日刊鹿島アントラーズニュース

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2020年3月17日火曜日

◆鈴木優磨、ベルギーで7得点と今後。 「そこはもう、死ぬほど集中して」(Number)



鈴木優磨 Yuma.Suzuki


鹿島アントラーズ365 2018


鈴木優磨がベルギーの地で結果を残している。昨夏にベルギーのシント・トロイデンに加入。初のスタメンで初ゴールを奪ったのを皮切りに、ここまで7得点を挙げている。ただ、このタイミングで鈴木にインタビューすると、本人に満足の様子はなかった。ベルギーでの日々で感じること、そして古巣・鹿島アントラーズへの想いとは――。


――ここまでリーグ戦23試合に出場して7得点。この成績については、どう感じていますか?

「悪くはないですけど、微妙な数字ですね。もうちょっと取っておきたかったし、実際、取れたなっていう想いもありますね」

――とはいえ、初スタメンとなった9月21日のシャルルロワ戦ではゴールを決め、勝負強さを示しました。

「勝負どころに関しては、自分でも取れると思ってますし、これまでも節目、節目で取って来たからこそ今に至ると思うので、自信はありますね」

――あのゴールで、チームにおける立ち位置に変化はありました?

「日本人ということで、どうしてもナメられるというか、最初はパスが出て来ないことがあったんですけど、点を取って信頼関係が生まれたというか。周りも認めてくれて、パスが出てくることは増えましたね。ただ、それでもチャンスの数がびっくりするほど少ない(苦笑)。ほとんど相手に(ボールを)握られる展開なので、1本にすごく集中していますね」


オランダより、レベル高いのでは。


――ワンチャンスをいかに仕留めるか。

「そこはもう、死ぬほど集中してます。この前のヘント戦(2月23日)のゴールも、(得点のチャンスは)あの1本しかなかった(※0-4で迎えた68分、味方のシュートをGKが弾いたところを詰めた)。こっちに来てから、より徹底していますね。どのシュートシーンを振り返っても、自分が一番先に詰めている自信はあります」

――初ゴールを奪った試合後、「日本とはまったく違って、すごくタフで難しいリーグだ」と話していたのが印象に残っています。

「ベルギーリーグは、日本でちょっと軽視されていると思いますね。こっちに来て感じるのは、オランダよりもレベルが高いんじゃないかっていうこと」


個の能力はベルギーの方が……。


――オランダよりも?

「オランダは外国人枠があるから、オランダ人が多いんですけど、ベルギーは実質的にないから、いろんな人種がいるし、アフリカ系のデカい選手がゴロゴロいる。オランダのほうが組織はオーガナイズされているかもしれないですけど、個の能力はベルギーのほうが比にならないくらい上なんじゃないかなって。僕も毎試合、自分より10cmもデカいDFとやりあっていますからね」

――見ていて感じるのは、かなりスピーディで激しいということ。

「(今冬に加入した松原)后も言ってましたね。初めて試合に出たあと(2月28日のメヘレン戦)、『インテンシティが日本とはまったく違う』って。ただ、単純な強さはあるけれど、こぼれ球に対して付いて来なかったり、クロスに対して一瞬目を離したり、ルーズさもあるんです。だから、今はその一瞬を逃さないようにして勝負しています。それに、キープするとき100%の力を注がないと潰されちゃう。だから毎試合、いい刺激になってます」

――ベルギーリーグに慣れるために、自身のプレースタイルを意識的に変えた部分はありますか?

「変えたというより、こっちに来てから、ゴールを取る方法をより考えるようになりましたね。今、改めて感じているのは、やっぱり結果だなと。チームの勝利はもちろん大事ですけど、上位チームとアウェーで対戦したときには0-3、0-4で折り返すこともあるんですよ。そうした展開でも1点をもぎ取れるかどうか。次に繋がるという意味でも、自分の評価においても全然違う」


下位と対戦する時ほど難しいんです。


――10月の終わりくらいから2、3試合に1点取れるようになってきました。ベルギーのスタイルに慣れてきたということですか?

