日刊鹿島アントラーズニュース

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2020年5月9日土曜日

◆【鹿島|回顧録】象徴的だった19年11月の川崎戦。お株を奪われる完敗が分岐点に(サッカーダイジェスト)






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ポゼッションとパス成功率で川崎を上回ったが…


 今年1月1日の天皇杯決勝で神戸に0-2で敗れた後、土居聖真は言葉に詰まりながら、こう言った。

「個人的には、“常勝鹿島”って言われるのも終わりだと思っています」

 昨季は一時、4冠の可能性があったが、最終的には、ひとつのタイトルも取れなかった。連覇を目指したACLはベスト8で敗退。ルヴァンカップは4強入りも川崎に決勝進出を阻まれ、J1リーグは3位でフィニッシュ。最後の望みをかけた天皇杯も、先述したとおり、準優勝に終わっている。

 これまで憎らしいほどの勝負強さを見せつけて、断トツの20冠を成し遂げてきた鹿島だったが、どこで歯車が狂ったのか。象徴的だったのが、昨季11月のJ1リーグ31節、ホーム川崎戦だった。

 首位で迎えた大一番、試合のペースを握っていたのは、どちらかと言えば鹿島だった。リーグ屈指のパスワークを誇る川崎に対し、その数値は僅差だったが、ポゼッションとパス成功率で上回る内容だった。シュート本数も17対7。相手を押し込む時間は長かった。
 だが、結果は0-2の完封負け。川崎の粘り強い守備の前に攻めあぐねていると、62分、セットプレーから失点、さらに71分にはカウンターから致命的な2失点目を喫する。

 内容が悪くても、堅実なディフェンスで敵の攻撃をしのぎ、のらりくらりとゲームを進めながら、一瞬の隙を突いてゴールを陥れる。そんな試合巧者ぶりが、鹿島のひとつの強みだったはず。それを、そっくりそのまま川崎にやられてしまった。お株を奪われるような完封負け。この1敗でリーグ優勝の芽がなくなったわけではないが、あまりにも“らしくない”負け方に少なからずショックを受けた。

 しかも、相手は17、18年とリーグ連覇中で、19年はルヴァンカップ初優勝を成し遂げている川崎だ。3季連続でタイトルを手中に収めるなど、文字通り“常勝”の道を歩み始めたライバルに、ここぞという勝負どころで屈した事実が、大げさかもしれないが、ひとつの時代の終わりと、メインキャストを入れ替えた新たな時代の始まりを暗示しているかのようにも映った。

 あの時、鹿島と川崎を隔てていたものはなんだったのか。鹿島の内田篤人も、川崎の谷口彰悟も、「紙一重の差」と言った。

 では、その差を埋めたものとは? 谷口は「言葉で説明するのはなかなか難しい」と言ったうえで、次のように見解を述べた。


「結果が先なんだよ。勝たないと強くならない」(内田)


「ここは逃してはいけないポイントだとか、そういったところを一人ひとりが分かってきているのかなとは、試合をしていても感じますね。今日もすごく球際に行ったりとか。でも、熱くなりすぎず、冷静にいなしたりもできている。頭はクールにというか」

 そうした部分が鹿島の選手たちに欠けているとは思わないが、それを結果に結び付けられていないのが、もどかしい。今季もリーグ戦が中断に入る前の公式戦3試合(ACLプレーオフ、ルヴァンカップ初戦、リーグ開幕戦)で、いずれもノーゴールで敗戦を喫している。ザーゴ新監督を迎えて新たなスタートを切ったが、再興の糸口は掴めていない。

 神戸との天皇杯決勝戦後、内田は“強者の定義”について持論を述べる。

「強くなって勝つんじゃなくて、勝って強くなる。俺が思うに、結果が先なんだよ。勝たないと強くならない。強いから勝つんじゃなくて。勝たないと強くならない」

 そんな内田も、昨季開幕前には「資金力のある神戸とかがネームバリューのある選手をどんどん補強して、戦力を高める時代になっているような気がする。そのなかでどう対抗していくか」と危惧していた。図らずも、その神戸に目の前でタイトルを奪われたことも象徴的な出来事だった。

 リーグ再開後、とにかくまずは1勝。勝って、勝って、勝ちまくって、「常勝」の肩書を取り戻してほしい。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)


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