日刊鹿島アントラーズニュース

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2018年7月19日木曜日

◆2018明治安田生命J1リーグ 第16節(オフィシャル)



安部裕葵 Hiroki.Abe 鈴木優磨 Yuma.Suzuki


明治安田J1 第16節

J1再開初戦、打ち合いの末にドロー。鹿島、土居の同点弾で磐田と引き分け。

J1再開初戦は、打ち合いの末にドローという結果に終わった。第16節、ジュビロ磐田戦。ヤマハスタジアムに乗り込んだ鹿島は、1-1で迎えた後半に逆転に成功したものの、連続失点で再逆転を許してしまう。それでも88分、土居が同点ゴールを決めて3-3の引き分けに持ち込んだ。

1週間前、公式戦再開を告げる天皇杯3回戦。鹿島はゴールラッシュで力強く再出発を遂げた。町田との一戦、結果は5-1。西がヘディングシュートを突き刺して先制点を挙げると、鈴木の2得点や遠藤の左足シュートなどで着実に加点し、4回戦へと駒を進めた。終盤に喫した1失点、散見されたパスミスなど課題が残ったことも確かだ。だが、インターバル明けの初戦、一発勝負のノックアウトマッチで勝利を収めた事実は何よりも価値あるものだった。切れ味鋭いオーバーラップを繰り返した安西は「リーグ戦へつなげたい」と、次なる戦いを見据えていた。

ゴールラッシュから一夜明け、チームオフのクラブハウスからビッグニュースが発表された。日本代表の一員としてロシアへ渡り、貴重な経験と底知れぬ悔しさを胸に帰国した植田が、ベルギー1部のセルクル・ブルージュKSVへ完全移籍。今季のJ1、中断前までの14試合でフルタイム出場を記録し、守備の要として君臨していた背番号5がチャレンジを決断した。さらに翌13日には、ペドロ ジュニオールが中国2部の武漢卓爾足球倶楽部へ期限付き移籍で加入することが決定。攻守の2選手がクラブを離れることとなった。

移籍発表後も、植田は慣れ親しんだグラウンドでトレーニングを続けた。練習最終日となった14日、クラブハウスには数多くの背番号12が結集。別れの寂しさ、歩んできた日々への感謝――。様々な感情が交錯し、そして目線は磐田との対峙へと向かう。ベルギーの地で強く逞しく進化を遂げるであろう植田とともに、鹿島もまた新たな気持ちでリーグ戦へと突入する。犬飼は「当然、責任感はある」と闘志を燃やし、町田も「自分らしいプレーで貢献したい」と誓っていた。DFリーダーの旅立ちは、新たな才能との出会いをも意味する。若きセンターバック陣が競争意識を激化させ、トレーニングは熱を帯びていった。猛暑が続く鹿嶋で、ひたむきにボールを追い続ける選手たち。前日練習を終え、チームは磐田へと発った。





さあ、リーグ再開を告げるアウェイゲームが始まる。大岩監督はGKにクォン スンテ、センターバックの一角には今季J1初先発の町田を指名。犬飼とのコンビに期待と希望を託した。右サイドバックには西、左には安西が並ぶ。そしてボランチから前は町田戦と同じ顔触れで、ミドルゾーンには三竿健斗と永木、遠藤と安部。そして前線では土居と鈴木が虎視眈々とゴールを狙う。ベンチにはGKの曽ケ端、内田、山本、中村、小笠原、田中、山口が座る。



平日夜のアウェイゲームだが、アントラーズレッドの背番号12が続々とヤマハスタジアムに足を運んだ。試合前日、ジーコ氏のテクニカルディレクター就任が決定。16年ぶりにクラブへ復帰した神様とともに、再び勝利を追求して歩みを進める日々が始まる。背番号12もまた、その知らせを心から喜び、そして新たな闘志を胸に灯したはずだ。選手たちに降り注がれるチームコール、そして叫ばれる選手たちの名前。フットボールのある日常が帰ってきた実感を改めて噛み締め、そしてホイッスルが鳴り響いた。

