日刊鹿島アントラーズニュース

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2020年9月5日土曜日

◆【名古屋 vs 鹿島】“壁”は乗り越え、あるいは壊して進め。相馬勇紀は鹿島を相手に、ブレイクスルーのきっかけをつかむ。(J's GOAL)






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恐らくは誰の目にもそう映っていたはずである。相馬勇紀が不調だと。ボールを持てばそこには必ず仕掛ける姿勢と突破、シュートが伴われ、“チャンスメイカー”という言葉がぴったりのプレースタイルを誇る選手が、まるでボールを持つことすらまごついて、存在感を出せずにいた。ここ1ヵ月の公式戦ではスタメン出場の機会も減り、残した結果といえばJリーグYBCルヴァンカップの川崎F戦でのゴールぐらい。その時はまだ仕掛ける姿勢がチームの力となっていたが、ここ数試合ではめっきりプレーに輝きが失われていた。

「おっしゃる通りです」。相馬は素直に認める。そして自らが置かれた現状を、決して気落ちした表情ではなくきっぱりとした口調で語るのである。

「自分の中でもひとつ、壁を乗り越えようというか…。なかなか自分の持っている形とか(が出せていない)。おっしゃっているのはおそらくそういうことだと思うんですけど、とにかく自分のできることでチームの力にどれだけなれているか、助けられるかが大事です。良かった時にはゴールやアシスト、特に攻撃面での爆発的なスピードという武器を最大限に生かしながら、チームの力に変えられていたんですが、今はうまくいかないことが多い」

悩んではいないが、壁は見えている。周囲にも相談するが、結局は自分が試合で何ができるかにかかっていると潔く問題と向き合う。相馬の爆発的なスピードは起こさせないのが一番というのが対戦相手の思惑のようで、かなり激しいチャージ、あるいはファウルで止めようという傾向すら出てきているから大変だ。「食いついてきているのだから背後は空いている」と論理的に受け止めても、先手を打つように転ばされては何もできない。だから「オフザボールの動き出し、動く前にどれだけ相手との距離感を作れるかが大事」と事前の準備と駆け引きに今後は注力していくと心に決めている。

相馬、あるいは前田直輝もそうだが、サイドアタッカーの活躍はチームの生命線だけに、持ち味は存分に引き出したいところ。マテウスは脅威的なタフネスぶりで安定したパフォーマンスを見せているが、3枚看板の残る2枚は本来期待されているクオリティの半分も出せていないのが現状だ。もちろんマークが日に日に激しくなっている部分は考慮しなければならないが、それでも活躍するのがエースである。今年は“結果”よりもさらに具体的に、“数字”を求める相馬にとっても、フル出場の6割ほどの出場時間と、1得点という数字は物足りなく感じられているはずだ。時には焦りもするだろう。DAZNの中継を見ていれば、ここのところは毎試合のように聞こえる「相馬、集中しろ!」という味方の声は、彼がもがいていることを如実に感じさせる。

きっかけは人それぞれだ。そのきっかけが何になるかは誰にもわからない。だが、鹿島との対戦が相馬の目を覚ます可能性は十分にある。昨季の半年間を期限付き移籍で在籍したいわば“古巣”は、同期や若手が多いことでもライバル心をかきたてるのは間違いなく、2月の対戦時に抱いた感触も彼の中では良いイメージとして生きているという。「ポゼッションしてくる分だけ相手は押し込んで攻めてくるので、ボールを取った後にはDFの枚数も少ない」と、進化を遂げた現在のチーム状態についても把握したうえで自信をもっており、「しっかりチャンスをものにしたい」と照準を定めていた。カウンターや速攻をさせれば相馬はチーム内でもマテウスと双璧の存在である。鹿島という強敵を仕留めるにあたり、背番号27の復調は欠かせない勝因の一つなってくるだろう。

チームには阿部浩之や米本拓司といった主力も負傷から戻ってきた。フィッカデンティ監督が「彼ら二人がいたからできていたことがチームになくなっていた」とまで語る重要な戦力が加わったことで、名古屋の戦い方には再び幅と深みが出てくることにはなりそうだ。しかしベースとなるもの、堅守とスピード感あふれる攻撃の充実なくして事は為せない。そして相馬は、その作業の中核を担うべき存在として期待も大きい一人である。

「少しずつ自分の中ではチームのためにやることと、自分の特徴をチームの力に充てるところを、うまくやれそうだなという感覚が出てきています」

苦しみ、試行錯誤し、壁を乗り越える術は見いだせつつある。いや、彼の場合は乗り越えるのではなく、“壊す”といった方がしっくりくるか。相手守備の破壊者、稀代のチャンスメイカー、結果を出す男。相馬勇紀は鹿島とのホームゲームで、言葉通りの“ブレイクスルー”に挑戦する。


文:今井雄一朗(名古屋担当)


明治安田生命J1リーグ 第14節
9月5日(土)18:00KO 豊田ス
名古屋グランパス vs 鹿島アントラーズ




◆【名古屋 vs 鹿島】“壁”は乗り越え、あるいは壊して進め。相馬勇紀は鹿島を相手に、ブレイクスルーのきっかけをつかむ。(J's GOAL)




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