだ。

 ホームの県立カシマサッカースタジアムで、16日に行われた明治安田生命J1リーグ第27節。鹿島が1-0とリードして迎えた72分だった。松村優太との交代で投入された柴崎が、2016年10月22日のFC東京戦以来、2520日ぶりにリーグ戦への復帰を果たした直後の仕草には理由があった。

 柴崎の視線の先にいたのは香川真司。自分のもとへ近づいてくる柴崎の姿に気がついたセレッソのゲームキャプテンは、すれ違いざまに左手を大きく振りかざす。柴崎がそっと差し出した右手とタッチをかわした香川は、そのまま左手で柴崎の背中を軽く叩いた。

 ともに現所属チームで十代にしてプロデビュー。ヨーロッパでのプレーをへて、今シーズンの開幕前に復帰した34歳の香川と、今月に復帰したばかりの31歳の柴崎が、敵味方に分かれて初めて対峙した一戦。マッチアップを待ち望んできた2人が、神聖な儀式をかわした瞬間だった。

 鹿島がそのまま逃げ切った試合後の取材エリア。香川へ抱く憧憬の思いを柴崎が語った。

「特別な気持ちというか、日本代表で一緒に戦ってきた同志ですし、個人的には少なくとも他の選手とは違う気持ちを抱いているので、一緒に試合ができて本当に嬉しかったです」

 そして「香川選手」と言いかけた柴崎は、強い思いに導かれるように、あえて名前に言い換えた。


1人少ない鹿島アントラーズが優先させたのは…


「随所に香川選手……真司さんらしいプレーを見られた。あらためて尊敬すべき選手だと思いました」

 キックオフ前の時点で4位のセレッソを、勝ち点2ポイント差の6位で追う鹿島。残り8節となった今シーズンの上位生き残りを直接対決は、開始13分に意外な形で動いた。

 最終ラインに降りて、鹿島の選手に背を向けた体勢でビルドアップのパスを受けたセレッソのボランチ、喜田陽が見せた隙に狙い定めたのは鹿島のゲームキャプテン、FW鈴木優磨だった。

「うまく相手の死角から入って、落ち着いて決めることができた」

 勝利の余韻が残るなかで行われたヒーローインタビュー。喜田のトラップがやや大きくなった直後に、鋭いチェックからボールを奪取。そのまま前へ出て迷わずシュートを放ち、対峙したGKヤン・ハンビンの股間を射抜く技ありの先制点を決めた場面を鈴木が振り返った。

 しかし、25分に流れが一変する。セカンドボールを巡り、ディエゴ・ピトゥカと喜田が激しく交錯した直後にVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が介入。OFR(オン・フィールド・レビュー)を行った岡部拓人主審が、ピトゥカの著しく不正なプレーを確認して一発退場を宣告した。

 場内が騒然となったなかで、判定に異議を唱えた鹿島の岩政大樹監督に警告が与えられる。さらに混乱が続いたなかで、暴言を吐いた鹿島の笠井健太通訳もレッドカードで退場になった。

 一触即発の雰囲気が漂い始めた展開で、岩政監督はピトゥカが退場したボランチに右サイドハーフで先発していた樋口雄太を配置。さらに2トップの一角だった垣田裕暉を右サイドハーフに回す[4-4-1]システムのもとでブロックを形成して、守りを優先させる戦い方を選択した。

 ただ、岩政監督は試合後のフラッシュインタビューでこんな言葉を残している。


香川真司に抱く「他の選手とは違う気持ち」


「自分たちがまず守ること。ただ、それだけでは守り切れない。しっかりとカウンターを打って、保持できればしっかりとボールを動かす。そこもしっかりやってくれた」

 選手交代で先に動いたのはセレッソ。62分に渡邉りょう、北野颯太とFW陣を投入する。数的優位に立つ上に、前線の枚数も増えた状況でボランチ香川がタクトを振るう場面が増えた。

 69分に香川が浮き球のパスを右サイドの奥深くへ通す。反応したのは初招集された日本代表のヨーロッパ遠征で爪痕を残した右サイドバックの毎熊晟矢。ワンタッチでゴール前へ折り返されたパスに渡邉が反応するも、ノーマークで放たれた右足ボレーはクロスバーの上を通過した。

 直後に岩政監督が最初の交代カードとして柴崎を投入する。おそらくフラッシュインタビューで言及した「カウンター」と「ボール保持」を託したのだろう。しかし、セレッソの猛攻は止まらない。

 迎えた74分。再びビッグチャンスを演出したのも香川だった。ペナルティーエリア内へ攻め上がった左サイドバック舩木翔へ絶妙の浮き球パスを配球。ファーサイドへ折り返された舩木のクロスをFWレオ・セアラが頭で合わせるも、シュートは無情にも右ポストの外側を通過した。

 このシーンを境に、香川がボールを持てば決まって柴崎が対面に来るようになった。今シーズンの途中からボランチに定着。かつてヨーロッパを席巻し、日本代表でも一時代を築いたトップ下とは異なる新境地を開いている香川との間合いを詰め、パスコースを封じる対抗策に打って出た。

 ちょっとでも隙を見せれば、チャンスに結びつくパスを通される。脅威となっていた「8番」の一挙手一投足を注視しながら、香川に抱いてきた「他の選手とは違う気持ち」を柴崎は蘇らせていた。


すれ違い続けた2人のキャリア


「僕が中学や高校のときから日本代表であるとか、世界の舞台で戦っていたプロフェッショナルな選手ですし、華やかな世界だけじゃなくて、非常に過酷な環境でプレーしてきた経験もある。セレッソに帰ってきても自分のやるべきプレーに集中して、日々の練習はもちろん、こういった試合でもプレーしているのを見ると、あらためて尊敬すべきところがたくさんある選手だとあらためて思いました」

