日刊鹿島アントラーズニュース

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2023年12月16日土曜日

◆今季J1「もったいない選手」...その宝庫だった鹿島、懸念はパリ世代や若きGKの多さ(Sportiva)






 川崎フロンターレと横浜F・マリノスの2強時代に終わりを告げ、ヴィッセル神戸の初優勝で幕を閉じた今季のJ1。選手個人に目を向ければ、FW大迫勇也やFW武藤嘉紀(ともに神戸)ら、経験のある選手が際立つ活躍を見せると同時に、J2から個人昇格1年目のMF佐野海舟(町田ゼルビア→鹿島アントラーズ)、同2年目のDF毎熊晟矢(V・ファーレン長崎→セレッソ大阪)が初めて日本代表に選出されるなど、新星が注目を集めたシーズンでもあった。

 しかしその一方で、実力者でありながら出場時間が限られ、思うようなシーズンを送れなかった選手がいたこともまた事実。彼らは来季へ向け、本来のパフォーマンスを取り戻すべく、巻き返しを誓っているに違いない。

 そこで2023年シーズンを振り返り、リーグ戦での出場時間1000分以下を目安として、今季J1の"もったいない選手"を探ってみたい。

 まず、例年のことながら、こうした選手を探っていくと、どうしても出場機会を減らしたベテラン選手が該当してしまう。

 今季も例外ではなく、36歳のFW小林悠(川崎/16試合518分)、34歳のDF丸山祐市(名古屋グランパス/16試合824分)、33歳のMF水沼宏太(横浜FM/33試合951分)、32歳のMF扇原貴宏(神戸/11試合694分)と、実力十分な顔ぶれが並ぶ。

 なかでも、もったいなさを感じさせたのが、2017年のJ1得点王、小林だ。

 今季4ゴールはその数だけで言えば寂しさを覚えるものの、時間当たりで考えれば、およそ1.5試合に1点を決めている計算になり、相変わらず得点能力は高い。コンディションの問題はあったにもしても、もう少し出場機会が増えれば、まだまだ得点を重ねられるのではないかと感じてしまう。

 クラブ別に見てみると、もったいない選手の"宝庫"だったのが、鹿島である。

 DF昌子源(21試合644分)、MF荒木遼太郎(13試合447分)、MF藤井智也(22試合931分)、MF松村優太(20試合761分)と、過去の実績や印象ほどに出場機会が得られていない選手は数多い。

 藤井や松村は、必ずしもシーズンを通じて低調なパフォーマンスに終始したわけではなかったが、だからこそ、もったいなさが際立つとも言えるだろう。

 その他のクラブに目を移せば、J1ベストイレブンにも選ばれた北欧CBコンビの牙城を崩せなかったDF岩波拓也(浦和レッズ/8試合218分)、香川真司も加わり、激しくなった中盤のポジション争いに苦しんだMF鈴木徳真(C大阪/19試合664分)といった選手も、本来ならもっと活躍の場が与えられても不思議ではなかった。当然、獲得を狙うクラブが現れてもおかしくない。

 また、20~22歳の若い選手、つまりは"パリ世代"にもったいない選手が多かったのも、今季J1の特徴である。

 DF大畑歩夢(浦和/16試合463分)、MF山田楓喜(京都サンガF.C./17試合737分)、MF谷内田哲平(京都/17試合574分)、MF西川潤(サガン鳥栖/21試合729分)など、U-22代表に名を連ねて国際試合を戦う一方で、所属クラブでは思うような出番を得られなかった選手は少なくない。

 来年のパリ五輪を目指すU-22代表にとっては、選手個々が所属クラブで実戦経験を重ね、成長することが期待されているだけに、各選手の奮起に期待したいところ。選手本人にしても、所属クラブでの活躍がパリへ行けるかどうかに大きく影響するだけに、来季へ期するものはあるだろう。

 そして最後に、これは毎年のように指摘していることではあるが、若いGKをいかに育てるか。この課題については、それぞれのクラブというよりも、Jリーグ全体で考えていくべきなのだが、どうもうまくいっているようには思えない。

 21歳のGK鈴木彩艶(浦和→シント・トロイデン)は過去にもったいない選手として名前を挙げたことがあるが、今季もJ1での出場はなし。ところが今夏、シント・トロイデンに期限付き移籍し、正GKに定着するや、待ってましたとばかりにA代表に招集(というより定着)されるに至っている。

 つまりは、すぐにでもA代表に呼びたいほどの選手が、Jリーグで燻っていたということであり、選手の育成の観点に立てば、由々しき事態と言うしかない。

 たとえば、24歳のGK沖悠哉(鹿島/出場なし)や、21歳のGK佐々木雅士(柏レイソル/3試合270分)。

 彼らがすぐにでもA代表に入れる選手であるかはともかく、昨季以前にさかのぼれば十分な実績もあり、J1で通用するだけの力は持っている選手である。

 しかも、最近のJリーグではカテゴリーを問わず、GKも加えたビルドアップを企図するチームが増え、彼らのような足元の技術に優れたGKの需要は高いはず。ベンチを温めさせておく(それどころか、スタンドで観戦させておく)くらいなら、"武者修行"に出せないものだろうか。

 20歳のGK野沢大志ブランドン(FC東京/10試合900分)が今季終盤、ようやく定位置を確保するに至ったが、こうした"もったいない若手GK"は"もったいないベテラン"以上に、何らかの対策を講じるべき緊急度は高い。

 GKというポジションはチームにひとつしかないだけに、若手の起用が簡単でないのは承知のうえで、やはりJリーグの現状が若いGKたちに望ましいものとは考えにくい。

 新天地へ送り出すのか。あるいは、手元において競争を促すのか。いずれにせよ、彼らの成長にとって最適な環境が与えられることを望みたい。




◆今季J1「もったいない選手」...その宝庫だった鹿島、懸念はパリ世代や若きGKの多さ(Sportiva)


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