日刊鹿島アントラーズニュース

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2017年12月13日水曜日

◆最終ラインを統率する昌子源、ピッチ上で真っ赤な炎を放つ(サッカーキング)




 これを武者震いと呼ぶのだろうか。体の内側から熱き思いがどんどん込みあげてくるのを、DF昌子源(鹿島アントラーズ)は抑え切れなかった。

 国内組のみで臨んだ、東アジアの頂点を決める2年に1度の国際大会。その初戦となる9日の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)代表戦のキックオフを、目前に控えたミーティングだった。

「キャプテン、ショウジ」

 日本代表を率いるヴァイッド・ハリルホジッチ監督から、まさかの大役を託された。先発メンバーの中では、センターバックを組む谷口彰悟(川崎フロンターレ)、前方でボランチを務める今野泰幸(ガンバ大阪)をはじめ、25歳になる直前の自分よりも年上の選手が実に7人を数えていた。

 それでも指揮官から、情熱を連想させる赤いキャプテンマークを手渡された。今シーズンの鹿島でも幾度となくゲームキャプテンを務めてきたが、キックオフ前の時点で国際Aマッチ出場数が「7」の自分が、先頭で味の素スタジアムのピッチに入場するシーンは想像できなかった。

「嬉しさというよりも、隣には先輩、前にも大ベテランがおる中でも俺がやらなあかん、時には怒らなあかんと思いました。責任感が増したというか、いい方向へ思いを向けさせてくれたというか」

 出場試合数こそ少ないが、ハリルジャパンには2015年3月の発足時から招集されてきた。そして、大分市内で行われた初めての合宿中に、海外組と国内組に分かれて実施されたグループ面談。指揮官から浴びせられた厳しい言葉の一つが、昌子の中における価値観を変えた。

「いざピッチに立てば、人格を変えろ」

 ハビエル・アギーレ前監督の下、準々決勝で敗退したアジアカップ2015の映像を見ながら、ハリルホジッチ監督から国内組に連発されたダメ出しを、昌子は「納得できた」と振り返ったことがある。

「監督からは『日本には優しさがあった』と言われました。要は相手に当たることに対してリスペクトし過ぎている、優しく当たりにいって逆にひじ打ちを食らっていると。相手に謝るのは、試合が終わってからでいいと」

 ピッチ上では真っ赤な炎を放ちながら、一方では相手に対してリスペクトの念を抱く。二律背反する思いを絶妙のバランスで保てるようになったきっかけが、ハリルジャパンの船出だった。

 当時の昌子は米子北高校から鹿島に加入して5年目。常勝軍団の最終ラインを担って2年目であり、秋田豊や岩政大樹らが背負ってきた、ディフェンスリーダーの象徴である「3番」を受け継いだシーズンでもあった。

 クラブで託された伝統や責任と、ハリルジャパンで図らずもたぎらされた闘争心。これらが両輪と化して昌子を急成長させた跡は、2016シーズンの国内二冠獲得、今シーズンを合わせた2年連続のJリーグベストイレブン受賞が物語る。そして大役を拝命した一戦で北朝鮮を零封し、終了間際に決まったMF井手口陽介(ガンバ)の決勝弾を呼び込んだ。

 吉田麻也(サウサンプトン)を軸に、槙野智章(浦和レッズ)が頭一つリードした感のあるハリルジャパンのセンターバック争い。三浦弦太(ガンバ)や鹿島のチームメイト・植田直通らと切磋琢磨しながら、再び序列を覆さんとする昌子の戦いは「赤」を触媒としてさらにヒートアップしていく。

文=藤江直人


最終ラインを統率する昌子源、ピッチ上で真っ赤な炎を放つ

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