日刊鹿島アントラーズニュース

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2016年9月17日土曜日

◆燕・川端と鹿島・西大伍、競技を超えて共鳴する2人のアスリート(サンスポ)


http://www.sanspo.com/baseball/news/20160916/swa16091614330003-n1.html

練習場を訪れた鹿島アントラーズ・西大伍(左)と握手を交わすヤクルト・川端慎吾=神宮球場(撮影・塩浦孝明)

 9月中旬。神宮外苑の室内練習場で、ヤクルトの試合前練習を熱心に見つめる男がいた。サッカー元日本代表で、J1鹿島のDF西大伍(29)だった。視線の先には、打撃練習で汗を流す川端慎吾内野手(28)の姿が。2人は共通の知人を介して今年の春ごろに知り合い、連絡を取り合う仲になっていた。「一度、練習を見てみたい」と西が希望し、川端の招待で今回の見学が実現した。

 ともに1987年生まれ。一線で活躍するアスリート同士ということもあり、打ち解けるまでに時間はかからなかった。これまではそれぞれの競技に没頭してきた分、未知の世界は互いに新鮮に映った。

 「同い年のスポーツ選手だし、出会えたことはうれしい。刺激にもなっている」。そう答えるときも、西は練習から片時も目を離さなかった。一挙手一投足を見逃さず、少しでも多くのことを吸収して帰ろう、という気持ちの表れだった。

 サッカー選手から見たプロ野球の練習は驚きの連続だったという。そもそも、サッカーは試合前に練習を行わない。「スタジアムに入ればアップはするけど、当日は散歩をするくらい」と西。試合前に2時間ほどの練習をこなすのは驚きだったようで、「さすがに今日は試合をやらないんだよね?」と勘違いしたほどだった。さらに「個人の能力を高める練習が多かった。それは見習える部分」と新たな方向性も見つかった。

 西は攻撃的なサイドバックとして知られ、積極的な攻撃参加が持ち味。2014年にはコーナーキックをペナルティーエリア外からダイレクトボレーでたたき込み、J1の年間最優秀ゴール賞を獲得したこともある。ただ、現在は右膝を痛め、別メニューで調整中。「ちょうどいい機会なので、違う分野にも目を向けて、選手としての幅を広げたかった」。昨季、川端がセ・リーグの首位打者を獲得したことを聞くと、「一番打つ確率が高いってこと? サッカーでいえば、パス成功率が90何%とかと似てるのかな」とサッカーに置き換え、自分なりの理解を深めようと努めた。

 川端も西から刺激を受けている。西と知り合って以来、サッカーの結果が気になるようになった。「僕もすごく刺激を受けている。今までは野球ばっかりだったけど、もっと他のスポーツを見てみたいと思うようになった」。ピッチを縦横無尽に走り回るスピード感は野球にはない「格好良さを感じた」という。

 自らのプレーでどうファンの心を動かすか。それはプロスポーツ選手共通の課題でもある。競技への取り組み方を参考にするだけでなく、2人の交流からはそんな部分の意識の変化も生まれている。「シーズンが始まると、野球はほぼ毎日試合があるので、なかなか別の競技を見ることはできなかったけど、これからは時間を見つけて見に行けたら」と川端は話す。

 野球とサッカーは何かにつけて対立しているようにも語られがちだが、互いに学べることも多いはず。交流が進めば、それぞれの競技の発展にもつながるのでは-。2人の出会いはそんなことを予感させた。(ヤクルト担当・伊藤昇)

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