「この上ない経験だった」
J1鹿島の昌子は16日、ワールドカップ(W杯)ロシア大会から帰国後初めてクラブハウスグラウンドに姿を見せ、全体練習の傍らでランニングやパス練習などをして汗を流した。
昌子は帰国後に体調を崩し、一時は40度近い高熱もあって合流が遅れていた。15日は室内で調整し、この日はW杯後初めてボールを蹴った。
5日に帰国してからの日々は「ずっと悔しかった」と心情を語る。
自身初のW杯はセンターバックで出場し、16強入りに貢献。DF陣の主力として強豪国のストライカーと堂々と渡り合った。「大舞台でやったことでメンタリティーは成長した。強気な姿勢や、気持ちの部分は自信が持てる」と精神面の進化を感じている。
一方で決勝トーナメント1回戦のベルギー戦は「見たいと思わない」とまだ映像で振り返っていない。相手の速攻から目の前で決勝点を決められたシーンは「忘れられない」とし、「最後の失点シーンを平気で見られるようになればいい。あの一歩が届くようにやっていきたい。決して引きずっているわけではない」と話す。味わった悔しさは、時間をかけてでも力に変えていく。
大会の注目度は高く、選手が受ける重圧は大きい。コロンビアのC・サンチェスは戦犯扱いされ、殺害予告の脅迫を受けたことも分かっている。「成功すれば国民的ヒーローになるが、一つ間違えれば犯罪者扱いになる。そういう大会に真っ向から挑めたのは選手としてはこの上ない経験だった」。世界最高の舞台に立ち、サッカーの魅力、怖さを思い知った。
植田の移籍はロシア滞在中に伝えられた。「あいつの能力はおれが一番分かっている。俺よりすごいのは見て分かる」と実力を認める相棒の海外挑戦に、「むしろ(移籍は)遅いと思っていたし、ここまで鹿島に残ってくれてありがたい」と感謝の言葉を口にした。
(岡田恭平)
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J1鹿島 昌子、帰国後初練習 悔しさ、力に変えて