日刊鹿島アントラーズニュース

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2016年11月28日月曜日

◆下剋上の立役者、FW赤嶺をDF岩政が称賛「真吾はなかなか点を取れなかったけど…」(ゲキサカ)


http://web.gekisaka.jp/news/detail/?204097-204097-fl

[11.27 J1昇格プレーオフ準決勝 松本1-2岡山 松本]

 引き分けすら許されない状況だった。スコアは1-1。残された時間はアディショナルタイムのみ。まさに崖っぷちに追い込まれていた。しかし、ファジアーノ岡山の選手、スタッフ、そしてファン・サポーターは諦めなかった。そして、後半アディショナルタイムが2分を回ろうかというとき、状況を一変させる、あまりにも劇的な決勝点が生まれた――。

 年間6位の岡山が逆転でプレーオフ決勝に進出するには年間3位の松本に勝つしかなかったが、リーグ戦終盤の第35節からの8試合で白星はなく(4分4敗)、決してチーム状態は良いとは言えなかった。しかし、FW赤嶺真吾は1つの試合を見て、気持ちを切り替えて大事な試合に臨んでいた。

 その試合とは23日に行われたJ1のチャンピオンシップ準決勝。年間3位の鹿島が年間2位の川崎Fを1-0で下し、浦和の待つ決勝進出を決めた試合だった。「厳しい状況の鹿島が川崎Fに勝ちました。気持ちの面で自分たちも切り替え、アウェーで難しい試合だけど最後まで皆で戦おうと思っていた」。

 下剋上を狙う岡山は、前半23分に先制点を奪取する。自陣深い位置からMF三村真が蹴り出したロングフィードに対して走り込んだ赤嶺が、「声が聞こえたし、場所も何となく分かったので、後ろにそらした」と右サイドを駆け上がるFW押谷祐樹を見逃さずにボールを送ると、押谷がPA外から右足のシュートでネットを揺らす。

 後半29分にはセットプレーから失点して同点に追い付かれ、一時は準決勝敗退という立場に置かれたものの、気持ちが折れることはない。終盤にはDF岩政大樹を前線に上げたパワープレーに打って出ると、後半アディショナルタイムに「大樹さんも上がってきたし、(藤本)佳希にトヨ(豊川雄太)と前に圧力を掛けられる選手がいたので、チャンスが来ると信じて待っていた」と、チームメイトを信じた赤嶺の下へとボールが届けられる。

 中盤のMF矢島慎也が前線に浮き球のパスを送ると、相手選手に競り勝った豊川がヘディングで中央に落とす。「トヨに入ったときから、あのスペースを狙っていた」と走り込んだ赤嶺が左足ダイレクトで合わせてネットを揺らした。勝利を手繰り寄せるだけでなく、チームをプレーオフ決勝へと導く、あまりにも劇的な決勝点が生まれた。

「ゴールを決めた瞬間にベンチの選手やスタッフと喜べたし、本当に良かった。また勢いを持って来週の試合に臨みたい」

 勝利の立役者は安堵の表情を浮かべ、キャプテンマークを巻く岩政は赤嶺の働きを称賛する。「こういう試合では、1年間頑張ったけど、なかなか結果が出なかった選手が結果を出すもの。真吾は1年間体を張り続けながらも、なかなか点を取れなかった。でも、その中でもケガをせずに1年間頑張り続けた。真吾が抜け出した時点で、ゴールを決めると思った」。今季41試合出場4得点。第26節北九州戦以降ゴールから遠ざかっていた点取り屋だが、勝利だけが必要な大事な試合で1ゴール1アシストと結果を残し、自身の存在価値を改めて証明してみせた。

(取材・文 折戸岳彦)

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