日刊鹿島アントラーズニュース

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2024年2月13日火曜日

◆【J1鹿島、24年公式戦を目前としたチーム作りの現在地(2)】(サッカー批評)



知念慶


10番・柴崎負傷の穴は知念が埋めるか――佐野海舟の立ち位置も含めた「2024年・鹿島の中盤勢力図」


 今季鹿島のもう1つの見どころがボランチだ。昨夏、スペインから7年ぶりに古巣復帰を果たし、常勝軍団再建請負人と期待された柴崎岳が1月の宮崎キャンプ中に負傷。同じくケガをしている関川郁真を含め、2月23日の今季開幕・名古屋グランパス戦に間に合うのかどうかは興味深いところだ。

 それを10日の水戸ホーリーホック戦後の記者会見で問われたランコ・ポポヴィッチ監督は「もちろん彼らには戻ってきてほしいと思ってますが、間に合うかどうかは今のところは少し微妙と言わざるを得ない」と発言。おそらく復帰は3月に入ってからになるだろう。

 となれば、ボランチをどうするかを考えなければいけない。1つの解決策として指揮官が水戸戦でトライしたのが、FW知念慶のボランチ起用だ。樋口雄太とのコンビはまずまずで、知念も持ち前の視野の広さや展開力、タテパスをつける技術や精度の高さを披露。指揮官から「知念はクオリティのあるいい選手だというところですね。私の持論ですが、いい選手はポジション関係なくどこでもプレーできると思っています」と絶賛された。


■知念が具現化する「鹿島に足りない部分」


 知念本人は、「徳島との練習試合で岳君がケガしちゃって、3本目に人がいないから『1回やってみてくれ』と。そうしたら『ブラボー! ボランチだ』となって。複雑でしたけど、嬉しいですよね。そこからずっとボランチで練習していました」とコンバートの経緯を明かす。

「後ろでボールを回しながらリズムを作るところは鹿島に足りない部分だと思っていたので、そこは意識して取り組みましたけど、自分の中ではやれているかなと感じます。

 基本的に(ポポさんのサッカーは)、ボールを動かしながら相手のラインを1歩突破したらすぐゴールに最短距離で向かうのが大事。タテパス、強いパスをつけてズレても、前を選んでいれば『ブラボー』となる。せっかく前に運んだのにやめたら『なんで』と言われます」と知念は手ごたえを口にした。

 特に水戸戦前半に出ていた主力組メンバーとは練習回数が多いせいか、阿吽の呼吸が生まれつつあり、停滞することなく強度の高い攻撃を連続して繰り出せる感触があるようだ。


■知念の台頭で佐野海舟の立ち位置は


 知念が短期間でこれだけの進化を遂げたとなれば、アジアカップに参戦していた日本代表の佐野海舟は危機感を覚えて当然だろう。彼は町田ゼルビア時代にポポヴィッチ監督の下でプレー。他の選手よりも指揮官のサッカー観や哲学を理解している分、アドバンテージはあるが、チャブリッチら新戦力との連携面はまだまだこれからだ。

「まだポポさんのやりたいこと、チームとして狙っていることと自分のプレーがマッチしていない。なるべく早くそれを近づけていく必要があると思います。難しいのは、今までテンポを上げなくていいと思っていたところで崩しに行ったり、テンポアップしたサッカーをするんで、1個でも遅れたりしたら狙い通りに行かなくなるし、みんなの動きに合わせられなくなる。そういうところをこれからやっていかないといけないですね」と佐野は神妙な面持ちで語っていた。

 今のところボランチの軸は、トップ下や左右のサイドもこなせてプレースキックも蹴れる万能型の樋口で、彼と相性のいい知念がパートナー最右翼と見ていいだろう。そこに佐野、負傷が癒えるであろう柴崎、今は控え組の船橋佑らも加わって、熾烈な競争が繰り広げられることになる。

 知念は「岳君がいれば自分はFWに戻ると思う」と話していたが、今季はずっとボランチで使われる可能性も否定できない。彼の扱い次第では、佐野の出場機会が大幅に減ることもあり得る。日本代表定着を目指す若きボランチにとってそれだけは避けたいはず。ここからいかにして序列を上げていくのか。それも含めて、今後の動向を慎重に見極めるべきだろう。

(取材・文/元川悦子)




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