「いや、正直言うと、まだ掴めていないと思います。下位のチームと対戦するときほど難しいんですよ。実際、上位との対戦で取れている」





――確かにシャルルロワ、メヘレン、ヘンク、アントワープ、ヘントから奪っている。

「下位のチームって、うちには勝てると思っているからマークもしっかりしてくるし、ガチガチにやってくる。逆に上位のチームは、このくらいで勝てるだろう、っていう感じだから隙がある。しかも、強豪チームのアウェーって、日本では感じられないくらい雰囲気が凄くて、逆にテンションが上がります。7点中5点がアウェーですからね」


ステップアップ以外、ないです。


――レギュラーシーズンは現在12位で、プレーオフ2への出場が決まってしまいましたね(※レギュラーシーズン後、1~6位がプレーオフ1、7〜16位と2部の1位〜6位がプレーオフ2を戦う)。

「プレーオフ2に決まってしまったのは残念ですけど、1位になれば、ELに出場できるかもしれない(※プレーオフ1の4位と対戦して勝てばEL予選2回戦に出場)。だから、モチベーションは高いし、今、メヘレン、ヘンク、アンデルレヒトがプレーオフ1入りを争っているんですよ。俺としてはメヘレンに勝ってほしい。ヘンクとアンデルレヒトがプレーオフ2に来たら、めちゃめちゃ盛り上がるんじゃないかと思っていて」

――注目度も高まるし、スカウトの数も変わってくる。

「全然違うと思いますね。アンデルレヒトとヘンクとやりたいんで、なんとかメヘレンが6位になってほしいですね」

――プレーオフ2のアンデルレヒト戦やヘンク戦でゴールを決めれば、かなりのアピールになると思いますが、シント・トロイデンにやって来たのも、もちろんステップアップを睨んでのことですよね?

「それ以外にないです。この冬も、ベルギーリーグで対戦した選手がプレミアに引き抜かれていった。そういうのを見ると、やっぱり凄いなって。日本でプレーしていて、一発でプレミアに行けることって、なかなかない。しかも、かなりの移籍金が付いて。それは、このリーグの強みだと思います」


本気でのし上がろうという選手たち。


――シント・トロイデンにも南米やアフリカの選手がたくさん在籍していて、上を目指していると思います。

「このチームで半年間やってきて、チームの半分くらいから、本気でのし上がっていこうとしているのを感じますね。こいつ上を見ているなとか、ここを踏み台にしようとしているなとか。だから、一緒にやっていて楽しいです。日本にもハングリーな選手はいましたけど、本気で海外に出て上を目指そうとしている選手はもっと少ないので」


大地の成功例は異例だと思っていて。


――シント・トロイデンでは昨季、鎌田大地選手がゴールを量産してフランクフルトへ復帰しました。同じ年で、交流もある鎌田選手の活躍は成功例として参考になるのでは?

「大地は去年、なんゴールでしたっけ?」

――リーグ戦24試合に出て12ゴール。プレーオフも入れると15ゴールですね。

「改めて凄いと思いますね。ただ、言い訳になりますけど、去年と選手層やチームの置かれている状況が違うんで。あと、俺の場合、大地みたいにゲームメイクしながら点を取るタイプじゃない。どうしてもチャンスを待たないといけない。それこそ、今のチームに大地がいてくれたら(苦笑)。

 ただ、大地の成功例は、異例だと思っていて。これまでヨーロッパのひとつ目のチームでダメなら、日本に帰るしかなかった。レンタルで別のチームに行って結果を出して戻れたのは、初じゃないですか。だから、俺にとって参考になるのは、(遠藤)航くんや冨安(健洋)のほう。彼らの活躍を見ていると、やっぱりここに来ることに意味があるなと感じますね」


植田との勝負は楽しかった。


――シント・トロイデンにはシュミット・ダニエル選手、松原后選手、伊藤達哉選手と、3人の日本人選手がいます。彼らは同志? ライバル?