19時3分、キックオフ。蒸し暑い中で迎えた一戦、鹿島は立ち上がりから最終ラインの背後を狙ったボールを多用し、磐田を押し込んでいった。ファーストシュートは7分。安部とのワンツーで左サイドを切り裂いた安西が中央へ折り返し、土居が左足ダイレクトで合わせる。10分には土居が敵陣左サイド深くへのスルーパスに反応すると、鋭い切り返しからラストパスを供給。走り込んだ安部がスライディングで合わせ、強烈なシュートを枠に飛ばした。相手GKの正面を突いたが、得点の予感を感じさせる攻撃だった。





だが、この夜最初のスコアはホームチームのものだった。クロスから打たれたボレーをスンテが間一髪で弾き出し、与えたCK。ショートコーナーからゴール前へ入れられたボールにはしっかりと対応したものの、セカンドボールを拾った後のパスを奪われてクロスを許す。ニアサイドへ走り込んだ上原にヘディングシュートを決められた。17分に喫した失点で、鹿島は1点を追う展開となった。

再開初戦、敵地で負ったビハインド。苦しい戦いとなったが、鹿島の選手たちに動揺はなかった。失点直後に遠藤のミドルシュートで反撃の狼煙を上げると、21分には右サイドからのクロスに鈴木が反応。ゴールへの渇望をボールに込めて叩き付けたヘディングシュートはしかし、ゴールライン上で相手GKに弾き出される。得点は認められず、ビハインドのまま試合は推移していった。



30分を経過しても、鹿島がボールポゼッション率を高める展開が続いた。最終ラインの背後、そして両サイド深くを狙ったロングボールを繰り返し、敵陣でのプレータイムを増やしていく。左サイドでは安西がスピードに乗ったドリブルで突破口となり、右サイドでは西が的確な戦況理解と巧みなパス交換でゲームコントロールを担った。最前線の鈴木も労を惜しまずにボールを追い続け、磐田の脅威であり続けた。



そして、34分。待望の同点ゴールが刻まれた。中盤右サイドでボールを持った安部がペナルティーエリア左奥へロングボールを供給。走り込んだ鈴木が打点の高いヘディングで折り返すと、走り込んでいた遠藤が左足を振り抜く。うなりを上げてゴールを襲うボレーは、クロスバーを叩いてネットを豪快に揺らした。1-1。ゲームキャプテンが鹿島に勇気をもたらし、同点に追い付いた。



だが、得点時にアクシデント。遠藤が足を痛め、担架に乗ってピッチを後にする。38分、中村を投入。早くも1枚目の交代カードを切ることとなった。前半は1-1の同点で終了した。













ビジタースタンドへ向かって攻める後半、鹿島は積極的な姿勢を示し続けた。相変わらず蒸し暑い夜、次第にオープンな展開へと推移していく中で、犬飼と町田のセンターバックコンビも体を張った守備で応戦。60分経過後からは敵陣深くまで進出する場面も増え、鹿島が攻勢を強めていった。





そして69分、逆転ゴールが生まれた。前線でのプレスでボールを奪うと、中村がペナルティーエリア左側へラストパスを供給。待っていたのは安部だった。トラップで前を向くと、迫りくるカミンスキーの頭上を越えるループシュート。判断とアイデアの結晶がゴールネットを揺らす。2-1。安部の今季J1初得点で、鹿島が逆転に成功した。





リードを奪い、勢いに乗る鹿島。72分には実戦復帰となる山本がピッチへ送り出され、攻守の安定を図る。しかし、残り15分を切ったところから落とし穴が待っていた。77分、永木と町田がボールを奪いにプレスをかけたところからこぼれ球を山田に拾われ、右足シュートで失点。さらに82分、クロスボールに飛び込んだ川又のヘディングシュートがスン手の頭上を越え、ネットを揺らしてしまった。