 FCみやぎバルセロナユースに所属していた香川は2006年1月、高校3年生に進級する直前にセレッソへ加入。J2を戦った2007シーズン以降の3年間で48ゴールをマークし、J1へ昇格した2010シーズンには11試合で7ゴールの成績を残しながら、7月にボルシア・ドルトムントへ移籍した。

 青森県の強豪・青森山田高から柴崎が鹿島入りしたのは2011シーズン。入れ違いの形でプロになった柴崎は、175cmと同じ身長の香川がヨーロッパで見せるプレーを注視するようになった。

 そして、J1年間王者と天皇杯の二冠を置き土産に、柴崎も2017年1月にヨーロッパへ旅立つ。テネリフェからヘタフェとスペインでプレーした柴崎と、ドルムントからマンチェスター・ユナイテッド、再びドルトムントと移った香川は2019/20シーズンに初めて同じリーグで邂逅した。

 柴崎は2019年7月、ラ・リーガ2部のデポルティボ・ラ・コルーニャに移籍。約1か月後の同年8月には、ドルトムントで構想外になっていた香川がラ・リーガ2部のレアル・サラゴサへ加入した。

 2018年のFIFAワールドカップ・ロシア大会。ベスト16進出を果たした日本代表で、柴崎はボランチ、香川はトップ下として躍動した。しかし、ラ・リーガ2部を舞台にした初めてのマッチアップを前に、柴崎は下位に低迷するデポルティボでポジションを失い、香川はコンディション不良に悩まされていた。

 苦戦の跡を物語るように、ラ・リーガ2部の直接対決で2人はすれ違いが続いた。

 デポルティボのホームで行われた2019年12月8日は、柴崎がリザーブだったのに対して香川は後半終了間際から出場。サラゴサのホームだった2020年2月23日は香川がリザーブに甘んじ、先発を果たした柴崎は60分に2度目の警告を受けて、キャリア初の退場処分となっていた。

 ピッチ上で対峙しなかったとはいえ、当時の2人は同じスタジアムで同じ時間を共有した。そのときに言葉をかわさなかったのか、という問いに柴崎は苦笑しながら首を横に振った。


柴崎岳が鹿島アントラーズ復帰を決めた理由


「全然でしたね。まあ、そういうことはよくあるので。結果として今日、日本でこうして戦えたので」

 香川はサラゴサへ2年契約で加入した。しかし、プレーオフの末にラ・リーガ1部昇格を逃し、再び2部を戦った2020/21シーズンは外国人枠の問題もあって構想外となり、2020年10月に双方合意のもとで契約を解除。無所属期間をへて翌2021年1月にギリシャのPAOKへ加入した。

 しかし、PAOKでの2シーズン目だった同年12月に、再び双方合意のもとで契約を解除。2021/22シーズンは結局、リーグ戦出場はわずか1試合だった。30歳を超えてからの香川のキャリアが、柴崎をして「華やかな世界だけじゃなくて、非常に過酷な環境でプレーしてきた」と言わしめた。

 デポルティボ時代に「ありのままを、現実として受け止めている」と語った柴崎も、2019/20シーズンに3部にあたるセグンダBへの降格を味わった。残っていた契約を破棄し、新たに加わったレガネスでも期待されたラ・リーガ1部昇格を果たせないまま、3年契約の満了に伴って6月に退団した。

 無所属のまま自主トレーニングを続けていた柴崎が、鹿島へ6年半ぶりとなる復帰で合意に達したと発表されたのは1日夜。柴崎は7日の記者会見で、古巣への移籍を決めた理由をこう語っている。


「こう言うと語弊があるかもしれないけど…」


「高校を卒業して18歳で最初に加入したクラブで、もちろん愛着もあります。愛情を受けてこのクラブで育って海外へ行ったわけですけれども、移籍した際も可能ならば再び鹿島で、という思いはありましたし、海外でプレーしていた間も鹿島のことは常に気にかけて結果も追っていました」

 ヨーロッパでは移籍期間を終えても、無所属選手は移籍が可能になる。引き続きヨーロッパで新天地を探すことも可能だったが、Jリーグの場合は無所属選手などを対象とした追加登録期間が8日で締め切られる。デッドラインが迫るなかで、オファーを出した鹿島への復帰を決めた。

 最終的に下された柴崎の決断には、ひと早くセレッソへ復帰し、時間の経過とともに必要不可欠な存在となった香川も影響を与えたかもしれない。開幕直後こそベンチスタートが続いた香川は、チームでただ一人、リーグ戦で全27試合に出場。2168分のプレー時間は毎熊に次ぐ2位となっている。

 さらに、キャプテンの清武弘嗣だけでなく、3人の副キャプテンも怪我などで先発に名を連ねない試合ではゲームキャプテンを託されている。上位をうかがうセレッソをけん引している香川は、約12年半ぶりの復帰を決めた直後の2月の記者会見でこんな言葉を残している。

「こう言うと語弊があるかもしれないけど、経験を還元すること、伝えることというのは正直、あまり考えていない。僕としては自分がいま持っているものを、日々のトレーニングを含めたピッチの上で発揮しながら証明し続ける。シンプルなことだからこそ、やり続けなければいけないと思っている」

 ヨーロッパでも貫いたイズムを、古巣でも実践していく過程こそが最大のコミュニケーションとなる。柴崎もまた「経験を還元したい、とは思うが、それがすべてではない」と入団会見でこう語った。





◆「特別な気持ち」香川真司と柴崎岳の数奇な運命。2人に共通する「僕が帰ってきた意味」【コラム】(フットボールチャンネル)





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