日刊鹿島アントラーズニュース

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2020年9月1日火曜日

◆鹿島の「新黄金世代」誕生か。 新星カルテットは22年前を思い出させる(Sportiva)






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 鹿島アントラーズの歴史を紐解けば、有望な高卒選手が複数加入した1998年がひとつのターニングポイントとなるだろう。

 小笠原満男(大船渡高)を筆頭に、本山雅志(東福岡高)、中田浩二(帝京高)、中村祥朗(奈良育英高)、山口武士(大津高)と高校サッカー界を沸かせたタレントを5人も獲得。さらにユースからGK曽ヶ端準を昇格させた。このうち、中村と山口をのぞく4人が後に主軸となり、黄金時代を形成することとなる。

 あれから22年の月日が流れ、今年の鹿島には当時を想起させるような状況が生まれている。

 染野唯月(尚志高)、松村優太(静岡学園高)、荒木遼太郎(東福岡高)と超高校級の逸材たちを迎え入れ、ユースからはGK山田大樹を引き上げた。将来を見越した先行投資と思われたが、すでにこの4人はいずれもリーグデビューを果たし、十分な戦力として日増しに存在感を高めている。

 その背景には、新型コロナウイルスの影響による過密日程やレギュレーションの変更で、若手を登用しやすい状況があることは間違いないだろう。一方で内田篤人の引退に象徴されるように、今年の鹿島には大きな変革期が訪れていることも確かだ。

 ザーゴ監督を招聘し、他クラブから主力級を複数獲得。いわゆる生え抜きの選手が少なくなったなかで、自前の選手を育て上げることは重要なテーマのひとつとなっている。

 果たして、4人の新人たちはクラブの目論見どおりに成長を遂げ、新たな時代を築き上げることができるのか。その可能性を探るべく、柏レイソルとの一戦に赴いた。

 柏戦には4人のうち、染野がスタメンに名を連ね、荒木はベンチスタート。松村と山田のメンバー入りはならなかった。

 染野のプレーは高校2年生の時に、全国高校選手権で観て以来。優勝を成し遂げた青森山田高を相手に、ハットトリックを達成したあの試合である。

 それまでわずか1失点だった優勝候補から、2年生ストライカーが3得点もぶち込んだインパクトは強烈だった。結局PK戦の末に涙を飲み、3年生の時の選手権ではケガでメンバー外を余儀なくされたが、今年のルーキーの中では最注目選手のひとりである。

 染野はすでに、第2節の川崎フロンターレ戦でデビューしており、続く北海道コンサドーレ札幌戦では先発出場も果たした。第9節のサガン鳥栖戦、第10節のヴィッセル神戸戦ではアシストも記録している。

 ここまでリーグ戦8試合に出場し、先発出場は2試合。ふたつのアシストを決めた一方、ゴールはまだ奪えていない(ルヴァンカップの清水エスパルス戦でプロ初ゴールを記録)。

 2トップの一角として3度目のスタメン出場を果たした染野は、立ち上がりからポテンシャルの高さを感じさせるプレーを披露した。

 開始5分、後方からのフィードに反応しエリア内に走り込むと、そのままダイレクトボレーでゴールを狙う。これは空振りに終わったが、その鋭い動き出しは本格派ストライカーの匂いを存分に醸していた。

 より光ったのは、力強いポストプレーだ。対峙する柏の古賀太陽のチャージをモノともせずに、確実にボールを収めていく。フィジカル面でも十分にプロレベルに達しており、もろさは微塵も感じられなかった。

 さらに35分には、エリア手前で得たFKのキッカーも務めた。このキックは壁に当たって枠を逸れたが、先制の絶好の機会で重要なプレースキッカーを任されるとは、これ以上ない信頼の表れだろう。

 ハイライトは、41分のプレーだ。

 左サイドでボールを受けると、前方のスペースに走った和泉竜司に縦パスを供給し、和泉がキープする間に自らも中央のスペースに走ると、リターンされたボールを左足で強振。鋭いグラウンダーはわずかに右に逸れたが、味方と連動して決定機を生み出したプレーにはセンスのよさと、貪欲なまでのゴールへの執念が感じられた。

 結局、染野は54分に土居聖真と代わってピッチを後にした。リーグ戦初ゴールはまたしてもお預けとなったが、プレー精度や状況判断の質の高さを見るかぎり、その瞬間は早い段階に訪れることになりそうだ。

 染野の交代と入れ替わるように、ピッチに立ったのは荒木だった。

 荒木はこれまでに9試合に出場。第10節のヴィッセル神戸戦では初ゴールも決めている。直近の2試合ではアシストも記録しており、流れを変えるジョーカーとして存在感を高めている。

 ファン・アラーノに代わって右サイドに入った荒木だったが、この日のプレーは消極的に映った。動き自体にはキレがあったが、仕掛けられる場面でも味方に預けるプレーを選択するなど、ガムシャラさに欠けた。

 相手が退場者を出して数的優位の状況のなか、ボールを大事にする姿勢が強すぎたのかもしれない。あるいは持ち前の視野の広さが、逆にプレーの選択を難しくしてしまったのかもしれない。

 守備の局面では激しく相手にプレスを仕掛けたが、大谷秀和に軽くあしらわれるなど、フィジカル面でのもろさも見られた。とはいえ、均衡を打破するべく土居とともに交代の最初のカードに切られたのは、指揮官の期待の表れだろう。まだあどけなさの残る18歳である。パフォーマンスに波があるのは当然だ。この1試合だけでわかったようことを書くのは、やめておこう。

 この日出番のなかった松村は、リーグ戦2試合に途中出場したのみにとどまっているが、ルヴァンカップではゴールを記録。山田はリーグ戦2試合にフル出場している。いずれの選手も順調なスタートを切ったと言えるだろう。もっとも今季は、他クラブでも高卒1年目の選手が主力となっているケースが少なくないだけに、彼らとしては当然満足していないはずだ。

 大きな期待をかけられながらも伸び悩み、消えていく選手はプロの世界では珍しくない。4人のルーキーズはその重圧をはねのけ、新生アントラーズの象徴となれるだろうか。


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