2-3。アウェイで再逆転を許し、鹿島は逆境に立たされた。それでも選手たちは下を向くことなく、磐田ゴールを目指し続ける。この日3度目のスコアは88分、途中出場の山口が最終ラインの背後で鈴木のパスを受け、グラウンダーのクロス。土居がスライディングで押し込み、3-3の同点とした。









4分と表示されたアディショナルタイムも、鹿島は必死に攻撃を仕掛けた。だが、4度目の歓喜は訪れなかった。3-3、勝ち点1。J1再開初戦は引き分けという結果に終わった。次戦は4日後、22日の柏戦だ。今月唯一のホームゲームで、連勝街道を走り始めるために。鹿嶋へと戻り、準備を進めていく。






【この試合のトピックス】
・遠藤、土居、安部が今季のJ1初得点を記録した。
・町田が今季のJ1で初先発初出場を記録。昨年5月19日の第12節川崎F戦以来、通算3試合目だった。
・田中が今季のJ1で初のベンチ入りを果たした。


監督コメント

[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
・素晴らしい前半、一人ひとりの距離感、ボールの動かし方もいい。後半もこれを続けていくこと。
・サイドで攻撃の形を作った時、シンプルにボールを動かし、中に人数をかけていこう。
・リスク管理を忘れず。残り45分集中して戦おう。

ジュビロ磐田:名波 浩
・両アウトサイドは、喰いつきすぎないこと。
・セカンドボールの予測と反応をもっと意識しよう。
・前選択の意識を持ってプレーすること。

[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
中断期間に準備してきた、自分たちがやろうとしていることを選手たちは前半から非常にアグレッシブにやってくれた。勝つことはできなかったが、非常に良い試合だった。勝ち切るチームになれるように、私自身がしっかりと準備をしていきたい。

Q.勝ち切るために必要なことは?

A.攻守両面にあると思う。3失点をしているので、クロスに対しての守備のやり方。そして特に前半、何度かあったチャンスを決め切ることだと思う。

Q.昨季の最終節で優勝を逃したスタジアムだが、試合前に何か特別な言葉をかけたのか?

A.そのような話はしていない。自然と選手たちの中で話をしていたようだし、昨季のことよりも、この1試合に集中して準備をしてきた。選手たちはピッチの中で、そのような気持ちも踏まえてプレーで表現してくれた。評価したいと思う。

ジュビロ磐田:名波 浩



選手コメント

[試合後]

【安部 裕葵】
毎試合、やるべきことは変わる。起用してもらっている中で、どれだけ仕事ができるかを考えてプレーしている。得点の場面は素晴らしいボールが来たので、決めるだけだった。

【山本 脩斗】
チームに合流してトレーニングを重ねているので、あとは試合勘の部分を上げていきたい。2-1になった時点で勝ち切らなければいけなかった。悔しい試合になってしまった。

【三竿 健斗】
隙を突かれて失点をしてしまった。マークのズレなど、集中力の問題だと思う。昨季の最終節、あれほど悔しい思いをした試合はなかったし、自然と気合いは入っていた。勝ち切らないといけなかった。

【永木 亮太】
自分たちの隙を相手に突かれて失点してしまった。寄せの甘さが出てしまったと思う。もっと突き詰めてやっていかなければいけない。

【山口 一真】
途中から出場したので、相手の背後を取って得点に絡むことを狙っていた。アシストの場面は狙い通り。得点やアシストをしてチームを助けられるようにやっていきたい。

【土居 聖真】
内容は良かった。もったいない試合になってしまった。得点の場面ではスピードアップしてゴールまで行けていたし、町田戦から攻撃の流れは良い形で来ていると思う。良い部分をたくさん継続していくこと、ブレずに続けていくことが大事だと思う。

【犬飼 智也】
マチとは声を出し合いながらプレーできていたと思うけど、結果が全て。失点を減らしてチームを勝たせることができるようにしたい。突き詰めていかないといけない。

【町田 浩樹】
競り合いで負けないことを意識してプレーしていた。隙を突かれてしまい、3失点してしまった。すぐに次の試合が来るので、修正しなければいけない。




2018明治安田生命J1リーグ 第16節

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