日刊鹿島アントラーズニュース

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2018年12月24日月曜日

◆鹿島が体感した「世界との差」。この衝撃は選手たちをどう変えるのか?(GOAL)



安西幸輝 Koki.Anzai

鹿島アントラーズは22日、FIFAクラブワールドカップ3位決定戦で南米王者リーベル・プレート(アルゼンチン)と対戦し、0-4で完敗した。アジア王者として20冠を誇る“常勝鹿島”が直面した屈辱。この衝撃を選手は、クラブは、そして日本のサッカーはどう受け止めていくのか。


■個だけでなく、チームとしても

リーグ戦3位。天皇杯、ルヴァンカップベスト4。ACL優勝。そして、世界クラブW杯4位。今季60試合目となるCWC3位決定戦で、南米王者のリーベル・プレートに0-4と粉砕された鹿島アントラーズ。

「自分たちのサッカー」を出させてももらえず、90分が過ぎていく。

この虚しさを味わった鹿島の選手たちは、個の違いだけでなく、組織としての差について語っている。土居聖真が準優勝した前回大会と比較した。

「前回大会と違うのは決められる時間帯。ゼロで抑えている時間が短かった。前回はCS(Jリーグチャンピオンシップ)からずっと、拮抗した試合展開に持ち込めていた。でも、今回は『ここはやられたらダメだよね』という時間帯で、やられてしまった大会。自分たちで苦しくした大会だった」

「個人としての力というよりチームとしての力の差を感じた。選手一人が代わったところで、チームは変わらない。どれだけチームとして練習から要求し合っていくか、ミスをミスにしないところだったりを要求できるか。僕らにも勝つチャンスはあったけどそれを自分たちで逃した。やっぱりやるべきことをやらなかったということ。パス1本、シュート1本、練習から高いモチベーションでやっていけるか、そうしなければ、試合ではできない」

準決勝でのレアル・マドリー戦の1-3に続く、この結果には、サポーターからも非難の声が上がっている。たとえ相手が世界の名門クラブであっても敗戦は許されないという鹿島が鹿島たる所以なのだろう。国内無冠に続く、この惨敗では世界大会であっても「善戦した」ということにはならない。アジアを制し20冠目を手にしたという喜びすら消え失せたようだ。

しかし、そのアジアを制して手にした世界大会が実に貴重な経験をクラブにもたらしたことも事実だ。


■ここで今、気づけたこと

レアル相手に受けた衝撃から立ち直ろうともがき、3位決定戦のピッチに先発として送られた安西幸輝の言葉は、UAE遠征の重要性を物語ってくれる。今季J2の東京ヴェルディから加入した安西にとっては飛躍の舞台だった。レアル戦でも途中出場している。

「2部からスタートして、プロのキャリアが、それでここまで来て、もっと早く来たかったなっていうのが本音だし、でも今気づけたということは、ここからのサッカー人生をプラスに変えることは絶対できると思っているし、変えなくちゃいけないと思っている。鹿島に来て、もちろん、伸びたと思っているけど、最後にこれだけ大きな衝撃があるとね。まだ上には上があったって気づけた。もっと自分が成長していく姿を見据えないといけないし、サッカー選手としての覚悟が必要だなって思いました」

東京ヴェルディユースからプロに昇格しても、ポジションを奪われることがなかった。そんな安西は、鹿島で初めてベンチスタートも経験し、悔しさを味わったと話している。しかし、シーズン最後のクラブW杯での経験は別格だった。

「今回の衝撃というのは、サッカーをやってきて一番大きかった。レアルから始まって、今日のリーベルがあって、この2戦は、サッカー人生のなかでも一番つらかったというか……同じ人間が11人対11人でやっているのに、ここまで差があると、難しいものがある。できるところもあるんだろうけれど、結果を見ると、細かいところは全部負けている。1プレーだけじゃなくて、全体として。その差を埋めなくちゃいけないなってなったら、もっと覚悟が必要だなって思いました」

そんな衝撃を今後の日常のなかでも忘れないでいることはできるのか?

「明日からオフですけど、もう休めないですね。無理です。(休んだら)厳しいです。もちろん、身体を休めることもサッカー選手として大事なんだけど、24時間サッカーのことを考えていたいなと思う。もう一度この舞台に戻ってこられるように、ここだけじゃないですけど、国際大会にどんどん出られるように頑張っていきたい。(内田)篤人くんはこれが普通だと思ってやっている。だから、日々の要求が高いし、篤人くんがいつも言っていることがよく分かる。来シーズンから、リーグ戦を戦うのはもちろんですけど、もっと上を見てサッカーをしたいなって思いました」

サッカー選手として、日本代表を目指す想いは今までもあった。だから、鹿島へ来た。しかし、クラブW杯を終えた今、その想いはよりリアルなものに変わった。目指すべき「上」が明確に目の前に提示されたのだから。

長谷部誠が欧州移籍を現実のものとして目指したのは、2004年に英国マンチェスターで行われたボーダフォンカップの対ボカ・ジュニオルス戦だった。2-5で敗れた試合で長谷部は世界へ出ていこうとするボカの選手たちを目の当たりにし、このままではこの差は埋まらないと痛感したのだ。安西だけでなく、安部裕葵が受けた衝撃もこのときの長谷部と同様だったんだろうと思う。

安西や安部が欧州へ行くかどうか、それはまだ分からない。

けれど、映像では絶対に感じることのできない「世界」を体感できたのは、日本サッカー界にとっても非常に大きな財産になるはずだ。

「ここからは、選手それぞれ次第」

内田篤人の言葉が重く響いた。

文=寺野典子




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