日刊鹿島アントラーズニュース

Ads by Google

2018年7月9日月曜日

◆<ひと物語>挑戦する意識つくる 「まちづくり鹿嶋」社長・猿田博明さん(51)(東京新聞)






 「地元の子がずっと住んでいてくれて、新しい発想が生まれて。観光客も地元の人も、いつもニコニコしている。そんな街にしていきたい」

 鹿島神宮の門前町のにぎわい復活を目指し、五月に発足した「まちづくり鹿嶋」の社長に就任した。ハマグリやメロンなどの特産品や、サッカーJ1の鹿島アントラーズ。鹿嶋市に、にぎわいを創り出せる財産はたくさんある。「鹿島神宮の周りだけでなく、市のみんなに参加してもらい、楽しい街をつくりたい」と張り切っている。

 門前町はかつて、参拝客向けの飲食店や土産物屋がずらりと並んでいた。日用品を買い、週末の食事を楽しむ地元の客も多かった。今でも年間二百万人の観光客が訪れるが、商店街の後継者不在や、国道沿いなどの郊外型店に押され、商店街としての活気は次第に薄れてきた。新しい店の誘致も長期的な目標に掲げながら「まずはイベントを開き、地元の士気を上げ、挑戦する意識をつくる」。

 神宮近くにある食肉・食料品店の二代目。高校卒業後、地元の会社勤めを経て、バブル全盛だった二十二歳の頃、「東京で成功したい」と、外国車ディーラーの営業職に転職した。営業成績も収入も良かったが、三十八歳の頃、父の病気を機に帰郷。約二年半、東京に通院する父の送迎を続けた。亡くなった後、未経験だった店を継いだ。

 決意したのは「おまえがやれ、何とかなる」と地元の先輩たちに励まされたから。一方で「一度、故郷を出て行った」ことは負い目にもなる。少しでも故郷の役に立とうと、市観光協会で三年ほど、駐車場管理のアルバイトをした。

 社長に就任して二カ月目。本業の傍ら、近県の産業や観光関係者を訪ね、連携を模索している。秋までには、会社として初のイベントを開く予定だ。

 「一生懸命に商売をして、ボランティアで地域への奉仕もする。認められて、人のつながりができて、お客さんが繰り返し来てくれるようになる。その楽しさを、みんなで思い出すことから始めたい」

 「まちづくり鹿嶋」は、鹿嶋市や鹿島神宮、地元商工会、農漁協などが出資する株式会社。しかし「行政に頼らず、市民がつくる会社にする。それが本当のまちづくりにつながる」と力を込める。

<さるた・ひろあき> 1967年2月、鹿嶋市(旧鹿島町)生まれ。鹿島高校を卒業後、地元の鉄鋼関連会社に就職した。現在は食肉・食料品「鹿島ミートセンター」代表。鹿島食肉事業協同組合理事長。市観光協会の青年部「鹿進部会」の部長も務める。




<ひと物語>挑戦する意識つくる 「まちづくり鹿嶋」社長・猿田博明さん(51)


Ads by Google

日刊鹿島

過去の記事