「なんだろう、いい意味で助け合っています。本当の仲間という感じがしていますね。困ったときには『こうしたほうがいいよ』とか声を掛け合うし。サッカーの話ばかりですけどね。でも、彼らがどう思っているのか知れるのは楽しいです。日本語で密なコミュニケーションが取れるのもいいですね」

――2月15日のセルクル・ブルージュ戦では、鹿島時代の先輩である植田直通選手とバチバチやり合っていましたね。

「楽しかったですね。やり合いながら、チームメイトからかなり信頼されているんだなとか、チーム内でここまでの地位を築いているんだなとか、そういうのを感じられるのも楽しい。そういう意味で、凄いと感じたのが森岡(亮太/シャルルロワ)さん。チームメイトからの信頼度も高いし、日本代表に選ばれないのが不思議なくらい圧巻のパフォーマンスを見せていますからね」


堂安選手も言ってたんですよ。


――鈴木選手も今はチームメイトから信頼され、エースとして毎試合出場していますが、移籍当初は、ケガのため鹿島で半年間まったく試合に出ていない状態でベルギーにやって来て、慣れるのに苦労したと思います。

「本当に大変でしたね。レベルも思っていた以上に高かったし、苦労しましたね」

――その困難をどう乗り越えたんですか?

「いろいろ考えたんですけど、最終的には自分が結果を残すことでしか乗り越えられないというか。この前、堂安(律)選手も言っていたんですよ、サッカーでのストレスは、サッカーでしか返せない、みたいなことを。俺も同じことを思っていて」

――たしかに、日本では娯楽を含め、ストレス解消の方法は、いろいろあるけれど。

「友だちに会ったり、どこかに出かけたり、いろいろありますよね」

――でも、異国にいると、サッカーと向き合い、自分で道を切り開くしかない。

「そうなんですよ。だから、こっちに来て、サッカーとより向き合えるようになったかもしれないです。点が取れなかったときは、俺、何してるんだってなるし、点が取れたときは、喜びが何倍にもなって返ってくる。俺はこれを望んで、ここに来たんだって実感できる。それが原動力になっています。だから今は、ここに来て本当に良かったなって感じていますね」


鹿島、めちゃくちゃ気にしてます。

――ところで、古巣の鹿島のことは、気になりますか?

「もちろん。めちゃめちゃ気にしてますよ。移籍してからも結果は常に気にしているし、鹿島が負けたら、俺も単純に悔しい。鹿島は今、変革期を迎えていますよね。俺が言うのもあれですけど、海外に行く選手が増えたし、新しい監督を迎えて、自分たちのサッカーをやろう、ボールを握ろう、というふうに方針を変えた。どうなっていくのか楽しみであると同時に、不安もあるというか。本当にうまくいってほしい。

 今の自分は鹿島が作ってくれたし、今、ここでやれているのも鹿島のおかげ。ここで点を取ってステップアップすることが鹿島への恩返しになると思うし、シント・トロイデンへの恩返しにもなる。そのためにはゴールを取り続けるしかないと思っています」

――ステップアップとして睨んでいるのは、どのリーグですか?

「最終的にはプレミアに行きたいですけど、ベルギーリーグの上位3~5チームにいないと、一発でプレミアに行くのは難しいなと感じていて。俺、順序を踏みたい性格なんですよ。試合にしっかり出て順序を踏むという意味では、次に目指すのはドイツかなと思っています。もちろん、そんなに甘い世界でないのも分かっていますけど」

――それには、プレーオフ2で大暴れしないといけない。

「それが今のモチベーションですね。プレーオフ2もリーグ戦のゴールに加算されるんで、貪欲にゴールを狙っていきたいと思っています」


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